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KGBから来た男



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【この小説が収録されている参考書籍】
KGBから来た男 (ハヤカワ文庫 NV タ 6-1)

KGBから来た男の評価: 7.67/10点 レビュー 3件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.67pt

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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

構成がしっかりした、骨太のミステリー

著者のデイヴィッド・ダフィは、これがデビュー作品だというから驚かされる。MWA最優秀新人賞にノミネートされたというのも納得の、完成度が高い私立探偵小説である。
主人公は、旧ソ連の強制収容所育ち(ソ連では、犯罪者同様の扱いを受ける)でKGBの辣腕エージェントとして活躍しながら、ある事情から退職し、現在はニューヨークで独立した調査員として生計を立てているターボ・ブロスト。彼のもとに、ある銀行の会長から「誘拐された娘を救出してほしい」という依頼が入る。その銀行家のビジネスに好感が持てなかったターボは、依頼を受けるかどうか未定のまま銀行家の家を訪れるのだが、なんとその目前で、銀行家がFBIに逮捕されてしまう。さらに、そこに現れた銀行家の妻は、二十数年前にソビエトで別れたターボの元妻だった。
物語の発端からして驚きの展開だが、誘拐された娘を発見するプロセスでは、ターボの過去と現在を作り上げてきた因縁ある組織と人々が続々と登場し、単なる誘拐事件では終わらない、ソ連とロシアの歴史に根差した陰謀劇が繰り広げられることになる。
本作品の優れている点は、過去の因縁に基づく陰謀と復讐の話にとどまることなく、現在のアメリカ社会をむしばみつつあるロシア・マフィアの問題も取り込み、きわめて現代的な物語に仕上がっているところだろう。
とは言いながら、作品の基本テイストはハードボイルドの王道そのものであり、社会派ミステリーファンからPIものファンまで、幅広いジャンルの人々に受け入れられることだろう。すでに、同シリーズの第2作が発表されているというが、今度はどういう展開で驚かせてくれるのか、期待が高まるばかりである。

iisan
927253Y1

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