小学六年生のユウたちは、先生から厳守するよう言われたルールを体育館裏でこっそり破る――。

小川春香、16歳。3歳で母に捨てられた彼女は、育ての親である祖母も亡くし、正真正銘のひとりぼっちだ。

わたしは「みんな」を信じない、だからあんたと一緒にいる―。

僕たちは「その日」に向かって生きてきた―。昨日までの、そして、明日からも続くはずの毎日を不意に断ち切る家族の死。

昭和三十七年、ヤスさんは生涯最高の喜びに包まれていた。

「明日が怖いものではなく楽しみになったのは、あの日からだよ」 今でもふと思う。あの数年はなんだったのだろうかと。

村内先生は中学の臨時講師。言葉がつっかえて、うまくしゃべれない。

少年は、ひとりぼっちだった。名前はきよし。

38歳、秋。ある日、僕と同い歳の父親に出逢った。

他人のものばかり欲しがるあの子。いるはずのない住人の気配。

このビタミンは心に効きます。疲れた時にどうぞ。

低層の団地群を抱くその町は寂れていた。商店街にはシャッターが目立ち、若者は都会に去り、昔からある池には幽霊が出るという。

あいつの人生が終わり、僕たちの長い旅が始まった。

若だんなが行方不明になり、長崎屋の不運が幕を開けた。

亜紗は茨城県立砂浦第三高校の二年生。顧問の綿引先生のもと、天文部で活動している。

１７音の奥に潜む誰も知らない物語。

駆け出しの造園設計士・高桑は大学の卒論で作庭師・溝延兵衛と、彼の代表作となったある庭を取り上げて以来、長年にわたり取り憑かれ続けていた。

過ぎてみれば、全部、どうってことなかった―― 日々老いを感じつつ山裾の町で暮らす絵本作家の雪代。

京都が生んだ、やさしい奇跡。

ぼくの名はエイジ。東京郊外・桜ヶ丘ニュータウンにある中学の二年生。

余計なことは喋らない。上司から疎まれる。

「悪いんだけど、死んでくれない?」ある日突然、クラスメイト全員が敵になる。

「世界の終わりを見たくはないか――?」 絶望の先を描き切った衝撃作! 7年前、旭ヶ丘の中学校で起きた、クラスメイト9人の無差別毒殺事件。

「僕たちはこのままじゃ、ゼツメツしてしまいます」小説家のセンセイのもとに、一通の手紙が届いた。

晩年を迎え、体が動かなくなった父親に複雑な思いを抱く43歳の息子。

広大な干拓地と水平線が広がる町に暮す中学生のシュウジは、寡黙な父と気弱な母、地元有数の進学校に通う兄の四人家族だった。

小学校の卒業記念に埋めたタイムカプセルを開封するために、26年ぶりに母校で再会した同級生たち。

弱小球団・カープの帽子が赤に変わった1975年、原爆の傷痕が生々しく残る広島に、中学一年生のマナブが転校してきた。

甲子園に憧れていた。予選を勝ち進んだ。

丘の上の遊園地は、俺たちの夢だった―。

警察の介入が一切なく、偽造パスポートでもグレネードランチャーでもルームサービスでお届け可能な犯罪者御用達ホテル。

同僚を巻き添えに、自らも交通事故で死んだ父の罪を背負い、生涯自分に、笑うことも、幸せになることも禁じたおふくろ。

取り壊しが決まった団地に暮らす祖父を訪ねた六年生の杏奈。そこはかつてドラマ『たんぽぽ団地のひみつ』のロケ地だった。

東京から、父のふるさと、瀬戸内の小さな町に引越してきたヒロシ。アポロと万博に沸く時代、ヒロシは少しずつ成長していく。

男たちの身勝手さを、一行で打ち砕く桐野文学の極北! 夫公認のもと、元恋人と自由な時間を過ごす妻を描いた表題作「もっと悪い妻」など、計六作の短編を収録。

「わたしを買ってくれませんか?」―透き通るように白い肌、吸い込まれそうに深い瞳、まるくやわらかな声。

本はいつでも、きみの味方だよ。 太宰治、三島由紀夫から宮部みゆき、恩田陸まで。

舞台はなんと女子刑務所! 「後悔病棟」「希望病棟」に続くシリーズ第三弾! 神田川病院の“金髪女医”太田香織と看護師・松坂マリ江は、ひょんなことから女子刑務所に派遣される。

昭和~令和へ壮大なスケールで描く人間賛歌 人類の歴史は百万年。だが、子どもと女性の人権の歴史は、まだ百年に満たない。

左遷部署「イノベーション・ルーム」に異動となった酒井裕介のもとに「ニワトリは一度だけ飛べる」という題名の謎のメールが届くようになる。

世代を超えた心の交流を描く、家族とふるさとの物語。

馴染んだ毛布とともに、２泊３日だけ我が家に「ブランケット・キャット」がやって来る。

東北地方の書店に勤めるものの、うまくいかず、仕事を辞めようかと思っていた樋口乙葉は、ＳＮＳで知った、東京の郊外にある「夜の図書館」で働くことになる。

「わたし、水原勇気になりたかったの」-離婚後のリスタートで、娘の香織を連れて草野球を始めたアラフォーの洋子だが、やはり現実は厳しい。

思いは、森羅万象は文字に託され時空を超えて旅をする！実直なホテルマンは奔放な書家に振りまわされ、手紙の代筆を手伝うことになるが…。

猪瀬藍・３７歳・女性・独身。「借金をして家を買おう」そう思いついたのは六年前のことだった。

同じ痛みを抱いて、俺たちは、生きている。 自ら命を絶った少女・ルビィと出会った、中年作家のダザイさん。

「あなたはなぜ、この取材を始めたのです?」 明海和(あけみ・かず)はストリートチルドレンの取材を続けるうち、謎の集団・プレデターに襲撃される――。

2010年10月。宮城県の港町に暮らす高校2年生の小羽は、統合失調症を患う母を介護し、家事や看病に忙殺されていた。

共謀罪、始動。標的とされた若者達は公安と大企業を相手に闘うことを選ぶ。

恩人の命令は、思いがけないものだった。 不当な理由で職場を解雇され、腹いせに罪を犯して逮捕された玲斗。

「絶対に東大合格しなきゃ許さない」――両親の熱烈な期待に応えるため、高校三年生の高志は勉強漬けの日々を送っていた。

5階建ての新築分譲マンション、アドヴァンス・ヒル。

長年勤めた病院を辞めた元看護師、売れないながらも夢を諦めきれない芸人、娘や妻との関係の変化に寂しさを抱える二輪自動車整備士、親から離れて早く自立したいと願う女子高生、仕事が順調になるにつれ家族とのバランスに悩むアクセサリー作家。

開発から30年、年老いたニュータウンで迎えた定年。途方に暮れる山崎さんに散歩仲間ができた。