人に迎合し、喜ばせることが生きがいの眉子。

31歳になった。遠距離恋愛中、年下の彼は何も言ってくれない。

「十六歳だった。あのひとに出会うまで十六年もかかってしまったという気持ちは、後悔に少し似ている―」。

わたしは、この「ちいさな集まり」の一員になったときの母が、もともとの母であるような気がした。

ご近所さん、同級生、バイト仲間や同僚―。

四十三歳の宇津井茂美はいまだに男性経験がない。自分と似た境遇の伯母が入院してしまい、独り身の行く末を案じていた。

30歳の誕生日を挟んで、ふたつの大災難に見舞われた松村鳩子。婚約者に逃げられ、勤め先が破綻。

朝霞、新座、志木。家庭を持ってもこのへんに住む元女子たち。

数百年先に帰ってくるかもしれない。懐かしい、この浜辺に―ー。

空前の災厄続きに、人心が絶望に打ちひしがれた暗黒の江戸天明期、大空を飛ぶことに己のすべてを賭けた男がいた。

「ここで始めたい、もう一度」。星がつないだ、心ふるえる大人の青春物語。

「夫としてはたぶんもう好きじゃないんだよね」。

デートの経験もある。男と寝たこともある、一度きりだけど。

恩人の命令は、思いがけないものだった。 不当な理由で職場を解雇され、腹いせに罪を犯して逮捕された玲斗。

B(ブス)でW(わきが)の内海恵理伊は、幼い頃から華やかな名前と地味な容姿とのギャップに悩み、自信が持てずにいた。

ぼくの飼い猫のピートは、冬になるときまって「夏への扉」を探しはじめる。

５２ヘルツのクジラとは、他のクジラが聞き取れない高い周波数で鳴く世界で一頭だけのクジラ。何も届かない、何も届けられない。

憂鬱な不採用通知、幼い娘を抱える母子家庭、契約社員の葛藤…。

扁桃体が小さく、怒りや恐怖を感じることができない16歳の高校生、ユンジェ。

正子は75歳の元女優。

御年88歳のメンフィス署の元殺人課刑事のバック・シャッツは、歩行器を手放せなくなっていた。

箱根駅伝出場を逃がした大学のなかから、予選で好タイムを出した選手が選ばれる混成チーム「学連選抜」。

小さなまちで、男の目を引くからだを持て余しつつ大人になった地味な性格のアカリ。

1963年11月22日――11/22/63。 ケネディ暗殺を阻止するため、僕は過去への旅に出る。

事務系OLの青葉は、仕事で出会った男、朔郎と結婚した。新居は彼の赴任先の札幌の築十五年3LDKのマンション。

『星を継ぐもの』シリーズ4作品 新版化 月面で発見された5万年前の死体はどこからやってきたのか？ ハードSFの巨匠ホーガン不朽の名作 第12回星雲賞海外長編部門受賞作 【創元ＳＦ文庫60周年記念新版】 月面調査員が、真紅の宇宙服をまとった死体を発見し

平安時代中期。天皇の従兄である仁和寺僧・寛朝は、己の楽音を究めるため、幻の師を追って京から東国へ下った。

「むらさきのスカートの女」と呼ばれる女性が気になって仕方のない〈わたし〉は、彼女と「ともだち」になるために、自分と同じ職場で彼女が働きだすよう誘導し……。

誰もが名も無き日常を、諦めと期待の中で生きている―ともしびスーパーマーケット鳥居前店の買い物客も従業員も、彼らの帰宅を待つ家族も、遠くから想う恋人も。

北海道のある町で運命的に出会った中学生「ニコ」と「弥子」。

最高に格好いい87歳、伝説の元刑事。

蒲田の老夫婦刺殺事件の容疑者の中に時効事件の重要参考人・松倉の名前を見つけた最上検事は、今度こそ法の裁きを受けさせるべく松倉を追い込んでいく。

「日本に美術館を創りたい」。その夢を追いかけ、絵を一心に買い集めた男がいた。

2076年7月4日、圧政に苦しむ月世界植民地は、地球政府に対し独立を宣言した!流刑地として、また資源豊かな植民地として、月は地球から一方的に搾取されつづけてきた。

二〇一七年、東京竹芝で善良な弁護士、白石健介の遺体が発見された。

新進作家・待居涼司の小説の映画化に、奇才・小野川充が監督起用される。

逆境にもめげず簡単ではない現実に立ち向かい非日常的な出来事に巻き込まれながらもアンハッピーな展開を乗り越え僕たちは逆転する!無上の短編5編(書き下ろし3編)を収録。

神奈川県警が劇場型捜査を展開した「バッドマン事件」から半年。 巻島史彦警視は、誘拐事件の捜査を任された。

二十一年前、岐阜県美濃加茂地方で、運送会社を経営する一家が襲われた。

長く続いた戦争のため、放射能灰に汚染され廃墟と化した地球。生き残ったものの中には異星に安住の地を求めるものも多い。

平穏だった家族が少年事件によって崩れていくさまを描く心理サスペンス。

母親が自分に寄せる夢を体に溜め込み肥満化した節子。他人の秘め事を言い当てられるがゆえに高慢で孤独な絵理香。

この子の未来を応援しよう、と決めた子がわたしたちにはいた。オリンピック代表の彼女に期待し、夢を託したが―(第一話)。

都内で働く広太は、合コンで知り合った桃美とスノボ旅行へ。

愛する人との内縁関係を貫いた曾祖母、族のヘツドの子どもを16歳で産んだ祖母、理想の家庭像に邁進しすぎる母という、強烈な女系家族に育つ女子高生の若菜は、自分のキャラのなさに悩んでいた。

ニューヨーク近代美術館のキュレーター、ティム・ブラウンはある日スイスの大邸宅に招かれる。

5階建ての新築分譲マンション、アドヴァンス・ヒル。

いつもだいたい機嫌がよろしい元ブリキ職人の夏目清茂・七十四歳。

いま旬の女性ミステリー作家による、「イヤミス」短編を集めたアンソロジー。

刑事たちの執念の捜査×容疑者の壮絶な孤独――。犯罪小説の最高峰、ここに誕生! 東京オリンピックを翌年に控えた昭和38年。

大学生のましろは、12歳のとき、何者かに拉致、監禁された経験があった。無事に保護されたが、犯人は不明のままだ。

親子の救済、老人の覚醒、過去の自分との出会い、仲良しロボットとの別れ……淡く美しい希望が灯る。

こんなはずでなかった結婚。捨て去れない華やいだ過去。

誰の人生にも温かな光を灯す、青春小説の金字塔。 1980年代後半、時はバブル真っただ中。

婚約者・坂庭真実が忽然と姿を消した。 その居場所を探すため、西澤架は、彼女の「過去」と向き合うことになる。

アットホームが社風のメーカーに入社した美夏が配属された総務課には、美人、真んなか分け、中年女の3人の先輩OLが待ち構えていて…(「直立チューリップ」)。