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鉄の骨
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鉄の骨の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.30pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全288件 281~288 15/15ページ
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多少なりと建設業界に身を置いたことのある人なら、『なるほど!』と言って読める本です。 談合が、正義か悪かの議論は別として、こうした世界もあるということ。 おそらく建設業界だけではなく、日本の経済界では多かれ少なかれこういった手法で 仕事が行われてきたのだと思う。 文中にもあったが、今や制度自体がボーダレスになり、 ある意味アウトローのやりたい放題となっている。 旧態然とした制度が決してと良いとは思わないが、 急激な変化が後世この国にどのような影響を及ばすのか? 安心して通れる道路など、日本から無くなるかも? これは、極論ですが・・・ 本書は、『談合=悪』⇒『権力の権化』というスタンスである。 日頃、権力に抑えつけられている方々にとって、結末は痛快であろう! 昨今の献金騒動とリンクさせて読むと、より面白さが増すことでしょう。 だからと言って誤解しないで欲しいのは、 総ての建設業者が、政治力や賄賂で仕事している訳ではない。 半分以上が、まともな業者ですので・・・ | ||||
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脱談合宣言をしながら、過去のしがらみから抜け出せず談合を繰り返す建設業者。それぞれの会社の思惑が絡みながら、政治家の介入、検察の捜査など公共工事の落札を巡る壮大な駆け引き。建設会社の実情や談合の様子が、業務課に配属されたばかりの若手社員平太の視点から丁寧に描かれていてとても読みやすかった。 また、建設業者に融資をする立場の銀行に勤務する恋人の萌との価値観の違いによるすれ違いの様子もリアルだったし、地下鉄工事を巡る入札の場面は最後まで緊張感があっておもしろかった。個人的には平太の先輩の西田のキャラが好きだった。普段はひょうきん者を演じているが、いざというときは頼りになる仕事のできる男に豹変するキャラは好感がもてた。 | ||||
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今、話題の本。確かに、社会派エンタメ小説として読了感は悪くない。 本書には3つの要素がある。まず、公共事業を巡る政官財の癒着と談合と言う日本特有の業界体質にメスを入れた社会派小説として、また、その中で奮闘する者たちを描いた企業小説として、そして、ひとりの若者の成長小説としての側面だ。 大型案件受注の為の知恵と情報の結集は、ビジネスマンとして共感出来る部分が多いし、運命の入札日に向かって、様々な思惑と駆け引きが交錯する過程はスリリング。平太と萌、学生時代同じ価値観、世界を生きてきたふたりがいつしか心が離れていく、社会人(大人)になる上で、悩み、もがき、傷つき、試行錯誤しながらも成長していく様は、誰もが思い当たる事項として心動かされるのではないか。何より、良い意味で劇画、TVドラマ的で分かりやすいし面白いのである。 ただ、コンプライアンスか必要悪か、今作の趣旨は“脱談合”である事は間違えないし、私も透明かつ公平な競争理念を正とする者だが、それが、日本の全産業人口の中でも大きな比率を占める建設業(特に中小零細)の経営を切迫、疲弊させているのも悲しいかな事実。「談合こそもたれ合い、価格競争こそ赤字企業淘汰、健全で強い体質の企業による自由競争が生まれる」と言い放つエリート銀行員園田の主張は、何やら構造改革、市場原理主義者の小泉=竹中ラインの姿とダブって来るのだ。 強固で狡猾なスーパー・ゼネコンが類型的な悪として描かれている事に快哉を叫ぶ者は多いと思うが、理想と現実のハザマに悩む業界人はいると思う。 | ||||
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池井戸潤氏の作品はどれも面白い。本書も期待を裏切られなかった。本書は、地下鉄工事に関わる官製談合事件に関与する過程が非常に緊迫感あり、やっと一松組に入社出来た3年目の主人公富島平太の生き方、談合課と揶揄される業務課のチームワーク、平太の恋人野村萌がいる白水銀行新宿支店、その4年先輩男性行員との関係、これらが複層的に絡み合っていく展開が面白い。談合であるから中堅ゼネコンの話だけと思いきや、そこにはやはり池井戸氏得意の銀行員が効果的にストーリー展開できていることに感心する。二代目社長松田篤の中堅ゼネコン、業務課は官公庁の大口工事受注を専門とする一松組の生命線だ。担当役員は尾形総司常務、清水組元役員で先代に三顧の礼で迎えられた。業務課長兼松巌は40代半ば、西田吾朗は30歳過ぎで見かけはぐうたらだが実力はピカ一、仕事は滅法出来る。そして柴田理彩と富島平太。彼らの組織と連携が素晴らしい。談合は検察が狙う政治家城山和彦を頂点に、大物フィクサーで山崎組顧問の三橋萬造を軸に、真野建設(長岡営業部長)、村田組(岸原常務)等々のゼネコンの動きと密約がハラハラする。白水銀行新宿支店の支店長江坂禎治郎、融資課で一松組を担当する園田俊一、恋人平太と大学テニスサークルで同期の野村萌、平太と萌と園田の間の恋の葛藤、これらの物語が並行して進むから面白い。厳しい営業競争の中、コスト引下げ、数字作りで勝ち取る努力と、自分の仕事へのプライド、旧弊から抜け出せないしがらみ、理不尽な要求と調整、談合と脱談合の企業とで、仕組みと辛さがよくわかる。池井戸潤氏と言えば私から見た代表三羽烏は、「オレたちバブル入行組」「オレたち花のバブル組」「シャイロックの子供たち」の若手銀行員の活躍ものだ。その他、「不祥事」「銀行仕置人」「仇敵」「銀行総務特命」「銀行狐」等々全て面白い。更に本書はゼネコン談合、検察、銀行だから何倍も面白い。 | ||||
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久しぶりに池井戸ワールド堪能させていただきました。金融と推理小説がミックスされた池井戸氏の作品に引かれて、金融を学びながら楽しめる一石二鳥の小説として、これまでも楽しんできました。今回は、テーマが「談合」、舞台が「土木」です。過去の作品に、自動車業界を描いて映像化された「空飛ぶタイヤ」が、今、話題になっていますが、今回は主人公の彼女が、メインバンクに勤めている設定であることを除けば、金融色は、ほとんど払拭され、新しい業界でのストリー展開がとても新鮮です。 息をもつかせぬスペクタルな展開の連続に、かなりのボリュームですが、あっという間に読み終えてしまいました。時がたつのを忘れるというのはこのことですね。この物語を通して、土木業界についても少し学べたような気がします。結末は、やはり池井戸シリーズ共通の痛快な締めくくりです。「空飛ぶタイヤ」に続いて、映像化してほしい作品です。 | ||||
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談合は果たして本当に悪なのか? そんなことを考えさせられる本です。 突然談合課に配属され,談合の実態を知ることになる主人公の目を通して 綺麗事だけではどうにもならない社会を描いています。 談合の渦中に取り込まれていく主人公と,恋人との危うい関係が 読み手をはらはらさせ,一気に読ませます。面白かった! | ||||
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全く門外漢だった「建設業界」や「談合」について、よく理解できたしおもしろかった。 談合とか銀行とか女性にとってとっつきにくい題材でも、池井戸さんの手にかかるとほんとに楽しませてくれます。 中堅ゼネコンの現場で働く入社4年目の富島平太は、突然業務部への異動を言い渡される。 業務部とは、営業、しかも大口の公共事業などが中心。まったく畑違いの部署に不平を募らせる平太だったが、業界のフィクサーと噂される人物と知り合ったり信念を持った上司たちの素晴らしい働き振りを目の当たりにし、徐々に仕事にのめりこんでいく。 しかし、「談合」という壁が常に目の前にたちはだかり…。 世の中には、間違っているとわかっていても仕方ないとあきらめなければならないこととかがたくさんあると思うんだけど、常に自分で何が正しいのか考え続けて主張し続ければ、少しはこの低迷する日本を変えていけるのかもと思わせられた。 建設業界、銀行、東京地検など、さまざまな人たちの立場から事件を見せてくれたのでさらにわかりやすかった。 平太の彼女・萌が、若い平太と先輩のエリート銀行員との間で悩む気持ちがリアル。 確かに、若い時には多少経験を持っている人がかっこよく見えたりするから。 ラストはびっくりです。 | ||||
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分かりやすく言うと“山崎豊子のエンタメ版”って感じなのだけど(失礼!)、すっごく面白かった。 中堅ゼネコンの4年目社員が、突然現場担当から談合課と呼ばれる業務課に異動して起こる、談合を舞台にした話。世間から悪の根源的なイメージのある談合が、必要悪であるのかどうか、下っ端のサラリーマンという立場でありながらその当事者としての葛藤を描かれている。 さらには不況で喘ぐ建設土木業界を中から、そして銀行という立場から眺めつつ、それが結婚を前にする彼氏、彼女の関係におよんでいたり、その背後では東京地検特捜部が談合の真相に迫っていたり・・・。結末までずーっと楽しく読めた。 非常によく練られたエンタメ小説。 マスコミの報道には、なんでもかんでも「いいモン or 悪いモン」のレッテルを貼り、問題を論じる風潮がある。 けれども、登場人物それぞれの立場による考え方や、言動によって、単純な「いいモン or 悪いモン」ではなく自然と多角的な視点を示してくれるのは小説ならではなのかも知れないと思った。そういう意味で、この小説の本当の価値は、 「読み手の価値観を揺さぶってくれること」 にある気がする。 “いい小説”ってのは、色恋物でもなんでもそうなのかも知れないけれど。 | ||||
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