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水の時計
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水の時計の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.92pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全18件 1~18 1/1ページ
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今年一番の作品。本格ミステリー好きな私だが、この作品には驚嘆。ミステリー性はやや欠けるものの、ぐいぐい読み手を引っ張っていくストーリーとプロットは新人とは思えない迫力。横溝正史という巨人が生誕し百年を超えるが、その横溝史ミステリー大賞を受賞したのも全く異論なく頷ける。この作品との出逢いに感謝すら覚える。 | ||||
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過去に読んだ事があったのですが、また読みたくなったので購入しました。 本書の素晴らしいところは、主人公の色々な描かれ方です。 多くはチャプター毎に登場する語り部たちから見た姿なのですが、特徴的な主人公の風貌が語られると、思わず登場を喜びたくなるほどの魅力に満ちた主人公です。 また、主人公が搭乗する赤い『カワサキZZR600(2005年以前のモデルと思われます)』は本書の象徴的なアイテムになりますので、一度画像で見ておくと臨場感が得られるかと思われます。 そして何より、終盤にかけて明かされていく伏線回収には見事なものがあり、感心する事請け合いです。 | ||||
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本作品は、第22回(2002年)横溝正史ミステリ大賞を受賞し、著者のデビュー作となったもの。 私は、本作品を読む前に、長編第2作の「漆黒の王子」や第3作「1/2の騎士」、また、連作短編学園ミステリ「ハルタとチカ」シリーズを読んでおり、著者の独得の作品世界に惹かれ、原点である、本作品を読んでみることとしました。 正直なところ、ミステリとしての完成度は、第2作以降の作品の方が高いと思われます。 でも、これは読者としては嬉しい傾向で、書き進めることで、ミステリの手腕が磨かれていることを示しているからです。 とは言っても、本作品もレベル的には満足のいく作品でした。 主人公の高校生、高村はあるきっかけで、脳死状態の少女、葉月と出会う。 彼女は、「脳死」でありながら、特殊な装置を使い、自分の心情を「声」にして発することができるのであった。 高村は、葉月から、思いもかけない依頼を受けることになるが…。 という、ちょっとSFがかったというか、ファンタジックな物語世界が広がっていくのですが、テーマは、ずばり「臓器移植」です。 これは作品紹介や、本書巻末の参考文献からも明らかなことなのですが、この部分に、後続の作品にも繋がる、著者独特の作品世界の萌芽が窺えます。 それは、「社会的なテーマ」を題材に、思いがけないアプローチでミステリ作品に仕上げていく──という点です。 「臓器移植」がテーマなら、普通に書くと、「社会派ミステリ」になってしまうのでしょうが、著者はそんなことはしません。 舞台設定は、ファンタジックな装いで、現実から遊離した感じを受ける。 ところが、読み進めていくと、見事に「社会的なテーマ」が練り込まれていることに気づかされる──という展開。 本作品の難点を挙げれば、後続の作品に比べ、「意外性」や「ロジックを駆使した解決」という部分が弱い点でしょうか。 もっとも、「臓器移植」をこのようなスタイルで描いた作品は、恐らく、世界にただひとつでしょうから、著者の作品を気に入っている方なら、一読の価値はあります。 | ||||
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これがミステリーと言うかといえば(?)と言う マークが着いてしまう作品です。 すごく広い範囲で考えれば1つだけ推理要素、と言うのは あることはあるのですが、殺人と言うものが 絡まない以上それメインで読むことは難しくなっています。 物語はいわば現代版「幸福の王子」 一人の脳死の少女が自分の体を犠牲にし 臓器を一人の青年に届けさせるというもの。 この青年も心にすごい闇を抱えているからでしょう。 全体的に不思議な雰囲気が漂っており なおかつ暗いお話となっています。 臓器をほしい人たちは 中には本当に困っているケースも… そのケースは実に痛ましいケースで ある社会問題になった病気を取り上げています。 これは本も出版されるほどのものです。 この作品の最後は 読者が考えるべきの 結末となっています。 「明」ととるか「暗」ととるか、 それはあなたしだいでしょう。 | ||||
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冒頭にページを捲ると【幸福の王子】の話が出てきた。幼い頃母親に童話の本で読み聞かせられた事が思い出された。幸福の王子は宝石を分け与えたが、この作品はそのスタンスと物語を下地に作られている。だが分け与えるのは宝石ではなく人間の臓器。 脳死の宣告を受けた少女は、死んだ親の莫大な財産と遺言、現代医学の狭間で時が止まってしまっている。脳死とは言え生きる事も死ぬ事も出来ない。だが月夜の晩に生命維持装置でがんじがらめの身体から機械を通して声を発し会話をする事が出来た。少女は自分の身体から移植を必要としている人に臓器を分け与えたいと言う。だがその行為は非合法。そして白羽の矢が立ったのが暴走族を組織していた少年だった。幸福の王子で言うと、この作品では王子が少女で、ツバメが少年だ。最初に幸福の王子とヤンキーのギャップに戸惑ったが、読み進めていくうちにそれは無くなった。 少女の過去の経験が臓器を分け与えると言う形をとらせている。そして月夜の晩にと言うのとても幻想的に思えた。少女と少年の儚い繋がりも片思い的で切ない。また、この作品は少年がやたらめったに臓器を運びまくると言うものではなく、各章節ごとに主人公が違うオムニバス形式を取っていることが尚の事良いのである。角膜の章節では精神的病を、腎臓の章節では日本の臓器移植の実情と闇を、心臓の章節では夫婦の愛を描いている。私的には心臓の章節がとても好きだ。機会があればこの作者の他の作品も是非読んでみたい。 なおこの作品は 【第22回(2002年)横溝正史ミステリ大賞】受賞作。 | ||||
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賛否両論あるようですが、私は最後の一行の、潔い終わり方がとても好きです。あの瞬間、「力を振り絞ることができた」(ネタバレ防止のため、表現をぼかしています)というだけでも、十二分に、少年の未来が見えたような気がしました。 ……というか、個人的に救われました。ああ、こんな風に、人は蘇っていくことができるんだ、と。たぶん、丁寧な後日談を描いたりせず、「一瞬の光」に全てを集約したからこそ、この物語は美しいのだと思います。 他の方が書いていらっしゃるように、幸福の王子、臓器移植、等、モチーフだけでも考えさせられる部分は多いです。でも、それだけじゃない。自分では想像もつかないようなところで、誰かが思ってくれている。誰かと繋がっている。痛いほどの孤独と、それを覆す確かな絆。それを失って尚、這い上がろうとする人間の力。文章こそ透明で儚いですが、とんでもない強さを突きつけられたような気がしました。 そしてその強さが、他のどの一行よりも宿っているのが、最後の一行だと、私は感じました。素晴らしいエンディングだと思います。一人ぼっちだと泣いてしまいそうになったとき、ぜひ、読んでほしいです。 | ||||
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全体的に出来のよい作品だとは思う。 でも、もう一つこちらの胸に迫ってくるものがない。 小さな謎を先送りにして読者を引っ張ろうとする手法があざとく感じられもする。 やはりデビュー作なのだから真っ向勝負でよかったのではないか? ただ書ける人であるのは間違いないと思う。 | ||||
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臓器や角膜など提供を望む患者とそれを与えたい人間、決して相容れない関係に対して踏み込んだ作品。人の命の尊さに感動した。特に感動したのが、心臓疾患の夫に黙って家を出た余命3ヶ月の妻の話。余生を海外で過ごそうとずっと話していたにも関わらず、何も言わず離婚届けに印鑑を押して出て行ったのは、その告知を聞いた夫が平常心でいられず心臓発作を起こしてしまうと心配してのことだった。それに気付いた夫は、なんとか妻の最後を看取ることができたが、そんな妻と一緒に感動したり夢を見たこの心臓を取り替えたくないという夫の言葉にも感動した。こんな夫婦になれたらいいなと思う。 | ||||
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脳死と判定されながら、月明かりの夜に言葉をしゃべることができる葉月は、高村昴をつかって自分の臓器を移植が必要な人に分け与える。葉月と高村昴は実は不思議な因縁があるという。 テーマは脳死や臓器移植と医学的にも重いテーマですが、この小説の描きかたが絶妙なこともありますが、きれいな情景が浮かぶような作品に仕上がっていると感じました。まるで、きれいな月明かりが目に浮かぶようである。 最近は、医療裁判が多くなったという。もっと医師は患者の立場に立って説明をする必要はあるだろう。医師と患者が共にコミュニケーションが取れればいいのである。患者も患者だが医者も医者という感じだ。お互いに気持ちのいいコミュニケーションを心がけたいものだ。 臓器移植というものも理想と現実の間でギャップがあるなという感じがするね。臓器移植自体は認められているとは思うが、お金がかかるという事情はあるようだ。裏でいろいろ動いているという感じもする。 | ||||
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童話「幸福の王子」をベースにした、臓器移植を扱った物語です。どういうわけか月の晩に会話だけはできる葉月は、自分の臓器を必要としている人に移植することを望み、主人公に依頼します。そのときの理由はただ単に主人公が凄腕のライダーであることだけですが……実は葉月と主人公の昴には、意外な縁があったのです。そこらへんが一気に発覚する第五幕&最終幕が、やはり一番好きな場面です。 | ||||
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この一言に尽きる。「透明」 透明すぎてつかみどころがないというのも事実。 死ぬことも生きることも出来ない少女が望んだことも、少年に課せられた義務も、透明なのに残酷。 何だか考えさせられる話。長編なのに、短編集を読んでるような錯覚さえ起させられる、緻密な物語。 一度読んでみて欲しい。 | ||||
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これは「病」と「幸」との関係を書いたミステリー作品です。本作はそれぞれの人の人生をオムニバス風に詩的、幻想的な筆致で語られます。 この物語の冒頭に有るのは オスカー・ワイルド氏による童話「幸福の王子」の要約です。像で有る「王子」は一羽のつばめに頼み事をします。身に付けている金箔や宝石を貧しい人々に届けて欲しいと言う。さっそく、つばめはルビーやサファイアを剥がし人々に分け与えたのです。本作はこのワイルド氏の童話を元に繰り広げられています。主人公は、暴走族「ルート・ゼロ」の幹部で有る高村昴は、警察に追われているところを謎の初老の男に助けられる。昴は、閉鎖されたホスピス(病院)に連れて行かれ、そこに入院している葉月と出会い昴は、彼女の奇妙な依頼を受けます。 本作は「幸福の王子」の話をただ丸々なぞるだけでなく、<生><死>の狭間を「寓話」として成立させています。さまざまな人間関係、それぞれの思い、事情、現実を現代社会を生きる人々を通し観ていきます。 個性的なキャラで展開されていく本作はどんどん続きが読みたくなります。 改めて人間とは一人ではどんなに頑張っても生きることは出来ない。たとえ一人でもイイから自分のためにいてくれるからこそ諦めずに進んでいけるのだと思いました。次回作にも、さらに期待デス☆ | ||||
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脳死判定と臓器移植にまつわる話です。人物、自然、建物の表現がとても丁寧でシルエットが自然と浮かんできます。それがまたノスタルジックで、ある意味、不気味でもあります。ひとつひとつの臓器にまつわる内容がオムニバス風に書かれているのですが、どれひとつとっても、短編作品としても十分なほど、丁寧に書かれています。なおかつひとつひとつのテーマがきっちりとあり、どれも現代社会を表すポイントをついた内容です。ストーリーは最後まで結果がわからず、息を抜けない作品でした。横溝正史賞受賞作品は、このところ、サイコテーマが多く感じますが、その中でもこの作品はひさびさのヒット作品と感じました。 | ||||
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第22回横溝正史ミステリ大賞受賞作。脳死と診断されながらも、月のでる夜に限りって言葉を話すことのできる少女、葉月。生きることも死ぬこともできない、残酷かつ哀しい運命に囚われた葉月が望んだのは、自らの臓器を移植を必要としている人々に分け与えるということであった。それが実現されたとき、葉月は安らかな死をむかえられるのか…。生と死の狭間を克明に描いた、物語です。脳死を使ってこんな物語を描けるとは…とその題材に驚きました。 | ||||
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モチーフは「幸福な王子」。テーマは臓器移植。透明感あふれる筆致で生と死の狭間を描いた、ファンタジックな寓話ミステリ。第22回横溝正史ミステリ大賞受賞作。脳死と診断されながら、月明かりの夜だけは特殊な装置を使って話をすることのできる少女・葉月。生きることも死ぬこともできない葉月が望んだのは、自分の臓器を、移植を必要としている人々に分け与えること―。葉月の臓器の運び屋に選ばれたのは、暴走族・ルートゼロの幹部、高村昴。葉月がたったひとつ望んだこと。それは、臓器移植先を昴に選んでもらうこと。臓器移植を望む人、必要とする人はたくさんいるが、その中から昴は何故その人を選んだのか?各ケースごとの人間模様を丁寧に描いている。ラストは、キレイに冒頭とリンクし、ひとつの美しい物語を形成する。あまりにキレイで、あまりに美しくまとまってしまったせいで、なんとなくこぢんまりとしてしまったのが反対に残念な気がしてしまうほど。 | ||||
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幸福の王子の役割を果たすのは、交通事故で脳死状態に陥った少女。特殊な装置によってある時間帯だけ彼女の心のうちを言葉にすることにできる。生前ドナーカードを用意していなかったが、彼女は自分の体の一部一部を移植できる人に与えたいと強く願う。その願いを託された少年は希望をかなえてあげるが、、それは生きているのに精神病のレッテルを貼られた自分の兄と脳は死んでいるのに器具によって生きている少女をいったい生きているのか死んでいるのかと同一視する気持ちからだろうか。後半少年と少女の過去のつながりも明らかになりとにかく最後まで一気に読んでしまった。テンポもよく◎ | ||||
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オスカー・ワイルドの「幸福な王子」を下敷きにしている、というだけで、なかなかみどころのある作家だと思う。臓器移植についての問題提起も含みつつ、ミステリーとしても上出来。主人公が、本当は勉強もできる孤児の暴走族、というのが嘘っぽいし、ところどころ「デビュー作」っぽい青さがあるけど、面白かった。頭が良さそうな作家なので、今後こぢんまりまとまらないで欲しいですね。 | ||||
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オスカー・ワイルドの「幸福な王子」を下敷きにしている、というだけで、なかなかみどころのある作家だと思う。臓器移植についての問題提起も含みつつ、ミステリーとしても上出来。主人公が、本当は勉強もできる孤児の暴走族、というのが嘘っぽいし、ところどころ「デビュー作」っぽい青さがあるけど、面白かった。頭が良さそうな作家なので、今後こぢんまりまとまらないで欲しいですね。 | ||||
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