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鉄の骨
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鉄の骨の評価:
| 書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.31pt | ||||||||
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全300件 281~300 15/15ページ
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| 自営の土建屋です。 ゼネコンには足元にも及ばない小さな会社です。 談合というものを、それとは関係ないところに住む方々に少しは理解してもらえ良かったのかもしれません。 ただ、食うか食われるかの建設業界で生きている者にとっては、談合の本質をもうちょっと掘り下げてほしかった。でもこれが限界だったのかな・・? 共存するための談合と、悪人が潤うための官製談合、字は同じでも全く違うんだ。。 それに、ゼネコンがまるで構造物を実際作っているかのような表現(飼い殺しの下請業者の存在にもっと日の目を当ててほしかった。上の都合で予算を削られながらも実際に汚れ仕事をしている者の存在。。)には抵抗を感じました。 小説なんだからしょうがないか・・・。 おもしろかったです。他人事だったらもっとおもしろかったんだろうな。。 | ||||
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| 今回も池井戸さんの手腕にうならされました。 談合の理屈は新聞でも読んで知っていましたが、まるで企業活動の真ん中に立って、 事態の展開を眺められるような筆力には、またもや感動。 中堅ゼネコン一松組の一兵卒、平太とその恋人、銀行員の萌の視点から、素人の私にも わかりやすく談合の詳しい仕組みやその深い闇の部分が明らかにされていきます。 大物フィクサーや巨悪と言われる政治家も登場して、一松組は翻弄され、危機に直面します。 今回は主人公があくまで正義を貫こうという姿勢ではなく、談合という犯罪と、 会社の論理のなかで悩んだり、妥協したりする、ある意味等身大の青年でした。その 恋人の萌もまた、銀行という特殊な会社のなかで、変化していく自分にとまどう 揺れ動く女性として描かれます。 社会のなかで戦う企業戦士のさまざまな形態を、リアルにきっちりと描き出す作者。 この作品も、談合というシステムの裏表を克明に見せてくれました。正義と悪だけでは 割り切れない慣習、利権、既得権益。その中で歯車の一つであるサラリーマンの平太が、 仲間とともに必死に仕事に取り組む姿は、何万ものサラリーマンへのエールに思えます。 三橋、尾形、など大物の人物造形もよかったけれど、先輩社員の西田くんが、なんか かっこよかったなあ。むち体型で、おちゃらけているんだけど、やる時はヤル、出来る男 ってところが魅力的でした。 ノンストップの徹夜本です。お薦め^^v | ||||
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| 直木賞は受賞作よりも候補作のほうが面白い場合がある(宮部みゆきの「火車」など)ので、下馬評の高かった本作を手に取りました。 「ゼネコン入社4年目の主人公が突然業務部への異動し談合に関わることになる」という予備知識から「きっと主人公は、社会に反する談合を強要され、自身の良心の呵責で苦悩し〜〜」というニュアンスなんだろうな、と思って読み始めたところ痛い目にあいました。「プリズン・トリック」と同じように帯に騙されました。「談合に切り込み、現代を切り取る超弩級ドラマ」って……。 主人公は談合に切り込むどころか傍観役といった方がよく、談合に苦悩するよりも彼女との仲で苦悩をはじめ、途中ご都合主義的にある人物が病気で倒れ、主人公は仕事どころではない心理状態になり、とてもじゃないが談合をテーマとする社会派小説の主人公として感情移入できたものではなかったです。 本筋の談合については、 ・まず著者はきちんと技術的な考察をしたのか?と疑問を持ってしまった。ある方法で地下鉄工事のコスト削減を行うのだが、コスト削減ならばまず技術的に容易な開削を検討するのが妥当なんでないかい?と大学で土木を学んだ私は思ってしまった。 ・3/4くらい読んだ所で落ちが容易に読めるので(恐らく著者が頭をひねったであろう)検察官の裏金の流れ解明に緊迫感がなくなってしまった。 悪いところを述べたが、業務部と営業部のやりとりは面白く、大風呂敷を広げた割りにまとまりはよかったので星3おまけして4くらい、重いテーマに騙されて過大評価で、とてもじゃないが傑作ではないと思いました。 | ||||
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| 500頁超の大作でしたが、あっという間に読み終わりました。社会性・時代性・業界の裏話・汚職・恋愛・ライバルとの競争など、エンタメ小説に必要なすべての要素が詰まった傑作です。まあ、それだけにありがちな展開と言ってしまえば、そのように言うこともできますが、それでも気持ち良いものは気持ち良い。おいしい幕の内弁当はいつ食べてもおいしいのとおんなじですね。しかも、その箱が新しくて美しいって感じです。主人公の平太のキャラが弱かったかな。周囲を取り巻くキャラが個性的で良かっただけに、そこが惜しいかも。 | ||||
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| いわゆる薄口の味であればそれなりにはんなりとした味わいがある。しかし、ビールに水を混ぜてはいけない。 登場人物のそれぞれが個性的であるところ、表現が拙劣なためその誰にも存在感がない。汗の臭いどころかこもった熱さえ感じることができない。理由は、本作家には本当に表現しなければならない切羽詰まった事情がないところにある。 例えばこの題材を高村薫が書いたとすればおよそ圧倒的な迫力をもって読者に迫る作品になることと思う。それぞれの人物と関係にどこまで深く心で沈潜できているかの違いだ。 ただ評価できる点がひとつある。談合とは受注過程における問題であって、生産過程における価値に対してはきちんと光を当てているところです。 | ||||
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| 公共工事を巡る官製談合をテーマにした作品。500頁を超えるボリュームに少しひるんだが、読み出すと平易でわかりやすい展開に助けられて、さくさく読み進めることができた。 テーマ自体は非常に重い。この国から消えない談合が必要悪なのかどうかというテーマについて、中堅ゼネコンに勤務する主人公の目を通して、真正面から取り組んでいる。業界が生き残るためには談合は必要なのか、それとも談合により企業淘汰が遅れて業界全体が沈没しているのか、読者は主人公と同じ目線で悩むことになる。 通称談合課に配属された主人公と一緒に、大型案件受注に凌ぎを削るゼネコン各社の様子が生き生きと描かれ、最後のクライマックスまで一気に読むことができた。主人公と銀行員の恋人との関係も平行して描かれるが、こちらの展開はメインストーリーに比べてやや平凡だが、それも含めて全体として楽しめる作品だ。 | ||||
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| ゼネコンと建設談合を扱った小説。中堅ゼネコンの「業務課」に配属された4年目社員の目線から、業界の姿が描かれる。いくら逮捕者を出してもなくならない談合だが、池井戸氏はそれを、業界が生き残るための必要悪であるという見方を示す一方で、やはり将来的には改革されねばならないという方向で(きれいに)まとめている。大型工事を巡って、経営的に危機に瀕するゼネコン救済のための談合と政治家への資金供給・・・。これが必要悪というのならば業界には自浄作用はない。 談合のありなしに関わらず、業界は大小入り乱れた、それこそ生き残るための最後の戦いをしている。まさに会社の総合力を駆使した消耗戦である。そういう前線にあって、小説の主人公の目線が若すぎるし、小説でしか「ありえない」設定には甘さを感じる。そのため読んでいて嘘っぽく作り物めいた印象を受ける。1000億円規模のプロジェクトの実務を、業務課の人間が中心になって動かすということも(普通では)ないのではなかろうか。 マスコミで定期的に(権力闘争がらみからか)談合問題が溯上に上るので興味を持って読んだが、談合問題の本質に迫るという点からの切り込みも弱く感じた。 もっとも、「鉄の骨」というタイトルは、絶滅した恐竜を彷彿とさせ、その意味からは深い含意と皮肉があるのかと。 | ||||
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| 面白い。談合とはこういうことだったのか! 硬派の小説なのに読後感が爽やか。 官公庁の大口工事を入札する課に突然異動になった、 若きゼネコンマン冨島平太の 真摯な姿勢と奮闘ぶりが実にいい。 なぜ平太は異動になったのか?その種明かしに驚く。 たった一つの工事の受注がどれだけの汗と努力と残業に 支えられているか痛切に読み取れる。 2000億円の地下鉄工事の入札を巡る中堅建設‘一松組’と 競合他社の大手ゼネコン数社。 その社運と存亡を賭けたすさまじい戦い。 堅い話であるのに面白く読ませるのは、 平太の投げかける疑問や意見が読者目線であること。 談合・マネーロンダリング・フィクサーの登場・ 大物政治家の裏金・追う検察‥ 談合に手を染めていく平太‥恋人との確執‥ そしてどんでん返しの結末! 八ッ場ダム建設を中止したM原国土交通省大臣、 長年の不透明な資金管理で話題のO沢一郎幹事長、 そんな人にこの本を読んでもらいたい。 H22年度直木賞候補作。 | ||||
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| 直木賞受賞作に準ずる出来だと評された第三席の作品。この作者は社会派エンターテイメント小説の第一人者です。前回の「空飛ぶタイヤ」に続いて受賞を逃しましたが、文春から出版すれば次の受賞は間違いないところです。 建設業界の談合をざっくり描き出して、しかも若者の成長物語に仕上がっています。キャラクターがちょっと浅い気もしますが、重い題材を妙に深刻にならずに明るく描き出していて読後感がさっぱりしています。ラストにはツイストもあるし、面倒くさい題材を極上エンターテイメントに仕上げてしまう筆力に感服しました。 | ||||
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| 作者は、「談合」と言う日本の古い体質に対してメスを入れた社会派小説として書かれたと思うのですが、私には、むしろ主人公平太の成長ドラマとしての要素を強く感じました。 大学を出て4年と言う年齢では、まだまだ会社の全体像は解らず、業界の仕組みも理解できていないでしょう。 そんな主人公が、「談合課」に配転されて、大きな地下鉄談合事件に巻き込まれる中で、仕事をするプロとしての意識や考え方を身につけてゆき、人間的にも一回り大きくなって行く。 そんな物語です。 その間には、母親の幼馴染らしき男性を「談合」の仕切り役として登場させたり、恋人萌との関係の微妙な変化を見せています。 更には、まさに「談合課」のプロとも言える西田の存在があります。 これらすべてが、若い主人公の血となり肉となって、一人前の社会人に育て上げているように思えます。 その意味では、大いにこの本を楽しむことが出来ました。 ただ、「談合」に切り込んだと言うことには、やや不満が残りました。 ここで書かれている「談合」の内容は、ちょっと「談合」について調べれば解る事で、もっと切り込んで欲しかった気がします。 特に、「官」への切り込みがなかったのが非常に残念です。 | ||||
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| ■【元バンカーからの談合小説 】 著者は、銀行出身だが、10年を待たずに金融業界を去り、 小説家に転身している。若きゼネコンマンを主人公として、 建設業界の『談合』を描いている。(業界に身を置いた者とし て、ストーリーの結末は予想通りで、失望!) ■【業者からの謝礼金が政治家に渡るフロー 】 2010年1月16日の今日、新聞の一面他で与党代議士逮捕で 賑わしている政治資金虚偽記載問題も、底には、工事受注 の謝礼金を以下に表に出さないように、所謂、「ウラ金」とし て誤魔化そうとした性質の悪い工作として立件しようとする 検察庁のメンツがあるようだ。業者からの受注謝礼金を如 何に「ウラ金」として処理し、その「ウラ金」を如何に巧妙にオ モテのお金にするか、が本著書では描いている。 ■【90%以上が闇の中 】 事実は小説より奇なり、で建設業界の政官業の『談合の 三角形』の構図は、本書で描いた内容では氷山の一角で、 残りの90%以上はまだまだ闇の中だろう。 ■【官製談合の実態は? 】 本著書で描かれた、地下鉄工事と某ゼネコンマンの談合仕 切役などは、10年前位の大坂市営地下鉄工事事件をヒント に、元バンカーの眼で描かれている。政官業の微妙なバラ ンスの上で成り立つ¥『談合』は、実際には、官の比重が大 きいと思うのだが実態は不透明で、その為か?、著者の記 述は少ない。ダマシ・ダマサレとしてのエンターテイメントとし ては良いかもしれないが、今後は、著者に社会派としての 著作を期待したい。 | ||||
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| 残念ながら直木賞を逃した作品だが、 その理由はもしかすると、選考委員たちが 著者の筆力・構成力・取材力に圧倒され、 作家としての怖れや嫉妬心を抱いたからかもしれない。 (宮部みゆきが「火車」で直木賞を逃したときの 状況に似ている) 今の出版界で、著者ほど冷静に 日本の経済あるいは企業の置かれている状況を分析し、 小説に昇華している作家はいないだろう。 他の経済小説家の作品が分析レポートにしか 過ぎないのに比べれば、それは明らかだ。 この「鉄の骨」も、建築関係に勤めている者なら 誰もが「モデルはどこなんだ…」と舌を巻く内容と なっている。 願わくば、著者が城山三郎を越える存在として、 小説を読む醍醐味を味わいつつ、経済も学べるという、 未踏のジャンルを開拓し続けていってほしい。 | ||||
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| 多少なりと建設業界に身を置いたことのある人なら、『なるほど!』と言って読める本です。 談合が、正義か悪かの議論は別として、こうした世界もあるということ。 おそらく建設業界だけではなく、日本の経済界では多かれ少なかれこういった手法で 仕事が行われてきたのだと思う。 文中にもあったが、今や制度自体がボーダレスになり、 ある意味アウトローのやりたい放題となっている。 旧態然とした制度が決してと良いとは思わないが、 急激な変化が後世この国にどのような影響を及ばすのか? 安心して通れる道路など、日本から無くなるかも? これは、極論ですが・・・ 本書は、『談合=悪』⇒『権力の権化』というスタンスである。 日頃、権力に抑えつけられている方々にとって、結末は痛快であろう! 昨今の献金騒動とリンクさせて読むと、より面白さが増すことでしょう。 だからと言って誤解しないで欲しいのは、 総ての建設業者が、政治力や賄賂で仕事している訳ではない。 半分以上が、まともな業者ですので・・・ | ||||
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| 脱談合宣言をしながら、過去のしがらみから抜け出せず談合を繰り返す建設業者。それぞれの会社の思惑が絡みながら、政治家の介入、検察の捜査など公共工事の落札を巡る壮大な駆け引き。建設会社の実情や談合の様子が、業務課に配属されたばかりの若手社員平太の視点から丁寧に描かれていてとても読みやすかった。 また、建設業者に融資をする立場の銀行に勤務する恋人の萌との価値観の違いによるすれ違いの様子もリアルだったし、地下鉄工事を巡る入札の場面は最後まで緊張感があっておもしろかった。個人的には平太の先輩の西田のキャラが好きだった。普段はひょうきん者を演じているが、いざというときは頼りになる仕事のできる男に豹変するキャラは好感がもてた。 | ||||
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| 今、話題の本。確かに、社会派エンタメ小説として読了感は悪くない。 本書には3つの要素がある。まず、公共事業を巡る政官財の癒着と談合と言う日本特有の業界体質にメスを入れた社会派小説として、また、その中で奮闘する者たちを描いた企業小説として、そして、ひとりの若者の成長小説としての側面だ。 大型案件受注の為の知恵と情報の結集は、ビジネスマンとして共感出来る部分が多いし、運命の入札日に向かって、様々な思惑と駆け引きが交錯する過程はスリリング。平太と萌、学生時代同じ価値観、世界を生きてきたふたりがいつしか心が離れていく、社会人(大人)になる上で、悩み、もがき、傷つき、試行錯誤しながらも成長していく様は、誰もが思い当たる事項として心動かされるのではないか。何より、良い意味で劇画、TVドラマ的で分かりやすいし面白いのである。 ただ、コンプライアンスか必要悪か、今作の趣旨は“脱談合”である事は間違えないし、私も透明かつ公平な競争理念を正とする者だが、それが、日本の全産業人口の中でも大きな比率を占める建設業(特に中小零細)の経営を切迫、疲弊させているのも悲しいかな事実。「談合こそもたれ合い、価格競争こそ赤字企業淘汰、健全で強い体質の企業による自由競争が生まれる」と言い放つエリート銀行員園田の主張は、何やら構造改革、市場原理主義者の小泉=竹中ラインの姿とダブって来るのだ。 強固で狡猾なスーパー・ゼネコンが類型的な悪として描かれている事に快哉を叫ぶ者は多いと思うが、理想と現実のハザマに悩む業界人はいると思う。 | ||||
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| 池井戸潤氏の作品はどれも面白い。本書も期待を裏切られなかった。本書は、地下鉄工事に関わる官製談合事件に関与する過程が非常に緊迫感あり、やっと一松組に入社出来た3年目の主人公富島平太の生き方、談合課と揶揄される業務課のチームワーク、平太の恋人野村萌がいる白水銀行新宿支店、その4年先輩男性行員との関係、これらが複層的に絡み合っていく展開が面白い。談合であるから中堅ゼネコンの話だけと思いきや、そこにはやはり池井戸氏得意の銀行員が効果的にストーリー展開できていることに感心する。二代目社長松田篤の中堅ゼネコン、業務課は官公庁の大口工事受注を専門とする一松組の生命線だ。担当役員は尾形総司常務、清水組元役員で先代に三顧の礼で迎えられた。業務課長兼松巌は40代半ば、西田吾朗は30歳過ぎで見かけはぐうたらだが実力はピカ一、仕事は滅法出来る。そして柴田理彩と富島平太。彼らの組織と連携が素晴らしい。談合は検察が狙う政治家城山和彦を頂点に、大物フィクサーで山崎組顧問の三橋萬造を軸に、真野建設(長岡営業部長)、村田組(岸原常務)等々のゼネコンの動きと密約がハラハラする。白水銀行新宿支店の支店長江坂禎治郎、融資課で一松組を担当する園田俊一、恋人平太と大学テニスサークルで同期の野村萌、平太と萌と園田の間の恋の葛藤、これらの物語が並行して進むから面白い。厳しい営業競争の中、コスト引下げ、数字作りで勝ち取る努力と、自分の仕事へのプライド、旧弊から抜け出せないしがらみ、理不尽な要求と調整、談合と脱談合の企業とで、仕組みと辛さがよくわかる。池井戸潤氏と言えば私から見た代表三羽烏は、「オレたちバブル入行組」「オレたち花のバブル組」「シャイロックの子供たち」の若手銀行員の活躍ものだ。その他、「不祥事」「銀行仕置人」「仇敵」「銀行総務特命」「銀行狐」等々全て面白い。更に本書はゼネコン談合、検察、銀行だから何倍も面白い。 | ||||
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| 久しぶりに池井戸ワールド堪能させていただきました。金融と推理小説がミックスされた池井戸氏の作品に引かれて、金融を学びながら楽しめる一石二鳥の小説として、これまでも楽しんできました。今回は、テーマが「談合」、舞台が「土木」です。過去の作品に、自動車業界を描いて映像化された「空飛ぶタイヤ」が、今、話題になっていますが、今回は主人公の彼女が、メインバンクに勤めている設定であることを除けば、金融色は、ほとんど払拭され、新しい業界でのストリー展開がとても新鮮です。 息をもつかせぬスペクタルな展開の連続に、かなりのボリュームですが、あっという間に読み終えてしまいました。時がたつのを忘れるというのはこのことですね。この物語を通して、土木業界についても少し学べたような気がします。結末は、やはり池井戸シリーズ共通の痛快な締めくくりです。「空飛ぶタイヤ」に続いて、映像化してほしい作品です。 | ||||
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| 談合は果たして本当に悪なのか? そんなことを考えさせられる本です。 突然談合課に配属され,談合の実態を知ることになる主人公の目を通して 綺麗事だけではどうにもならない社会を描いています。 談合の渦中に取り込まれていく主人公と,恋人との危うい関係が 読み手をはらはらさせ,一気に読ませます。面白かった! | ||||
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| 全く門外漢だった「建設業界」や「談合」について、よく理解できたしおもしろかった。 談合とか銀行とか女性にとってとっつきにくい題材でも、池井戸さんの手にかかるとほんとに楽しませてくれます。 中堅ゼネコンの現場で働く入社4年目の富島平太は、突然業務部への異動を言い渡される。 業務部とは、営業、しかも大口の公共事業などが中心。まったく畑違いの部署に不平を募らせる平太だったが、業界のフィクサーと噂される人物と知り合ったり信念を持った上司たちの素晴らしい働き振りを目の当たりにし、徐々に仕事にのめりこんでいく。 しかし、「談合」という壁が常に目の前にたちはだかり…。 世の中には、間違っているとわかっていても仕方ないとあきらめなければならないこととかがたくさんあると思うんだけど、常に自分で何が正しいのか考え続けて主張し続ければ、少しはこの低迷する日本を変えていけるのかもと思わせられた。 建設業界、銀行、東京地検など、さまざまな人たちの立場から事件を見せてくれたのでさらにわかりやすかった。 平太の彼女・萌が、若い平太と先輩のエリート銀行員との間で悩む気持ちがリアル。 確かに、若い時には多少経験を持っている人がかっこよく見えたりするから。 ラストはびっくりです。 | ||||
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| 分かりやすく言うと“山崎豊子のエンタメ版”って感じなのだけど(失礼!)、すっごく面白かった。 中堅ゼネコンの4年目社員が、突然現場担当から談合課と呼ばれる業務課に異動して起こる、談合を舞台にした話。世間から悪の根源的なイメージのある談合が、必要悪であるのかどうか、下っ端のサラリーマンという立場でありながらその当事者としての葛藤を描かれている。 さらには不況で喘ぐ建設土木業界を中から、そして銀行という立場から眺めつつ、それが結婚を前にする彼氏、彼女の関係におよんでいたり、その背後では東京地検特捜部が談合の真相に迫っていたり・・・。結末までずーっと楽しく読めた。 非常によく練られたエンタメ小説。 マスコミの報道には、なんでもかんでも「いいモン or 悪いモン」のレッテルを貼り、問題を論じる風潮がある。 けれども、登場人物それぞれの立場による考え方や、言動によって、単純な「いいモン or 悪いモン」ではなく自然と多角的な視点を示してくれるのは小説ならではなのかも知れないと思った。そういう意味で、この小説の本当の価値は、 「読み手の価値観を揺さぶってくれること」 にある気がする。 “いい小説”ってのは、色恋物でもなんでもそうなのかも知れないけれど。 | ||||
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