■スポンサードリンク


(中編集)

帝都衛星軌道



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!

帝都衛星軌道の評価: 3.58/5点 レビュー 19件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.58pt


■スポンサードリンク


Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全10件 1~10 1/1ページ
No.10:
(4pt)

ジャングルの虫たち

間に挟まれている中編の『ジャングルの虫たち』は、ずっと日雇い、
ホームレス暮らしだった男と、詐欺師の男の話。

ホームレスが行路病院をたらい回しにされる様子や、詐欺の手口が詳細に描かれ、
作家の情報収集能力は大したものだなと感心させられる。
そして社会の底辺、暗部で生きていく人々の様子が印象に残る。

芥川賞を受賞した西村賢太氏の『苦役列車』を読んで、この中編を思い出した。
推理小説の間に挟まれたことで、多くの読者には「何この作品?」と
感じさせたかもしれないが、『苦役列車』のように東京の底辺で生活する人々を
描いた作品だと考えれば納得できるのではないだろうか。
(ただし『苦役列車』とは文体も視点も異なるので、あくまで別の作品として読むのがいい)

それが山手線を舞台とした推理小説の間に挟まれているわけだ。

『苦役列車』は私小説だが、この作者は作家としての地位を確立して
もう長いから、自分の体験がそんなに入っているわけではないだろう。
それでもこんな救いのない底辺で生活する人々を描けるものなのだなと思った。
帝都衛星軌道 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:帝都衛星軌道 (講談社ノベルス)より
4061826077
No.9:
(4pt)

前半と後半のノリが異なる

前書きを読むと、島田氏がデビュー前の作品に手を加えて今回新たに発表した作品と受け取れるのですが違うんでしょうか・・・・・。
なので初期の頃の作品の改良版なら近年のイマイチな作品に比べて期待できそうだと手に取ったのだが。
80年代の吉敷もののような誘拐サスペンスで前半は山の手線を使ったダイナミックな動きのある展開で近年では最高峰の面白さである。途中、よく分からない短編を挟み、後半が展開されるがこの後半の社会派な重い展開は賛否分かれるところ。個人的には前半の調子のトリッキーなサスペンス調で行ってもらった方が好みだったなあという気がする。まあ、読んで損のない久しぶりの手に汗握るサスペンス作としては評価できます。
帝都衛星軌道 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:帝都衛星軌道 (講談社ノベルス)より
4061826077
No.8:
(4pt)

読ませる、読み応えのある名作。

鬱蒼と生い茂るビル群の中を、
地を這うように生きる人間は、まさに虫、
『ジャングルの虫たち』だった。
賢く立ち回り相手を落とすための落とし穴を掘っていたつもりが、
いつか自分もその穴に落ちてしまう。
「情けは人のためならず」ならぬ「悪事は人のためならず」というところか。
上京し、少なからず東京、新宿という街で遊んだ人、
特に多少なりとも挫折を味わった人とっては心に染みる一遍。
また「帝都衛星軌道」の間に入れられていたことで、
物語にも厚みを感じることができた。
「異邦の騎士」「アトポス」など昔はたくさん読んでいたが、
久しぶりに読んだ島田荘司は面白かった。
帝都衛星軌道 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:帝都衛星軌道 (講談社ノベルス)より
4061826077
No.7:
(4pt)

読ませる、読み応えのある名作。

鬱蒼と生い茂るビル群の中を、
地を這うように生きる人間は、まさに虫、
『ジャングルの虫たち』だった。
賢く立ち回り相手を落とすための落とし穴を掘っていたつもりが、
いつか自分もその穴に落ちてしまう。
「情けは人のためならず」ならぬ「悪事は人のためならず」というところか。

上京し、少なからず東京、新宿という街で遊んだ人、
特に多少なりとも挫折を味わった人とっては心に染みる一遍。
また「帝都衛星軌道」の間に入れられていたことで、
物語にも厚みを感じることができた。

「異邦の騎士」「アトポス」など昔はたくさん読んでいたが、
久しぶりに読んだ島田荘司は面白かった。
帝都衛星軌道 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:帝都衛星軌道 (講談社ノベルス)より
4061826077
No.6:
(5pt)

帝都衛星軌道

「帝都衛星軌道(前)」「(後)」の間に「ジャングルの虫」という中編が入っている面白い構成です。「ジャングルの虫」はホームレスが過去の知人の死を知り、その人となりを回想しする話ですが、まさに都会はジャングル!虎でも蛇でもなく虫だった、と弱った体を抱えて悟っちゃう、なんとも哀愁な一作ですが、そのジャングルを衛星軌道で回る(?)誘拐事件の勃発から「帝都衛星軌道(前)」が始まります。山手線のすべてには電波が届き切れないはずのトランシーバーに、犯人から送られてくるメッセージ、警察は真相をつかめないまま、誘拐された子供は戻され、変わりに母親は二度と戻ってきませんでした。
それから6年後が後編です。妻が自分の意思で去ったことは分かっても、理由がまったく分からない夫は妻の過去を探し求めて、そのワケを知ることができます。
最後は泣きました。夫婦とか、親子とか、そのあたりのことは私だっていろいろ考えるけれど、とにかく国吉と紺野が互いに分かりあえたこと、美砂子の最後は充たされていたであろうこと、そしてそして・・・ そして、東京だけが碁盤目でなく円軌道の路線である理由と、ジャングル東京の地下道の話、これがまたとんでもなく面白く、人情と哀愁と絡んで、やっぱり島田さんだと思いました(^.^
帝都衛星軌道 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:帝都衛星軌道 (講談社ノベルス)より
4061826077
No.5:
(5pt)

帝都衛星軌道

「帝都衛星軌道(前)」「(後)」の間に「ジャングルの虫」という中編が入っている面白い構成です。「ジャングルの虫」はホームレスが過去の知人の死を知り、その人となりを回想しする話ですが、まさに都会はジャングル!虎でも蛇でもなく虫だった、と弱った体を抱えて悟っちゃう、なんとも哀愁な一作ですが、そのジャングルを衛星軌道で回る(?)誘拐事件の勃発から「帝都衛星軌道(前)」が始まります。山手線のすべてには電波が届き切れないはずのトランシーバーに、犯人から送られてくるメッセージ、警察は真相をつかめないまま、誘拐された子供は戻され、変わりに母親は二度と戻ってきませんでした。

それから6年後が後編です。妻が自分の意思で去ったことは分かっても、理由がまったく分からない夫は妻の過去を探し求めて、そのワケを知ることができます。

最後は泣きました。夫婦とか、親子とか、そのあたりのことは私だっていろいろ考えるけれど、とにかく国吉と紺野が互いに分かりあえたこと、美砂子の最後は充たされていたであろうこと、そしてそして・・・ そして、東京だけが碁盤目でなく円軌道の路線である理由と、ジャングル東京の地下道の話、これがまたとんでもなく面白く、人情と哀愁と絡んで、やっぱり島田さんだと思いました(^.^
帝都衛星軌道 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:帝都衛星軌道 (講談社ノベルス)より
4061826077
No.4:
(5pt)

これが島田荘司の世界だ!!

全編に横溢するのは、まさしく島田荘司の圧倒的三千世界。独自の都市論を内包した、エドガー・アラン・ポー直系の幻想小説。犯罪小説や社会派ミステリを射程に置きながら、それでも最後に明かされるのは、時空が見せる果てしない浪漫なのだ。この壮大なスケールの詩美性。ここに新本格作品と同系列には比べられない島田の本質がある。
帝都衛星軌道 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:帝都衛星軌道 (講談社ノベルス)より
4061826077
No.3:
(5pt)

これが島田荘司の世界だ!!

全編に横溢するのは、まさしく島田荘司の圧倒的三千世界。独自の都市論を内包した、エドガー・アラン・ポー直系の幻想小説。犯罪小説や社会派ミステリを射程に置きながら、それでも最後に明かされるのは、時空が見せる果てしない浪漫なのだ。
この壮大なスケールの詩美性。ここに新本格作品と同系列には比べられない島田の本質がある。
帝都衛星軌道 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:帝都衛星軌道 (講談社ノベルス)より
4061826077
No.2:
(4pt)

過去が夢なら、現在もまた夢‥。

 結婚して16年。自分は一体、妻の何を知っていたのか?
 息子の誘拐事件をきっかけに幸せに過ごしていた夫婦の絆が、突然失われた!
 戻ってきた息子と入れ替わりに出奔した妻の、謎に包まれた過去とは!?
 表題作ほか、1篇収載。
 愛とは、家庭とは、生活とは、そして男と女とは‥。 
 自分のこれまでの生を認めることでしか、納得のできない自分がいる。
 夢とは憧れなのか。幸せだった過去の自分が夢だったのか。
 夢が示すものは、その時々によって変化する。
 だとすれば、現実生活もまた夢かもしれない‥。
 しかし、大抵のところ、悪夢に限っては現実なんだな、これが‥。
帝都衛星軌道 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:帝都衛星軌道 (講談社ノベルス)より
4061826077
No.1:
(5pt)

リバース・エンジニアリングのような作品

2006年5月26日リリース。表題作『帝都衛星軌道』を挟み中間に『ジャングルの虫たち』を配した構成の作品である。
氏は既に創作の拠点をロスに移して久しいわけだが、かくも東京に詳しいものが書けるのかというのが読後、最初に浮かんだものだった。初期の傑作短編『ギリシャの犬』あたりも東京というところを知り尽くしていなければ書けない作品だった。本作はその上をいくものがある。確かに死刑に対する氏の考え方などがおりまぜられていはいるが、それは作者のイマジネーションの構築物のひとつのパーツにしか僕には感じられなかった。
ひとつの発想から出発してストーリーを構築していくリバース・エンジニアリングのような作品。氏はきっと普通に書いてこのレベルなのだろう。派手さはないが良くできた秀作だと思う。僕は運良く、氏のサイン入りでこの本を手に入れた。良い本をサイン入りで手に入れたな、と思った。
帝都衛星軌道 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:帝都衛星軌道 (講談社ノベルス)より
4061826077

スポンサードリンク

  



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!