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本好き! さんのレビュー一覧
本好き!さんのページへレビュー数329件
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前作「スカウト・デイズ」の続編ですが、こちらは連作短編の体裁となっており、あの堂神や久米スカウトも出てきますが、それぞれに主人公が異なる作りになっています。
ギャラクシーのスカウトもさることながら、現実でも昔からあくどいことをしてきたGの策略をあざ笑うかのようにギャラクシーとの選手争奪の様子がうかがえて胸のすく思い。スカウトたちは現実でも表舞台には立てなくても、他球団との兼ね合いを考慮しながらドラフト戦略を練っているのですね。堂神の先行きがどうなるのか心配やら期待やらが先立ちますが、更なる続編があるならそのあたり、期待感が募ります。 |
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「本能寺の変」の真相。織田信長暗殺計画。この事件を扱った書籍は何冊か読んだが、読み物としてとても面白かった。秀吉黒幕説もここまでくると、かなりフィクション臭が強くはあるが。でもこれも真相のひとつと言えるのでは?と思いながら読み進めたが、ラストが…
もう少し綺麗にまとめられたら満足のいく読後感だったのに。 伊賀者を中心においたのは問題なしも、最後のシーンはいらないような。 |
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下町ロケットシリーズの第1作目で直木賞受賞、ドラマも当たり、以降著作が次々映像化され、あまりにもメジャーになりすぎたため、しばらく池井戸作品から離れていました。この度シリーズ3作目「ゴースト」が刊行され、前2作で感動させてもらったので久しぶりに著作を手に取った次第。
今作もご他聞にもれず読ませてくれます。しかし超メジャー作家となってしまった宿命か、良くも悪くも「ワンパターン」が生きている。いつものパターンが継承されているから支持され(水戸黄門のように)、人気作品が続々刊行されるんだろうが、すでにシリーズ4作目が宣伝されているように、一般市民ウケするものを書かされているのかなというイメージは拭えない状況ではあります。今回も小説としてはおもしろいが反面そんな心配がよぎったのは確か。(池井戸作品からしばらく離れていたのはその辺にある。) まぁ、次の「ヤタガラス」も面白さでは外さないだろうから期待はします。 佃製作所はずっと応援しますよ。 |
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マティス、ドガ、セザンヌ、モネを題材にした原田マハさんならではの美しい短編集。原田作品をいくつか読んで興味をもった西洋画家たちの名作に隠されたエピソード(フィクションもあるけど)を読みたくて手にとった本作。彼らのそばに仕える人たちによって(あるいは原田マハさんによって)浮き彫りにされる彼らの人生、美しくも哀しい物語がまるで実際に起きたことのように(ある意味、実際に近いかもしれない)語られる4編は、心を落ち着かせ21世紀の喧噪を忘れさせてくれる。
もう一度彼らの名作をじっと鑑賞したくなった。 |
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人気シリーズの5巻目、毎回似たような依頼に同じように答えていくのだけど、全体に流れるほんわかした空気が心地よい。でも5巻目ともなると、完成度もかなりあがってきたように思います。
今回は「おでん」の章が特に感銘を受けました。事情あって夫婦が離れて暮している方が読むとジ~ンとくるものがあると思います。当シリーズ、まだまだ続いてほしいです。 |
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五輪の中でもマイナーな(卓球はメジャーかな?)種目を取り上げるあたり、真保さんらしくてgood!
3種目というのはやや物足りない気がしたが、どれも競技に取り組む選手の真剣な表情が伝わってくる。また、競技シーンがまさにリアルというか、競技場の緊張感がよく現れていて、真保さんの緻密な表現力は他の作品で実証ずみだが、ここでもいかんなく発揮されている。 東京五輪に向けて夏季競技3種目だったが、冬季種目ではどんな作品になるか読んでみたくなった。冬季バージョンも書いてもらえないかな? そして「行こう!」シリーズ、次があるなら今から楽しみ〜。 |
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日岡は大上が敷いたレールにしっかり乗っかって、成長している。それも大上の上を行くようなマル暴刑事として。そんな魅力のある日岡がうかがえる「孤狼の血」シリーズ第2段。
前半は田舎の駐在に飛ばされた彼の周辺でのどかな日々が流れていて、前作からの骨太さがどこへやらだが、後半は期待どおりに展開していく。そう来るか!?と思わせるところも。 きっと日岡は前作の大上の上をいくような存在になって行くんでしょうね。 3作目ではもうひと皮むけた日岡の姿が期待出来そう。 |
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天平の昔に大流行した天然痘に怯える庶民と、流行り病と闘う医師たち。今でこそ病の原因は比較的容易く突き止められるが、当時の人たちはそれこそ疫神の怒りだ、と恐れ戦くばかりでにっちもさっちもいかなかったのだろう。
そんな当時の混乱ぶりがよく伝わってくる作品です。今でも怪しげな札を配っては高い祈祷料を取る詐欺まがいの団体はいるが、おそらく本作に出てくるような禁厭札をばらまく輩はいたんでしょうね。庶民はそれにくいつくことで病を克服できると信じて大枚をはたく。昔も今もおなじ。 昔の人たちの恐怖と背中合わせな暮らしがよく表された作品だと思います。 |
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現代の東京と終戦直前の東京の街が重なっている。21世紀の今の世と1945年の昭和の生活、スマホをいじっている娘と瓶につめた米を搗いている娘(彼女は主人公の祖母の娘時代の姿!)が重なって見えている。
反戦のメッセージをこういった形で訴えてきたかのような、著者の発想に大いに感銘を受ける。終戦直前の人たちの生活、考え方が伝わってくるような胸を打つ作品です。 短編ですが、もっと掘り下げて長編としてだと感銘も深まるのでは。ぜひ「ディレイ・エフェクト 完全版」といったタイトルで発表してほしいです。それだけ着想もさることながら完成度は高いと思います。 あとの2編は短編ならではの内容。悪くはないけど、おまけのイメージが濃かった。 |
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認知症に陥った女性の過去を探る依頼を受け、彼女がしたためていた詩に隠された心のうちを解明していくくだりが面白かった。昭和初期の社会情勢を絡めて、ひとりの女性がたどった暗く悲しい人生が心を打つ。
シリーズ3作目になってもハートフルなストーリーは色あせません。ぜひ4作目も期待します。 |
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前作に引き続き、ひと味違うミステリを味わわせてもらった。
人類の進化という壮大なテーマに則った今までとは違う、著者ならではの文体が心地よかった。また、「鏡」に関する類人猿などの自己認識は特に惹かれるものがあったし、人類と猿の間に引かれている線がある程度、はっきりとしたものであることが改めて気付かされたような気がします。 鈴木望はそのキャラクターがどうも感情のないロボットのような印象で、もう少し人間的であってもよかったと思う。(彼の生い立ちを際だたせるため?) 我が故郷、京都が大変なことになっているが、昨今の過剰な観光地化に警鐘を鳴らしているようで、胸のすく思いがしたのは確かです(笑) |
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野球好きなので、本城氏の野球ミステリを読むのを楽しみにしておりました。存分にリアリティのある(実際にあったエピソードがモデルになっている部分もある)内容は読み応えありました。ただ肝心の堂神があまりに人間味がないのがマイナス。ドラフト候補選手を、人というより物と見過ぎている感があり、同感できなかった。実現こんなスカウトがいるのだろうか、あるいはいたのか?
でも、今後も本城氏の野球ミステリは続けて読もうと思います。 |
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テーマについては昨今の将棋ブームにのったというのもあるだろうけど、なかなか読ませる作品です。将棋のことはさっぱりでも、ストーリーの確かさは納得。著者の特徴といえる骨太で丁寧な作風は本作でもしっかり生きている。対局シーンは将棋に疎いものには??でも熱戦ではあるのだろうことはわかります。言ってみれば、そういう読者にもわかりやすいよう配慮が施されている。著者の読者サービス(?)がうかがえる。
桂介を取り巻く人たちのキャラクターは抜群に冴えていると思った。東明なんか特に。 この調子で次回作も期待しています! ところで、平成6年が舞台なのはなぜ? |
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名作選というだけあって、傑作選とあわせて読むのが乱歩の入門編といったところ。「陰獣」は後世に語り継がれる作品といわれ、完成度が高い。また、個人的には「石榴」「押絵と旅する男」「踊る一寸法師」がお気に入り、どれも乱歩を表すグロテスク、淫という単語が浮かんできて、乱歩の世界にどっぷり浸かれる。
余談ながら、乱歩の世界観を見事に音楽と融合させた、その名も「人間椅子」というロックバンドの曲を聴きながら(「陰獣」という曲もある!)読めば、もうドロドロの底なし沼から這い出せなくなること必至!? |
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9者9様のエロスの形。色々な形を楽しめるが、タイトル通りの「エロス」を感じさせてくれるのは…
小池真理子、石田衣良、山田風太郎の三作品。 特にトリを飾る山田作品は、前半どぎつめエロス、後半マンガチックで笑える。 石田衣良作品は思わず同じ体験をしてみたいというエロ願望を抱かせてくれ、小池作品は大人のエロスの世界を垣間見ることで、このアンソロジーのトップにふさわしい第一の部屋。 他のはさして印象は薄かった。野坂昭如はなんだかよくわからんままに読み終わってた(; ꒪ㅿ꒪) |
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絵画にまつわるミステリのイメージがあったが、今作は陶芸を題材に、感動的な作品を堪能しました。
バーナード・リーチに師事した沖亀之介(架空の人物)の青春物語といったところ。彼のリーチ先生に対する情熱と葛藤。 これは何か一つのことを成し遂げようとする若者に勇気を与えてくれるのでは、とも感じた。 登場してくる実在の人物たちも魅力的です。武者小路実篤や志賀直哉も出てきて思わずニンマリ。 |
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タイトルからして、工務店を舞台に繰り広げられるトラブルに善吉爺さんが飛び回る…と思いきや、秋山家の人々に降りかかる困難に善吉爺さんが胸のすくような解決をもたらす。前半はそういう展開で、別に善吉爺さんが大工である必要は…と、タイトルにやや違和感を感じる。
後半は秋山家の主・史親が自宅の火災で亡くなった真相がもたらされ、終わりよければ全て…の読後感。 30年以上前に亡くなった私の祖父も大工をしていて、昔を思い出して最後はホロッとする場面もあった。どことなく「静おばあちゃん」の男版といったところも。 |
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東京中に蔓延している怨念。それを追い求めて女フリーライターが23区を巡る。それぞれの区に秘められた歴史や代表的な名所を紹介するガイド的な役割と長江流ホラーが合わさって一気読みでした。23区民ならぜひ読んでおきたい一冊。
今回は板橋、渋谷、港、江東、品川の5区だけでやや消化不良。ぜひ23区コンプリートを期待します。 私の住んでいる区も未登場なので。 |
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自殺、自殺、自殺。これほどまでに「自殺」という活字が登場する小説もそうないのではと思う。ヤクザが参上なさって、なんとも虚しさを感じた読後感。
でもモアレ縞などの印刷に関する薀蓄や、謎の解明に奔走する様子など、真保さんらしさは出ていたので安心感はあった。でもあまりヤクザは前面に出てほしくなかったなあ… |
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犬を擬人化したお話よりも。犬そのものというよりは「犬」の文字がついた所での青春ものよりも。ちょっとエッチなバター犬?が登場するお話よりも。彼女に振られ犬に見つめられる悩みをもった男のお話よりも。パピーウォーカーをテーマにした横関犬さんの作品が最も「感動」というものをもたらしてくれたようです。犬好きにとっては「感動」をもたらしてくれる物語を期待したけど、やや物足りなさの残るアンソロジーではありました。これなら先日読んだ「猫は見ていた」の方がずっと心をうつ内容でした。
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