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本好き! さんのレビュー一覧

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レビュー数329

全329件 241~260 13/17ページ

※ネタバレかもしれない感想文は閉じた状態で一覧にしています。
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No.89:
(7pt)

ビブリア古書堂の事件手帖6 栞子さんと巡るさだめの感想

太宰治「晩年」...
一度使ったテーマを再登場させるのはいかがなものか…というのはあった。
個人的なことではあるが、このシリーズで、古書に関する薀蓄を数多く知りたいというのがあり、前巻まででも楽しませてもらったが、
「晩年」は既出であり、再登場させたのははネタギレ!?を思わせるものが正直あった。
でも、1巻通して太宰スペシャルだし、今回はじめて「晩年」を読んでみようと思わせたのも確かである。
ストーリーとしては依然面白いです。よく考えられていると思います。
五浦くんと栞子さんのラブストーリーの行方も気になるところですが、それはほんのサイドストーリー的に扱ってもらって、
次巻以降も古書にまつわる薀蓄&ミステリ全開でお願いしたいところです。

ビブリア古書堂の事件手帖 (6) ~栞子さんと巡るさだめ~ (メディアワークス文庫)
No.88:
(8pt)

イントゥルーダーの感想

登場人物のキャラガどうも血が通ってないようで、初めて息子を目の前にした主人公も何か他人事みたいに考えているような印象がぬぐえなかった。主人公のみならず、全員に言えること。(中には愛嬌のあるのも出てきたけど。)後半になるとそれも幾分薄らいできたが。
でもさすがは著者の経歴がモノを言ってる。原発事故を予見したかのようなストーリーは今読むとさすが、としか言いようがない。
予見したのか、福島の原発事故は起こるべくして起こったのか。
原発の今後を改めて考えさせられる作品です。

イントゥルーダー (文春文庫)
高嶋哲夫イントゥルーダー についてのレビュー
No.87:
(9pt)

蟻の菜園 -アントガーデン-の感想

最近ニュースでよく耳にする「連続不審死事件」と「児童虐待」を組み合わせたような作品。
「佐方シリーズ」のような骨太さというよりは、女性作家ならではの女性登場人物の心理や、社会的に問題になっている事件に対するメッセージなどが込められているように思います。
どんな理由があろうと人を殺めるのは許されることではないですが、この作品を読むとそんな考えが少し揺らぐほど切ない、やるせない気持ちにさせられます。
ここに出てくるアリバイについては、そんなにうまくいくか?という気にもなるけれど、特に児童虐待については実際にも犠牲になる子供たちを思うと、行政がもっとなんとか対策を練ってくれと願う気持ちがより高くなりました。


蟻の菜園 ‐アントガーデン‐ (角川文庫)
柚月裕子蟻の菜園 -アントガーデン- についてのレビュー
No.86:
(10pt)
【ネタバレかも!?】 (1件の連絡あり)[]   ネタバレを表示する

銀行嫌いに拍車がかかる痛快作

前作「ロスジェネの逆襲」でやや失速したように思えた”半沢シリーズ”、本作で一気に挽回!
銀行内部のみならず、帝国航空の再生タスクフォースとの攻防あり、政界も絡んできたりで今までになく大きな話になってきた。
再生タスクフォースの辣腕弁護士との”対決”も面白い。そして中野渡頭取が...
読んでいるときが至福のときに思えてしまう”半沢シリーズ”、まだまだ続きがあるのでしょうか。
失速することなく、半沢のあっ!と驚くような活躍を今後も期待します。
銀翼のイカロス (文春文庫)
池井戸潤銀翼のイカロス についてのレビュー
No.85: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

烙印の感想

本作を大幅改訂して刊行されたものが「迷宮遡行」。著者によると、”主人公を始めとする登場人物の設定、物語のトーン、発端と結末など、かなりの部分で変更があります。七割は新たに書き下ろした原稿なので、まったく別の作品と思っていただきたい”とのこと。
なるほど、完成度としては「迷宮遡行」に比べればやや物足りない感はある。
でもそれはそれで、別の作品として考えれば、十分成り立っている作品と言えます。
最後のどんでん返しは、初期の時点で貫井流が炸裂しています。
本作は「迷宮遡行」が出ている時点で絶版状態でしょうが、某古本屋で安価で手に入ったのはラッキーで貴重な買い物です。

烙印 (創元クライム・クラブ)
貫井徳郎烙印 についてのレビュー
No.84: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)
【ネタバレかも!?】 (1件の連絡あり)[]   ネタバレを表示する

検事の死命の感想

「心を掬う」は何もそこまで?とツッコミを入れたくなるところもあったが、佐方の執念を感じさせる作品。
「業をおろす」は佐方の父が無実の罪を自ら受け入れた真相が明かされる。
連作短編「死命を賭ける」「死命を決する」は検察・佐方側と弁護側の応酬が面白かった。
痴漢行為が題材であるのと、弁護側に対抗する決め手が若干弱いかな?という気はしたが、佐方検事の冴えが
ここでも披露されました。佐方シリーズ、まだまだ続けてほしいですね。
今度は佐方、絶体絶命!?のピンチに陥るも見事に切り抜ける痛快作をぜひ。

検事の死命 (角川文庫)
柚月裕子検事の死命 についてのレビュー
No.83: 6人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

闇に香る嘘の感想

視覚障害者を主人公に、臓器移植、中国残留孤児、点字による暗号解読等盛りだくさんで、最近の乱歩賞作品の中でもかなり上位に来るほど面白い作品でした。主人公が目が不自由にもかかわらず精力的に謎に立ち向かう様は涙を誘うほど。
そして最後のどんでん返し。著者は過去に何度も最終選考に残ってきた実力者ではありますが、デビュー作にしては完成度の高い作品で、次回作以降が楽しみです。
パクリ?そんなの気にしない、気にしない~!
闇に香る嘘 (講談社文庫)
下村敦史闇に香る嘘 についてのレビュー
No.82:
(9pt)

アンダーカバー 秘密調査の感想

IT企業の若手社長が海外でいわれのない麻薬所持容疑で逮捕!
のっけから興味深い展開で先行きが楽しみになる内容。
そしてその後は、真保さんならではのスケールの大きさで、思わぬストーリーが繰り広げられます。
世界中を舞台にしたグローバルな内容が、ともすれば大きくなりすぎて実感が伴わず、登場人物に感情移入しきれない欠点もあるのですが、そこは著者の力量、最後まで息をつかせない内容で、多少の硬さはあるものの、エンターテインメント性は十分です。
あとは、罠にかけられ社長の座を追われた戸鹿野の仕返し(倍返しだ!とは言わないまでも…)が見たかった気もします。

アンダーカバー 秘密調査
真保裕一アンダーカバー 秘密調査 についてのレビュー
No.81:
(9pt)

イーハトーブ探偵 ながれたりげにながれたりの感想

実在の人物を探偵に見立てた小説は特に珍しくはないけど、最近何かと話題の宮沢賢治を彼のキャラクターを崩すことなく、見事に探偵役をこなさせた作品です。彼のパートナーである”カトジ”もいいキャラクターです。
また、賢治が実際に書いた詩を元にした小説でもあり、巧みに詩とストーリーをリンクさせているところはポイントが高い。
収録されている短編4作品は、実現可能かどうかは別として、トリックとそれを解明するまでが丁寧に描かれている。
惜しむらくは、時代考証がどうか、と東北弁のセリフの読みにくさ。
シリーズ化されるようですので、今後が楽しみです。
イーハトーブ探偵 ながれたりげにながれたり: 賢治の推理手帳I (光文社文庫)
No.80:
(9pt)

半沢直樹健在!

期待を裏切らない半沢シリーズ第3弾です。
左遷?で出向させられた半沢と東京中央銀行との戦い。
前2作に比べてやや堅いイメージはあったものの、胸のすく1冊です。
特に後半、繰り広げられる半沢VS東京中央銀行の場面。爽快です。
さぁ、第4弾「銀翼のイカロス」も早く読みたい~!

ロスジェネの逆襲 (文春文庫)
池井戸潤ロスジェネの逆襲 についてのレビュー
No.79:
(8pt)

あぽわずらい あぽやん3の感想

2巻で終わりかと思った”あぽやん”シリーズ、第3弾も出てきました。
今回は遠藤慶太が仕事に追われて”うつ”状態に。第1章で早々に出社拒否に陥ってしまいます。
仕事に責任感のある遠藤のことですから、いろいろと心労が重なってのことでしょう。
この辺は仕事を持っている我々にとっては身につまされるエピソードです。
その後は主人公・遠藤不在のままストーリーは進み、登場人物のそれぞれの”仕事”に関わるお話が連作短編の形で進んでいきます。
前2作同様、面白おかしく描かれていますが、やはり遠藤の病気が底辺にあり、楽しいことばかりではない”仕事”に対する彼らの取り組み方がしっかりメッセージとして伝わってくるので、やや重めの内容ではあります。
最近ドラマ化されたこともあって3巻目がでたんでしょうが、登場するキャラがそれぞれの役者のキャラにいい意味でも悪い意味でもかぶってきます。さて、4巻目はあるのかな?
迷える空港 あぽやん3 (文春文庫)
No.78:
(9pt)

「デッド・オア・アライブ 江戸川乱歩賞作家アンソロジー」収録作品

乱歩賞作家7人によるアンソロジー「デッド・オア・アライブ」のトリを務める短編です。
ナノバブル発生装置を開発した女社長と、離婚寸前の夫、専務の男、秘書...
サスペンス色豊かに、あっといわせる結末もなかなかのものです。
本作ほか、6編の傑作短編が収録されていますが、さすがトリを務めるだけあります。
他の作品では横関大、薬丸岳の作品が特に印象的でした。


鏑木蓮終章~タイムオーバー~ についてのレビュー
No.77:
(8pt)

メルトダウンの感想

原子力研究所員の経歴をもつ著者だけあり、反核・反原発のメッセージが十分読み取れる。
核問題と報道の自由をテーマに、掘り下げ方がしっかりしていて説得力もあります。
日系人を登場させたところも、核や原発について語るためにと考えると深いなぁとの思いも。
日本人とアメリカ人の心の裡がよく描かれています。
各場面にそのような描写が見受けられますが、特にジミーが両親がヒロシマで被爆したことを語る場面は印象的です。
メルトダウン (講談社文庫)
高嶋哲夫メルトダウン についてのレビュー
No.76:
(9pt)

私に似た人の感想

著者いわく「乱反射」路線ということで、”小口テロ”を10人の登場人物の視点から描かれており、結末は著者ならではの驚き付きです。
テロなるものが日本でも普通に起こるようになった昨今、著者のメッセージも込められているような気がします。
登場人物の中では「ヘイトさん」のキャラが際立っていて、個人的には気に入っています。でも彼の行く末は...
「乱反射」路線とのことですが、ストーリー展開はどっこい、結末はこちらの方がいいですね。(まぁ、好き好きはあると思いますが。)
私に似た人
貫井徳郎私に似た人 についてのレビュー
No.75:
(8pt)

「ほっこりミステリー」収録作品

このミス受賞作家アンソロジー「ほっこりミステリー」(単行本発行時「しあわせなミステリー」)収録作品。
緑豊かな田舎の土地に持ち上がった産廃処理場建設問題をテーマにした一遍です。
宮沢賢治の某作品をモチーフにしており、ラストはなかなかにファンタジー色が濃くなっています。
またある大きな物体の消失トリックなども盛り込まれています。
このアンソロジーには他に伊坂幸太郎・柚月裕子・吉川恵梨による”人の死なない”ミステリー計4編が収録されていますが、
個人的には中山氏の本作が最も読後感のよい作品だと思います。
中山七里二百十日の風 についてのレビュー
No.74:
(8pt)

銀行総務特命の感想

池井戸作品の場合、銀行や企業が舞台になっており、えてして同じようなストーリーの作品ばかりになりがちだが、そこは著者の力量、工夫を凝らしてバラエティ豊富な内容を心がけているな、と感心させられるのが本短編集。
銀行内部の闇の部分をつついたものや、行員のAV出演疑惑など硬軟取り混ぜてあきさせない。
それでも銀行という組織のイヤ~な部分をしっかり描いていて、毎度のことながら銀行に就職したいと思っている人が読んだら絶対断念してしまうのでは?と心配することしきりです。
”銀行破綻後、再就職したくても銀行員はつぶしが利かない”との一文が出てきますが、それがまさに銀行業界をよく表しているとつくづく感じました。
新装版 銀行総務特命 (講談社文庫)
池井戸潤銀行総務特命 についてのレビュー
No.73: 3人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

追憶の夜想曲の感想

前作に引き続き、御子柴礼司のリーガルサスペンス。
冒頭は例によりなにやら不穏なシーンから始まり、今後の展開の行方を期待させる。
最後のどんでん返しも期待通りか。
事件そのものが陳腐な分、御子柴の弁護人としての手腕が光る内容になっている。
でもなぁ、御子柴はじめ、登場人物に感情移入できないのが難点なんですよねぇ...
唯一、清涼剤を与えてくれる女の子にホッとさせられるが。


追憶の夜想曲 (講談社文庫)
中山七里追憶の夜想曲 についてのレビュー
No.72: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

北天の馬たちの感想

”男の友情”をテーマに、貫井さん流に描いた作品。二人のどこか怪しげな探偵たちと彼らに憧れを抱くコーヒーショップの若いマスター。
以前某TV番組に貫井さんが出演した時に、昔放映されたあるドラマをもとにかっこいい男の友情を描いたと言われていたのですが、その内容もなかなかに格好いいものだと思います。
ストーリーはまずまずですが、全体的になんとなく物足りなさも覚えた。「友情」というキーワードをもう少し色濃く出しても良かったのでは。
思わせぶりな結末はまだ許せるところではありますが。

北天の馬たち (単行本)
貫井徳郎北天の馬たち についてのレビュー

No.71:

白砂

白砂

鏑木蓮

No.71: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

白砂の感想

「お骨」というキーワードがこの物語の底辺に漂っています。
その辺は著者の”らしさ”がよく出ています。よく言えば静かでハートフル。悪く言えば地味。
ストーリーも大きな盛り上がりはなく、展開もともすれば地味な2時間サスペンス的な印象。
キーワードがキーワードですからそれでもいいのかと。
それはやはり著者の個性なのです。

白砂
鏑木蓮白砂 についてのレビュー
No.70:
(7pt)

自作の中で映画化しちゃった

このミス大賞にて「さよならドビュッシー」と同時に最終選考まで残った「災厄の季節」(「連続殺人鬼カエル男」と改題して刊行)の映画化に向けて、その制作現場を描いた青春ミステリ。「ドビュッシー」は映画化が叶ったが、「災厄~」はその描写のエグさ故、不可能となってしまったことをこういった形で「実現」することを思いついた着眼点はさすが七里さんならでは。
ストーリー的には七里さんらしさは出ているが、登場人物が多く、セリフも多くて全体的にゴチャゴチャしたイメージが残念。
でも実際、どちらも映画化されて両者と比較、これが同一人物による作品か?と世間を驚かせてみたかったのは本音。
スタート! (光文社文庫)
中山七里スタート! についてのレビュー