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(短編集)
痺れる
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痺れるの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.84pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全31件 21~31 2/2ページ
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「アミダサマ」に代表される、 沼田まほかるの本格ホラーを想像して購入しましたが、 サイコホラーというか、 もっと日常に近い心理劇の短編集でありました。 「沼毛虫」だけがホラーの香り濃い作品で、 この小説集の中では異色です。 すべて孤独な女性が主人公。 孤独な女のテリトリーに男が入り込む。 その男の異常性であったり、 女の心の奥に眠る狂気だったり、 日常が突然別の様相を帯び始めるのです。 じんわり怖い。 読後感はやや重いですね。 最後に残るのは「絶望」でしょうか。 沼田かほるこは女の孤独と絶望を、 ちょっと意地悪な目線で描いています。 桐野夏生とはちょっと違うけど、 立ち位置は似ています。 苦くてじんわり怖い作品です。 | ||||
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文章に、神がかっているかのような迫力があります。 一文一文、丁寧に読んでも、一文とて気を抜いていい文はないくらい。 林檎曼荼羅、が特に印象に残りました。細部が非常にリアリティがありすさまじい。 ただリアリティが凄すぎて、人間、特に自分の暗部を撫でられるような気持ち悪さもあります。嫌な部分を触られるというか。 読後、すごく疲れて、この作家苦手、大嫌い、と思うのですが、本屋で見つけると、これこそが読まなきゃならない本だ、とつい手を伸ばして、読んでしまう。 どの作品も、女性、母性、の嫌らしい部分を丁寧にリアルに書き綴っていて、すごく嫌な気持ちになる。 いつか、ハッピーエンドの恋愛を書いてほしい。この文章力で、少女マンガやハーレクインのような小説を読んでみたい。ぜひ。 | ||||
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人間が"壊れて行く"過程、あるいは"壊れてしまった"人間を主題とした9つの作品を収めた短編集。各編の題名から窺える通り、果物・草花・小動物をモチーフとしている辺り、日常の中の非日常性を浮き彫りにしようとする姿勢が伝わって来る。登場人物の特異なキャラクター・過去体験に依存し過ぎていて、物語の構成手法にやや難があると(個人的に)感じる長編に比べて短編はどうなのかという興味を持って本作を手に採った。 その結果は玉石混淆と言った所。冒頭の「林檎曼陀羅」は、現実と夢との境目が無く、時間軸も自在に移り変わる茫洋とした幻想的雰囲気の中でヒロインの過去を徐々に明かして行く技巧が鮮やか。著者の持ち味を活かしたまま、短編化した効果が出ている秀作だと思う。「沼毛虫」も、伝聞形式という点がやや弱いが、ドロドロとした怨念が伝わって来る著者らしい持ち味が良く出た短編。ただし、他の短編はどうであろうか ? 決して悪い出来ではないのだが、著者にしか書けないと言った類いの作品には映らなかった(例えば、「ヤモリ」は河野多恵子氏の初期短編を想起させる)。更に、堕胎あるいは流産した女性、シングル・マザー、不倫中の女性に題材が偏っている点に視野の狭さを覚えた。 反面、全体として読み易い創りとなっており、長編と比べて著者の世界に入り易い内容になっているとも感じた。特に、「林檎曼陀羅」レベルで全体を統一して貰えれば、それこそ長編を凌ぐ出来栄えとなったのではないか。 | ||||
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まさに、まほかるワールド。普通短編集といえば、気楽に読めてあっさりだけど、これは違った!!一つ一つに思わず引き込まれ、それぞれのシーンが目の前にくっきりと浮かぶ!「ヤモリ」を読んだその時に、窓の内側に小さなヤモリが侵入してきて、ぞおおーとしました。まさに【痺れる】作品です。 | ||||
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作者の筆力に痺れました。 沼田まほかるを読んでみようかと思った人は、 最初にコレから読むと良いかもしれません。 9編の短編からなる1冊。 どの話も、物語の舞台と始まりは、ありふれた日常なのです。 しかし、何かをきっかけに狂っていく主人公たちの日常。 それは古い記憶だったり、 悲しい事件だったり、 突然の訪問者だったりするのですが、 いずれも、もしかしたら誰もが心の中に持っている、 小さな虫の卵のようなものが、 何かをきっかけに孵化し、 体の中でおぞましくも育ってしまったから起きてしまった悲劇。 この作品にも、メタファーのように「沼毛虫」や、黒いナメクジなどが出てきますが、 そんな生き物に寄生され、 どんどん壊れていくような、 そんな気がしました。 どこにでもある日常が壊れてしまう。 その恐ろしさ、こわさにどっぷりとハマってしまいました。 | ||||
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ゾクッとするブラックな小説集。ミステリーでもあり、ホラーでもあり…。でも、トリッキーな大どんでん返しを仕掛けられたり、見たこともない魔界へいきなり引きずり込まれたりといった、アクロバティックなアクションを浴びせられ、日常の遙か彼方へ放擲されるわけではない。 例えばそれは、自分一人きりだと思っていた部屋のなかで、ふいに首筋に息を吹きかけられるような、そんなささやかな悪意のアプローチ。瞬間、ゾクッと背筋に悪寒が走り、ほんの数センチ、体が地上から浮き上がったような感覚に見舞われる。そんな不安な浮遊感にもてあそばれる作品集。 首筋を押さえながら驚いてふり返った時、そこには微笑がある。悪戯な少女の笑みであったり、妖艶な美女の微笑みであったり、狡猾な毒婦の冷笑であったり、醜怪な魔女の嘲笑であったり…。その一瞬の表情が語る悪意のサジ加減で、同じブラックにも微細な濃淡の違いをかもし出す。いい作品集だ。 同じ作者の『ユリゴコロ』と『猫鳴り』も読んだが、本書が一番のお気に入り。もしかして、長編より短編がお得意? 願わくばそうであって欲しい。「短編上手は、小説上手」…。確か、誰かがそんなこと言ってなかったっけ…。 | ||||
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「彼女がその名を」「ユリゴコロ」が強烈な重厚作 なだけに、短編の出来はどうなのか? 期待に違わず、まほかるワールドが炸裂。 エロス・ホラー・喜劇を重々しく連鎖させながら、 日常に潜む人間の心闇を、まさしく井戸の中へ 投下し、深い底から響いてくる音が、各編ごとに 高低強弱あり、音が可視出来るような仕上げになっている。 9編あるが、捨て作もない、希有な完成度。 救いようのないモノ、笑ってしまう結末、女の情念と寂しさ、 孤独感が招く非日常への罠、エロの根底にある不気味な粘度等、 よくもここまで引き出しを充実させ、引きこまれる文脈を披露 したものだ。 オープニングにふさわしい「林檎曼陀羅」の真実のやりきれなさ、 「ヤモリ」の終結に向かう過程でのまとわりつく寂寥感、 「レイピスト」「TAKO」での主人公の不条理な女芯覚醒、 そして、「エトワール」で翻弄される女ごころで締める。 失礼な言い方だが、妙齢で紆余曲折を経験したと思われる筆者 ならではの白眉作品であった。 ひとつだけ、各編の最後の締めの一文のインパクトが短編としては 今ひとつなので、★4とした(シュルシュル除く)。 内容・文体・配置などには文句のつけようがないので、 やはり次回作が大いに期待できるまほかる女史なのである。 | ||||
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痺れる、というよりは、何だか「うへっ」と呟きたくなった。収められている9つの短編は、どれも淡々とした語り口で日常の傍らに口をあけている深淵を描き出していて、ほの暗かったり、滑稽で哀しかったり、背筋がぞっとしたりと、いろんなテイストを味わえる。中では最後の「エトワール」が印象に残った。 | ||||
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9編からなる短編集です。 似たようなテイストの作品がなく、 どのお話もそれぞれに違う怖さがありました。 完全に現実を見失ってしまった人のお話から、 日常から危ない世界に一歩踏み入れてしまった人まで、 どれかの主人公にはなる可能性があるかもと思いながら、 怖い物見たさで読みました。 なかでも私は、 「ヤモリ」と「テンガロンハット」を特に面白く読みました。 笑ってしまうような表現と、ぞくっとする怖さが紙一重で、 これからの暑い季節に特に良いのではないでしょうか。 細やかな表現力で、確実にお話の世界に入り込める、 お薦めの一冊です。 | ||||
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9編からなる短編集です。 似たようなテイストの作品がなく、 どのお話もそれぞれに違う怖さがありました。 完全に現実を見失ってしまった人のお話から、 日常から危ない世界に一歩踏み入れてしまった人まで、 どれかの主人公にはなる可能性があるかもと思いながら、 怖い物見たさで読みました。 なかでも私は、 「ヤモリ」と「テンガロンハット」を特に面白く読みました。 笑ってしまうような表現と、ぞくっとする怖さが紙一重で、 これからの暑い季節に特に良いのではないでしょうか。 細やかな表現力で、確実にお話の世界に入り込める、 お薦めの一冊です。 | ||||
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沼田 まほかるさんの最新短編集です。 林檎曼陀羅/レイピスト/ヤモリ/沼毛虫/テンガロンハット/ TAKO/普通じゃない/クモキリソウ/エトワール の9つのお話が収められています。 最近の女性作家が怖い話を書かなくなり恋愛・日常的な作品に移行する中で 久しぶりに背筋がぞわりぞわりとする様な作品に出会いました。 どの作品もとにかく怖い。 それも血が飛び交う様な怖さではなく心理的にぞくぞくする様な恐ろしさ。 怖いけれど結末が気になって読み始めたら止まらない。 こんな短編集を待っていました。 次回もすごく楽しみです。 | ||||
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