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赤い夏の日



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【この小説が収録されている参考書籍】
赤い夏の日 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

赤い夏の日の評価: 8.00/10点 レビュー 2件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.00pt

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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

さらに深く、重く

スウェーデンの女性弁護士・レベッカシリーズの第2作は、デビュー作を越える傑作だった。
前の事件の悲惨な結末で心身ともに深い傷を負ったレベッカは、体は戻ったものの心は1年半を過ぎても立ち直れず、病気休暇を与えられていた。そんなとき、上司の出張に同行するかたちで、再び故郷・キールナに行くことになった。あの事件の記憶も生々しい祖母の家の近くの村で上司と立ち寄ったパブの雰囲気に引かれたレベッカは、しばらくそこに滞在することに決める。パブを切り盛りする若い二人やお客などと交流する内に、レベッカは心の健康を取り戻せそうな気がしてきた。
ところが、この村では3ヵ月前に女性司祭が殺されて教会のパイプオルガンに吊り下げられるという事件が起きていた。新聞もテレビも見ない生活を送っていたレベッカは事件を知らなかったが、あることから事件の鍵となる証拠を手に入れ、前作で知り合った女性警部に手渡す。そこからレベッカは事件捜査に巻き込まれ、重要な役割を果たすことになる。
事件の背景には、前作同様、キリスト教会が支配する閉鎖的なコミュニティでの軋轢、つまり世界中どこの社会にもある男女差別、女性解放の行動とそれに反対する人々との争いがあった。女性解放活動に熱心な女性司祭は、一部では強く支持されたが、それ以上に反発や憎悪を向けられてもいた。「彼女を殺したいと思っていた人物はいっぱいいる」と語る村人たち。犯人はだれか?、その動機は何なのか?
真相の解明プロセスでは、今回はレベッカより警察が中心になり、通常の警察小説の趣が強くなっているが、本作では人物描写の深さ、重さが一段とレベルアップしている。読んでいる途中、自分が登場人物に同化していることをたびたび発見し驚かされた。犯人および犯行動機に同情するにしろ反発するにしろ、多くの人が深く心を揺さぶられるだろうことは間違いない。オススメです。

iisan
927253Y1

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