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風の歌、星の口笛
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風の歌、星の口笛の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.67pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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普段あまり所謂ミステリー小説というものを読まない。それは、音楽ジャンルでいえば、「僕はロックが好き!」「私はジャズ!」といったように、自分が興味ある分野を無意識なりにカテゴライズし、自ら興味の対象を狭めてしまっているようなもんで、まあ単なる食わず嫌いである。だが、よくよく考えると、たとえば村上春樹の小説の大部分は「ミステリー」であるように、ミステリー小説と形容される作品全てが、ミステリー愛好者にだけ享受させておいては実に勿体無い話だ。コレはミステリー出版業界(というのかな)の体質にも全く問題がなかったわけではないと思う。あくまでも印象であるが、これまではどちらかというと閉鎖的で、新しい顧客(読者)の開拓という視点が不十分な気がしていた。この小説は今年の「横溝正史ミステリ大賞」を受賞しているが、逆説的にミステリー小説の範疇には留まっていない傑作だ。つまり、ミステリーという枠を取っ払い、多くの読者の訴求できる普遍性を内包しており、かつその新しい読者を新たにミステリーの魅力的な世界へと誘うことのできる稀有な「橋渡し」的作品だと思う。そう考えると、この意欲作がミステリー分野で権威のある同賞を受賞したというのもなんとなくうなずける。この作品は、「型」にはまっていないのだ。ゆえに、この作品が「ミステリー小説だから自分には関係ない」と敬遠している人は、大変魅力的な「物語」を読み逃すことになる。それは非常に勿体無い話だ。ミステリーでもあり、SFでもあり、ファンタジーでもあり、そして切ないヒューマン小説でもある。3つのナゾめいた物語がパラレルで進行する。そして、終盤に絡み合ってくる見事さ。その展開力には心底舌を巻く。そして、何よりも全編に漂う「せつなさ」がたまらない。失われてしまったものと、失われなかったもの。ラスト、感動がじーんと胸に迫ってくる。まるで、自分が時空を超えたこの物語の中を旅しているような感覚。一度はまったらなかなか抜け出せない。ただし、夜更かしはほどほどに。 | ||||
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