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本好き! さんのレビュー一覧

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レビュー数329

全329件 201~220 11/17ページ

※ネタバレかもしれない感想文は閉じた状態で一覧にしています。
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No.129:
(8pt)

デトロイト美術館の奇跡の感想

デトロイト市の財政破綻により閉鎖されそうになったデトロイト美術館を救った一市民。実話を元に描かれたハートウォーミングな小品。短い小説なので概略しかわからないが、できればデトロイト市が財政破綻に至った経緯、デトロイト美術館の歴史を掘り下げた物語だと、読みごたえのある作品になったと思われます。
でもこれはこれで美術館を救った一市民にまつわるエピソードから、あぁ救済に動いたのはそういう理由だったのかがわかり、ハートウォーミングさに花を添えてくれています。


デトロイト美術館の奇跡
原田マハデトロイト美術館の奇跡 についてのレビュー
No.128:
(7pt)

分かれ道ノストラダムスの感想

「戦場のコックたち」や「オーブランの少女」と読んできた後に、本作を読むとかなりイメージが違うことに気がつく。
女子高生が主人公だということもあるけど、軽いというか少女マンガの世界に入り込んだような印象を受けた。
主人公の”ネギ”や探偵役ともいえる”八女君”などはイキイキとしたキャラで好感が持て、ストーリーはまとまっているのでその辺はGood Job!
新興宗教団体と高校生たちが立ち向かうなど、荒唐無稽でマンガチックではあるけれど、最後はきちんと収束されていると思います。
でもやはり、著者のメリットは「戦場の~」や「オーブラン~」のような作品でこそ生かされると思うので、今後はその路線でお願いしたいのですが...

分かれ道ノストラダムス
深緑野分分かれ道ノストラダムス についてのレビュー
No.127: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

殺意の産声→転生

「殺意の産声」から文庫化にあたって「転生」に改題。どちらでもしっくりくる内容。
読んでいて、女性作家の作品?と錯覚するほど女性の立場に立ったようなストーリー。(女性読者が読んでどう思うかはわからないけど)それほど著者は女性の心を描きたかったのかな?
最近女性的な内容の作品が多いような気もする。ハートフルとか純文学ミステリとか名付けられているのは、この辺から来ているのかな?
でもなんだか最初から最後まで2時間ドラマにもってこいな内容なのが気になった(いいか悪いかは別として)。
転生 (角川文庫)
鏑木蓮転生(殺意の産声) についてのレビュー
No.126: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

ヒポクラテスの誓いの感想

やけにセリフの部分が多いので、少々マンガチックで軽い印象も残るが、
光崎教授やキャシーはじめ、主人公の真琴や古手川刑事など
個性豊かな登場人物はそれぞれに魅力的。
法医学ミステリとして、専門家でもない著者がここまで書けるのはさすがというべきか。
法医学ミステリとして他の作家の作品と比して完成度はどのくらいかは、あまり読んだことがないので
わからないけど、かなりのものなんでしょうね。
2作目の完成度が落ちないことを期待します。
ヒポクラテスの誓い (祥伝社文庫)
中山七里ヒポクラテスの誓い についてのレビュー
No.125:
(8pt)

鷲は飛び立ったの感想

確かに前作「鷲は舞い降りた」で死んだと思われたシュタイナ中佐が、実は生きていて囚われの身になっていた、というのはムリヤリ感はあるけど、その後デヴリンを中心に繰り広げられるシュタイナ救出劇はなかなか読み応えあります。
ちょっとしたドンパチもあるし、デヴリンの格好良さが際立っている”続編”だと思います。
ヒギンズがもう少し若ければ、さらなる続編も期待できるんですけど...
鷲は飛び立った (ハヤカワ文庫NV)
ジャック・ヒギンズ鷲は飛び立った についてのレビュー
No.124:
(7pt)

むしろ「あとがき」の方が…

海外の都市5ヶ所を舞台にした貫井さん流どんでん返しがつまった短編集。
実際に各所で取材を重ねて書かれた作品集だけに、貫井さん独特の世界が垣間見える。
でもストーリーとしては、仮に設定をそのままに、舞台を日本国内に置き換えても成り立ってしまうような印象を受けた。要はそれぞれのお国柄が希薄のような。
むしろ、取材旅行記として書かれた「あとがき」の方が面白かったかも。


ミハスの落日 (新潮文庫)
貫井徳郎ミハスの落日 についてのレビュー
No.123:
(8pt)

あしたの君への感想

家庭裁判所調査官補として、少年事件や夫婦間の問題等にこれから立ち向かっていくことになる望月大地。「カンポちゃん」という愛称で呼ばれる彼の成長物語。
少年事件や離婚問題などに立ち向かい、自分はこの仕事に向いていないのでは?と悩みながらも、周囲から励まされながら成長していく物語。言ってみれば、扱っている事件はありきたりで新鮮さは0だし、驚きもないのですが、丁寧な書き方は著者のこれまでの作品からも周知のとおり。シリーズ化されるのかな?(佐方シリーズに比べると少々地味かもしれない。

第三章は直接事件を扱っていないためか、少々退屈を感じた。こういうエピソードを入れたいのはわかるけどね。
あしたの君へ
柚月裕子あしたの君へ についてのレビュー

No.122:

QJKJQ (講談社文庫)

QJKJQ

佐藤究

No.122: 5人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

QJKJQの感想

この文体から、おそらく乱歩賞史上まれにみる「奇書」に挙げられるのでは?と読み進めていくと、なるほど幻想的でリアリティからは一線を画すストーリーで、好き嫌い・賛否両論別れそうな内容ではありますが、全体的にはきちんと折りたたまれていて読みやすかった。
確かにリアリティはなく、劇画的ではあるが、描き方は非常に丁寧。この類の作品にありがちな難解さは全くないと感じた。
乱歩賞作品の中ではやや異質かもしれないが、それでもやはり乱歩賞なんですね。
次回作が期待できます。
QJKJQ (講談社文庫)
佐藤究QJKJQ についてのレビュー
No.121: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

罪の声〜グリコ・森永事件の真相!?

関西人にとって「グリコ・森永事件」は昭和の未解決事件の中でも最も衝撃的で記憶に残り続けるものだと思いますが、それをモデルに極力史実に基づいて書かれた本作、かなり読みごたえがあるし、どこまでが史実でどこまでがフィクションか、見極めながら読むのも面白いでしょう。結構真相に近づいてたりして。
塩田さんの作品はデビュー作「盤上のアルファ」などに比べると、はるかにシリアス度が増していて(ところどころには笑いを誘うフレーズも出ては来るけど)今後の方向性が楽しみです。
描写としては少しセリフによる説明が冗長だったかな。

ps.「ギンガ・萬堂」のネーミングはともかくとして、道頓堀名物「ギンガの看板」には正直笑えました。
罪の声 (講談社文庫)
塩田武士罪の声 についてのレビュー
No.120: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

鷲は舞い降りたの感想

第2次大戦中のドイツ軍といえば、ともすれば悪者扱いされてしまうでしょうが、あえて主人公にもってきて
時の首相・チャーチルの誘拐計画を企てるという痛快冒険小説です。
特にシュタイナ中佐やデヴリン、ジョウアナ・グレイといった魅力的な登場人物が物語を際立たせてくれている。
戦争モノが苦手な人でも、彼らの人物像に酔いしれながら読むのもオツなものでしょう。
冒頭と最後の章で著者であるヒギンズが彼らの墓所を取材する設定もそうだし、結末そのものも(ドイツ軍のことだからどいなるか予想はつくが)格好イイ形で迎えます。
「完全版」では、登場人物の詳細が追加されており、初めて読むならコチラをオススメします。
鷲は舞い降りた (ハヤカワ文庫NV)
ジャック・ヒギンズ鷲は舞い降りた についてのレビュー
No.119:
(7pt)

スタフ staphの感想

移動デリがこの小説の象徴となっていて、終盤の意外な展開に驚くことに。全体的に異様に軽い内容なのには少々辟易ぎみで(キャラ設定など)重厚な作品が好みの私めにはツライものがありました。でも最終盤においては、グッとくるところもあったのでまぁよろしいかと。
それにしても、イマドキの中学生ってここまで大人びているものなの!?(・◇・)アヤヤー

スタフ staph (文春文庫 み 38-4)
道尾秀介スタフ staph についてのレビュー
No.118: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

どこかにベートーヴェン!?

岬洋介の高校時代のいわゆるエピソード0。
ピアノの演奏シーンはまさしく珠玉の演奏を聴いているようで、このシリーズのひとつの見せ場・読みどころで、曲を聴きながら読むことをオススメします。
しかし、肝心要のミステリの部分は音楽とは全く関係ないところにあるのが残念(´-`)
なんだか音楽ミステリでなくても、1作の物語が出来そうで、それこそ'どこかにベートーヴェン'が挿入されているような印象。
次回作に「もう一度ベートーヴェン(仮題)」があるそうで、そちらを期待しましょう。
どこかでベートーヴェン (宝島社文庫)
中山七里どこかでベートーヴェン についてのレビュー
No.117: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

遊園地に行こう!の感想

前半は遊園地で働くパルたちのいわばお仕事小説となっているが、後半はその遊園地に起こる何やらきな臭い事件が展開していき、登場人物に関わる謎が提起されていきます。夢の世界である遊園地に起こる事件、そして彼らに隠された謎とは?
パニックに陥りながらも、事件に正面から立ち向かうパルたちの勇敢さに力をもらえます。
結末としては、注文をつけたい部分もあるが特に後半は一気読みだったし、分かりやすかったのでよしとします(^-^)
遊園地に行こう!
真保裕一遊園地に行こう! についてのレビュー
No.116: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

オーブランの少女の感想

”少女”にまつわる作品を集めた短編集。著者の作品は、その文体から欧州を舞台にした翻訳調の小説がよく似合っていると思う。
とくに表題作は格調高い文体ではあるが、おどろおどろしいホラー小説のような要素を含んだ、短編ながら読み応えあるものとなっている。中には表題作に比べるとややトーンダウンの感があったりするが、それぞれに趣向が凝らされており、著者の腕の確かさを感じます。収録作品の中で表題作以外ではやや長めの「氷の皇国」は、著者の特徴がよく出ていると思います。
オーブランの少女 (ミステリ・フロンティア)
深緑野分オーブランの少女 についてのレビュー
No.115:
(8pt)

「病は気から」を科学するの感想

科学ジャーナリストである著者が、科学的側面から「歴史」を検証した前2作(アンティキテラ、ツタンカーメン)とは打って変わって、医学的見地から「心の医療」を検証。
偽薬やらスピリチュアルやら催眠術やら...で病気や怪我がどこまで癒されるのか?
そういったもので治癒が見込めるのなら、医者はいらないのでは?

本書から思い出した言葉・・・医者や薬が病気や怪我を治すのではなく、治す手助けをするもので、
治癒に至るかどうかは患者しだい。改めてその言葉の意味をかみしめた。
「病は気から」を科学する
No.114:
(10pt)

揺ぎのない世界

’会議’をテーマにした連作短編の体裁をとりながら、その奥底に大きな本題が練り込まれている。池井戸作品ならではの巧みさが見事です。
一番はリアリティ度。丁度同時期に現実に隠蔽が明るみになった事件があっただけに、仮に本当にあった話といわれても違和感がないだけに、ある意味恐ろしさをも感じてしまいました。どこを取っても揺ぎのない世界がここにはあります。

七つの会議 (集英社文庫)
池井戸潤七つの会議 についてのレビュー
No.113:
(9pt)

見えない鎖の感想

家族のあり方について考えさせてくれるハートフル・ミステリ。改めて著者の立ち位置が確認できる。
主人公の女子大生に親身になって調査を進める元刑事や彼女の母親は存在感充分。
表紙の金魚鉢や、作品中頻繁に出てくる食べ物の描写も重要な意味をもっています。
文庫版巻末の医学博士・本多京子氏の解説に感動★
見えない鎖
鏑木蓮見えない鎖 についてのレビュー
No.112: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

暗幕のゲルニカの感想

パブロ・ピカソの名画を巡り、戦争・テロをテーマに、フィクション・ノンフィクションを交えたストーリーがむしろ心地よく展開されます。実在の人物・架空の人物のバランスもGood!
ピカソの人間性がよく出ているし、1940年前後の章と21世紀パートの章の両方に出てくる人物(架空の人物ですが)のキャラもいいですね。
絵心のない私ではありますが、表紙にもなっている「ゲルニカ」を、これまではピカソの代表作程度の認識しかなかったのが、作品の裏に刻まれた彼の思いが十分伝わってきました。
原田氏のアートミステリーはお手のものですね。(某TV番組での解説も堂にいってるし。)
第3作目もあるのでしょうか、期待です。
暗幕のゲルニカ
原田マハ暗幕のゲルニカ についてのレビュー
No.111:
(9pt)

赤毛のアンナの感想

あの名作へのオマージュとして、哀しくも美しい作品にめぐりあいました。
まだ小学生の身でありながら、身寄りをなくし、どこか大人びていて、でも周りを明るくしてくれる少女のセリフが泣かせます。そして...
不幸にも事件の当事者になってしまったアンナをめぐって駆けずり回る友人たちの優しさ。
この友情あふれる行動にも胸を打たれます。
全体的に地味な展開ではあっても、どこからか光がさしてやさしく包んでくれている、そんな作品です。
それにしても女性の登場人物の多さよ。
赤毛のアンナ (徳間文庫)
真保裕一赤毛のアンナ についてのレビュー
No.110: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

震える牛の感想

食品偽装やBSE問題とミステリ(警察小説)を巧みに絡めた快作。
田川刑事はじめ、人物のキャラ設定もうまくいってます。
現実社会で起きても不思議でない、いや実際起きているこういう事件がいつになっても収まらない事実にただただ驚愕。
著者の切実なメッセージも伝わってきます。
今後も起きてしまうであろう、こういった食に絡む事件。
なんとかフィクションの世界だけにとどめてほしいものですが、起こしてしまうんですねェ、これが。
震える牛 (小学館文庫)
相場英雄震える牛 についてのレビュー