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闇ツキチルドレン



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【この小説が収録されている参考書籍】
闇ツキチルドレン (講談社ノベルス アAI- 2)

闇ツキチルドレンの評価: 3.80/5点 レビュー 5件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.80pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全2件 1~2 1/1ページ
No.2:
(3pt)

〈悪趣味〉(バッドテイスト)の中での共感覚描写が光ります

声や音が、色や形に見え、殺人や破壊衝動を感知できる共感覚少女、音宮美夜が、連続殺人事件の犯人チャイルドと目された、元警察官僚の老人、最上を探るべく派遣されます。
 この老人が何とも気味の悪い言動の持ち主であるうえ、ひょんなことから美夜と知り合った少女愛澄の祖母もまた、「ぬるい声」で孫を精神虐待するやりきれない存在です。愛澄の知人で美夜をものにしようとする大学生も、読んでいて生理的に嫌悪をもよおすような性格で、作者はあえて〈悪趣味〉(バッドテイスト)な世界を作り出そうとしたようです。

 全体をつらぬくテーマは、タイトルどおり〈月〉。月のめぐりがキーになっており、最上の孫娘と愛澄を結ぶ呪わしい糸になっています。

 本作の謎解きには『キョウカンカク』にひきつづいて、共感覚者の宿命ともいうべきものが絡んでいますが、こちらのほうが破綻は少なく、ミステリとしてはほぼ完結したかと思います。とはいえ、すべてにおいてたがが外れ、斜めにかしいだようなパーソナリティの人物が多すぎ、読後感は心地よいものではありませんでした。
 異常なはずの美夜が一番まっとうに見え、男装しての捜査シーンなど、見せ場はありましたが、安手のきらびやかさが破片のようで痛々しい感じも。

 しかし読んで1日ほどたつと、なぜか執拗に浮かんでくるのが、共感覚の描写のあれこれです。オーケストラが夢のような映像世界に見えたり、痛みが美しい綾取り模様に見えたりする、その描写が心に焼きついていました。この点は、作者のオリジナリティとして捨てがたいです。
 この設定で、もう少し深みと救いのあるミステリが書かれることを願っています。

 

闇ツキチルドレン (講談社ノベルス アAI- 2)Amazon書評・レビュー:闇ツキチルドレン (講談社ノベルス アAI- 2)より
4061827294
No.1:
(3pt)

警察の権力闘争

 地方都市で連続して起きる動物切りつけ事件。かつての大物警察官僚、最上倉太郎が関わっていると告げる現役警察官僚にして音宮美夜の飼い主でもある矢萩の指示に従って、事件現場へと入る美夜。電車内での痴漢犯を通じて出会い、妙に彼女に懐いてくる高校生の城之内愛澄を助手として、捜査を開始する。
 しかし相手は元大物。有形無形のコネと現在も衰えることのない風格を武器に、美夜の捜査を妨害してくる。遅々として進まない捜査の中、ついに事件はエスカレートして殺人事件へと発展してしまう。彼女の共感覚は犯人を見つけ出すことが出来るのか?
 何というか男性の扱いがすごく酷い。登場する男性は、変質狂、狂信者、女性を騙すやつ、陰謀家といった感じ。まあ、女性も含めて、総じて普通の人は登場しないので、仕方が無いといえば仕方が無い。周囲がこんな人間ばかりだったら、相手をするだけで疲れそう。そして、読んでいても釈然としなくて疲れる。
 今回は共感覚という能力があまり前面に出てこないんだなあと思っていたら、一応最後の解決の切り札として使われていました。
 作中で共感覚は特別なものではないと盛んに美夜は主張するけれど、やはりどうしても彼女はそこに囚われた人間にしか見えない。そしてその"傷"を自分に納得させるために駆使している感じがする。その結果として、もっと傷つくことを見続けているように思えるな。
闇ツキチルドレン (講談社ノベルス アAI- 2)Amazon書評・レビュー:闇ツキチルドレン (講談社ノベルス アAI- 2)より
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