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眼中の悪魔
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【この小説が収録されている参考書籍】
眼中の悪魔の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.42pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全11件 1~11 1/1ページ
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著者の短編集である。 「眼中の悪魔」と「虚像淫楽」は、大学の医学出身である著者の知識を披露した佳作。 「厨子家の悪霊」は、二転三転する結末が少し冗長気味。 「笛を吹く犯罪」は、登場人物それぞれの日記を連ねる形態をとっており、独特の味わいがある。 「死者の呼び声」は、独特の物語展開であり、読み手を飽きさせない。 「墓堀人」は、で太平洋戦争での辛い体験を背景にした佳作。 「恋罪」は倒錯した世界を表現。 「黄色い下宿人」と「司祭館の殺人」は、推理小説の古典から着想を得て、秀逸なプロットが光る一品。 「誰にも出来る殺人」は中編小説であり、これもプロットが素晴らしく、戦後の薄汚れた感じと妖しさが異彩を放つ傑作。 | ||||
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全短編そのように感じた。手紙、日記、手記などを上手に使ってストーリーを展開させているお話が多い印象。 | ||||
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私が所属する関西の推理小説研究会の合宿を決める際に、別に所属する神津恭介ファンクラブとの合同会議を私が提案し、神津恭介の産みの親である高木彬光氏と親交の深かった山田風太郎氏の故郷に設立された山田風太郎記念館を訪問することになった。そのため、急遽、関西の推理小説研究会では風太郎氏の探偵小説を課題作とした。その1冊が本作である。 風太郎氏は忍法物が有名だが、初期には素晴らしい探偵小説を書いている。メンバーが絶賛した「誰にでも出来る殺人」や「眼中の悪魔」、「黄色い下宿人」等はもっとは再評価されるべきと思う。これ以外にも「厨子家の悪霊」など、横溝正史やJ・D・カーに並ぶオドロオドロした作品もある。一度おためし下さい。 | ||||
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山田先生の初期の探偵小説風味の濃い作品を集めた短編集。特に、共に探偵作家クラブ短編賞を受賞した表題作及び「虚像淫楽」の2作は医学生時代に執筆されたものの由。そのせいもあってか、前半は登場人物に医学者が多いし、トリックにも医学知識に関わるものが多い。冷徹な人間観察と死生観に基づいた物語の面白さは山田先生ならではのものだが、後の自由奔放な作風と比べると、この前半はやや生硬い印象を受けた。随所に新工夫のトリックが出て来るが、それよりも男女の機微を中心とした人間心理の追求に重点を置いている様に映った。 その中で、「厨子家の悪霊」は長編としてもおかしくない程の人物・舞台設定の上に、ミステリ的アイデアに満ちており、読み応えがあった。また、他のアンソロジーにも採られているホームズ物の巧緻なパスティーシュとして著名な「黄色い下宿人」は、やはり別格と言って良い程の秀逸な出来。そして、巻末に収められている、あるアパート(その名も人間荘)を舞台にした連作短編集「誰にも出来る殺人」は、ミステリ的趣向と人間模様の活写とが融合した秀作で、これも読み応えがあった。まるで、バルザック「人間喜劇」を山田先生流にミステリとして凝縮した様な作品で、改めて山田ワールドの素晴らしさを感じた。 先に触れた山田先生の死生観は医学者としての知識と戦争体験が大きいと想像されるが、その女性観は何処から来たのかと興味を抱かせる短編集でもある。山田先生の原点を知るという意味で貴重な一作だと思う。 | ||||
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トリックがどうこう、文章のリズムや美しさがどうこう、ストーリーテリングや着想がどうこう、褒めるべきものは多分にあるが、 やはりいちばん凄いのが、人間心理に対する氏の洞察の深さであり、短篇のなかにこれほど多くの登場人物の心の機微を多面的に書き分け、それをひとつの小説として巧みに絡め組み上げる悪魔の如き手腕であろう。 かれのミステリにおいては、殺人のトリックの謎はたしかにすべて解明される。 しかし人間心理、特にオンナの心理だけがミステリのまま残され、読者の読解に委ねられる。 絶妙の余韻である。 単純な謎解きミステリとして終わらず、文学としても秀逸。 もっと多くの人に、特に若い人に読まれるべき作家だ。 | ||||
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◆「黄色い下宿人」 千万長者のフィリモア氏の失踪事件の調査を依頼されたホームズ。 その調査のさなか、彼は不可解な行動を見せる東洋人と知り合う……。 ホームズ物のパスティーシュとして名高い作品。 終盤、事件の構図が二転三転するスリリングな展開がなされ、 最終的には、著者一流の皮肉の効いた結末に着地します。 歴史と虚構を織り交ぜ、思いがけない人物同士の共演を演出するというのは《明治もの》 でも存分になされた著者の得意技ですが、本作にもそうしたけれん味たっぷりの趣向が 抜かりなく凝らされます。 そして、歴史を善悪で測らず、ニュートラルに捉える著者の精神は、 「謎の東洋人」が放つ辛辣な一言に、鮮やかに刻印されているのです。 | ||||
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日本探偵作家クラブ賞(現日本推理作家協会賞)受賞の“眼中の悪魔”“虚像淫楽”を含む、山田氏の初期推理小説集です。 医学生としての専門知識を見事に活用した上記の二作が優れているのは勿論のことですが、私はむしろ山田氏のまったくの創造力の産物、贋作ホームズものの“黄色い下宿人”をなんと言ってもお薦めします。 そう、夏目漱石は、ホームズが活躍していた時代のロンドンに留学していたんですよね。でもその漱石が、ホームズと丁々発止の推理合戦を繰り広げるなんて話を他の誰が考えたでしょう? 話の面白さにワクワクしながら読み進んでいくと、ラスト近くで漱石がこんなセリフをホームズに投げかけます。 “金銭財物にあこがれるのが、必ず貧乏人に限っていると考えるのは、浅薄な見解です。 むしろ手段を選ばず千万長者になった人の方が貧しいもののちょっとした贅沢にやきもちをやき、1シリングにさえも貪婪な渇望を持っているものじゃないでしょうか? 国家に例えて言えば、この大英帝国のようにー”この皮肉、この真実、こんな推理小説を他の誰が書いたでしょう? 恐るべし山田風太郎! その次の作品、“司祭館の殺人”もアッと驚く贋作もの。 狙ってやったのか偶然そうなったのか、結構荒唐無稽な設定と推理も真作の雰囲気に近いということでなかなかの珍品です。 ぜひご一読を。 | ||||
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作者は時代物で有名な山田風太郎さんですが、日本ミステリ作家大賞だったかなにかそんな名前の賞を受賞されたため全集(全12巻)が出ることになったその1巻め。美しい装丁の本に惹かれて購入。1巻は「本格編」。2巻「名探偵編」も同時刊行でした。内容としては本当に「本格!」っていう正統派な感じです。そういうもののお約束として意外な犯人、とか重要なので、登場人物のほとんどが悪いやつなのはちょっと辛いです。でも時代を感じさせない大変よくできた本格ものだと思います。多少差別用語があるのですが「書かれた時代を尊重し」そのままだとか。ラストの長編「誰にでも出来る殺人」は素晴らしい本格ものだと思います。(ちょっとグロいですが) | ||||
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世の中に熱烈な風太郎ファンとはいらっしゃるようなので、かの着想の豊かさと、読ませてしまう文章にリズムに言を重ねることは控えさせていただくも、わたくしのような"Futaro, Who?"の状況にあった人間の脳天にも素直に響いた(実は、忍法帖ものは多少苦手だったりするが)。一般的な評価としては、眼中の悪魔、虚像淫楽、黄色い下宿人、それに、誰にでもできる殺人あたりが必読ということになろうかとは思うが、小生の趣味の悪さを暴露することを承知で、ご本人も失敗作と断じている、厨子家の悪霊に圧倒されたことだけ付け加えさせていただく。 | ||||
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数ある傑作推理短編集の中でも、これほど面白い作品が揃っているのは滅多にない。天性のストーリ-テリングにより、トリック云々より一気に読ませる。江戸川乱歩風の妖しいエロスむんむんであり且つ本格推理の「虚像淫楽」。シャーロックホームズ贋作ものでは最高の面白さだと思う「黄色い下宿人」。海外ミステリーと日本的な妖しさが融合し、最後のオチににやりとさせられる「司祭館の殺人」。他の作品もどれも読ませるものがあり、まだ読んでいないミステリファンは是非。 | ||||
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山田風太郎(愛称山風)の初期に発表された推理小説作品集です。女性のマゾヒズムとサディズムが変転する、もんのすごく密度濃い「虚像淫楽」、短編でどこまでどんでん返しかませるかという野心作「厨子家の悪霊」、愉快なホームズvs漱石物「黄色い下宿人」、新本格数十年さきどりの連作短編「誰にも出来る殺人」など、いままでマニアが泣きながら集めてきた傑作が一冊にまとまった決定版。まじで安すぎる……山風さわったことのない推理小説好きにもお勧めです。その後山風が推理小説を書かなくなってしまったのがしみじみ残念。まあそのおかげで忍法帖や明治物があるのでしゃあないか… | ||||
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