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砂漠の船



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【この小説が収録されている参考書籍】
砂漠の船
砂漠の船 (双葉文庫)

砂漠の船の評価: 3.44/5点 レビュー 16件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.44pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全16件 1~16 1/1ページ
No.16:
(3pt)

率直に、「ざまあみさらせ」

…と、思った。
面白いんだけど、苛々し過ぎたw
これ、まだきっと分かってないよね…
そして多分おそらく永遠に分からないんだと思う
若い身空で↑に気付いて行動した茜は天晴
しかしながら、他人の大事な物を手の届かないところに投げてしまうような性根は、多分その歳でやってるなら、「治らない」とも思ったりする。下手に「天才」だと「性根」が身に還る機会もまた多いだろうと
この手は少々疲れるかな
砂漠の船Amazon書評・レビュー:砂漠の船より
4575235075
No.15:
(4pt)

マジメに生きるって、あまりにもツライね。

なぜ篠田節子が面白いのか?
それは主人公の立っている位置がどんどんと崩れていく ところに
面白さがあるのだろう。
崩れ落ちていこうとする 主人公に踏み込んで、主人公は なぜなんだ。
オレは 何にも悪いことをしていないはずだ。
なんて 思うんですね。
でも 自分の生き方が ヒトに迷惑を
かけるっていうことが いつもあることを気がつかない。
自分はいつも正しいことをしていると思い込んでいる。
この主人公 卓郎は なぜ奥さんと話をしないだろう。
決めつけてしまう場合が多い。息が詰まるなぁ。
卓郎は 一つの枠にとらわれていて
枠の中に 押し込めようとする 愚かさがある。
祖母 母 卓郎と嫁 娘 と
四代にわたる オンナの物語 になっている。
祖母は 田舎のかたくな 因習の中で 生活し、
それを不思議とも思わない。
リンゴの漬物 サツマイモ(本来ならば ジャガイモ)
などを囲炉裏を前にしてかじる。生活の中心がそこにはある。
嫁いできた 母。
村の因習に対する行き詰った空気 自由に話もできない。
着飾ることもできない。
出稼ぎに出て どんなに苦しい仕事であってもこなし、
そして 自由にふるまい 服も派手なものをきることができる。
そのことの自由さを味わう。
都会の楽しさを知ることで 田舎がさらに厳しい状況を知る。
息の詰まるような 生活に 母は自らの命を 32歳で断つ。
そこに生まれた 卓郎 は 父親に 都会に行け
と言われるが 自分は 田舎の生活に 憧憬がある。
家族だんらんの生活ができたら なんて楽しいだろう
という 強い願望が その中にある。
おばあちゃんの生活が 家族だと思っている。

妻は卓郎の意見に逆らいながらも 従う。
チャンスがあったときにも そのチャンスを逃す。
卓郎は それは チャンス ではなく 使い捨てだと思っている。
あくまでも 地域に根差した生き方が本来のニンゲンの生き方だと思う。
常にステップアップしたいと思う妻。
パソコンも学ぼうとする。海外の派遣の仕事も 断らざるを得なくなる。

娘は 普通を常に装っているが、その中に秘められた才能が 開花するまえに
つむぎ取られようとする。世の中は その才能を きちんと見ていた。
物語は 娘の自立で 大きく家庭が変化していく。
妻も娘も その中より飛び出したい。
それは 現代の イプセンの 人形の家
のような物語ではないかと思った。
専業主婦ではなく 共働きにしたのが物語を 確実なものにする。
どうも おカネが 回っていないのは不思議だ。
子供は 公立 ばかり行っているので。

家族が崩れるのは、経済的な問題が一番大きく
その次が 異性問題ということなのだが
どうも コドモ というのも 大きな問題になるんですね。
じっくり読んで 救い難い 現実。
真面目に生きるって あまりにもツライ。
砂漠の船Amazon書評・レビュー:砂漠の船より
4575235075
No.14:
(3pt)

誰も責められない

貧しい東北の村で育ち、早稲田に進学してそこそこ幸せな就職をし結婚した
主人公が、あれあれというまに人生の転落を味わう小説です。

切なかったですね〜、何か。
だって主人公の男性は、不倫しかけても自制して家族の為に
出世の道を外れて。でもその自制心がキャリアウーマンの妻や
才能ある娘の桎梏となっていく。。。

私も結婚8年ですが、やっぱりね『理想の家族像』を強固に
もつ夫や妻は、正直パートナーとしてものすごく困るんです。
だって自分の理想像に当てはまるか、当てはまらないかをいつも
○×で判断するわけでしょう?
これは周りの人にとってはかなり辛い。
いつまでも絶対に到達できない『理想の家族像』に裁かれる訳だし。

夫も、妻も、娘もみんな孤独で。みんなモノローグで。
みんな自分の世界に相手を入れない。
誰と話してもコミュニケーションがとれない。
でも誰が悪いわけでもない、そして悲しい。

本を読んで、夫や娘の気持ちを大事にすることの
難しさを感じた一日でした。
砂漠の船Amazon書評・レビュー:砂漠の船より
4575235075
No.13:
(3pt)

現代の家族も、前代の家族も。

篠田作品にしてはやや小粒。
しかし、現代の家族の心の隙間を良く描いていると思う。
いかにもいそうな、普通以上に家族の大切さ健全さを屈託無く表現する父。
家族のために自分を失いつつあることにうっすらとした不満を少しずつ、しかし確実に積もらせていく母。
クールで現実的だが自分を見つめることに実は一生懸命な娘。
次第に食い違っていく家族。そして団地の中の閉塞感。
このあたりはよく描いているが、ありがちとも言える。
新しいのは、その現代の家族と、父の親の世代の出稼ぎに出ていた両親の話を交錯させる部分だと思う。
出稼ぎで東京に出ていた両親の過去を子供がたどるというのも目新しかったし、
昔も今も団地や村に漂う「閉塞感」は変わらないのかと、思わせられる。
家族が抱える問題も、根本的には変わっていないのかも。
大好きな篠田節子なだけに、星3つとやや厳しい評価にしたが
悪くは無かった、と思う。(上から目線ですみません)
砂漠の船Amazon書評・レビュー:砂漠の船より
4575235075
No.12:
(3pt)

現代の家族も、前代の家族も。

篠田作品にしてはやや小粒。
しかし、現代の家族の心の隙間を良く描いていると思う。
いかにもいそうな、普通以上に家族の大切さ健全さを屈託無く表現する父。
家族のために自分を失いつつあることにうっすらとした不満を少しずつ、しかし確実に積もらせていく母。
クールで現実的だが自分を見つめることに実は一生懸命な娘。

次第に食い違っていく家族。そして団地の中の閉塞感。
このあたりはよく描いているが、ありがちとも言える。

新しいのは、その現代の家族と、父の親の世代の出稼ぎに出ていた両親の話を交錯させる部分だと思う。
出稼ぎで東京に出ていた両親の過去を子供がたどるというのも目新しかったし、
昔も今も団地や村に漂う「閉塞感」は変わらないのかと、思わせられる。
家族が抱える問題も、根本的には変わっていないのかも。
大好きな篠田節子なだけに、星3つとやや厳しい評価にしたが
悪くは無かった、と思う。(上から目線ですみません)
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No.11:
(4pt)

偶然に頼りすぎていないか?

出世を諦めて地域限定勤務を選んだ主人公の幹郎だが,不況の中で次第に追い詰められ,しかも,会社に対して有効な対応策をとることもできない。一歩一歩悪くなっていく状況は,自分がそんな目にあったらどうだろうかと胃が痛くなるような思いで読まされた。

 篠田節子は,「女たちのジハード」以来,大好きな作家の一人である。
 幹郎の情けなさは,「ゴサインタン」の主人公を思い出させられたが,篠田節子は,こういう情けない男を描写するのが本当にうまいと思う。また,出稼ぎや村八分など田舎の社会問題もリアルに描写されていた。
 ただ,本書のストーリー展開は,偶然に頼りすぎていないだろうか。娘がその死に関わった浮浪者が,実は両親にとって親しい間柄の男だったとか,墓参に行ってその親族に偶然出会い,話を聞けたとか。
 グイグイと一気に読ませる力技は健在ではあるが,ストーリー展開を偶然に頼りすぎているのではないかと気になってしまった点を考慮して,星4つにした。
砂漠の船Amazon書評・レビュー:砂漠の船より
4575235075
No.10:
(4pt)

偶然に頼りすぎていないか?

 出世を諦めて地域限定勤務を選んだ主人公の幹郎だが,不況の中で次第に追い詰められ,しかも,会社に対して有効な対応策をとることもできない。一歩一歩悪くなっていく状況は,自分がそんな目にあったらどうだろうかと胃が痛くなるような思いで読まされた。
 篠田節子は,「女たちのジハード」以来,大好きな作家の一人である。
 幹郎の情けなさは,「ゴサインタン」の主人公を思い出させられたが,篠田節子は,こういう情けない男を描写するのが本当にうまいと思う。また,出稼ぎや村八分など田舎の社会問題もリアルに描写されていた。
 ただ,本書のストーリー展開は,偶然に頼りすぎていないだろうか。娘がその死に関わった浮浪者が,実は両親にとって親しい間柄の男だったとか,墓参に行ってその親族に偶然出会い,話を聞けたとか。
 グイグイと一気に読ませる力技は健在ではあるが,ストーリー展開を偶然に頼りすぎているのではないかと気になってしまった点を考慮して,星4つにした。
砂漠の船 (双葉文庫)Amazon書評・レビュー:砂漠の船 (双葉文庫)より
4575511781
No.9:
(5pt)

お父さんの独り相撲

お父さんの幹郎は、一人で熱くなっている。娘の茜の生き方や職業観に、他人から求められる仕事といった、自分の理想論を押しつけて何になるというのか。また、妻の由美子に対しても、単に夫婦だからという理由で、一緒に暮らすのが当たり前だと思っている。幹郎自身は気付いていないのかも知れないが、自分では努めて家庭的なお父さんになろうとしたものの、実は鬱陶しいお父さんになってしまっていた。それにしても、お父さんとは対照的な茜の冷めた感覚は、良くない意味で現代的と言うべきかも知れない。
本書で男の人生の後半部分の、不毛な生き様が描かれている。
親の死、リストラ、娘の心理的離反、妻の裏切り。
人生の後半部分とは、砂漠に放り出される様なものなのか?
世間ではありがちな事の連続だ。
けっして他人事ではない。
つい自分の人生を振り返ってしまう。
お父さんは独り相撲をとってはならない。
砂漠の船Amazon書評・レビュー:砂漠の船より
4575235075
No.8:
(5pt)

お父さんの独り相撲

お父さんの幹郎は、一人で熱くなっている。娘の茜の生き方や職業観に、他人から求められる仕事といった、自分の理想論を押しつけて何になるというのか。また、妻の由美子に対しても、単に夫婦だからという理由で、一緒に暮らすのが当たり前だと思っている。幹郎自身は気付いていないのかも知れないが、自分では努めて家庭的なお父さんになろうとしたものの、実は鬱陶しいお父さんになってしまっていた。それにしても、お父さんとは対照的な茜の冷めた感覚は、良くない意味で現代的と言うべきかも知れない。

本書で男の人生の後半部分の、不毛な生き様が描かれている。

親の死、リストラ、娘の心理的離反、妻の裏切り。

人生の後半部分とは、砂漠に放り出される様なものなのか?

世間ではありがちな事の連続だ。

けっして他人事ではない。

つい自分の人生を振り返ってしまう。

お父さんは独り相撲をとってはならない。
砂漠の船Amazon書評・レビュー:砂漠の船より
4575235075
No.7:
(4pt)

家族の中に潜む恐ろしさ

家族のために最良の選択をしたと思っているのは幹郎だけだった。幹郎の思いは、かえって家族を息苦しくさせていく。だが、ほかにどんな選択肢があったというのか?幹郎に対し、男の哀れささえ感じる。たとえ家族であっても、心の奥底に流れている本質までは見抜けない。幹郎の祖母や父母、そして妻や娘の心に隠されたものに触れたとき、そこには悲しみとともに言い知れぬ恐ろしさがあった。「はたして自分の家族は?」そう考えると心がヒヤリとする。
砂漠の船Amazon書評・レビュー:砂漠の船より
4575235075
No.6:
(2pt)

どうしちゃったのZ?篠田さん

すべてが中途半端な説明で終わっていた。「家族を大事にしていた夫婦なのに、それが子供に受け入れられていなかった」というのがモチーフ。モチーフは悪くない。だがデティールの大ざっぱなことに口あんぐり。たとえば母親が高校生の娘の出入りする喫茶店に自分も入ってみる。それは娘を理解しようとしてのことか、それとも純粋に自分も興味があってのことか。もし前者なら、どのようにして自分を納得させたか。あるいはこの母は不倫とエクセルをマスターすること(仕事で必需)のほか自分の世界はないのか?第一40代後半の働く女性(早稲田卒となっている)がエクセルも扱えないないなんて、そんな設定おかしくないか?など篠田節子さん、ちょっと変よ状況認識が!
砂漠の船Amazon書評・レビュー:砂漠の船より
4575235075
No.5:
(2pt)

どうしちゃったのZ?篠田さん

すべてが中途半端な説明で終わっていた。「家族を大事にしていた夫婦なのに、それが子供に受け入れられていなかった」というのがモチーフ。モチーフは悪くない。だがデティールの大ざっぱなことに口あんぐり。たとえば母親が高校生の娘の出入りする喫茶店に自分も入ってみる。それは娘を理解しようとしてのことか、それとも純粋に自分も興味があってのことか。もし前者なら、どのようにして自分を納得させたか。あるいはこの母は不倫とエクセルをマスターすること(仕事で必需)のほか自分の世界はないのか?第一40代後半の働く女性(早稲田卒となっている)がエクセルも扱えないないなんて、そんな設定おかしくないか?など篠田節子さん、ちょっと変よ状況認識が!
砂漠の船Amazon書評・レビュー:砂漠の船より
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No.4:
(3pt)

そもそも家庭って・・・

父親、母親、娘・・・みんなの感情がとっても理解しやすいお話でした。なんだかみんなの愚痴を聞いて、みんなに平等に「それはひどいね~」と心の底から同情してあげられそうです。いろんな視点から見つめてみることで、作品がより奥深く感じられます。父親だけが「あたたかく何でも話し合える理想的な家庭」にこだわっている。それが空回りだから家族はどんどん離れていく。そもそもこういう家庭は意識して作るものではないのでは???父親の願いはわかります。でも正直、押し付けられてこれほど苦痛なものもないのです。理想の形にこだわりすぎて、娘の将来を冷静に見られなくなっている父親の姿には危険なものすら感じました。理想的な道へすすませてあげるのが愛情ではなく、好きな道に真剣にすすもうとしている娘を誰よりもたくさん応援してあげるのが家族ですよねー。きっと、これとおなじ「ミス」を犯している親は世の中にたくさんいるのでしょうね。「自分自身と地域」ということについても考えさせられます。何もトラブルもなく仲良くしていれば門題はないけれど、地域とはひとつでもミスを犯すとぞっとするほど寒々しい集団と化すのですね。その地域にあった住み方やお付き合いの仕方はほんとに重要だと痛感しました。地域に属し、平凡な生き方をしている私にとって見過ごすことのできないテーマを描いた作品でした。
砂漠の船Amazon書評・レビュー:砂漠の船より
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No.3:
(3pt)

そもそも家庭って・・・

父親、母親、娘・・・みんなの感情がとっても理解しやすいお話でした。
なんだかみんなの愚痴を聞いて、みんなに平等に「それはひどいね~」と心の底から同情してあげられそうです。
いろんな視点から見つめてみることで、作品がより奥深く感じられます。
父親だけが「あたたかく何でも話し合える理想的な家庭」にこだわっている。
それが空回りだから家族はどんどん離れていく。
そもそもこういう家庭は意識して作るものではないのでは???
父親の願いはわかります。
でも正直、押し付けられてこれほど苦痛なものもないのです。
理想の形にこだわりすぎて、娘の将来を冷静に見られなくなっている父親の姿には危険なものすら感じました。
理想的な道へすすませてあげるのが愛情ではなく、好きな道に真剣にすすもうとしている娘を誰よりもたくさん応援してあげるのが家族ですよねー。
きっと、これとおなじ「ミス」を犯している親は世の中にたくさんいるのでしょうね。
「自分自身と地域」ということについても考えさせられます。
何もトラブルもなく仲良くしていれば門題はないけれど、地域とはひとつでもミスを犯すとぞっとするほど寒々しい集団と化すのですね。
その地域にあった住み方やお付き合いの仕方はほんとに重要だと痛感しました。
地域に属し、平凡な生き方をしている私にとって見過ごすことのできないテーマを描いた作品でした。
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4575235075
No.2:
(3pt)

引っかかる

篠田節子は新刊が出るととりあえず買う作家リストの上のほうにいる。この「砂漠の船」も今日見つけて早速買って、早速読み出して、読み終わった。一気の4時間。なんというか、ガリガリギリギリと引っかかりのある小説を書く人だ。一気に読んだけれど、最近ありがちな読み終わったらすぐに内容を忘れて、古本屋に持っていく類の小説ではなかった。この引っかかり、不愉快なような、いらだたしいような、でもどちらでもなくて、引っかかりとしか言いようのない感じ。んー、引っかかっている。引っかかってみないか?
砂漠の船Amazon書評・レビュー:砂漠の船より
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No.1:
(4pt)

道導が無い40代夫婦の苦渋と家族の行方

早稲田大学を卒業後、妻が妊娠したが共働きで頑張ってきた。男女雇用均等法の施行により、女性の仕事にも責任ある仕事が任され、バブルでは働き盛りの年代だった夫婦。しかし、何より家族を大切にした夫婦は、出世より家族を選択して40代を迎える。「家族」を何より大切にし、堅実に働き、人に対し誠実であり、娘に対しても見守りながら親しい親子関係を築いてきたつもりが・・・娘が思春期を迎えた中学生から、予定外の出来事が少しずつ家族を揺さぶる。コミュニティーとして安心していた団地が家族を窒息させ、職場ではリストラが進行、安心感が倦怠感となった夫婦の危機。妻には娘の成長も、同じ女として世界を広げてゆくことが、世界が狭まってゆく自分と比較し羨望から束縛しようとしてしまう。自分達の親の世代には、日本社会の高度成長と重なり家族は1つの方向だけを目指せば良かった。だが、今の40代には道案内が無い。守ろうとする家族が幻のように脆く儚い。家族のためと働いてきた夫や、家族のために家事をこなしてきた妻リストラや子供の成長に巣立ち、更に自分自身の年齢と老齢になる親無我夢中で家庭を守ってきた主人公が、度重なる出来事にも必死で家庭を守ろうとする。全編を通じ暗雲たちこめる小説だが、不思議と暗さは感じない。それは、この主人公の家族だけが抱える問題に感じないからだと思う。各家庭で乗り越える課題が存在し、その時期を各々の家族が乗り越えるように、1つの家族の時間としてじっくり読める。生身の人間が巡り合い家庭を築く。生身の人間だからこそ、未来は予測不可能であり、幸福も苦渋も生まれる。丁寧に書かれた1つの家族の話に、最後までじっくり読ませる本。
砂漠の船Amazon書評・レビュー:砂漠の船より
4575235075

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