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Tetchy さんのレビュー一覧
Tetchyさんのページへレビュー数170件
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この小説で語られるべき主題、もしくはコンセプトが今一歩理解できていない。
本書で語られるストーリーは、妻の失踪までの経緯を軸とした1つと山梨のある土地で起きた殺人事件の真相を追う刑事の物語が平行線を辿り、そしてある一点で交錯し、そしてまた平行を保つ。それは再び交点を結ぶような予感を漂わせて物語は唐突に終わる。なぜなら全てが語られた今、そこから先は語るに無意味なのだからだろう。 しかし、この物語、この構成を以ってして作者が何を語りたかったのか、未だに判らない。 一方本書に収録されている「かげろう飛車」は所謂暗号小説である。 泡坂作品の特徴の1つに「言葉遊び」が挙げられる。回文、仕掛本、ダブルミーニング、アナグラムと多種多彩である。ただそういった趣向を凝らした場合、その仕掛に膨大な労力を注ぎ過ぎて肝心のプロット、ストーリーがやや浅めであることは否めない。 本作もその例に漏れず、ややパワー不足といった感は確かだ。 ただ、暗号となる手紙の内容と全体のストーリーがマッチしているのは流石で、短編であるがゆえに冗漫にならなかったのが救いだ。 |
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ヨギ ガンジー物の次作『しあわせの書』をして傑作たらしめたのはストーリーテリングではなく、その本の持つ特異性であった。次々作『生者と死者』もまた然り。つまりそんな遊び心を持たせていない本書は純粋に物語で勝負したわけだが、それがために決して逸品とは云い難い。何しろ主人公のヨギ ガンジーと参王 不動丸、そして最後の2編で合流する本多 美保子のキャラクターに寄っ掛かり過ぎなのだ。
これは泡坂が、種々の妖術がトリックである事を披露する事を目的とした、手慰みの作品集だと断言したい。 |
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これはもはやミステリではない。
ヴァイン名義の『アスタの日記』、『長い夜の果てに』と同様、物語は主人公の回想という形で語られるが、前2作において物語の牽引力となる謎については最も希薄、いや寧ろ全く無いと云ってもよいだろう。 作中幾度となく引合いに出されるように、これはレンデル流『千夜一夜物語』なのだ。シュローヴ館という建物に魅了された女の破滅への道のりと、その娘の、母という繭からの脱皮と自我の覚醒とを書いた。 今回のラストは実にレンデルらしくなくて清々しい。ショーンよ、御前は真底、男だったゾ。 |
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最盛期を迎える前の作品ということもあってか、結末の真相がインパクトに欠ける。意外と云えば意外だが衝撃は皆無に等しい。
ストーリーが流れるままに過ぎて行き、各々の人物像の性格が掴みにくく、透明度が高過ぎて浸透してこなかった。 アーチャーは若く、ラストシーンで警察署長と殴り合いを演じるほどの青さも見せるが、マーロウの影を引き摺っている感は多々生じた。 若さゆえのニヒリズムがアーチャーをアーチャー未満にしている。 今度は睡魔に邪魔されないよう、臨みたいものだ。 |
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求めていたのが違った。泡坂には、こんな浅薄な恋愛物語を描いて欲しくなかった。
一筋縄ではいかない恋もある。外国や都会を舞台にそんな物語を示したかったのだろう。しかしその一点に拘泥するあまり、物語を構成する人物たちに血が通っていない。 プロットはあるがストーリーがない、そんな感じだ。 ただ唯一、最後の一編「裸の真波」は「ゆきなだれ」や「蔭桔梗」に通ずる味があり、静かな春の温かみを感じさせる余韻を残してくれた。 |
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昔の作品ながらも、プロローグに趣向を持たせ、忘れた頃にあっといわせるような手法で持ってくるところは、なかなか。しかもプロローグが実は犯人のアリバイ崩しの重要な手掛かりになるとは、心憎いのだが、原文でないと意味を成さないのはアンフェア。
冒頭の登場人物表に載ってない人物のエピソードが物語の核になる所は、この前に読んだレンデルの『石の微笑』と全く同じなのは、単なる偶然か?しかし、睡魔は読書の天敵だなあ…。 |
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これは島田荘司の『嘘でもいいから~』シリーズのように、モーリス・ルブランの息抜きのために書かれた短編集という印象が濃い。元来、話のスケールを大きくする作家なので短編と云えども過去の因縁を絡ませ、物語に膨らみを持たせようとしているがこれが見事に失敗している。
元々長編向きのアイデアを短編に無理矢理纏めたような、飛躍的な展開が実に白けさせるのだ。昔ながらの超人的思考力探偵というのは今更ながら辟易だ。 |
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「モーリス・ルブランの手による江戸川乱歩風味」といった趣の物語。忌まわしい伝説が伝わる島に監禁された愛息を救うべく、島に渡った母親、悪の首領が支配するその島には壮大な地下迷宮(!?)が存在し、万能の力を持つ「神の石」が眠る…。
ほら、乱歩以外何物でもない! しかも、珍しく主役のルパンは何と、物語の3/4を過ぎた辺りから登場という異例の展開。 なのに安っぽいんだなぁ、これが…。 |
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不覚にも途中で間が空いてしまい、一貫して読むことが出来なかった。また、自分としては生まれて初めて読む時代小説ということで期待はしていたのだが、特にこれといって興趣を惹くような所は無かった。文体が丁寧語で形成された敬体であったためか、泡坂得意の下町人情物、もしくは恋愛ミステリほどには情感は湧き出てこなかった。
まあ、つまりは期待外れという事か。 |
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自分が泡坂作品に求めるものとは少し違い、中途半端な印象だった。
「ダイヤル7」は『花嫁は二度眠る』の改訂版のような結末。 その名のみ知る存在だった「芍薬に孔雀」も肩透かしを食らったような印象。 「飛んでくる声」は犯人の暗号めいた台詞は途中で解ったし、「可愛い動機」は最後の一行に拍手。 「金津の切符」は箱夫の設定は秀逸なのに結末が陳腐。 「広重好み」と「青泉さん」は純文学系ミステリで僕好み。 「書ける作家」なだけにもう少し上を期待したい。 |
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ん~、泡坂妻夫の作品にしては小粒だったなぁ。解決部分を読むと、さりげなく手掛かりが全体的に等分されているのは判ったが、カタルシスが感じられなかった。最大の原因はどの登場人物に焦点を当てたらよいか最後の方まで絞れなかったことだろう。それほど今回は登場人物が類型的過ぎた。
『11枚のとらんぷ』の各々の登場人物の個性、『ゆきなだれ』のような情緒溢れる文体を味わってしまった私には、単なる凡百のミステリにしか感じなかった。 |
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創元推理文庫の表紙から察するにこれ、リュパンシリーズなのでしょうか?出てこないんですが、リュパン。
それにしてもフランスの恋愛はじれったいなぁ。 |
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今まで読んだ諸作の中で最も読みやすく、プロットもよかった。でもやっぱり大時代的だ。
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中身はけっこうおいしかったが最後はつじつま合わせの感が・・・。話の風呂敷もでか過ぎ!
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「麦藁の軸」、「リュパンの指輪」はほんの少し楽しめたが、総体的に見るとやはり出来映えは悪いかな~。
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「金髪の婦人」は面白かったが、総体的にホームズがホームズらしくない。リュパンに力点が置かれているのは仕方ないにしても、ちょっと取り扱いが不平等だなぁ。
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最初は何度となく途中で投げ出そうとしたことか。しかし、ストーリーの濃さ、結末の意外性は他に見ないものがある。
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ラストは秀逸。プロットは途中で解ったものの良質。ただ、語り口がどうも合わなかった。
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