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egut さんのレビュー一覧
egutさんのページへレビュー数745件
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この小説は、事件が起きて謎を解決するジャンルのミステリではありません。
勝つ為には後輩を犠牲に何だってすると噂されている エースへの疑心などがミステリの要素として存在しますが、 半分以上はロードレースを魅力的に知る物語でした。 が、これはこれで凄く面白かったです。 ロードレースの事をまったく知らないで読みました。 自転車で競走して1位を目指すぐらいの感覚でしたが、 実は個人競技ではなく、団体競技であって仲間をサポートしながらチームで戦うなんて事を初めて知りました。 エースをゴールへ導くために他のアシスト達が風を受け、他選手を誘導し、事故が起きたらタイヤを受け渡す。 そんな試合中の雰囲気や、選手たちの葛藤などに凄く引き込まれました。 結末は納得しかねるものでしたが十分楽しめました。 続編もある模様なので読んでみたいと思います。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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これは良かった。好みな要素満載でした。
魔法の世界も本格物も私の好みの内容。 期待が膨らみながら読みましたが、それに応える面白さだったので大満足。 魔法の世界とはいえ、いきなり突拍子もない設定が飛び出す訳ではなく、 あくまで読者に納得できる世界観を提示した上での物語なので理不尽に感じる事はありません。 事件の主題は、操りの魔術によりソロンの領主を殺害した人物を見つけ出す事。 魔法が存在する世界であろうと、<走狗>(操られた人物の事)は彼である。また彼ではない。と、 理由をロジカルに導く様が本格物であることを感じました。 その他、 不死の青年の密室からの消失の謎や、 呪われたデーン人との戦いなど読ませ所もあり、 ファンタジーの物語と本格ミステリを巧く融合させた一冊だと感じました。 またこの様な魔法の世界観に沿った新たな物語を読みたいものです。(続編ではなく) 良作でした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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好みのミステリとは違う分野でしたが、
馴染みのないカトリックの話など興味深く読み楽しめました。 新進気鋭の彫刻家、藤原道生が作成したレプリカのピエタの像が破壊されて落ち込む中、 マリア様のお導きによりレプリカではなく新たなピエタ像の制作を始める。 が、それから数日後、自宅で死んでいるのが発見された。 ピエタの像は何故破壊されたのか。また道生は殺されたのか。 それともピエタの像を作成する事の苦悩からの自殺なのか。事件の謎が発生する。 ミステリの事件の提示が行われたあとは、 ピエタの像やマリアについてのカトリック、プロテスタントの宗教感を感じる内容でした。 バチカンにてピエタ像を実際に見たこともあったので、 当時を思い出しながら本書に書かれている教養を興味深く読みました。 事件や登場する人々の行動や事象が論理的はなく超常的で、 マリアの啓示や奇跡であると感銘を受けながら解決していく様子は共感し辛く、 好みのミステリとは違うものでした。 クリスチャンの方が読むとまた違った感想を抱かれると思いました。 読み終わって思う所は、この本はマリアに対する新説を世に広める為の物語だという事でした。 作中の真理夫が語るように日本における信徒数は人口の0.35%の45万人とわずかですが その背後には世界約11億人の信徒のいるカトリック教会が控えている。 信徒にとって、いままで信じてきたマリアを否定する行為はとても危険な行動です。 表だっては伝えられない内容を小説の形を借りて伝えたかったのだと思いました。 元々のマリアの啓示や奇跡の知識が自分になかったので、 そうだったのか。と新たな驚きにはならなかったのが残念です。 道生や真理夫の行動が歴史を参考に表現していて楽しめる所だと思うのですが、 自分自身、神学について知識が足りない為、理解がむずかしく感じる所が多かったです。 読後にyoutubeを見たりwikiを見直してみて理解した事もあるので、 ある程度の予備知識を持ってから読むと良い本だと思いました。 似た本として、映画にもなったダン・ブラウン『ダ・ヴィンチ・コード』がありますが、 あれは信徒でなくても目に触れ、馴染みのあるモナリザや最後の審判の絵画を扱ったので 信徒でない読者でも入りやすかったのですが、 本作はマリアの啓示や奇跡を扱う為、 予備知識の頭で感じるか、経験がないと難しい本だと思いました。 |
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1作目、2作目の期待とは違う方向へ行ってしまった作品。
好みの問題もありますが、とても残念でした。 雑誌掲載における連作の時間の中で、 1、2作目読んだ人へ意外性を与える為にとられた方法としては、この選択肢はアリで、 やろうとしている仕掛けやテーマは好感です。 ですが、全体的に事件やトリックなどの説明箇所が煩雑で、 こういう人たちだから。こういう設定だから。と、 理論的ではなく場や感触でごまかしてしまっている印象をとても受けました。 1,2作目を読んだ人が前提の補足作りです。 先出しフォローみたいで面白い表現が、 P145付近のザンギャ君が 『ざけんな』 と言って 頭狂人が 『実はこの反応が見たかったんだよ。今回はこれがテーマだった。 人間というのは結局、自分の価値観に合ったものしか認めたがらない生き物なんだね。』 と言う所。 頭狂人の気持ちが作者の気持ちで、 本書はこういう実験的なものがテーマだったんじゃないかなと思いました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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気付いたら新刊が楽しみになってしまった作者のこのシリーズ。
作者の本を読むのが初めての方は、 いきなり本書から読んでも肌に合わないだけになる恐れがあるので、 『三崎黒鳥館白鳥館連続密室殺人』などのバカミスのシリーズを先に読み、バカミスに心を開いておく準備が必要です 登場人物達に言わせている作者の想い。 ・ある種のバカミスを読むと元気がでる。 ・マニア向けで版が少なくても希少価値がでる。 ・文芸のなせる芸術。 などなど、 作品作りの想いが強く感じる、物語そっちの気の趣向の本です。 今回は趣向に凝り過ぎて物語に面白みがなかったのが正直な所です。 物語と仕掛けが密接していた三崎黒鳥館白鳥館の方が完成度は高い印象でした。 後半の事件の解決編を読んでいる最中でも今回は期待し過ぎたかな。 と低印象でしたが、最後良い意味で気持ちが吹っ飛びました。 いままでシリーズを読んできた人も翻弄する 三崎黒鳥館白鳥館、新世界崩壊の先を行ってしまった本書。 作者のバカミスにかける思いがここまで来ると感動的で、 歴史に残る作品作りっていいなと、不思議な心情になりました。 作者の走り続ける姿に拍手。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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リンカーン・ライムシリーズ1作目。
ジェットコースター・サスペンスの名にふさわしく、 目まぐるしく事件の発生と捜査劇が展開され、 文庫上下のボリュームもあっという間に読めました。 ライムは卓越した頭脳を持つ元科学捜査官であったが、 事故で脊椎不随になり、動くのは首から上と左手の薬指だけ。 ベッドの上で死にたいと尊厳死を求める日々である。 医師より念願の死を受けられる前日に 刑事より不可解な事件の調査協力を求められ、妥協で1日だけ協力する。 安楽椅子探偵物にもなりますが、 科学捜査や知識の提示方法のスピードと緊張感が面白く、 またそれに負けないぐらいスピーディーに猟奇的な連続殺人が発生するのが見ものでした。 推理小説における謎が提示されて読者と一緒に考える。と言うスタンスとは違い、 読者が知らない科学捜査や事件の現場を体験する構成となってます。 ここが結構徹底されて作られていると感じた所で、 読者に考える時間を与えない。科学捜査であっても、難しすぎる用語は控え思考を停止させない。 知的好奇心を刺激する捜査と事件を頻繁に発生させる。 作り方が巧い。ジェットコースター・サスペンス。なるほどって思いました。 とても面白かったです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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ミステリ好きの心をくすぐる『館』『島』と言うシンプルなタイトル。
孤島に建築された六角形の館で起こる事件。 そして嵐の為のクローズド・サークル。 建築家や六角形の館など、 綾辻行人の十角館のオマージュ作品として感じ、 それが良い効果を持っていて好感的な作品です。 また、お決まりのミステリのガジェットは抑えつつ、 そこにテンポ良いユーモアを交えてあるので、 気軽にミステリの楽しい所を感じとれる本だと思いました。 トリックがとても分かりやすく提示されてますが、 それはそれで安心して読めますし、 館の存在理由が物語とちゃんと一体になって意味があるのが良かったです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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幻想的といいますか宗教的といいますか、
本編にもあります蝋燭の炎の揺らぎの様な、 輪郭が定まらない不思議な世界でした。 ミステリのわかりやすい要素を挙げるとしたら、 穹廬(テント)の中でおきた密室殺人ですが、 このトリックも本書の不思議な世界により意識がぼやけ、 大胆な仕掛けが見えなくなってました。 端的に述べられる文とそこから生み出される幻想とで 不思議な魅了を受けます。読後の余韻も不思議なものでした。 |
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表紙のイラストから軽いテイストを感じさせますが、
創元推理から出版で、鮎川哲也賞佳作がうなずける、中々良くできたミステリでした。 実の所、この表紙によって中に登場するキャラクター造形が頭の中で定着してしまい、 この表紙じゃなかったら別の画が浮かぶ気がします。 悪い言い方をしてしまうと文章での表現でキャラの個性が思い浮かび辛くて、 このセリフが誰のものなのか。男なのか女なのかイメージし辛い面がありました。 なので表紙のイメージと昔読んだ何かのマンガの記憶の画が浮かびながら読みました。 気になったのはそのぐらいで、 爽やかな青春小説として楽しめましたし、 トリックや動機についても読了後の気持ちはとても良いものでした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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ラストで覆る5つの物語が入った短編集です。
ミステリの醍醐味でもある最後に世界が変わる様が味わえるのは良かったです。 気軽に読みやすい『恋煩い』『嘘つき紳士』が好みでした。 『妖精の学校』については、調べてから色々考えさせられた話で深いなと思いました。 『終の童話』に至っては私の中での北山さんらしい一面が強く感じる作品でした。 物理の北山と言われてますが、こういった幻想や童話的な世界感の下地があるから現実的な物理ものが強調されるんだろうな。 そんな事を感じました。 |
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捻くれ感がとても強く感じてそこが良い意味で個性的に感じられた作品です。
ゾンビ映画の撮影をしようと廃墟に訪れた所、死体が発見されます。 通常ならここから事件発生でドタバタし始める所、この作品では、 騒いで警察来て事情聴取されても面倒だから、気にせず撮影しよう。 と、めんどくさい。他人と関わりたくないオーラ全開の思考展開が面白いです。 生きている価値がないと思う自分自身がゾンビであり、 実際に死んでる死体は注目されることで生を感じて羨ましい。など、 死体を通じて取り巻く、引きこもりの思考や行動が私には斬新で楽しめました。 死体消失の謎や動機にも唸りました。 不思議な面白さがある作品です。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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圧巻のボリュームでした。
広範囲に情報量を散りばめておき、 それらがページを読むごとに絶妙に絡みあってきます。 読むごとに新しい発見があるので止め時が見つかりませんでした。 SF的な内容でもあるし、ミステリとしての面白さもある。 かと言えば人権、人種問題。戦争、核、サイバー脅威、科学などを使った 冒険物、アクション、などなど色々含まれています。 意外と凄いなと思うのが、専門的に話しつつも言葉が判り易く伝えられてますし、 登場人物が外人のカタカナ名であっても特長や名前が区別しやい事。 ストレスを感じさせない事が標準。というぐらい苦なく読ませる表現や文章作りは凄いです。 ネタバレなしで、 本書で一番巧く印象に残ったシーンは、 イエーガーたちが森の中でサル集団に出くわし、猟奇的な場面に出くわすシーンでした。 人間より知能の劣るものたちの争いを見つめる様、 ライフルで射殺し文明の差を表現する内容など。 2,3ページのシーンですが、本書全体をとても凝縮させて表現している1シーンだと感じました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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仲間の汚名を明日までに解決できるのか?と、
タイムリミットがある内容ながら慌ただしい話になっていないのが印象的。 内容の展開は確かに早いのですが、重みのある会話。地道な捜査。 根強い仲間の協力を得る事で淡々と事件の概要を把握して行った為、 ずっしりと重みを感じる内容でした。 ただ、地味なので好みに合わないのが正直な所です。 警察小説ってどんな本?と聞かれればこの本が出るのも頷ける作品でした。 |
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第1話目『殺人現場では靴をお脱ぎください』を読んだ時の感想では、
1つの事柄から事件をひも解く執事の様が安楽椅子探偵として面白いと思いました。 短編ミステリとして謎の散りばめ方と解決の展開 そして、本書のキャラクターの個性の露出のバランスが良くできています。 短編集なので、謎の違いがあれどこのまま後半にも期待していたのですが、 面白かったのはこの1話目だけで、 あとは謎解き要素は薄く、キャラクターで引っ張っている印象を受けたのが正直残念な気持ちでした。 以下は、主に2話目以降について。 良く言えば軽妙なテンポとして読みやすくはありますが、 この作品ならではの個性が見えづらく、 また軽妙故にずっしとした深みが得られず印象に残らなかったのが正直な感想です。 読書をした人に印象に残る所は?と感想を尋ねると お嬢様に対する執事の態度やセリフの可笑しさがまず挙がり、 事件はなんだったか記憶に残りません。 印象に残るポイントがある時点で これはこれでとても凄い事ですが、私としては、 お嬢様と執事と言えばこの作品か?、富豪の刑事と言えばこの作品か? など、何かしらの要素をピックアップした時に他の作品が浮かんでしまうのでキャラ物としても個性が弱く感じられました。 この作品ならではの良さを見たかったです。 もっと良いシリーズになりそうな気がするのに、 なんだか勿体なく残念な気持ちになりました。 ※追記 後で知りましたが、2話目以降は1話目から2年後に掲載媒体を変えて世に出てました。 媒体に沿った作品作りだったのかもしれないですね。 |
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表紙やタイトルに惹かれて購入しました。
一見無意味だと思われる出来事が、 散りばめられた死神の殺人フラグというのが面白い発想でした。 このセリフが出たら死亡とか、にやりとする場面がいくつかあり、 頭を使わない娯楽小説として楽しめました。 語り手の陣内や探偵役の本宮を見ていると キャラ物としても活かせる路線を感じるのですが、 それ以外の登場人物、特に死神や編集長は個性的にしようとしているけど 話に絡む場面が少ないので活かし切れてない感じです。 松重が一番良く描かれていました。 作品として個性的な要素が出せるポイントが多そうなのに、 読後は特出した気持ちが残らない勿体無い作品だと思いました。 ミステリでよくある探偵がドミノ倒しのように 理論的に事件を解決する颯爽とした雰囲気を 死神のフラグの連鎖で描いて欲しかったなと個人的に思いました。 文章は読みやすいので次作に期待です。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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独白する…を読んだ後にページ数が少ない短編集をさっと読んでみようと手に取りました。
ミステリではないのは分かっていた上での読書と感想ですが、 この良い意味で不快な表現力はやはり凄い。たまに読みたくなる変な中毒性を感じました。 |
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