(短編集)

ぼくのミステリな日常



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ミステリ→

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初公開日(参考)1991年03月
分類

短編集

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ぼくのミステリな日常 (創元推理文庫)

1996年12月01日 ぼくのミステリな日常 (創元推理文庫)

月刊社内報の編集長に抜擢され、若竹七海の不完全燃焼ぎみなOL生活はどこへやら。慣れぬカメラ片手に創刊準備も怠りなく。そこへ「小説を載せろ」とのお達し。プロを頼む予算とてなく社内調達ままならず、大学時代の先輩に泣きついたところ、匿名作家を紹介される。かくして掲載された十二の物語が謎を呼ぶ、贅を凝らしたデビュー作。 (「BOOK」データベースより)




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ぼくのミステリな日常の総合評価:8.49/10点レビュー 37件。Bランク


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全5件 1~5 1/1ページ
No.5:
(7pt)

ミステリな日常の序章?

中堅どころの建設会社に勤めるOL若竹七海が突然社内報の編集長を仰せつかり、しかもその社内報に小説を載せたいという無理難題を命じられて、大学の先輩に助け舟を出したところ、その友人が匿名で短編小説を連載する事に協力する事になる、といった、これまでにないアイデアで纏められた連作短編集。
若竹七海が編集長に任ぜられたのは1年間で、各短編もそれぞれその時の季節に合わせた内容になっている。それらの中身はその匿名作家が自身の体験に基づく話で、先輩や街で出会った人から聞いた話に隠された真相を解き明かすアームチェア・ディテクティヴの体裁を取っている。

まず創刊号の4月号では花見を舞台に展開する「桜嫌い」。
その次の「鬼」はちょっとぞっとする話だ。
一転して6月号に掲載された「あっという間に」は、商店街の草野球チームが織成す下町風味のミステリ。
社内報も7月ということで怪談めいたミステリが登場。「箱の虫」がそれ。
そして続く8月号も怪談仕立て。というよりもこの「消滅する希望」はホラーそのものである。
9月号の「吉祥果夢」も「消滅する希望」を引き継ぐかのような幻想的なミステリ。
10月号掲載の「ラビット・ダンス・イン・オータム」は持病の療養で有意義な放蕩生活を満喫していたぼくが社会復帰をするところから始まる。
11月号は「写し絵の景色」。
12月号の「内気なクリスマス・ケーキ」はやはり定番のクリスマス・ストーリー。
新年を迎える1月号では「お正月探偵」が掲載。しかし題名とは裏腹に結末は重く、暗いものだった。
2月号の「バレンタイン・バレンタイン」は今までの構成とはガラリと変え、作品のほとんどが会話文で構成された黒崎緑氏の『しゃべくり探偵』を思わせる作品となっている。
最後3月号は「吉凶春神籤」。

まず短編集であるからには短編に関する感想から述べよう。
設定が社内報に掲載する短編であることから、作者はプロローグでの先輩との往復書簡でも書いているように1編原稿用紙30~40枚程度という制限を課しており、これが逆に各作品のクオリティにバラツキを与えている。特に「写し絵の景色」などは明らかにこの枚数では足りないような内容であり、中編向きである。また全編主人公の「ぼく」の閃きが逆に謎解きの性急さを感じさせた。

ちょっと気になるのは短編の中には展開するそれぞれの登場人物たちの立ち位置が解りにくいものもあった。1作目の「桜嫌い」の桜木荘の間取りと各登場人物の配置、「箱の虫」の箱根のロープウェイにおける乗客の位置関係や交通機関の連絡関係など、文章のみではかなり把握しづらい。
ただ全体を通して文章に伏線や布石をさりげなく散りばめる手腕は素直に上手いと思う。風景描写や人物描写として語られる一文が実に謎解きに有機的に働くのは読んでて小気味よかった。

収録作品中、ベストはやはり「内気なクリスマス・ケーキ」で、その他「あっという間に」と「お正月探偵」がそれに続くか。
「内気なクリスマス・ケーキ」はシクラメンの持つ性質の二面性といい、見事に引っかかってしまった。これこそこの作者のさりげない描写が十分に発揮された成果であろう。往々にしてクリスマスを題材にしたミステリにはハートウォーミングなストーリーが多いが、これもそう。色々な仕掛けが随所に散りばめられた好編。
「あっという間に」はオーダーメニューが相手チームに渡す情報のヒントというのまでは解ったが、この解答が思いつかなかった。
「お正月探偵」はざらりとした読後感が印象的。夜中に架かってくる電話という導入部から暗鬱な話だと連想されるが、内容はぼくの素人尾行の顛末。坊野という元野球部のスポーツマンタイプの男を設定し、カラッとした内容で物語は展開するが、明らかになる真相は逆にその軽妙さとのギャップがボディブローとして重く効いてくる。
「鬼」はぞっとする話だが、この人の心に潜むざらりとした感情を描くことこそ、この作者が持つ本質なのかもしれない。

逆にワースト2を云えば「ラビット・ダンス・イン・オータム」と「バレンタイン・バレンタイン」の2編となるか。
ワーストとは特別悪いという事ではないが、前者は謎は謎でもミステリというよりもクイズだろう。しかもある程度の知識を持っていないと解けないクイズで、非常に高度。まあ、納得はいくが。
後者は中身としては軽いミステリ。特に最後の設定は入らないでしょう。

その他佳作として、ミステリならぬ幻想小説仕立ての「吉祥果夢」が印象に残った。幻聴は幻聴として起こるという前提での謎解きで、この設定を高野山という霊験あらたかな地を舞台にしていることで、納得させている。最後の結末はちょっとやりすぎかなとも思ったが。

とまあ、上に書いたように正直な感想を云えば、各短編それぞれの謎のクオリティと、物語としての面白さには出来不出来の差がはっきりあり、全てが手放しで賞賛できるものではない。
しかし、この一種未完成とも筆足らずとも思える短編が最後になって一枚の絵を描く時、それらが単なるある1つの事件を告発する材料に過ぎないことが解る。そういった意味で云えば、やはりこの短編集は普通の短編集にはない1つ秀でた何かを持っているのは認めざるを得ない。
毎回わざわざ社内報の目次が載ることに最後に各短編が1つに繋がるヒントが隠されているであろう事は解ったのだが、それでもやはり私の眼はその謎を解き明かすには節穴だった。

そして全体を通して判明するこの短編集の意図は、やはりここでは後の読者の事を考えてあえてどんな物かは詳らかにすべきではないと思うが、かなり魂の冷える話だ。少なくとも私はそう感じた。
これほど読書前と読後の印象が変る作品も珍しいのではないか?

日常のなんでもない謎、あるいは謎ともいえないちょっと理解しがたい事象を主人公のぼくが独自の視点から思わぬ解答を披露する軽妙洒脱なミステリ、これが読中の印象だったが、最後の編集後記ならびに匿名作家からの手紙を読み終わると、闇の奥底に人の悪意なるものが息を潜めて狙っている、そんな冷えた読後感を得た。
冒頭でも話したとおり、これらミステリ短編が匿名作者自身の体験に基づく内容であるからこその題名『ぼくのミステリな日常』だというのが大方の感じ方だろうが、読後の今、私は実は匿名作者にとって本当の「ミステリな日常」が始まるのではないかと思えてならない。それも怖い意味で。

ところで作中で出てくる「ぼく」のニックネーム、「ちいにいちゃん」がどうしても解らないのだが、誰か解る人いるだろうか?


▼以下、ネタバレ感想

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Tetchy
WHOKS60S
No.4:
(5pt)

ぼくのミステリな日常の感想

そこそこ面白かったです。

レッダーン
JX3FQ5JY
No.3:
(5pt)

ぼくのミステリな日常の感想

さらーっと読むと、何だ?って感じる作品。
短編小説をまとめると、何かの意味を持つのだろうと推測出来ましたが、謎解きが終わっても、そんな事あったっけ?なんて思ったりして。
あくまでも、自分の問題です。
じっくり読んで、仕掛けを考えたい人にはお勧めです。

Hidezo
GX0TU62Y
No.2:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(6pt)

ぼくのミステリな日常の感想

12の連作短編集。数が多いので1つ1つがとても短くさらっと読めます。それでいてきちんと繋がる。パターンだけど好きです。

aspol
NY52ZXBG
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

季節を感じながらの短編連作

社内報に載せる小説を担当することになった主人公。月ごとに季節を感じる内容で味わいがあります。
しかし短編連作の作品なので、最後に驚くべき事実が出てきます。
一つずつの話にとらわれて、うっかり細かい部分を読み逃してしまったので、つじつまが分からない部分がありました。
しかし、ある部分に注目するとよくわかるので、わかりやすいトリックといえるでしょう。
月によってはミステリ要素が弱かったり、怪談要素が含まる部分もありましたが、飽きることなく楽しく読めました。

花筏
12TTSXT9
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.32:
(3pt)

出版当時に読みたかった。

クールキャンデーに衝撃を受け、本作も読んでみたのですが、、、。
結論から言えばミステリとして傑作とは言えないと思った。良作ではあると思うけど。
一つひとつの短編もそんなに面白いと思えないし(というか恋愛ネタ多過ぎてワンパターンで飽きるしシラける)、登場人物のキャラも立っておらず感情移入出来ないし、最後の謎解きも「おおっそうだったのか!」というほどの驚きはなく、「あーなるほどねー」ぐらいな感じ。
何より出版当時27-8歳と著者はまだ若かったのにやたら文章がおばさん臭い。33年も前の作品だからだろという声も上がりそうですが、同時期に出版された女性作家の著作で、今読んでもまったく古さを感じさせない書き方をする人も少なからず知っているので、これはやはり作者のセンスの問題かと。出版当時は自分はまだ本作を読めるほどの年齢ではなかったけど、もし読めていても「何かおばん臭いな」と思っていたと思う。
でもミステリ部分にはきっとびっくりさせられただろうな。ここまで時が経った現代では、ミステリ初心者〜まあまあ読む、ぐらいの人にはよくても、ミステリ通の人にはお勧め出来るものじゃないです。もっと文章と謎に魅力があって最後に思わず「えっ!!!」と叫びそうになる、昂揚と驚きをくれるミステリは他にもいくらでもあるから。
でもクールキャンデーは読んだとき本当にラストでうおっとなったので、私的にはそちらの方がお勧めです。

少しネタバレの追記;
ラストは5ch(旧2ch)の「ちょっと待ってくれこんな時間に誰か来たみたいだ」を思い出して不穏な終わり方なのについ噴き出してしまった。
ぼくのミステリな日常 (黄金の13)Amazon書評・レビュー:ぼくのミステリな日常 (黄金の13)より
4488012442
No.31:
(5pt)

中古本とは思えない

送料込みで357円、本文及び表紙が綺麗なのはびっくりしました。
又、注文したいと思います
ぼくのミステリな日常 (黄金の13)Amazon書評・レビュー:ぼくのミステリな日常 (黄金の13)より
4488012442
No.30:
(3pt)

時代を感じました

社内報がミステリになるのかしら、と思っていたら多重構造になっていました。最後に謎を解いて終わりかと思いきやもう一捻り。

小説の主人公に愛着が湧いたのですが、続編はないようで残念です。

しかし、時代を感じました。活発な女性でも結婚したら料理を作って旦那さんを待つのが当然と思われていた時代なんですね。
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4488012442
No.29:
(5pt)

色んな味わいの短編集

若竹さんの作品を、最新作から遡って読んでいる中で出会ったデビュー作。全体の構成といい文章力といい、さすがの力量!謎も味わいが様々であり、人物造形の確かさや会話の面白さも加わって、一遍毎に楽しく読めた。が、最後まで読んで、うーんとうなった。ここまでの仕掛けだったとは?最後まで本当に楽しめた。
ぼくのミステリな日常 (黄金の13)Amazon書評・レビュー:ぼくのミステリな日常 (黄金の13)より
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No.28:
(3pt)

さすが若竹さんのデビュー作!

ドラマ「ハムラアキラ」から葉村シリーズを読み若竹ファンに。その若竹さんのデビュー作。
練りに練った綿密な構想下、趣の違う作中作的12の短編が絡み合い、最後は一つの長編小説となる。とてつもない才能を持った(当時の)新人作家の野心作である。全ての謎は溶けてもすっきりしない読後感。当初よりイヤミス作家の素養あり。
個人的にはホラー色のある「消滅する希望」と「吉祥果夢」が印象に残ったが、短編1つ1つの完成度が、現在の作品に比べて当然ながら甘いので、厳しく小数点以下切り捨ての星3.5評価。
作品そのもの以上に作者の才能に度肝を抜かれた。
ぼくのミステリな日常 (黄金の13)Amazon書評・レビュー:ぼくのミステリな日常 (黄金の13)より
4488012442



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