ヒーローだった兄ちゃんは、二十歳四か月で死んだ。超美形の妹・美貴は、内に篭もった。

『さくら』で彗星のように華やかなデビューを飾った西加奈子の第4作にあたる長編小説。

「お前んち、いっつもええ匂いするのう。」そう言った転校生のコジマケンが気になる緑は、まだ初恋を知らない十四歳。

男にだまされた母・肉子ちゃんと一緒に、流れ着いた北の町。肉子ちゃんは漁港の焼肉屋で働いている。

年齢も境遇もさまざまな8人の女性たち。

他人の目を気にして、びくびくと生きている百合は、単純なミスがきっかけで会社をやめてしまう。

結婚して十二年、三十九歳の調査会社中間管理職の俺の妻が、ある日、他の男の子を宿す話。

小学校の体育館裏で、きりこが見つけた黒猫ラムセス2世はとても賢くて、大きくなるにつれ人の言葉を覚えていった。

マルキ・ド・サドをもじって名づけられた、書籍編集者の鳴木戸定。25歳。

僕はこの世界に左足から登場した―。圷歩は、父の海外赴任先であるイランの病院で生を受けた。

「この世界にアイは存在しません。」入学式の翌日、数学教師は言った。

公団住宅で三つ子の姉と、両親、祖父母に愛されて暮らす「こっこ」こと渦原琴子は、口が悪く、偏屈で硬派な、孤独に憧れる小学三年生。

散歩中に拾った、自分と同じ機種の携帯電話。

恋人の娘を一日預かることになった私は、実は子供が嫌いだ。作り笑顔とご機嫌取りに汗だくになっても、ぎくしゃくするばかり…。

池井戸花しす、二十八歳。職業はアダルトビデオへのモザイクがけ、趣味はICレコーダーでの隠し録り。

29歳の葉太はある目的のためにニューヨークを訪れる。

温泉宿で一夜を過ごす、2組の恋人たち。静かなナツ、優しいアキオ、可愛いハルナ、無関心なトウヤマ。

失恋ばかりの、私の体。私は彼のことが、本当に、好きだった。

直木賞作家が５年間苦しみ抜いて到達した祈り。再生と救済の長篇小説。

『くもをさがす』の西加奈子が贈る、8つのラブレター。 この本を読んだあと、あなたは、きっと、自分の体を愛おしいと思う。

大阪最大の繁華街、ミナミのキャバレーで働く「吉田」は、素人臭さの残るスナックのチーママ「みさを」に出会い、惹かれていく(「地下の鳩」)。

天使へと解体される少女に、独白する書家の屍に、絵画を写す園に溺れゆく男たちに垣間見える風景への畏怖、至上の美。

逃げて、逃げて、逃げのびたら、私はあなたの母になれるだろうか…。東京から名古屋へ、女たちにかくまわれながら、小豆島へ。

少女の秘密が、ぼくの世界を塗り替えた。信じること、与えること、受け入れること、そして変わっていくこと…。

同情は美しい? それとも卑しい? 優しくたって、美人だって、幸せになるのは一苦労。第6回大江健三郎賞受賞作。

謎のカルト教団と革命の予感。自分の元から去った女性は、公安から身を隠すオカルト教団の中へ消えた。

強大な帝国・東乎瑠にのまれていく故郷を守るため、絶望的な戦いを繰り広げた戦士団“独角”。

17人の書き手が自らの「身体」と向き合って記す、生きるためのリレーエッセイ 私の身体はほんとうに私のもの? 私の身体はどんな視線にさらされ、どのように規定され、内面化されているのか。

恩人の命令は、思いがけないものだった。 不当な理由で職場を解雇され、腹いせに罪を犯して逮捕された玲斗。

藤子・F・不二雄を「先生」と呼び、その作品を愛する父が失踪して5年。

伝えられなかった言葉。忘れられない後悔。

婚約者・坂庭真実が忽然と姿を消した。 その居場所を探すため、西澤架は、彼女の「過去」と向き合うことになる。

新たな代表作の誕生! 20年ぶりの書き下ろし あたしは、月のように死んで、生まれ変わる──目の前にいる、この七歳の娘が、いまは亡き我が子だというのか? 三人の男と一人の少女の、三十余年におよぶ人生、その過ぎし日々が交錯し、幾重にも織り込まれてゆく。

専業主婦の小夜子は、ベンチャー企業の女社長、葵にスカウトされ、ハウスクリーニングの仕事を始めるが…。

その愛は、あまりにも切ない。 正しさに縛られ、愛に呪われ、それでもわたしたちは生きていく。

村内先生は中学の臨時講師。言葉がつっかえて、うまくしゃべれない。

1975年、偉大なる総統の死の直後、愛すべき祖父は何者かに殺された。17歳。

ぼくらを襲った事件はテレビのニュースよりもっとずっとどうしようもなくひどかった―。ある日、学校で起きた陰惨な事件。

“わたしたちは仲間です”―十四歳のある日、同級生からの苛めに耐える“僕”は、差出人不明の手紙を受け取る。

あの日、あんなことをしなければ…。心ならずも親友を裏切ってしまった中学生さくら。

あのとき、ふたりが世界のすべてになった―。ピアノの音に誘われて始まった女どうしの交流を描く表題作「愛の夢とか」。

人気作家チヨダ・コーキの小説で人が死んだーー あの事件から10年。

わたしは「みんな」を信じない、だからあんたと一緒にいる―。

一生に一度だけ、死者との再会を叶えてくれるという「使者」。

雪降るある日、いつも通りに登校したはずの学校に閉じ込められた8人の高校生。

息子が小学六年の一年間「親父会」なる父親だけの集まりに参加することになった私。

二ノ宮こと葉は、製菓会社の総務部に勤める普通のOL。

今、読んでもこんなに新しい筆致! 誰もが共感できる日常の物語。

「何もかもが面倒くさかった。生

クラスでは目立たない存在の結佳。

『のぼうの城』から六年。

おかっぱ頭のやんちゃ娘ヘガティーと、絵が得意でやせっぽちの麦くん。

雅男は、サッカーが好きなごくふつうの中学生。

中学に進んでまもなく、どうしても学校へ足が向かなくなった少女まいは、季節が初夏へと移り変るひと月あまりを、西の魔女のもとで過した。

中学時代、いじめと病に絶望した野々宮恭子は 従姉妹の蒲生美智留に命を救われた。