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十八の夏
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十八の夏の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.12pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全28件 21~28 2/2ページ
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以前から興味はあったが、この度の文庫化につき早速購入し読みました。4つの短編からなるこの本の共通テーマは『そのうちいいこともあるさ』4篇の構成は、標題作が初々しい青春小説ミステリー、「イノセント・デイズ」がサスペンス系ミステリー、他2編がちょっとしたの勘違いから生じる日常ミステリー、といった具合のもので、それぞれに季節の花がちょっとしたアイテムになっている。奇怪なトリックで煙に巻く種のミステリーではないため、最後に強烈な印象こそ受けなかったが、自然な展開に盛り込まれた伏線、少しずつ登場人物の動機を明かしていく過程は、食事も喉を通らないこと請け合い。ユーモラスな比喩表現は、日常生活でも使ってみたくなるかも・・・。ケチって文庫を待った自分が恥ずかしい。 | ||||
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「イノセント・デイズ」は非常に巧い作品だ。夾竹桃や“魔女の一撃”といった小道具がさりげなく張られた伏線となり、しかし密接に本筋と絡んできて、最終的に作品のテーマにまで言及されるあたり本当によく出来ているの一言。他の収録作がいまひとつ(と言うと人間性を疑われるほどの爽やかな癒し系ミステリではあるけれど)ミスリーディングが成功していない中で、白眉。 | ||||
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ミステリーとはいうものの、なんと味わいのある文章で、いい気分にさせてくれるんだろう。こんな作家がいたのか・・・と、嬉しくなりました。いい感じ。花をモチーフにした四つの短編集というのも、ういういしい感じ。殺人は「イノセント・デイズ」にしか出てこない。「十八の夏」と「兄貴の純情」は青春小説みたいです。好きなのは「ささやかな奇跡」です。子持ち・35歳の男やもめに起きた、奇跡。義父や義母とのしがらみ、息子・太郎への思い、明日香との恋。普通の、常識的な日常が過不足なく書かれていて、そういう意味ではリアルなんだけど、俗っぽくない仕上がりです。光原さん、もっともっと書いて、本、出して下さい! | ||||
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著者の名前に引かれ久しぶりに本を読みました。4作から成る短編で一晩に一作づつ読んでみました。読んでいて心の中にポッと花が咲くような仄かな感動があります。作者の云う「花をモチーフにした連作」とはこういう意味でもあるのかも。こういう作品は好きです。今「時計を忘れて・・」を読んでいます。 | ||||
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収められた四つの作品のなかでも抜群に良かったのが「ささやかな奇跡」。35歳の男やもめの主人公と、阪神タイガースファンの8歳の息子。大阪で暮らすようになったふたりの前に、ある日、素敵な女性が現れて……という話です。悩む主人公を応援する周囲の人物も交えて、人と人とのつながりのあたたかさに、胸がじんとなりました。ええ話やなあと、気持ちがほっこりしてきました。「兄貴の純情」。こちらは、直情径行一直線の兄貴と、そんな兄貴をはらはらしながら見守っている弟との関係が良かった。「あとがきに替えて、感謝の言葉」の中で光原さんが、〈書いていて楽しかったキャラクターでした〉と言っておられました。登場人物に寄せる作者のそういう気持ちが伝わってくる、読んでいるこちらの心も明るくなってくる兄弟コンビでした。4つの話の中で、花たちが咲き、匂い、揺れていました。花にまつわるミステリやいろいろ「ささやかな奇跡」に出逢えただけでも、光原百合さんのこの作品集を読んだ甲斐がありました。 | ||||
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この作品はミステリーなのです・・・でも?ラブストーリもあるんです。。四つの短編が四種の花(朝顔、金木犀、ヘリオトロープ、夾竹桃)をモチーフとし描かれています。ミステリーとして読むと物足りなく感じると思いますが最初の作品から読んでいるうちにミステリーである事を忘れさせる切ない?もどかしさのあるラブストーリーが最後の辺りで突然一つづつの謎?「あぁミステリーだったんだぁ」・・・と思わせる内容になってます。ですが!最後の作品「イノセント・デイズ」は唯一殺人?の起こる重たい内容になってます。ここにでてくる女の子の恋による盲目、純粋故の悲劇?義理の兄への恋心を元塾の先生(主人公)の奥さんが言った言葉には共感させられました。一体何処が罪なのか?何がいけなかったのか?本当に罪だったのかを考えさせられた作品です。最初の三作品(三と四は似てますが)はそれぞれ主人公の個性、設定が全く異なる為、たいくつせず、さらに所々にユーモアもあるので楽しく読めると思います。 | ||||
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四葉のクローバーを見つけた感じ。あるいは雑誌に載ってない激旨ラーメン店を発見した感じ。とにかく読む機会があってよかった。そう思わせるほどの内容だ。本書は第55回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞した「十八の夏」とほかに3編を含めた短編推理小説である。 スーっと引き込まれてしまう。癒し系ミステリーとでも称しようか。読んでいると、余りの切なさに胸が締め付けられる想いが…。はたまた、自分が小説の世界にいる気がして、臨場感溢れる場面に涙しそうになったりする。1、2、3編はとても心洗われる癒し系ミステリーなのだが、最後の作品は本書の中で一番推理小説らしい内容だと思う。 癒し系ミステリーらしく全編に花の名前が出てくる。表題作の「十八の夏」では朝顔、「ささや!かな奇蹟」では金木犀、「兄貴の純情」ではヘリオトロープ、最後の「イノセント・デイズ」には夾竹桃が登場し、話の重要なキーワードとなる。 知らぬ間に引き込まされてしまい、かつ、ほんのり心温まる文章。本格ミステリーとかトリックがどうとかという言葉では片付けられないものが本書にはある。ただ純粋に「面白い」、そう思わせる文章力を著者は持っていよう。本書を読めば、必ずや著者の他作品を読みたくなるはずだ。書評子、一押しの作家。ブレイク必至!? | ||||
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光原百合の書くミステリーは人が(ほとんど)死なない。そして登場人物の誰もが優しい。物語を読み進めるごとに心が安らぎ、登場人物をいとおしみ、ただそばにこの本がいつまでもいてほしい、と願うのであった。個人的には「イノセントデイズ」がお薦め。主人公であるお人好しの理想主義者は役に立たない。役に立たないがそれゆえに周囲の人々を幸せにするのだ。風邪を引いて、(あるいは仮病で)会社や学校を休んでしまった日、ベッドで読んで下さい。 | ||||
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