空想探偵と密室メイカー
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空想探偵と密室メイカーの総合評価:
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第一の感想はレビュータイトル通りです。凶器は処分したのに服は確認もせず処分しないのはどうかと ミステリはいつも最終章や謎解きの前に自分で何度か読み直し推理するがこの本はそのまま最後まで読んでしまいました 理由は事件は2つあり、どちらともアリバイ、部屋構造、現場の説明がシンプルすぎて何でもありって感じが読み取れてしまい推理しませんでした 実際、トリックの一部が超次元科学的な物(おそらく)と犯人と共犯者が複数人でした なんでもありと書きましたが犯行に至る為の人物関係の背景、超次元科学の説明は本編に書いてあります 自分は推理でき、トリックに感心する物を好む為不満点が多いですが読みやすく、合間合間に推理合戦がありあれでもないこれでもないと模索するのは面白かったです | ||||
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嬉しい誤算──とは正にこのことでしょう。 本作品は、題名に「密室」と付いていることから、密室殺人を扱ったものであることは想像できます。 しかし、私は、特段、密室殺人に期待して読み始めたわけではなかったのです。 ところが、思わぬことに、これがよく出来た密室ミステリでした。 2011年というごく最近に、これほどの「密室ミステリ」の進化系が生まれていたとは、意外な収穫です。 本来、私が本作品を手に取ったのは、その風変わりな設定からでした。 今では古典と呼ばれるミステリに登場した名探偵たち。 彼らを「空想」し、会話できる女性、雨崎瑠雫と、その「空想」を感じ取り、名探偵たちと会話もできてしまう(つまり、瑠雫と空想を共有できる)青年、宇都木勇真。 このふたりが、密室殺人事件に遭遇し、「空想探偵」を操りながら、謎に迫る──というお話です。 この「空想」という一種の超能力めいたものが、著者のデビュー作である「キョウカンカク」で題材となった、その名も「共感覚」という特殊能力に通じるところもあって、そうした一風変わった設定から紡ぎ出されるストーリーを楽しめたら…というのが、当初の狙いでした。 実際、ジョン・ディクスン・カーの創造したフェル博士の「空想」とともに、「密室講義」を駆使しながら、密室の謎を解くシーンなどは、その趣旨にかなったもので、物語前半はそれなりに楽しむことができたのです。 ところが、後半に入って、予想外の展開があり、「単なる密室ミステリ」でないことを窺わせる、著者の企みが明らかになってくるに従って、「こんなアプローチもあったのか」と感心することしきりです。 もともと、ジョン・ディクスン・カーの諸作を読み漁っていたうえに、数か月前に、「哲学者の密室」(笠井潔)という上下巻合わせて1000頁ほどもある「密室超大作」を読んだばかりだったので、しばらくは、優れた密室ミステリには出会えないと思っていたのですが…。 何とも嬉しい、見込み違いでした。 なお、作品の冒頭で紹介されていたアガサ・クリスティの「ポアロのクリスマス」。 未読ですが、秀逸な密室ミステリのようですね。 今度機会をみて、読んでみることとします。 | ||||
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まえがきで倒叙ミステリについて云々とあり、本書は倒叙ミステリーなのかなと思うが、その要素は合間に挟まれるエピソードで行われており、読者は早い段階から犯人を匂わす記述に触れることになる。が、やはりそう単純には行かない。 全体的にはオーソドックスな密室殺人をネタにした本格推理作品になっているが、密室トリック等はまあさほど斬新なものではないが、やはりデビュー作で斬新な動機が話題になった著者だけに、事件の真相と密室作りの動機はこれまた読者の予想を超える突飛なものになっている。 これまでのキャラものラノベっぽい雰囲気もかなり抑えられているので、この著者の作品としては最初の1冊に推薦できる作品である。 | ||||
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「空想」によって、ホームズ、ポアロ、マープルなどいろいろな探偵を呼び出せる少女瑠雫。強烈な設定なので、これにひかれて読み始めました。 女優の密室殺人事件にからむのは、彼女と親しかった瑠雫、大学の仲間たち、女優の夫である准教授、主人公であるらしい宇津木勇真、と、最初からかなりしぼりこまれた面子です。 初めは、瑠雫のこの「空想」を唯一、見る(共有する)ことのできる勇真が、二人三脚で謎を解いてゆくのかと思わせられました。しかし,彼女が呼び出せるのは、彼女の才能の範囲の探偵像らしく、この「空想」探偵たちは神のような明察を発揮するほどではありません。そこに瑠雫の父である刑事の雨崎が登場。奇妙に白々しい関係のこの親娘と勇真のトリオがおもに謎を解いてゆくことに。 第二の殺人のあたりから、ばたばたと謎が解けはじめます。終わり100ページあたりからの展開は、ページに目が釘付けになります。 殺人じたいが、見立てをはらんでいたり、「童話」がキイになっていたり、とさまざまな様相を呈してくるのと同時に、ちょっと奇矯な女の子に思えていた瑠雫の傷ついたいじらしい心と、彼女自身のトラウマになった事件がひっぱりだされ、それには父親も、そして勇真も、深くかかわっていました。 こうした複雑なキャラの絡みの中で、事件の謎は二転三転、解けたかと思うと、すぐに覆され、別の仮説に取って代わられ・・・最初はささいなことかと思われた女優本人の野望が動機のひとつで、事件はもっと大きな波紋を起こすべくセットされていて・・・ 物理トリック、時間のトリックも、見事に解けます。そしてあとに残るのは、事件の当事者の深い思いと、探偵役たちのもっと大きなやるせない思いでした。 そしてこの余韻は「空想」と切り離せません。 この「空想」について作者は、同視性症候群ともっともらしく説明していますが、ギミックと見えたこの設定には、大きな伏線が仕込まれていて、最後にあっと驚かされました。(最初読み出したときは、心理学でいう「見えない友達」現象だと思っていたのです。) 語り口も節ごとに、視点人物がすっすっと入れ替わる不思議な設定で、まさに、無数の面をもった複雑な多面体のような「ミステリ」でした。シリーズにはしにくいかと思いますが、主人公たちのその後を知りたい気持ちです。 | ||||
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いやあ、最後は驚きの連続でしたね。空想した人物を実像として知覚できるという特異感覚のヒロインと、その彼女に恋心を寄せる元ヤンキーの大学生コンビが一応、探偵役なのですが、事件が二重、三重構造、いや、伏線が螺旋状にも絡み合っていて、どんな結末になるのか、読了するまでまったくわかりませんでした。 帯の紹介文に“史上最凶の密室”と謳われているだけあって、設定はなかなか強靭です。旧学生寮の談話室で発見された人気女優の死体は、鋭利な刃物で頚動脈を切断されていた。しかし、密室状態になっていた室内に凶器はなく、自殺か他殺かは不明。女優の身辺にこれといったトラブルはなく、動機も不明。捜査が進むにつれて、密室の謎はさらに深まってゆく。 アガサ・クリスティーのエルキュール・ポアロやミス・マープル、ディクスン・カーのギデオン・フェル博士等々、ヒロインが特異感覚で呼び出したミステリー界の名探偵たちが次々に登場してくるという豪華キャスト。とくにフェル博士の場面は、まるで「密室の歴史」の講義を受けているようでした。さらに、ヒロインの父親が警察の敏腕刑事で、謎解きに参戦。登場人物が多彩で、その個々のエピソードが実に魅力的なのです。 こんなに大風呂敷を広げすぎて大丈夫なの? と心配になるほどの盛りだくさんのピースが、最後はピタリと組み合わされて、驚愕の真相が炙り出されてきます。人間の欲望や宿業を縦糸にしてしっかり縫い込んであるので、この結末には説得力があります。 作者の“空想力”のスケールに脱帽です。 | ||||
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