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水時計
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水時計の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.80pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全2件 1~2 1/1ページ
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本書は、週刊新聞『クロウ』の記者ドライデンを主人公にした、ジム・ケリーのデビュー作にあたる現代英国本格ミステリーである。 時は11月、舞台はイングランドの東部の小都市イーリー。凍った川底から引き揚げられた車のトランクから銃で撃たれた上に首を折られた身元不明の男の死体が発見される。その翌日、修復工事中のイーリー大聖堂の屋根の雨樋から白骨化した死体が出てくる。この、小都市の日常をひっくり返すような連続変死事件に敏腕記者ドライデンは調査を始める。やがて1966年に起こった強盗および殺人未遂事件と関係があることが分かるのだが、何者かの妨害の手がドライデンに迫ってくる。 シリーズの第1作らしく、ドライデン夫妻の悲惨な事故や、植物人間状態となってしまった彼の妻や、彼の日常の仕事ぶりなど背景説明にページが割かれているが、ジム・ケリーの新人離れした筆致は、実はその中に巧みに伏線が忍び込ませてある。 タイトルの『水時計』に象徴されるように、本書では「水」が物語のそこかしこにメタファーとして用いられている。そもそもイーリーという小都市自体がフェンズと呼ばれる広大な沼沢地帯の一部なのである。そしてクライマックスは、洪水を引き起こすほどの暴風雨がその地方に襲い掛かるまさにその時、スリリングな真犯人との対決と、1966年の事件の真相、さらにはドライデン夫妻に降りかかった悲劇も明らかになる。 本書は、現代風に脚色や味付けが施されてはいるものの、いわゆるフーダニットものをとことん追求した、謎解きを主眼とした21世紀版の「黄金期の探偵小説」である。 | ||||
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いかにも定番な作りの非常にオーソドックスなミステリ。ミステリ自体は、なかなか堅牢な論理展開で納得のできるもので ある。だが、とりたてて素晴らしいサプライズがあるわけでもなく、驚くようなどんでん返しがあるわけでもない。本当に ストレートな犯人と動機の謎で読ませるミステリである。特筆すべきは、やはり主人公の背景だろう。敏腕の記者ながら、 彼の過去には心の傷となる事故があり、彼の妻はいまも病院で植物人間の状態で横たわっているのである。本作ではこの過 去の事故に関する秘密も明かされることになるのだが、今後このシリーズで妻であるローラがどういう風にかかわってくる のかが要点の一つとなるだろうと思われる。 あと言及しておきたいのが、ドライデンを影でささえるタクシー運転手ハンフリーの存在だ。彼はドライデンのお抱え運転 手として常に行動を共にする。待機中は瞬時に眠りにつくという特技があり、いつもどこかの国の言葉を勉強している変わ り者だ。彼とドライデンのコンビは、時にユーモラスで時に信頼厚く行動し、読者を飽きさせない。名コンビなのである。 というわけで、とりたててオススメというわけでもないのだが、非常に読みやすいミステリであることは間違いない。年末 のミステリベストに顔を出すような作品ではないが、落ち着いてゆっくりミステリを楽しみたいときにはこれ以上ぴったり の作品もないのではないかと思われる。 | ||||
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