(短編集)

遠い約束



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遠い約束 (創元推理文庫)

2001年03月01日 遠い約束 (創元推理文庫)

駅からキャンパスまでの通学途上にあるミステリの始祖に関係した名前の喫茶店で、毎週土曜二時から例会―謎かけ風のポスターに導かれて浪速大学ミステリ研究会の一員となった吉野桜子。三者三様の個性を誇る先輩たちとの出会い、新刊の品定めや読書会をする例会、合宿、関ミス連、遺言捜し…多事多端なキャンパスライフを謳歌する桜子が語り手を務める、文庫オリジナル作品集。 (「BOOK」データベースより)




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遠い約束の総合評価:8.71/10点レビュー 7件。Cランク


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(7pt)

高校生が読む初めてのミステリとして最適

晴れて浪速大学に合格し、念願のミステリ研に入った吉野桜子とミス研の面々、黒田、清水、若尾ら3先輩が遭遇する日常の謎系ミステリ短編集。

「消えた指輪(ミッシング・リング)」は浪速大学ミス研の面々が合宿先のセミナーハウスにて入浴中に密室状態の脱衣所で起こった財布と指輪の盗難事件の謎を解くという物。
正に軽いジャブのような作品。事件はあまりに単純で犯人も容易に解る。工夫がなされているのは指輪の隠し場所と犯人の動機だろうか。日常の謎系ミステリを作るために少しばかり無理を感じさせる謎である。

表題作はこの短編集を貫く1本の軸のような物語。桜子の大叔父の暗号で書かれた遺言状をミス研の面々が解き明かそうとチャレンジする。しかしこれは発端に過ぎなく、この遺言状の謎を巡って桜子はある決意をする。

インタールード的な作品となろうか、その間に挟まれる2編は実に軽いミステリ。
まずその1編「『無理』な事件」は関西ミステリ連盟交流会、略して関ミス連のイベントでミステリ作家大槻忍先生を招いてのトークショーで起きた、睡眠薬入り緑茶事件を浪速大学ミス研の諸氏が推理する話。
もう1編「忘レナイデ・・・・・・」は小学校の時に転校で別れ別れになった男の子から届いた十年以上も前の暑中見舞い。しかし相手はつい最近交通事故で亡くなっていたという謎を扱う。
1枚の葉書きから男女の三角関係に潜む複雑な心情を推理する本編はどこかケメルマンの「九マイルには遠すぎる」を髣髴させる。
そして物語は再び表題作によって閉じられる。

光原百合氏が創元推理文庫で出版した文庫オリジナルの連作短編集。
彼女の実質的なデビューは東京創元社から単行本の版型で出版された『時計を忘れて森へ行こう』だった。しかしその前に彼女は光文社が主催する鮎川哲也が審査員を務める『本格推理』シリーズに投稿をしており、実際に作品が掲載された。本書にはそのシリーズに掲載された作品(「消えた指輪」)も挟まれている。そして投稿時のペンネームが本書で主人公ならびに語り手を務める吉野桜子でもあった。

浪速大学ミステリ研究会に所属する吉野桜子が出くわすちょっとした謎をミステリ研究会の面々が解決するというスタイルで語られているが、そのメンバーの個性が類型的過ぎて、なんとも少女マンガ的だなぁと苦笑してしまった。

よく似ているなぁと思ったのは田中芳樹氏の『創竜伝』シリーズの主役、竜堂4兄弟である。
例えば黒田はやんちゃな終であり、清水はおっとり型の余、そして若尾は毒舌家の続と家長の始以外、非常に似通ったキャラクター設定である。

ミステリとしての出来映えは中の下ぐらいか。どれもが見え見えの内容で、解けない謎でも真相は想像の範疇、つまり読み手が予想していた選択肢の中に納まっている物である。

しかしこの連作短編集はミステリそのものとして読むよりも語り手の吉野桜子のある成長物語と読むのが正しいだろう。日常の謎系ミステリの先駆者である北村薫氏が描く主人公「私」も確かに物語を重ねるにつれ、純粋な文学少女から大人の女性への階段を上っていく味わいがあるが、それは彼女が出くわす事件を通じて、大人の世界を知っていくといったもので、これといった主軸があるわけではない。
しかし本書では大学受験に合格し、憧れのミステリ研究会へ入会した吉野桜子が本書の表題作に登場するミステリ好きの大叔父との「遠い約束」、大人になったら大叔父と2人でコンビを組んでミステリ作家になる約束のため、いつか作家となる夢に向かう姿が描かれている。自分の身の回りの小さな宇宙を通じて作家になることへの覚悟を固めていく姿が背景になっている。

この吉野桜子が前にも述べたようにかつての光原氏のペンネームであったことから解るように、作者自身を投影した人物であるのは想像に難くない。従ってその文章からは自身がようやく憧れのミステリ作家になれた歓びが満ち溢れているのだが、いささかはしゃぎすぎて苦笑を禁じえないのも確か。
一人称叙述で語られる地の文はライトノベル好きの文学少女が書きがちな、ユーモアと皮肉に溢れており、悪く云えば悪ふざけが過ぎるように感じる。高校生の時に読めば、この手のミステリ愛好者をくすぐるような、ところどころに挟まれる古典ミステリへのオマージュや固有名詞にはニヤリとさせられるのだが、やはり40代の身には、白けて映ってしまう。

しかしそれらはやはりこの光原百合という作家が抱くミステリへの愛の深さゆえの発露であることがひしひしと伝わってくる。読み手から書き手へと脱皮したい衝動を主人公吉野桜子に存分に投影しているし、とりわけラストの大叔父の手紙ではミステリを愛する者が必ず抱く思いが綴られていて、胸を打つ。

こういうのにやっぱり弱いんだな、私は。
斜に構えて評価しようとも思ったが、それはやはりこの作家に対して失礼だと感じた。ミステリを愛する人、特に高校生に読んで欲しい作品だ。


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No.6:
(5pt)

好きだなあ

女子大生のヒロインが、ミステリ研の男子先輩達と楽しく事件を解決する話。楽しく読みました。満足。問題は挿絵だけだ…。何故挿絵が必要だった…。しかも何故この漫画家だった…。
遠い約束 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:遠い約束 (創元推理文庫)より
4488432018
No.5:
(3pt)

大伯父さん

 著者は大阪大学推理小説研究会の出身。学生時代の思い出を小説化したのが本書。
 ミステリとしては弱すぎる。むしろ青春小説として読むべき。実際、著者も現在ではその方向で活動しているようで、安心した。
 こういう小説には、伯父(大伯父でも可)さんが欠かせない。一族に一人くらいはいる、変わり者で博学な伯父。そういう存在を魅力的に書けると、面白い展開になる。本書も短編集のような体裁を取りつつも、大伯父にまつわる謎が繰り返し現れ、次第に謎が明らかになっていく。その構成がなかなかで、楽しく読むことが出来た。
遠い約束 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:遠い約束 (創元推理文庫)より
4488432018
No.4:
(5pt)

すごく心に優しいストーリーです。

北村薫さん、加納朋子さんと共に「心があたたまる」作家の1人です。確かにミステリーとしては弱いと思いますが、《大人の児童書》といった感じでしょうか。読んだ後の、さわやかであたたかい気持ちは、他にはないものだと思います。それは、現実にどこかであったような物話だからこそ、感じられるのかもしれません。本当に、日常を描くのが上手な方だと思います。今回も、登場人物がすごく魅力的でした。本当に、主人公の周りにはすてきな人達ばかりで、羨ましい限りです。個人的には、表紙の絵のせいで、作品に入る前にイメージが出来上がってしまったところが嫌でした。できれば、マンガちっくな絵は、この著者の作品には使ってほしくないです・・・。
遠い約束 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:遠い約束 (創元推理文庫)より
4488432018
No.3:
(4pt)

ダイヤモンドの原石

 本書ã‚'読むに至った経緯は、è'-è€...のä»-作å"ã€Žåå...«ã®å¤ã€ï¼ˆç¬¬55回æ-¥æœ¬æŽ¨ç†ä½œå®¶å"会賞短編部é-€ã‚'å-賞)ã‚'読ã‚"で、ä»-の作å"ã‚‚読ã‚"でみたいと思ったã"とである。書評子の予想に反ã-、あの「ç™'ã-感」はあまり感じられなかったが、「涙が溢れそうになる切なさ感」は所ã€...で垣é-"見れた。 å†...容は、主人å...¬ã®å‰é‡Žæ¡œå­ã¯å¹¼ã„ã"ろからミステリー好きで、大学へå...¥å­¦ã™ã‚‹ã‚„否やミステリーç "究会にå...¥ã£ãŸã€‚そã"には、絶ä¸-の美貌ã‚'要する駄天使・若尾å...ˆè¼©ã€‚おっとりã-たå...¬å®¶ãƒ»æ¸...æ°'å...ˆè¼©ã€‚ミステリーç "究会の筋肉æ‹...å½"・é»'ç"°å...ˆè¼©ã®ä¸‰äººã®åæŽ¢åµãŒã„る。 桜子の大伯父の死後、残された「æš-号解読式遺言状」ã‚'「幼い桜子と大伯父とのé-"に交わされたç'„束」「遺ç"£ç›¸ç¶šã€ã€Œå°†æ¥ã®å¤¢ã€ãªã©ã®å•é¡Œã‚'からめながらも、浪大ミスç "ã!®èª‡ã‚Œã‚‹ä¸‰äººã®åæŽ¢åµãŒç¢ºç«‹ã•れた分æ‹...作業(ç¬')でなã‚"なく解き明かす。ä»-に、浪大ミスç "初の合宿で起きた指輪探ã-や9å¹'前に書かれたæš'中見舞いの謎、本職ミステリー作家ã‚'巻き込ã‚"だ芝å±...仕立ての事件など、三人の名探偵が見事に辣è...•ぶりã‚'発揮する。 警察小説などで有名な横山秀夫は、あの「悲æ„'感」がたまらない。è'-è€...は? と言えば、「涙が溢れそうになる切なさ感」である。横山秀夫の「悲æ„'感」同様、ã"の「涙が溢れそうになる切なさ感」は天性のものであろう。ダイヤモンドの原石ã‚'発見ã-たæ°-分だ。è'-è€...の次作ã‚'切望する。
遠い約束 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:遠い約束 (創元推理文庫)より
4488432018
No.2:
(5pt)

優しく軽いミステリー

寡作な作者さんですが、どの作品も、暖かくて、優しいのが、良い感じです。北村薫さんの「私」シリーズや、加納朋子さんの駒子シリーズが好きな方には、文句なく、オススメです。というか、それらの作品より、ミステリー部分に力みがない分、まとまりが良く、読み易くなっていると思うので、是非、試してみてくださいね。
遠い約束 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:遠い約束 (創元推理文庫)より
4488432018



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