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古書の来歴



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【この小説が収録されている参考書籍】
古書の来歴
古書の来歴 (創元推理文庫)

古書の来歴の評価: 7.33/10点 レビュー 3件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.33pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全3件 1~3 1/1ページ
No.3:
(6pt)

500年にわたる本の旅にロマンを感じました

中世のヨーロッパにおけるイスラム、ユダヤ、キリスト教の抗争にはとても奥深いものあります。この作品を入口にして今後興味をもって勉強したいと思いました。

わたろう
0BCEGGR4
No.2:
(7pt)

古書の来歴の感想

古書の鑑定家で保存修復家のハンナ・ヒースが、1996年サラエボでサラエボ・ハガダーと呼ばれる有名な希少本に出合うところから物語が始まります。
500年の歳月を生き延びた一冊の本。中世のスペインで作られた、ヘブライ語で書かれたその本はそれまでの通説を覆し美術史の教科書が書き換えられたほどだった。
その理由は、出エジプト記にある戒律 “汝、いかなる偶像も造るなかれ” によって、中世のユダヤ教徒は宗教的な美術品を一切作らなかったと考えられていたからです。
しかし、このサラエボ・ハガダーは全ページに細密画が描かれいてたのです。物語の進行によってこのような紹介がありますがこの辺は多分事実なんでしょう。1992年サラエボが包囲され
博物館や図書館が戦闘の標的になってから、その後はその古書が行方不明になったとのことで、こういった事実にフィクションを絡ませて書かれた物語です。

ハンナの鑑定によって、小さな染み、ワインのような茶褐色の染みと塩化ナトリウム、一般的な塩のようなものと半透明の翅脈のある昆虫の羽が見つかります。
この見つかった三つのものに関して時間が遡り当時の時代を背景にしたエピソードが展開されるという内容です。
しかし、キリスト教、ユダヤ教、イスラム教などの関連した歴史的な部分は大陸で生まれ育った民族ならばともかく、島国の排他的な農耕民族である日本人には肌で感じるような点は無いのではないかと
思います。この辺はただ、ストーリーを読むという感じで、その割にはドラマチックさにやや欠けるようなエピソードのような気がしました。もっとドラマチックで波乱に満ちたストーリーが良かったと
思うのは私だけでしょうか。充分過酷な目に合う主人公が描かれてはいますが個人的には多少物足りなさがあるんです。その反面、現代を舞台にしたハンナの行動を追う展開の部分は中々面白く、母との確執や謎だった父のことが分かって来る後半は楽しみながら読み進みました。 たかが一冊の本。しかし、科学的に分析すれば使われている顔料ひとつをとっても非常に興味深い話が聞けるこの本は
やはり、読んでみる価値はあったと思いました。

ニコラス刑事
25MT9OHA
No.1:
(9pt)

古書の来歴の感想

中世のスペインで作られたユダヤ教の祈祷書。
紛争中のサラエボで見つかった美しいハガダー・・・と言う史実をもとに書かれた物語ですが、フィクションでありながら中世の情景が目に浮かぶような秀作でした。
架空の話でありながら、長い年月の間そこに生きてきたユダヤ人の苦悩ははかり知れないものがあります。
キリスト教がいかに支配と搾取や弾圧をくりかえしてきたのかと言うこと、その中でその美しい本を守るだめに、命をかけて存在した人達の生き様や家族の思い。
主人公ハンナの人生も含めて、家族とは何なのか問われているような気がしました。

それにしてもジャーナリストが書くフィクションは、総じてレベルが高い気がします。取材力と筆力が常に鍛えられているからかもしれませんが、ぐいぐいと引き込まれていきました。
本物を見てみたくなりました。中世の歴史を知る上でも貴重な物語だと思います。

たこやき
VQDQXTP1

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