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本好き! さんのレビュー一覧

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レビュー数336

全336件 221~240 12/17ページ

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No.116: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

オーブランの少女の感想

”少女”にまつわる作品を集めた短編集。著者の作品は、その文体から欧州を舞台にした翻訳調の小説がよく似合っていると思う。
とくに表題作は格調高い文体ではあるが、おどろおどろしいホラー小説のような要素を含んだ、短編ながら読み応えあるものとなっている。中には表題作に比べるとややトーンダウンの感があったりするが、それぞれに趣向が凝らされており、著者の腕の確かさを感じます。収録作品の中で表題作以外ではやや長めの「氷の皇国」は、著者の特徴がよく出ていると思います。
オーブランの少女 (ミステリ・フロンティア)
深緑野分オーブランの少女 についてのレビュー
No.115:
(8pt)

「病は気から」を科学するの感想

科学ジャーナリストである著者が、科学的側面から「歴史」を検証した前2作(アンティキテラ、ツタンカーメン)とは打って変わって、医学的見地から「心の医療」を検証。
偽薬やらスピリチュアルやら催眠術やら...で病気や怪我がどこまで癒されるのか?
そういったもので治癒が見込めるのなら、医者はいらないのでは?

本書から思い出した言葉・・・医者や薬が病気や怪我を治すのではなく、治す手助けをするもので、
治癒に至るかどうかは患者しだい。改めてその言葉の意味をかみしめた。
「病は気から」を科学する
No.114:
(10pt)

揺ぎのない世界

’会議’をテーマにした連作短編の体裁をとりながら、その奥底に大きな本題が練り込まれている。池井戸作品ならではの巧みさが見事です。
一番はリアリティ度。丁度同時期に現実に隠蔽が明るみになった事件があっただけに、仮に本当にあった話といわれても違和感がないだけに、ある意味恐ろしさをも感じてしまいました。どこを取っても揺ぎのない世界がここにはあります。

七つの会議 (集英社文庫)
池井戸潤七つの会議 についてのレビュー
No.113:
(9pt)

見えない鎖の感想

家族のあり方について考えさせてくれるハートフル・ミステリ。改めて著者の立ち位置が確認できる。
主人公の女子大生に親身になって調査を進める元刑事や彼女の母親は存在感充分。
表紙の金魚鉢や、作品中頻繁に出てくる食べ物の描写も重要な意味をもっています。
文庫版巻末の医学博士・本多京子氏の解説に感動★
見えない鎖
鏑木蓮見えない鎖 についてのレビュー
No.112: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

暗幕のゲルニカの感想

パブロ・ピカソの名画を巡り、戦争・テロをテーマに、フィクション・ノンフィクションを交えたストーリーがむしろ心地よく展開されます。実在の人物・架空の人物のバランスもGood!
ピカソの人間性がよく出ているし、1940年前後の章と21世紀パートの章の両方に出てくる人物(架空の人物ですが)のキャラもいいですね。
絵心のない私ではありますが、表紙にもなっている「ゲルニカ」を、これまではピカソの代表作程度の認識しかなかったのが、作品の裏に刻まれた彼の思いが十分伝わってきました。
原田氏のアートミステリーはお手のものですね。(某TV番組での解説も堂にいってるし。)
第3作目もあるのでしょうか、期待です。
暗幕のゲルニカ
原田マハ暗幕のゲルニカ についてのレビュー
No.111:
(9pt)

赤毛のアンナの感想

あの名作へのオマージュとして、哀しくも美しい作品にめぐりあいました。
まだ小学生の身でありながら、身寄りをなくし、どこか大人びていて、でも周りを明るくしてくれる少女のセリフが泣かせます。そして...
不幸にも事件の当事者になってしまったアンナをめぐって駆けずり回る友人たちの優しさ。
この友情あふれる行動にも胸を打たれます。
全体的に地味な展開ではあっても、どこからか光がさしてやさしく包んでくれている、そんな作品です。
それにしても女性の登場人物の多さよ。
赤毛のアンナ (徳間文庫)
真保裕一赤毛のアンナ についてのレビュー
No.110: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

震える牛の感想

食品偽装やBSE問題とミステリ(警察小説)を巧みに絡めた快作。
田川刑事はじめ、人物のキャラ設定もうまくいってます。
現実社会で起きても不思議でない、いや実際起きているこういう事件がいつになっても収まらない事実にただただ驚愕。
著者の切実なメッセージも伝わってきます。
今後も起きてしまうであろう、こういった食に絡む事件。
なんとかフィクションの世界だけにとどめてほしいものですが、起こしてしまうんですねェ、これが。
震える牛 (小学館文庫)
相場英雄震える牛 についてのレビュー
No.109:
(8pt)

崩壊の感想

警察小説の教科書のような感想を持ちました。本宮と優子のコンビも可もなく不可もなくといったところか。
著者の作品といえば、「盤上のアルファ」や「女神のタクト」などのコミカルである目標に向かって突き進む青春小説のイメージがあり、そちらの路線の方が合っているのではと思うのですが、いかがなものでしょう。
本作はこれはこれでストーリーもしっかりしているし悪くはないですが、このレベルなら他の作者で楽しめるし...
崩壊 (光文社文庫)
塩田武士崩壊 についてのレビュー
No.108: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

戦場のコックたちの感想

戦場における若い兵士たちのイキイキした様子が大変好ましく感じました。
逆に、文章の平易さやセリフの軽さが影響しているのか、戦争の悲惨さがイマイチ伝わってこなかった
のも事実。戦死した兵士たちの目を覆いたくなる状況が描かれている部分もあるにもかかわらず。
でも、女性にして戦争をテーマにした小説でここまで描けるのはさすがのひとこと。
今後の活躍が期待されます。
戦場のコックたち (創元推理文庫)
深緑野分戦場のコックたち についてのレビュー

No.107:

真友

真友

鏑木蓮

No.107:
(8pt)

真友の感想

父親に警察官をもつ同士の幼なじみが全く正反対の人生を歩む。前半はそんな二人の半生を、後半は13年の月日を経て起きる事件解決までの経緯をオーソドックスに語られていく。
最後はどんでん返しも待っていますが、典型的な警察小説といったところでしょうか。
著者特有のハートウォーミングさもあり、京都を舞台にしていることで(警察の闇の部分を見せつけられはするものの)、どこかホツとさせてくれるほっこりなミステリです。
太秦の映画村でのシーンは興味深いものがあります。
真友
鏑木蓮真友 についてのレビュー
No.106:
(9pt)

マイクロワールドの感想

荒唐無稽な設定ながら(少なくとも現代においては。。。)、なかなかに読ませるものがあり、さすがはクライトン(&プレストン)。
ミステリに不可欠な謎・起承転結・どんでん返しが用意されているし、訳の酒井さんとのコラボも(これが最後になるわけだが)読みやすさ満点です。
そりゃ、クライトン未完の作品をプレストンが引き継いだということで、クライトンならどう書いたか、という議論は出てくるでしょうが
これはこれでひとつの作品として納得のいく内容であったと思います。
マイクロワールドにおける昆虫や植物の描写は結構エグイながらもすばらしい描写!
マイクロワールド (上) (ハヤカワ・ノヴェルズ)
マイクル・クライトンマイクロワールド についてのレビュー
No.105: 7人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

孤狼の血の感想

個人的には、警察やヤクザが前面に出てくる小説はニガテなのですが、その考えを覆してくれるほどの内容でした。
ヤクザとの癒着疑惑のある大上刑事やその下で働く日岡刑事もそうですが、ヤクザ側の面々、居酒屋「志乃」の女将も
魅力的です。
そして何よりも、柚月作品の代名詞ともなっている”骨太”が感じられる反面、所々にあぁ、女性作家だな~と思わせる
丁寧な描写も見受けられ、この手の小説では初めてと言っていいくらい感動しました。
もちろん、どんでん返しも忘れてませんしね。
ますます次回作以降が楽しみです。
孤狼の血 (角川文庫)
柚月裕子孤狼の血 についてのレビュー
No.104: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

下町ロケット2 ガウディ計画の感想

ドラマ版はストーリーはともかく、キャスティングがメチャクチャ。
その点、原作は思ったとおりのイメージで読み進められるし、ストーリー・人物描写がしっかりしている。
池井戸作品の面白さは、リアリティが十分なのと、ワクワクさせてくれる確かなストーリー展開。
”ロケット編”も十分楽しめたが、”ガウディ編”もそれに負けず劣らず、今年読んだ作品の代表作といえるほど
文句のつけようがない作品です。
下町ロケット2 ガウディ計画
池井戸潤下町ロケット2 ガウディ計画 についてのレビュー
No.103: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

東京自叙伝の感想

東京に棲みつく地霊というキャラクターを借りて、東京における近現代史をひもといていく、
架空の人物・物事も出てくるが、ちょっとした東京史といった風情ですが、
全体に流れているテーマはもっと奥深いものがある。
帯にあるような一気読みとまでは行かなかったが、なかなか読ませる内容でした。
現代に起きたサリン事件や秋葉原通り魔事件まで地霊が関っているなんて、これが本当なら東京はまさに破滅の一途にある!?と背筋が寒くなったが、さまざまな悲惨な事件が地霊のせいなら、これはもう末期的症状なんでしょう。
6人の人物は例外なくイヤなやつらでしたが、そもそも地霊はこういう輩を選んで乗り移っていったんでしょうね!?
東京自叙伝
奥泉光東京自叙伝 についてのレビュー
No.102: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

桜の森の満開の下の感想

岩波文庫「桜の森の満開の下・白痴」にて読みました。
以前から読んでみたいと思っていた昭和の文豪、特に「桜の森の~」は夫婦者にとっては
いろいろな意味で楽しく読める短篇です。
屈強なはずの山賊が奥さんにした女にいいように扱われるなんて、自分は屈強ではないですが
その絵図を想像すると非常に笑える、むしろほほえましい。

堅苦しいイメージを抱いていた坂口安吾ですが、すっかり印象が変わりました。
桜の森の満開の下 (講談社文芸文庫)
坂口安吾桜の森の満開の下 についてのレビュー
No.101: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

ウツボカズラの甘い息の感想

骨太な作品を描いてきた筆者にしては、女性的なテーマで、いい意味でも悪い意味でもあぁ女性作家だな~と思わせてくれた。
全体的に丁寧な書き方は好感が持てるが、後半の急展開とどんでん返しには驚かされる。
化粧品などのマルチ商法が出てくるあたり、女性ならではの視点も忘れず持ち合わせていますよ、ということか。
まぁたまにはいいかもしれません。
ウツボカズラの甘い息 (幻冬舎文庫)
柚月裕子ウツボカズラの甘い息 についてのレビュー
No.100:
(8pt)
【ネタバレかも!?】 (1件の連絡あり)[]   ネタバレを表示する

道徳の時間の感想

「道徳の時間」というタイトルともちろん内容も最近の乱歩賞受賞作の中では秀でていると思います。
また、犯行の様子が収められたビデオの件もビジュアル的でその映像が手に取るようにわかる。
こういったビジュアル的な作品が今後も人気になっていくんでしょうか。
登場人物は、越智冬菜の能面女ぶりがいい意味でも悪い意味でもイライラしてくる(笑)
主人公が困惑しまくりな様子が面白い。(こんな女は身近にいてほしくないですが)
あとは結末に向かう部分がもう少しわかりやすく描かれていればなおよかったと思います。
少し頭の中を??が渦巻いてました。

それにしても、単行本巻末の選考委員の選評のうち、池井戸潤さんの選評が秀逸!
いつもこれを読みたくて単行本を購入しますが、これほどまでに気持ちを表に出した選評は珍しいし、読んでいて噴出してしまいました(笑)
道徳の時間 (講談社文庫)
呉勝浩道徳の時間 についてのレビュー
No.99:
(9pt)

イーハトーブ探偵 山ねこ裁判: 賢治の推理手帳IIの感想

宮沢賢治”探偵”と助手役”カトジ”が活躍するシリーズ第2弾。
前作にも増して”ケンジ”の推理が冴え渡ります。
大正という時代を舞台に、ケンジのせっかちな人柄とそれに振り回されるカトジの困惑振りが面白く描かれています。
前作で気になった時代考証もなんとかクリアはされているんでしょう、各章に登場する人物たちのセリフ・服装・所作など
かなりの部分で当時実在したかのようなリアリティも醸し出されているように思いました。
こうなれば第3弾も待ち遠しくなります。

イーハトーブ探偵 山ねこ裁判: 賢治の推理手帳II (光文社文庫)
No.98: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

静おばあちゃんにおまかせの感想

元裁判官の高遠寺静おばあちゃんの名推理がさえる!
どんでん返しのスリルも味わえる5編からなる、軽快かつメッセージ性の高い連作短篇。
静おばあちゃんの名推理が味わえるが、そこは中山センセイ。一筋縄ではいきません。
最後のどんでん返しにひっくり返りました~!
期待は裏切りませんよ~!
静おばあちゃんにおまかせ
中山七里静おばあちゃんにおまかせ についてのレビュー
No.97: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

朽ちないサクラの感想

著者の作品は佐方貞人シリーズに見られるように、女性作家らしからぬ骨太さが売りだと思うのですが、本作品は女性の警察事務員が主人公のせいか、その特徴が希薄な印象を受けました。警察小説を謳っていて、後半は骨太さが戻ってくるけど、全体的には物足りなさが...

あの極悪宗教団体を思わせる団体が出てきて(やや唐突に)、それなりの面白さはあります。
また警察、とりわけ公安の闇の部分をえぐってくるところは、警察嫌いの私にとっては読みどころではあります。

やはり、佐方シリーズの骨太さ・えげつなさが持ち味なので、(佐方ばかり書けとは言わないが)それを忘れないで新たな作品を手がけてほしいと思います。
朽ちないサクラ (徳間文庫)
柚月裕子朽ちないサクラ についてのレビュー