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炎の眠り
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炎の眠りの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.40pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全4件 1~4 1/1ページ
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「死者の書」「我らが影の声」「月の骨」に続くキャロルの4作目です。「月の骨」から「天使の牙から」までの6作が一応シリーズとされていますが、続き物ではなくそれぞれ独立した作品なので関連作とでも言うべきでしょうか。この「炎の眠り」では「月の骨」に登場した映画監督ウェーバーや彼の思い人カレンがちらりと登場しますが、重要な役ではありません。 現在まで翻訳されているキャロルの作品を読んだのはもう何十年も前で、最近また最初から再読しています。話の整合性や読みやすさなど娯楽作品としてみると、個人的にはいまだに処女作「死者の書」が一番です。インパクトが強烈でストーリーをまともにおぼえていたのはこの作品だけでした。 2作目はわりとストレートなホラーですが、「月の骨」以降はだんだん複雑になっている気がして、夢と現実が入り混じったり、ありえないことが普通に起こるので、時に話の進行が散漫になる印象で、キャロル作品は人を選ぶというかかなり好き嫌いが分かれると思います。 実際、日本ではあまり売れないそうで、翻訳も途中で止まってしまったのはとても残念です。 この「炎の眠り」の主人公アメリカ人のウォーカーはゴミ箱に捨てられていたところをホームレスに拾われた捨て子で、出生のことは何もわかっていません。現在はウィーン在住で映画脚本家として食べていけるようになりました。話の3分の1くらいまではどうして主人公がバツイチになってしまったか、そしてマリスという女性と出会って熱烈な恋に落ちる様子が描かれています。 変異が起きてくるのはそれからで、ウォーカーに瓜二つの肖像が描かれた墓石をマリスがみつけたところからです。見に行ってみると不気味な老婆に「レドナクセラ、ここにたどりつくまで長かったね」と声をかけられて戸惑います。自分はいったい何者なのかと調べ始める主人公。ある日ユダヤ人の老人ヴェナスクを紹介され、彼に導かれて眠っていた不思議な力をよみがえらせます。 キャロルの作品にいつも描かれるのは父親と子の関係です。キャロルの父親は有名なハリウッド映画の脚本家で、”偉大な”父親との間に軋轢でもあったのでしょうか。特にこの作品では毒親のような父が強烈な印象を残します。またユダヤ人がよく登場するのは、彼の母親がユダヤ系だったからかもしれません。 また、今回はキャロルにしてはめずらしく古い時代のことが主人公の前世として描かれていて、その描写がとても風情があって好きです。1900年代初頭のロシア、ナチス時代のオーストリアと南仏、そしてグリム童話の中の世界。 話のオチもグリム童話が関わってきますが、そのあたりはスリリングで読んでいてどきどきしました。キャロルの中では特に好きな作品です。 | ||||
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戦慄のデビュー作『死者の書』で、読者を驚愕させたダーク・ファンタジーの名手 ジョナサン・キャロルの長編。ハイファンタジーではないのだけれど、普通小説の中に、幻想小説を混入させたような作品。 本書の前半は、主人公である脚本家兼俳優ウォーカーの日常。親友のニコラスや、2番目の妻となるマリスとの日々が綴られていく。ちょっとオシャレな映画を見ているような感覚だ。しばらくは、ウィーンの風物の中で繰り広げられるウォーカーと、チャーミングなマリスの恋物語を堪能する。 ストーリーが転換するのは、マリスがウォーカーにそっくりな肖像を墓場でみつけてから。その人物は30年前に父親に殺害されていたのだ。ウォーカーとマリスに不吉な影がしのびよる。ニコラスの突然の死や、ウォーカーの夢にあらわれる別の人生。白日夢のように現れる海龍。 後半からは、(剣はないけど)魔法の世界。ウォーカーのメンターとなるシャーマンの登場。その死。ウォーカーの生と死にまつわる謎とは何か ・・・ とつづく。 本書は、グリム童話ルンペルシュティルツヘンをモチーフにしている。個人的には、童話に題材をとる作品にはいささか食傷気味だったりするのだが、本書は別格。ハッピーエンドに一撃をくらわす最後の一文が秀逸だったりする。 全体としてとっちらかった感があるのだが、ダークファンタジーというものを堪能できる作品。 | ||||
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「自分って何者?」 孤児だった主人公ウォーカーは、自分探しを始め、グリム童話の中の不思議な世界に入り込んでいってしまいます。 魔法、本当の名前、本当の父親。 ピースは少しづつ真実に近づいて、「それがなんなのか知りたい!」 読めば読むほど、作者の術にのめり込んでいきます。 ラストのラストまで、美味しいくらいの恐怖と悪夢を見せてくれます。 | ||||
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墓石に刻まれた自分の顔、いったい僕は何者なんだろう?ダークファンタジーの担い手キャロルが送る、私のベストワンミステリー。導入部から読者をぐいぐい引き込む→ロマンスでうっとりさせる→どんどん謎が解きほぐされ・・・そしてあっと息を呑む結末!名セリフ多数!(もちろんこれは訳者の浅羽莢子さんによるところが大きいですが)傑作は「ウィーンで馬車に乗っているのがほとんど日本人なのはなぜだろう?」「パリでハンバーガーを食ってるアメリカ人よりはましさ」というところ!マリスは私の憧れの女性・・・何度読み返しても本当に大好きな作品です。不気味な結末には心底ゾッとさせられますが、キャロルファンにはたまらない! | ||||
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