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【この小説が収録されている参考書籍】
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5 (角川文庫)

5の評価: 3.88/5点 レビュー 24件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.88pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全24件 21~24 2/2ページ
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No.4:
(5pt)

でたらめな物語と思わせながら、実はどんな恋愛小説よりも現実的な結末に言葉を失った

 中志郎と真智子は倦怠期の夫婦。バリ島旅行に出かけた先で、常夏の国でも手袋をしている不思議な女・石橋と出会う。その石橋が手袋を脱いで、中志郎と手を合わせたところ、石橋から志郎へとあるものが移動していくのがわかった…。
 あのベストセラー「ジャンプ」から7年。待ちに待った佐藤正午の新作がようやく登場しました。この7年間、佐藤正午の長編小説に今一度じっくり・どっぷりつかってみたいと飢餓感を募らせていた私にとって、本書は読書の愉悦に浸ることの出来た一冊となりました。
 そもそもこれはジャンル分けを拒む小説です。出版元は恋愛小説として売るつもりなのかもしれませんが、そうであるともいえるし、そうではないともいえます。石橋という不思議な能力を持った女と志郎との物語かと思わせて、にわかに津田伸一という物書きの一見軽佻浮薄でスキャンダラスな恋愛物語へと乗り換わっていくところなど、読者を見事に欺いてくれるコンゲームのような様相も呈しています。ミステリアスで、幻想的で、荒唐無稽で、とにもかくにもつかみどころのない、一体どこへ読者を連れて行くつもりなのかといぶかしい思いを募らせながら頁を繰ること数時間。
 浮世離れした物語にしかみえなかったこの小説は最後の段落(505頁)で突如として、痛ましくも苦い愛の現実を突きつけてくるのです。世に溢れる“恋愛小説”の大半こそが実はどうしようもなく現実離れしたお話に思えてきて仕方ないほど、この物語の最後は、うつし身のやるせなさを、輪郭線も鮮やかに浮かび上がらせてくるのです。私はこの最終段落で、この物語の謎めいた展開が一気に氷解したように思え、そしてまたその「答え」を前にしばし呆然と言葉を失ったほどです。
 これほど面白い小説を読み終えた今、早くも私は佐藤正午の次なる長編小説に対して飢餓感を募らせ始めています。次回もまた7年待たされるのでしょうか。
5Amazon書評・レビュー:5より
4048737252
No.3:
(5pt)

取り戻す力

 誰でも過去の気持ちを忘れてしまうものだ。たとえば誰かを好きになった頃のときめきを、いつまでも持続し続けるというのは難しいのではないだろうか。それが何かの力で取り戻すことになったらどうか、というのがこの小説の中では語られていると思う。恋愛に限らず、記憶というものは薄れがちである。日々生きているし、身の回りに起きる事は日々変化し続けているのだ。その歯車がカチリと合った時にこそ、感情が動くかもしれないし、大幅にずれた時だから動くのかもしれない。
 もし記憶を取り戻す超能力があったとしたら、人生はこんな風に転がっていくのかも、と思わせてくれる小説だ。からくりは淡々と埋め込まれていて、最後の一行まで気を抜かずに読ませてくれるはずだ。
5Amazon書評・レビュー:5より
4048737252
No.2:
(3pt)

男の人には楽しいかも。

男の人に都合の良すぎな恋愛小説として読んでしまったから、今イチ。“超能力の流れ込み”という発想の面白さは買いかと思うけど、主人公の作家があまりに無頼で独り善がりで、入りずらかった。私が女の立場で読むせいかな。男の人には楽しいかも。
5Amazon書評・レビュー:5より
4048737252
No.1:
(5pt)

すごい作品

 タイムスリップを扱った「Y」、失踪を扱った「ジャンプ」に続き、超能力をテーマにして描かれたのが「5」。
 ただし読者はしょっぱなから超能力とは何ぞや、という迷路に迷い込むことになる。
 ふとした事件から中志郎に授けられた能力は「(奥さんと)出会った頃の情熱を取り戻せる能力」。
 エモーショナルな超能力だ。だが、その能力(あるいは情熱)が、ほのかな赤い光のようにずっと物語の中に小さく灯り続け、ときには光が弱まり、そしてときには柔らかくも強烈は光を放っている。
 この赤い光を、自分の中のなにかと照らし合わせるきっかけがあれば、この作品は生涯忘れられない作品になるだろう。もし何かのの巡り合わせのちがいで、その光と同質のものが読者の内側になかったとしたら、これは、ただ朽ち果ててゆく作家が再生しようとしているだけの作品に見えるかもしれない。
5Amazon書評・レビュー:5より
4048737252

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