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泥棒は詩を口ずさむ



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泥棒は詩を口ずさむの評価: 7.50/10点 レビュー 2件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.50pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全2件 1~2 1/1ページ
No.2:
(7pt)

ローレンス・ブロックは2人いる!?

泥棒探偵バーニー・ローデンバーシリーズ3作目。
そう、3作目なのだ。
2作目は絶版ゆえにいまだに手に入っていない。そしていきなり本書ではバーニーは古書店主として真っ当な暮らしをしている風景から始まる。
2作目の時に何が起こったのか?非常に気になるではないか。

さて古書店主となったバーニー・ローデンバーの日常には本が溢れており、自然物語は本についての薀蓄なりが付いてくるのだが、これがやはり読者、特にミステリ読者には思わずニヤニヤしてしまう話が散りばめられている。

警官が現れ、「そんな本を読むよりもジョゼフ・ウォンボーやエド・マクベインの方が面白いぞ」とか、刑務所では識字率の低い者でさえ、悪党パーカーシリーズを読み漁っていたとか、ベルを2回鳴らして下さいと云われれば、郵便配達のように?と訊いてみたりと、妙にミステリ興趣をくすぐられるウィットが読んでいて非常に面白い。

古書店主になって泥棒稼業からは足を洗ったのかと思いきや、バーニーにとって泥棒はもはや習慣病のようになっているようで、今回は自分の店に現れたJ・ラドヤード・ウェルキンなる紳士からこの世に1冊しかないキプリングの自家製本を所有者の貿易商から盗み出してほしいと頼まれるところから始まる。そしてバーニーは見事盗み出し、ウェルキン氏に連絡を取って指定の場所へ赴くものの、そこで殺人に巻き込まれてしまうのが今回の事件。

さて今回バーニーが出くわす謎は主に次の4つになるだろう。

バーニーにキプリングの稀覯本の盗みを依頼したウェルキンの代わりに本を奪おうとしたマドリン・ポーロックとは何者なのか?

そしてそのマドリンを殺したのは誰なのか?

ラドヤード・ウェルキンはなぜ約束の時間に約束の場所に現れなかったのか?

バーニーの店に押し入り、キプリングの本を強盗したシーク教徒は何者なのか?

この謎の解答は実はかなり複雑。
軽妙なミステリにこのプロットはあまりにアンバランスと感じ、それが私にとってのマイナス要因となった。

さてまだ2作しか読んでいないが泥棒バーニーシリーズは一定のパターンが決まっているようだ。
盗みに入ったことがきっかけで殺人事件に巻き込まれ、無実の罪を着せられるが、数ある友人の助けを借りて軟禁生活の中で事件の真相と真犯人を推理する、というのが通例らしい。しかしそのマンネリが逆に読者の期待する方向通りに展開して飽きが来ないのだろう。

また本格ミステリとしての伏線の妙が実に魅力的だ。さりげない描写が伏線となっており、また事件解決の手がかりも実に自然に物語に溶け合って、思わずアッと気付かされる。

しかし本当にこの軽妙な読み物はマット・スカダーシリーズの作者の手による物だろうか?
ローレンス・ブロックは2人いると云われても全然驚かないぐらい作風が全く違う。本当に器用な作家だ。


▼以下、ネタバレ感想

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Tetchy
WHOKS60S
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

泥棒は詩を口ずさむの感想

バーニイシリーズの3作目です。
何故か古本屋を言う正業を始めているところがいいですね・・・泥棒はやめてないけど。
物語は、特別なアクションやハードボイルドはなく、予定調和のようにうまく解決するところがいいですね。いつもピンチになると必ず助けてくれるキュートな女性が出てきてくれるし(これもバーニイの人柄ゆえか?)チョイ悪だけど、なんだかんだ言いながら助けてくれるレイとか。登場人物の人間らしい暖かさを感じます。
決してほめられた仕事ではないのに、本当に憎めないバーニイ。
行きががかり上で、たまたま泥棒に入られたブリン夫妻がまたなんともいえずいいですね。
ホっとしたい時にはお勧めです。

たこやき
VQDQXTP1

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