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本好き! さんのレビュー一覧
本好き!さんのページへレビュー数329件
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クライトン氏の死後、PC内から見つかったという原稿。
それだけでどんなものか早く読んでみたいとそそられていましたが、期待を裏切らない冒険ミステリーでした。タイトルから某ヒット映画を彷彿とさせますが、クライトン流の痛快小説、却ってこっちの方が面白いのでは?と思わせるほどページをめくる手が進みました。 ”私掠人”という海賊とは少し違う職を初めて聞きましたが、ハンターや彼と行動を共にするキャラクターたちはどこか「桃太郎」を思い起こさせてくれます。(いい感想だと自画自賛しましたが、巻末の解説にそっくりそのまま書かれていましたね...)後半はあっという間に読み進めましたが、楽しい読書時間を過ごせました。 |
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ライトノベルとはいえ、太宰や漱石などの作品が扱われており、他のラノベとは一線を画すであろうと期待をこめて読みました。太宰、漱石、小山清といった作家の作品を巧みに物語に折り込み、丁寧にわかりやすく書かれていることに好感を持ちました。
全体の雰囲気はやはりラノベ、所詮はラノベという印象はどうしても拭えなかったし、各章の”オチ”もそうでした。でも高尚ともいえる過去の作品をうまく溶け込ませて読みやすい作品にしているところがベストセラーの要因でしょうか。とりあえず第2巻も読んでみます。 |
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著者ならではの企業小説と野球小説の融合が実現しました。どちらか片方だけなら今までにも多数あったでしょうが、これがひとつになると新しい世界が開けます。かつては名門と言われた会社の野球部の斜陽と会社の統合を持ちかけられる上層部の苦悩。それがうまくマッチして痛快な作品となっています。
確かにストーリー的にはパターンが決まっているのだけれど、それを払拭させるものを著者の作品には感じます。企業小説ファンはもちろん、野球ファンにもオススメの一冊でしょう。 |
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「邪馬台国」東北説、聖徳太子の正体、光秀の信長に対する謀反の真相などなど、興味深いテーマを鯨氏独特の解釈で、”バー”での会話を通して痛快に展開します。
宮田六郎の解説はそれなりに納得できてしまうから不思議。歴史好きなら、そういう考え方もあるのか!と納得のストーリーですが、何かが足りないと感じてしまうのはやはりその荒唐無稽さから来るのでしょうか。 |
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「ハートフル・ミステリ」というジャンルを確立するとすれば、著者はその第一人者となるでしょう。
孤独死、特攻隊、8ミリフィルムといったキーワードが全体にいきわたって、物悲しいような、それでいてすがすがしいようなストーリーです。 8ミリフィルムの動画をまさに主人公と一緒に見ているような感覚に陥るような場面では、読んでいる方までその女性に入れ込んでしまいそうな気になりました。 著者のこのジャンルの作品は本当に心が温まるとともに、社会におけるいろいろな問題について考えさせてくれます。 それにしても表紙の女性、かわいいですね~(^^) |
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前作「数学的にありえない」のときもそうだったが、ファウアーのサスペンス色あふれるストーリーはもちろんのこと、巧みな翻訳がそれにたっぷり彩を添えていて、読んでいて心地よささえ与えてくれる。期せずして時系列で話が進んでいき(それも時期が前後しながら)注意深く読まないと、話の前後がわかりにくくなる小説を2作連続で読んだが、こういう小説の組み立ても読者を楽しませてくれる手法として充分アリだとも思った。
今から第三作目が楽しみです。次は何学的にありえない?? |
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昭和39年。東京オリンピックに沸く日本。オリンピックを無事開催させることに心血を注ぐ警察と、その警察に一泡ふかせるべく、開催を妨害しようとする学生。その闘いがみごとに描かれています。
この作品のいいところは、当時の世相・文化などがさりげなく織り込まれてまるでノンフィクションとおもってしまうようなリアリティーがあること。当時流行ったモノや人気のあった有名人などが実名で出てくるとドキュメンタリーのような様相も伺えます。また、華やかな舞台の裏側で支えている下請け労働者の悲哀・格差社会の問題点も浮き彫りにされています。 時系列で物語が進むのですが、その日付が章ごとに前後していて読み進めるのにやや注意深さを要するのと、最後の場面は警察側だけではなく、島崎側からの視線でも描いてほしかった気がします。 いずれにせよ、オリンピックイヤーの最初を飾るのに最適な小説でした。 余談ながら。次回の東京オリンピックの誘致がちょくちょく取り上げられますが、この小説にもチラッと出てくるように、開催の間隔は100年に一度位でちょうどいいと思います。 |
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一見何の関係もないようないくつかのエピソードを意外なところに接点を持ってくるという著者の
得意技が光る一品だとは思います。 数々のエピソードは誰もが経験したことがあるであろう些細なモラル違反。 それが運悪く繋がってしまい、一人の子供を死なせてしまう。 物語の持って生き方はウマイと思います。ただ、今回は前段のエピソードが少々長いかなと。 半分ちょっと読んだところで、やっと「事件」が起きます。 後半部分は逆に駆け足になっている印象。 上下巻の2分冊になっていてもよかったかな?とも思いました。 しかし世の中、ちょっとしたモラルの違反がとんでもない事件・事故を引き起こすこともあるんだよ、 と警鐘を鳴らしてくれているメッセージ性の高い作品であることは確かです。 こういう私も犬のフンをそのままにしてたこと、ありますm(_ _)m |
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「呪い」をテーマにした作品ということで、どろどろした内容を期待したが、案外軽妙でさっぱりしたものでした。
全体的に軽妙さを感じさせるのはおそらく会話の部分が多く、登場人物に薀蓄を語らせすぎ(?)なところが原因か。でも全体的な流れでみると、よく練られてるし、民俗・習俗のおどろおどろしい伝統が奥深く描かれていると思います。それでいて読後感はさっぱりしていて好印象でした。 乱歩賞同時受賞の「完盗オンサイト」と比して内容も深いし、どちらを推すかと問われればこちらを取るでしょう。次回作も期待できそうです。 |
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皇居に侵入して高価な盆栽を盗み出す。
この発想は非常に面白いし、全体的に悪い意味での女性作家臭を感じさせなかったのは評価したいです。 キャラクターはコミックタッチで、おそらく実際にコミック化されてもおかしくないような印象。 ストーリーは至って普通だと思いました。可もなく不可もなくといったところです。 巷で言われているほど”問題作”かな?という気はしましたけど、今後に期待したいです。 |
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医療サスペンスのジャンルにはいるのでしょうが、病に冒された脳外科医とその娘との確執の方が前面に出て、メインになるはずの殺人事件の解明がサブに回っている感はあります。(それをあえて狙ったか?)
著者にとって専門分野ではないはずの医療に係る知識は(おそらく様々な文献で綿密な調査したのでしょうが)それなりに物語に溶け込んでいます。でもやはり説明調に陥ってる感は否めないところがマイナス。でも言うほど悪くはないですよ。全体的なストーリーは丁寧に描かれているようで好感が持てるし、感動的な場面も違和感なく読めました。 最近巷で人気の医療サスペンスですが、映像化されている人気作より、地味だけどこういった作品の方が個人的には読んでいて安心感があります。 |
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19世紀半ばのイギリスを舞台に、主人公エドワードの手記という形で、”復讐”をテーマに描かれる壮大・重厚なミステリ。2段組で600ページにわたる超大作で少々読了までに時間がかかりましたが、その内容と構成には至極感銘を受けました。主人公の手記に編集者の注釈もついているという懲りよう。著者が30年にわたって練った構成が功を奏しています。ラスト数ページのクライマックスも秀逸です。著者の早世はなんとも悔やまれますが、続編があるとのことなのでその出版が期待できます。
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「外交官・黒田康作」シリーズも第3弾ともなると、黒田の考え方やキャラも確立されてきて、その分スキキライなんかもはっきり分かれてくるような気がします。3作目はこれまでと比べると、展開・結末もそれなりに納得できる内容でしょう。「本城美咲」は少々暗いけど際立っています。ただし、過去2作にも言えることですが、どうも全体的に盛り上がりに欠けるきらいが...もう少し砕けたところがあってもいいのでは?と思うくらい、全体的にカタい。シリーズものであれば、もう少し主人公に感情移入できたらいいのに、どうもそこまでいかない。外交官としてありえない行動をとる黒田は、個人的には好きにはなれないキャラクターです。そのためか、シリーズ3作ともほとんど同じストーリーを読んだような印象が残ります。4作目があるかどうかわかりませんが、できればガラッと変った内容を期待したいです。
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ビジネスの世界で躍動する男たちの熱いドラマ。
著者の作品は一言でいうとそう表現できるものが多いと思いますが、まさしく本作はその一文にピッタリです。ロケットエンジン部品を製作する中小企業のアツイ社長を中心に、数々のトラブルに巻き込まれながら自分たちの信じた方向へ社員一体となって突き進む。行く手には会社の外のみならず、社内からも反抗分子が現れて、この先どうなるのか?とハラハラさせてくれます。果たして自分たちが同じような境遇になった時にどうするか?となると甚だ自信はないですが、読後の爽快感は本作はもちろん、著者の作品には必ずと言っていいほど味わわせてもらえます。 とにもかくにも、悲願の直木賞受賞おめでとうございます。 |
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タイトルどおり、旅情サスペンスです。
焼死した老夫婦、猪苗代湖畔で心中した老夫婦、捜査の途中で会った怪しい夫婦... 彼らの謎を追ううち、意外な事実が明らかとなる!と、まさしく2時間ドラマのタイトルになってます(^^; 福島県の山間の路線を舞台にした旅情サスペンス。こういった作品といえばあの大御所作家を思い出し間sが、彼には及ばずともなかなかに旅情あふれる佳作だと思います。元福島県民の私になじみの路線ということもありますが、さりげなく名産品(?)も織り交ぜたりして、全体的にほんわかした印象を残しながら、また登場人物もやさしさをかもし出しながら、そして季節感を充分に描きながら、そして老人介護の問題に関するメッセージも少し伝えながら、ゆったり感さえ感じさせるミステリでした。 |
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細川政元という名前は聞いたことがあるようなないような。”もうひとりの信長”というキーワードが気になって本書を手に取りました。ほとんど知られていないその存在は、まさしく信長を彷彿とさせてくれます。「聡明丸」と呼ばれた幼少期からその奇才(鬼才?)ぶりが発揮され、41歳で家臣に殺害されるまで、実に個性的な人物が描かれています。
修験道に入れ込み、生涯、妻を持たなかった彼の生き方は、正直、何を考えているのかよくわからないのですが、それには深いわけがありそうです。はっきりとした理由は明らかにされませんが、それだけに読者にいろいろと類推をさせてもくれます。何かしらの意図をもっていたことは充分うかがえます。姉・洞松院もうまく描かれていて、この姉に対する政元の言動からもそれは考えられます。 本書で細川政元という人物のほんの一部分が垣間見えたような気がしますが、それにしても著者は普段注目されないモノ・コト・ヒトにスポットライトを当てるのが実にウマイですね。 |
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団地を舞台に人間関係の闇の部分をさらっとエグった10編の短編集。
どれも団地・集合住宅に住んだ経験がおありなら、多かれ少なかれ自分と重ね合わせることができるでしょう。 こういう自分もこの奇妙な人間関係の渦に巻き込まれてきましたから。 10編の中でも、表題作のほか、「隣人」「花笑み」「迷子」はお気に入り。 |
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ドラゴンウィルスによる竜脳炎の流行で大勢の犠牲者が出てパニックに陥る中、奇跡的に生存者となった3人には奇妙な後遺症が。
手を使わずに物を動かせたり、他人の過去や未来が透視できたり、自らが若返ったり... なんとも奇想天外、荒唐無稽なストーリーで、アクションアニメに出てきそうな展開ですが、そこはさすがの夢人さん、確かなプロットで笑わせ、考えさせ、ホロッとさせてくれました。 またメディアや警察権力に対するメッセージも盛り込まれ、現実感はほとんどないのですが楽しくワールドにはまりました。やはり夢人さんはこれくらいのぶっ飛び方でちょうどいいと思います。(確かに好き嫌いが分かれるかも知れませんが) |
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まず最初に感銘を受けたのは、キリスト教の世界をベースに違和感なくミステリ小説が描かれていること。
「イエスの涙」でも感じたことですが、ミステリの基本がすんなり溶け込んでいる。これは著者の力量はもちろん、この世界のもつ神秘さなどもあるのでしょうか。 本作ではマリア様の本当の姿を知ることができると同時に、終盤の演奏会の場面を通して心が安らぎを与えられる、神父の教えを請うたようなさわやかさが漂う作品です。 「イエス」「マリア」と来て、第3弾をぜひ早いうちに出してほしいと思います。 |
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高校生が引き起こした妊婦連続殺人をベースに、人間の「悪意」をこれでもか、と押し付けられた。読後感はあまりいいとはいえないけど、それが著者の思惑であれば本作ほど人間の裡にあるドロドロしたものを表現した作品はないでしょう。
これまでに読んだ著者の作品と比べると、少々期待はずれな感もあったが、人間のイヤ~な部分をあえて堪能したければオススメの一冊。 |
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