■スポンサードリンク
陰気な私は地球を回さない さんのレビュー一覧
陰気な私は地球を回さないさんのページへレビュー数209件
閲覧する時は、『このレビューを表示する場合はここをクリック』を押してください。
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
5人の男女が目を覚ましたのはとある病院。これがまた「仮面病棟」と全く同じ構図になっていることに、表紙をめくって驚きました。
要所要所に仕掛けられたミステリ的仕掛けは存分に楽しめましたが、作風そのものがチープな印象が拭えません。いきなり病院に閉じ込められて、そこからの展開の不自然さや、あっという間に謎を解決してしまうことはあまりにも簡略し過ぎだと思います。リアル脱出ゲームがどうのこうののくだりは、なんじゃそりゃとたまげてしまいました。スピード感を大事にしているのか、もっと丁寧に書いてほしい部分が多かったのが残念でした。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
西澤保彦氏らしくないです。こんな作品も書くんだと驚きました。途中までは作者本人の実体験を基にしているのかと思わされます。
中学高校時代の吹奏楽部のことから、大学時代はもちろん中年に至るまでをあっという間に触れていきます。その中で、中学の同級生の死体発見と、そこで見つかったかつて盗まれた楽器とが絡んできて一体どうなるのか、期待はしましたが正直裏切られました。 ミステリ色はあくまで弱めです。それよりも人間としての自意識や振る舞いについてしっかり書かれた作品だと感じました。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
殺人を犯してしまったことを隠すために目撃情報をでっち上げたら、それにそっくりな人が現れてしまうという物語の入り、なんとも魅力的です。
複数のグループがそれぞれ事件の真相を追い求めていきながら、次第に絡み合ってくるのは爽快感がありましたが、どうも作風と合わないように思います。話の構成がしっかりしていて面白かったんですが、ユーモラスな文体と雰囲気にズレを感じずにはいられませんでした。個人的にはもっとハードボイルドな作風だったら楽しめそうです。消化不良感が否めません。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
収録されている4つの短編、どれも面白かったです。「疾走する死者」は石岡視点じゃないのが、いつもと違って楽しく読めました。「数字錠」なんかは今後の御手洗潔シリーズの読書にも影響を与えてくれそうで、別の一冊を早く手に取りたく思っています。
でも1番面白かったのは「新・御手洗潔の志」。作品の映像化に対して述べるのかと思いきや、どうやらそこが中心でもない。島田荘司氏が日本について?なかなか言いにくいことを声を大にして言ってくれています。非常に共感しました、と同時に教訓としてこうは自分はならないぞ!と言い聞かせる内容でした。作家としてというより1人の人間としてファンになりそうです。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
チャンドラーを初読。チャンドラーが本格推理を批判しているように、本格派には現実感がなく登場人物が生き生きとしていないと言うならば、まさにフィリップ・マーロウは魅力的な人物で生き生きとしているだろう。ハードボイルドというと「固ゆで」ですから口を閉ざした寡黙な人間を私はイメージしていたのですが、とっても剽軽でおしゃべりな印象を受けました。余計なことばっかり言ってるなと。それでも恐怖に立ち向かう強い心の持ち主が格好良かった!
一方で禅問答のような内容は非常にわかりにくい。細かな謎を提示しておいて、それを数ページに渡って引っ張るのでなかなか頭に入って来ない。場面の転換も一気に飛ぶので、行間を補うことが大変でした。似たような悪玉が多くて区別が付きにくいし、何をしているのかさっぱりなことも多々ありました。 とはいえ、シリーズで続くフィリップ・マーロウの作品は他も読んでみたいと思っています。英語を直訳したような翻訳も、チャンドラー独特の表現なのかわかりませんが、味があって軽妙洒脱に感じられました。次回作以降に期待です! |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
テロが頻繁に起こるようになった日本を描いた本作。序盤は心理描写を通して、テロに対していろんな考え方があるんだと学ばされました。弱者を見捨てている社会に反発を感じて少しだけテロリストに心を寄せながらも、関係のない人を巻き込むことに憤りも感じる。でもその弱者が存在することも仕方がないのかもしれないし、自分には何もできないといった色んな葛藤が存在しました。広い視野や他者の考え方に触れるのが読者の醍醐味だと思っているので、それが良かった点です。それが段々と中盤から終盤にかけて、エンターテイメント色が強くなって行く印象を受けました。そのおかげでまとまりが足りないようにも思いますが、話の面白さは格段と加速して行きます。パズルのピースがはまっていく感覚という表現が相応しい一冊ではないでしょうか。
▼以下、ネタバレ感想 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
裏表紙に書かれている粗筋に惹かれて購入。余計なことを知らされずに読んでしまったほうが、より一層楽しめたのかなと思うとちょっと残念。
個人的には1番のお気に入りは「終の童話」です。村人が石にされてしまうお話です。なんだかファンタジー要素溢れる物語で、こういった作品は今まで読んだことがなかったのですが、意外とのめり込めるものなんだなぁと。しっかりとミステリ要素を含ませつつ、人情味あるストーリーがこの世界観と喧嘩しないのが素晴らしい。 どの作品もも世界観を楽しむのがオススメです。「妖精の学校」なんかは、最後まで読んでも意味がわからない、思わずネット検索しました。それでも楽しめました。思ってた世界観と違う…どれもそんな感想を持ちました。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
初めての鯨統一郎作品です。以前横浜に住んでいたのでタイトルに惹かれて手に取ってみました。表紙をめくるとみなとみらいの地図が載っていて懐かしさに購入を決断。なるほど、真面目には事件を解決しないぞ!といったユーモラスな姿勢がうかがえました。お堅く湿っぽい作品とは対極にあるので、たまには気分転換にいい一冊でした。
全8話の連作短編であり、毎回おきまりのパターンで話が進みます。これが癖になりました。よくわからないが横浜の名所に集合し、殺人現場に向かい、そこにはダイイングメッセージが!時にはダイニングメッセージだったり、ダイイングマッサージだったり。意外といっては失礼ですが、ミステリとしてはしっかりした内容だと思います。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
ノルウェーの森に住む女性の目には鍬が刺されて殺害されていた。精神病院に入院している青年エリケは、殺人事件現場で目撃されていた。その後、彼は銀行強盗の人質として捕らわれていることが判明する。このあらすじに惹かれて購入しました。
結論から言うとミステリの色は少し弱い気がします。大きな山場や波がなく、平坦なストーリーです。所々意味がわからず、そのまま説明もなく終わってしまう内容がいくつかあったり、これはなんなんだと。しかしそれを批判するような作品でもないように思います。不気味?不可思議?な雰囲気の作品で、謎を謎のまま残しても味があるというかなんというか。とにかく他の作品にはない雰囲気でした。 わかりにくかったので、この作品の細かい解説とかあったらなぁなんて思ってます。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
やっぱり西澤保彦氏の作品は面白い。本格物を得意とする彼の作品は明らかに他の本格作家と異なります。本格物といえば、淡々と進み謎解きにばかり重点を置いて、それ以外を御座なりにしている印象が拭えない物が多いです。けれども、彼の作品は必要十分に登場人物の心情を丁寧に描写してくれているので、作品に対するのめり込みが全然違います。本作も魅力的なキャラクターが際立っていてとても楽しめました。
「彼女が死んだ夜」この設定が奇抜で良かったです。飲み会から帰宅したら、知らない女が倒れている。明日からは待ちに待った海外留学が始まり、警察沙汰になりたくないがために友人に死体を処分させるという始まり。 変化球的な内容で楽しませてくれるのかと思っていたら、まさかの結末。二転三転、いや一体何回驚かされるんだと。真相含め、とにかく意外性に満ちていました。 主人公がアルコール依存気味であったり、女性に滅法弱い不思議な留年生だったりユーモラスな印象もありますが、一方で身近でありふれた世の中の闇の部分も丁寧に描かれています。そういう意味では「グロテスク」な内容だと思います。「男は所詮、女性のことを排泄用の便器くらいにしか考えていない。」こういった科白が出てくることにも衝撃を受けましたが、著者の様々な主張を感じました。そんなに世の中フェア(綺麗)じゃないんだよと。 ▼以下、ネタバレ感想 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
まず始めに断っておきたいのが、この作品自体がミステリ作品ではなく、あくまで純文学であり本来の評価が話の面白さによるものであるべきではないということです。自然を見事に描写した美しい文体で情景を豊かに描いており、私自身全く鳥や自然については詳しくないですが、それでも情景がしっかりと浮かびました。
この作品には作者の人柄がよく表れていると思います。短編集として一貫されているのは鳥が出てくること。自然に触れることやその美しさに著者が深い関心を持っていることがわかりました。対して完全にインドアな私としてはあまり興味を持てず、結果としてうわの空になりながら読んでしまいがちでした。 個人的には、第四話の「ホイッパーウィル」が印象に残りました。もと軍人の日系アメリカ人であるケンが警察と共に脱獄囚を追という話。日系であるがゆえに人種差別を受け、インディアンに間違われるといった心情が精緻に描かれています。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
|
||||
|
|
||||
【ネタバレかも!?】
(1件の連絡あり)[?]
ネタバレを表示する
|
||||
---|---|---|---|---|
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
西澤保彦氏のデビュー作であり、匠千暁らキャラクターが初登場の作品である。時系列で言うと次作以降は学生時代に戻るようです(本作は社会人であったり、大学生であったり)。次作以降が楽しみです。
9つから成る話はどれもバラバラ殺人に関するもの。よくこんなに思いつくなぁ、デビュー作でこんなにもバラバラ殺人ばかり書かなくても、と驚きを隠せません。特に最初の物語の真相については驚嘆しました。合理的理由を明確にしてくれます。 ともあれ、1つ1つの話を伏線にしてしまうあたりが凄まじいです。その伏線が面白いんですが、それが「解体諸因」の一部分に過ぎないとは。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
読んでいるときは確かに面白く、ストーリーにのめり込みました。だけれども、結末を読んでからは喪失感が漂っています。いろんな伏線を張り巡らせながら事件を複雑にしてあり、何がどうなっているのかハテナマークだらけだったのが、ポンとこれが結末ですと与えられたら最後何も思うことはない、そんな作品でした。
|
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
天藤真氏の長編デビュー作である「陽気な容疑者たち」。倒叙作品かと勘違いしていましたが全く違いました。
この作品は被害者の悪党っぷりを描くことに情熱を注いでいるので、被害者の辰造に殺人の動機を持つ可能性のある人々に感情移入させられました。 非道な人物描写もありながらも、天藤作品らしいユーモア溢れる軽やかさも兼ね備えていました。 本格ミステリの作品であると著者自身が明言している作品でもありますが、問題の屋敷がイメージしにくい。トリックもあまり現実的でないようにも思います。 本格派というよりは、人情物では一級の作品であり、そのように楽しむのがオススメです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
掏摸を生業とする主人公が、腐れ縁から裏社会に加担させられる様子を描いた作品です。タイトルからは社会で落ちぶれた人間が必死に生きる姿を描いてでもいるのかと想像しましたが、もっと遥かに暗い話でした。ただなんともいいところで終わってしまい、これからどうなるの?と続きが気になりました。200ページ弱と短く、書ききっていないところは読者各々で補完して読めば良いのでしょうが、あれは何だったの??ともやもやすることが多々ある終わり方でスッキリとしなく、後味は悪いです。
|
||||
|
||||
|