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Tetchy さんのレビュー一覧

Tetchyさんのページへ

レビュー数142

全142件 61~80 4/8ページ

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No.82:
(3pt)

罵倒しているのは作品自身?

作りが荒っぽい。全てが中の上のサブキャラみたいな存在である。
結局主人公は何もしない―せいぜい、罵倒するぐらい―で悪役は勝手に倒れるしで、まるでクーンツの2級作品のようなお話だった。

最後の、耕平が和彦を罵倒する内容、「何もかも借り物」、「どれもこれも、できそこない」、「つぎはぎだらけ」は、実は作者がこの作品の最後に感じた感想そのままではなかっただろうか?
夏の魔術 (講談社文庫)
田中芳樹夏の魔術 についてのレビュー
No.81:
(2pt)

ウールリッチなのにダメでした

読み手が悪いのか書き手が悪いのか、その答えはここでは解らないが、何とも物語に吸引力が無かった。この前に読んだ島田氏の『龍臥亭事件』が早く読みたくてうずうずしていたのに対し、今回は食指が伸びなかった。あのウールリッチの作品とは思えないほどの印象の薄い内容だった。

物語はある金持ちから逃れたカップルがキューバはハバナに着く所から始まる。そこであるバーで写真を撮られるのだが、その瞬間、駆け落ちしてきた女性が何者かに刺され死んでしまう。その凶器が主人公が先ほど骨董屋で購入したナイフだということから逮捕される。しかし、それは主人公が買ったものとは微妙に異なる事を強調し、刑事らとその骨董屋に向かうのだが、主人はそのナイフこそ主人公が買ったものだと主張し、その証拠として領収書を見せる。かくして殺人犯人として連行されることになる主人公は刑事たちの一瞬の隙を突き、逃亡し、復讐を誓うのだった。

冒頭の真実が事実とマッチングせずに読者を混迷の最中に陥れる手法はウールリッチタッチだが、それは別にいいとしても途中の描写に叙情感があまり無く、また物語も起伏に富んでいるようで実は三文サスペンスに過ぎないような展開なのだ。
この作品は絶版にしてもいいと思う。代わりに『黒衣の花嫁』や『死者との結婚』とかを復刊してくれ!!


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恐怖の冥路 (ハヤカワ・ミステリ文庫 10-2)
コーネル・ウールリッチ恐怖の冥路 についてのレビュー
No.80:
(1pt)

経費として落とすために書かれたのでは?

アイリッシュ『幻の女』を髣髴とさせるファム・ファタル物かと思っていたら、さにあらず。結末はなんともギクシャクした設定のミステリでした。

主人公の行く先々で現れては危害を加え、そして消えてしまうブルーのチャイナドレスを着た上海レディ。その正体の強引さは無理があるとしか云いようがない。
老婆が機敏にナイフを繰り出す、しかも最後の最後まで主人公には判らないというのはあまりにもこじつけすぎ。

上海旅行を経費で落とすために創作したとしか云えない駄作。ちょっと云いすぎか?

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消える上海レディ (角川文庫)
島田荘司消える上海レディ についてのレビュー
No.79:
(1pt)

二番煎じ感にムリが祟って…

読者の復刊希望アンケートで上位にランクインし、それを期にこのたび復刊の運びとなった本書は、弁護士バトラーとフェル博士が共演する(バトラーの出演する作品を読むのは初めてなので実は常にフェル博士は出ているのかもしれないが)事を謳い文句にしていたが、意外だったのはバトラーが気障ながらも有能な弁護士でしかも推理力に富み、行動力もあるという美点が強調され、フェル博士が狂言回しの役割に終始していた事。バトラーのプレイボーイ振りが際立っていることもあり、通常のカー作品とは異なり、かなりロマンティシズムが濃い。

テーマはカー特有の毒殺物で、裕福な老婦人を毒殺した廉でその秘書が逮捕され、その法廷場面から始まる。その裁判ではバトラーの活躍で秘書は無罪になるものの、第2の毒殺事件が起こる。しかしこれら2件以外にもここ頻繁に毒殺事件は起こっており、フェル博士は殺人集団の仕業と見て捜査を始めるといった内容。
恐らくカーはこの作品を書いていた頃は過剰なまでのオカルト趣味に嵌っていたように推測する。

登場人物が少なく、事件も地味なせいもあり、真相が判明してもびっくりするような仕掛けもなく、前述にある悪魔崇拝集団という設定も妙に浮いてて、バランスが悪い。次の『眠れるスフィンクス』に期待しよう。


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疑惑の影 (ハヤカワ・ミステリ文庫 カ 2-10)
ジョン・ディクスン・カー疑惑の影 についてのレビュー
No.78:
(3pt)

とにかく長い!長すぎる!

長い!長過ぎる!!全てにおいて冗漫でしょう!!
クーンツは冒頭のシーンが上手い事で知られているが、それは大体50ページ前後で一段落するスペクタクルがページを捲る手をもどかしくさせるのであって、それぐらいの長さで切れ味を発揮するのに、今回はしつこくスキートの自殺未遂の顛末とマーティの妄執的な破壊シーンが続き、逆に本編が始まる前に疲労を感じてしまった。しかもクーンツ特有のどうしてそんな風になったのかを後々になって明らかにする引っ張り手法を用いているものだから、何がなんやらで、もうどうにでもなれって感じになってしまった。

設定は前に読んだ『真夜中への鍵』同様、主人公がマインドコントロールをされているという設定で新味はない。しかし催眠術というかマインドコントロールとは自ら進んで自殺するようには出来ないのが通説だったのではなかったろうか?死を暗示させない他の行為に置き換えて死を促すというのは宮部みゆき氏の某作であったが、もし近年の研究で催眠によって自殺を強要することも出来るということが判明していたとしてもこの手法はあまりに作者にとって都合よすぎていただけない。
つまり悪役のアーリマンが万能すぎて面白くないのだ。この点では応用のある宮部氏に軍配が上がる。

しかし、上下巻合わせて1,100ページ余りで語るべき話ではないのではないか?あまりにも肉付けが多すぎて推敲がされていないように思われる。この内容だと恐らく半分は削れるだろう。
小説の長大化を決して厭うわけではないが長大な話にはそれ相応のスケールの大きさがあるのに対し、今回はただ単純に登場人物が多く、それら一人一人を不必要なまでに描いた、これだけのような気がする。
汚辱のゲーム 上   講談社文庫 く 52-1
ディーン・R・クーンツ汚辱のゲーム についてのレビュー
No.77:
(1pt)

コミケで売ってください

とうとうシリーズのどん底を見た。今回は全く印象に残らなかった。
小説である以上、物語を読んだ時の何かが心に残っていいものだが、それが無かった。13編もあって1編もそういったものがないというのも困り物。

最も全く記憶に残らないものがあったわけではない。「不思議と出会った夏」、「うちのかみさんの言うことには2」とかトリックが印象に残ったものもある。
しかし今回各作品に共通するのが推理クイズの域を脱していないこと。自分の創造したトリックに酔って、どうだ、すごいだろと云わんばかりである。似たような設定、似たような展開の連続で辟易した。だいたい吹雪の山荘がそうそうあるものではない。
あと鼻につくのが、シリーズ探偵とも云うべき人物を立てている事。正にミステリ作家になれるもんだと高をくくっているような横暴ぶりである。上にも書いた「うちのかみさんの言うことには2」なんて「1」が掲載されていないにもかかわらず「2」と題している辺り、片腹痛い。
また自分の創出した探偵をアナグラムで紹介した作品が2編ぐらいあったが、マスターベーション以外何物でもない。

もはやこれは一般に売るべき本ではなくコミケで売る同人誌に過ぎないのではないか。
本格推理〈6〉悪意の天使たち (光文社文庫)
鮎川哲也本格推理6 悪意の天使たち についてのレビュー
No.76:
(2pt)

思わせぶりなだけでした

売れっ子のペーパーバック・ミステリ・ライターを突如として襲う謎の空白の時間、そして心当たりのない不気味な独り言。それはもう1人の自分との戦いの序章に過ぎなかった。何かの手違いで生まれたクローン、それはどんなに傷ついても自己再生する生命体で命令に忠実だったが、ある日、自我を求めて自分探しの旅に出、そして真の自分を殺しにやって来る。

主人公マーティは作家クーンツをどことなくタブらせる存在で何にせよキングの『ミザリー』に触発されて書いたのは間違いない。キング作品は未だに読んだことがないので比べることは出来ないのだが、世評の高さを鑑みるに軍配はキングに上がったようだ。
サスペンスの盛り上げ方としてクーンツはこの上なく、物語の核心を出し惜しみして最後まで明かさない。この小説作法がずっと残っており、今回もまたそうである。この手法は読者を最後まで飽きさせない、最後まで付き合わさせる方法としてはかなり有効なのだが、明かされる真相が読者のじれったさを解消するカタルシスを伴うか、もしくは読者の度肝を抜く衝撃の真相でなくてはならない。『ウィスパーズ』然り、『雷鳴の館』然り、最近では『バッド・プレース』がそうであった。
しかし今回は設定が’70年代SFの領域を脱していなく、ある物語の典型を活用にしたに過ぎない。作中やたらと『スタートレック』が出てくるのも作者もそれを知ってのことかもしれない。




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ミスター・マーダー〈下〉 (文春文庫)
No.75:
(3pt)

もはや公式化してますな

この頃のクーンツはなんか物語にノレない。典型的なプロットが目立つからだ。
物語の中心となる構造が、何者(物)かに脅かされる男女、その内の1人にはおぞましい過去があるのだが、そのあまりの強烈さ故に思い出せない、逃亡を重ねる2人、いくつかのニアミスを繰り返しながらやがて過去と対峙する事を決意し、敵の懐へ飛び込む、もしくはあえて危険と知りながら忌まわしい想い出の地へ赴く、その地で忌まわしき過去が全面想起され、宿敵との対決、命を失いそうな所まで行きながら辛うじて九死に一生を得る、まだ見ぬ明るい未来へ想いを馳せ、2人手を取り合いつつ物語を終える、とこういった感じだ。

今回もそう。前回の『コールド・ファイア』は前半がとびきりに面白すぎて後半―物語の性質上、致し方ないとは云え―見る見る物語のパワーが萎んでいった顕著な例であったが、今回はどうにもこうにも陰気な主人公スペンサーがストーカーにほぼ近い事―というよりストーカー行為―をある酒場で出逢った魅力的な女性に対して行う事から始まり、しかも彼が自分の名前、住所、身分証明書の類全てを詐称する究極のパソコンおたく、ハッカーでもあったという非常に好意の持てない所から出発していることもあり、物語が進むにつれ、スペンサーがヴァレリーと再会してから明るくなっていくのでエンターテインメント性が高まり、そこが『コールド・ファイア』と大きく違って、マイナスからプラスに転じていたのが良かった。
主人公の呪われた血の設定は特筆物だがやはりタイトルが示すように物語のトーンとしては暗い。

しかし冒頭に述べたような「クーンツの小説方程式」になぞらえて今後も作品を作っていくとなると小説家としては二流と云わざるを得ないなぁ。

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心の昏き川 (上) (文春文庫)
ディーン・R・クーンツ心の昏き川 についてのレビュー
No.74:
(3pt)

450ページで事件1つは辛すぎた

久々のカー、しかも復刊ではなく新訳である。この前の『喉切り隊長』が結構面白かったのもあるし、フェル博士物でもあるということで期待したが・・・。

今回はカーネギー・ホールなどに代表される欧米の劇場が舞台ということでボックス席がどういう物かを漠然としか想像できなく、登場人物の行動の推移が何が何やら十全に理解できなかったことが大きい。
しかし、それだけでないのも確か。450ページ弱を要して殺人事件が1つ、しかもネタ的には短編小説並みのものでしかないというのが結構痛かった。
最後の最後でトリックは明かされ、なるほどと思うが、450ページを引っ張るほどの魅力は無かった。

本筋から関係のない脱線気味の笑劇もあり、カーのサービス性がどうも悪い方向に働いたようだ。
なぜ平成の世になって漸くこれが訳されたのか?この問いの答えは様々だろうなぁ。
仮面劇場の殺人 (創元推理文庫)
No.73:
(2pt)

こんなピーター卿は欲しくない

今回のセイヤーズはつらかった。
これはミステリというよりも殺人を織り込ませた大衆小説である。広告業界内幕小説である。

とにかく物語の進行が破天荒で登場人物たちが広告業界人であるがために一筋縄とはいかず、台詞がとにかく多い。それゆえ、いつもより増して引用文が多く、これは私に云わせれば小説のリズムを崩しているようにしか取れなかった。
つまり今回は全くノレなかったのだ。

前評判から評価が二分化するのは解っていたが私が賛否の“否”になるとは思わなかった。元々事件に派手さはないセイヤーズだが、それでもその緻密さとあっと驚くワンアイデアで最高の悦楽を与えてくれていた。
しかし、今回はそれもなく、しかも最後にピーター卿が犯人に自殺を要求するのはどうか?恵まれた人物が貧者の気持ちを解さずに「なら、死ねば?」と突き放しているようにしか思えなかったのだが。

またピーター卿が広告会社で活躍するのもスーパーマン過ぎて食傷気味。
次からどうなるのだろう、このシリーズ?

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殺人は広告する (創元推理文庫)
ドロシー・L・セイヤーズ殺人は広告する についてのレビュー
No.72:
(3pt)

乱歩の力量不足を感じる短編集

乱歩の目指す本格というものがよく解らなくなったというのが本書の正直な感想。がちがちの本格というよりも恐らくは当時乱歩は海外ミステリでよく行われていた「どんでん返し」の趣向に強い憧れを持っていたのではないだろうか。つまり一筋縄ではいかない結末を用意することに固執していたように思われる節がこの短編集では散見される。

しかしその趣向が上手く機能しているとは云い難く、はっきり云って蛇足に近い。二流の作品で終える予定が三流の作品に貶めているように思う。つまり最後の結末があまりにしょうもなさ過ぎるのだ。
ここに至り私は、乱歩は本格推理小説家としての才能は初期の短編の一握りの物にしか見られないと判断する。乱歩は本格推理小説を最も書きたがった通俗ミステリ作家だったのだ。
人でなしの恋 (創元推理文庫)
江戸川乱歩人でなしの恋 についてのレビュー
No.71:
(3pt)

乱歩の短編は期待大だったのだが

私個人としては長編作家としての乱歩は少年期に少年探偵団シリーズで胸躍らせたあの頃で完結しており、『孤島の鬼』などの例外はあるにせよ、通俗すぎてバランスが悪いという印象しかもたないが、短編作家としての彼はワンアイデアで勝負する分、冗長でなく、しかもそのアイデアにキレがある事からかなり評価は高かった。

しかし本書に至っては短編の量産化のためかアイデアの枯渇が否が応にも窺え、小細工を変に弄するがためにギクシャクとした印象がある。各々の作品については述べないが、「恐ろしき錯誤」以降すべてが読者をどうにか欺こう、読者の考えの先を行こうと無理矢理などんでん返しを用意している分、それがなんとも痛々しいのだ。

次の『人でなしの恋』に期待しよう。
算盤が恋を語る話 (創元推理文庫)
江戸川乱歩算盤が恋を語る話 についてのレビュー
No.70:
(2pt)

もうどうでもよくなりました

その名が示すようにこれは推理小説でいうレッド・ヘリング物、つまり疑わしき潔白者が何人もいる小説で、セイヤーズにしては珍しく、純粋本格推理小説である。
しかし、レッド・ヘリング物は誰も彼もが怪しいという趣向であり、とどのつまり、意外な犯人というものが真相にならない。従って、途中で「もう誰が犯人でもいいや」というある種の諦観を抱くようになるのだ。
それは本作も例外ではなく、キャンベルという嫌われ者の画家が殺されるという1つの事件だけで、460ページ弱を引っ張るのはあまりにもきつい。しかもレッド・ヘリングでは尚更なのだ。
さらに今回は西村京太郎ばりの時刻表解析があったりと、好きな人は堪らないかもしれないが、興味がない、いや寧ろ苦手な私にとってみれば、退屈以外の何物でもなく、はっきりいってこの段階で興味を失したのはまず疑いない。

セイヤーズの小説はなかなかノレないのにもかかわらず最後は素晴らしいカタルシスを提供してくれるので今回も期待したのだが、どうも読者を置き去りにしてしまった感が強い。苦言を呈して今回は2ツ星としよう。
五匹の赤い鰊 (創元推理文庫)
ドロシー・L・セイヤーズ五匹の赤い鰊 についてのレビュー
No.69:
(3pt)

盛り上げた割には最後が呆気なく…

奥付を見ると1992年とあるからクーンツとしては最近の作品であり、もはや大ベストセラー作家としての地位を確立した後の作品であるのだが、どうも歯切れが良くない。初期の作品群に顕著に見られる、盛り上げるだけ盛り上げといて結末が何ともあっさり、というか呆気ないという特徴ほどではないにしろ。
最後の最後で裏切られたとはこのことだ。

こんな真相なんていりません。なんともまあ、すっきりしない結末でした。

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ハイダウェイ (文春文庫)
ディーン・R・クーンツハイダウェイ についてのレビュー
No.68:
(3pt)

ミステリ初心者向きかな

通常、作家には2種類の作品がある。作者のありとあらゆる粋を結集させた渾身の作品と、印税稼ぎで仕方なく書く量産作品である。そして本書はまさしく後者で特筆すべくも無い全くスタンダードな作品に仕上がっている。

事件は4つ起こり、その内密室殺人が2つ起こる。と書くと豪勢な骨太ミステリのようであるが、内容は2時間サスペンスドラマの域を越えない陳腐なもの。犯人、というか事件の黒幕的存在も途中で判ったし、それも戦慄を憶えさせるような余韻を残す内容ではない。
どんでん返しがどんでん返しになっておらず、ミステリに日頃触れない人たちならばある程度満足できたであろう内容だ―実際、母はこれを面白いと云っていた―。

黒星警部との再会は懐かしさを感じたが、思えばこの警部が出てくる作品は傑作がなかったんだったよね。

丹波家の殺人 新装版: 黒星警部シリーズ4 (光文社文庫)
折原一丹波家の殺人 についてのレビュー
No.67:
(1pt)

ごくごく普通のミステリ

どうしてこんなにもごくフツーのミステリが創元推理文庫で出るのか、それこそがミステリだ。
長浜鉄道記念館 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)
種村直樹長浜鉄道記念館 についてのレビュー
No.66:
(2pt)

訣別です。

私はこれで笠井作品を読むのを断念しました。こういうゴシック調の作品はどうもダメですねぇ・・・。
黄昏の館 (創元推理文庫)
笠井潔黄昏の館 についてのレビュー
No.65:
(3pt)

合わないなぁ。

ショートショートはまあまあだったが、独り善がりで全体としては最悪。
エディプスの市(まち)―超越への19章
笠井潔エディプスの市 についてのレビュー
No.64:
(3pt)

なんとも残念な纏め方です。

クーンツは時々やらかしてしまう。
やらかすというのは今まで魅力的な謎で引っ張っておきながらその実、真相や動機付け、理由などが何とも簡単に片付けられ興趣を殺がれる場合と、冒頭で魅力的な設定を提示していながら核心へ引っ張るだけ引っ張って実に呆気なく終わってしまう場合。
今回は後者。

赤ん坊を妻に殺され、数年後に元妻の子供を必ず嬲り殺しにすると誓うフリーク・ショーのボス。そしてそのカーニバルがついにやって来る―このワクワクする設定によくぞクーンツ、思い付いたなぁと感心した。また悪しき子供を産み、殺害したトラウマを持つエレンの、実の娘・息子を抱きしめたいほど可愛がりたいのにそれが出来ない葛藤などドラマも用意され、そして一方、サーカスの方では行く街ごとに第2の息子による性欲を爆発させた殺戮ショーが繰り返される模様も描かれている。単純な設定を魅力的なエピソードを加えて厚みを持たせていく筆達者ぶりに感心した…のに。

最後は、何とも簡単に終わってしまう。結局母と娘の確執は解消されたのか、それさえも解らずに敵が死ぬことで物語は幕を閉じ、大味な感じが残されるのだ。ああ、読み捨て小説の典型だな、こりゃ。


ファンハウス (扶桑社ミステリー)
ディーン・R・クーンツファンハウス についてのレビュー
No.63:
(3pt)

作者自身、途中で飽きた?

クーンツは巷間ではモダン・ホラー界のヒット・メーカーで通っているが、私に云わせれば、モダン・ホラー界のジョン・ディクスン・カーだという方が最も的を射ていると思う。それほど当り外れの激しい作家なのだ。
今回はその例に準えれば外れになろう。

本作で扱っているテーマはリーインカーネーション、つまり訳せば「輪廻転生」。冒頭の少女の苦悶のシーンがその後のテーマに繋がっていくのだが、どちらかと云えば展開は凡庸でクーンツならではという特徴がない。キャロルの私生児が実は、という設定も凡百の小説に見られる「意外ではない意外性」の域を脱せず、あざといテクニックを露呈するだけに。
作者自身も書いてて面白くなくなったのだろうか、『邪教集団~』、『雷鳴の館』でこれでもかとばかり見せ付けた主人公を完膚なきまでに追い詰めていく展開が意外にあっさりと片付けられ、しかも唐突に迎えるあのエンディング。
それ以降を書いて唯一無二の結末を提示するよりもその後あの4人がどうなったのかを読者の想像に委ねる手法を敢えてとったのかは定かではないが、正直消化不足ではないだろうか。

邦題もよくよく考えれば的外れでもあり、う~ん、色々含めて凡作だなぁ。


呪われた少女 (扶桑社ミステリー)
ディーン・R・クーンツ呪われた少女 についてのレビュー