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コウノトリの道



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【この小説が収録されている参考書籍】
コウノトリの道 (創元推理文庫)

コウノトリの道の評価: 4.36/5点 レビュー 11件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.36pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全2件 1~2 1/1ページ
No.2:
(3pt)

おもしろいのですが、ご都合主義が目立つような

この本の作者が映画「クリムゾン・リバー」の原作者であることを知り、まず4作目の「狼の帝国」をすでに読んでいました。この「コウノトリの道」の方が先で作者の処女作だそうです。

毎年やって来るコウノトリが来なくなった、その原因を探るという、最初はごく普通の学術的調査だと思われたものが、ダイヤモンド密輸や不法な臓器移植らしき犯罪につながり、怪しげな組織がからむ国際的謀略ものになっていくのですが・・・ラストは主人公の生い立ちも含めて、人間の業もからんだ異常な話になっていきます。

「狼の帝国」は、パリ在住高級官僚の妻の不安から始まって、最後はトルコにまで話が広がったのがびっくりでしたが、この作品も、スイスから始まってブルガリア、トルコ、イスラエル、中央アフリカにまで及びます。ただ、どちらの作品にも感じたことですが、スケールの大きな大作を作ろうとするあまり、伏線が雑だったり、ご都合主義があちこちで見られるところが気になってしまい、どうしても評価が下がってしまいました。

主人公のルイは経済的に豊かな養父母の援助でなに不自由なく歴史学と哲学の研究生活を10年以上続け、博士論文を書き上げます。テーマも「オズワルド・シュペングラーにおける文化の概念について」。そんな学術生活しか送ってこなかったルイ、もちろん銃を持ったこともありません。それがいきなりプロの殺し屋2人組を相手に銃撃戦や乱闘を演じ、しかもガラスで相手のどを掻き切って殺す・・・、そして血みどろになった体から雨で汚れを落として、車に戻ってそのまま入管を通り国境通過・・・素人が、そんなうまくいくものだろうか・・・と思ってしまいました。その時のレンタカーはぼろぼろになっているのに、店員は顔をしかめただけでにこやかな態度を崩さない・・・普通だったら賠償をせまられて揉めるでしょう。イスラエルでは殺し屋に追われ、顔の半分がぐちゃぐちゃにつぶれるほどの怪我をするのですが、パレスチナ人の反イスラエルデモに巻き込まれたとみなされ、特に追及されることもなく税関もセキュリティもフリーパスで出国させてもらえる、自分が紛争地域に車で突っ込んで逃げたことが原因で争いが起きたのにです。
他にもご都合主義と思えたところはいろいろあります。インドのホテルに偽名で泊まった・・・今時、不可能では・・・インドだけでなく、どこでも外国人はパスポートを提示しなければ泊まれません。カルカッタの貧民屈のような町の中、忽然と現れる宮殿のような豪邸の庭園入り口、それは言わば”敵地”なのですが、開けてみたら鍵もかかってなくて警備員もいない・・う~ん、ありえないのでは・・・。行く先々で惹かれた女性とは必ずベッドインできて・・・こんなことがあまりにもぼろぼろとたくさん出てくるので、読みながらどうも気がそがれてしまいました。

処女作だということで、甘い点に多少目をつむって読めば、スケールが大きいしスリルもあるので、おもしろい作品だと思います。楽しめるのではないでしょうか。
コウノトリの道 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:コウノトリの道 (創元推理文庫)より
4488214061
No.1:
(3pt)

第一級のフィクションの香りが漂うが…

 様々な伝説によって、ヨーロッパから中東までいたるところでその特別な力が信じられているコウノトリ。オレンジの嘴を持った白と黒の鳥。ある年、アフリカから渡ってくるはずのコウノトリが姿を消した。謎の鳥類研究家から調査を依頼された青年ルイが、フランスからスイスへ、ブルガリア、トルコ、イスラエルから中央アフリカへと探索行を続ける。先々で起こる惨たらしい殺人。殺し屋から逃れ、自らもまた血で手を染め、つかの間の官能に心を休め、やがて国境をまたいだ奇想天外な犯罪のトリックを暴く。そして、秘められた自身の生い立ちの謎へと迫っていく…。コウノトリの渡りを題材とした壮大な仕掛けが素晴らしい。第一級のフィクションの香りが漂うが、ルイの冒険譚がただ物語の筋を追うだけでサスペンスの高まりと深まりに欠け、コウノトリにまつわるミステリーと「指紋のない男」ルイの過去をめぐる謎との関連づけがやや強引。
コウノトリの道 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:コウノトリの道 (創元推理文庫)より
4488214061

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