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Another(アナザー)
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Another(アナザー)の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.73pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全215件 181~200 10/11ページ
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初期の本格推理モノしか読んだことがなかったので 今回はミステリーとホラーの融合か? と思って期待していたのだが、ナニカチガウゾ。 いや、読みやすかったですよ。 650ページ余りあっというまでした。 だけどなにこのモヤモヤ。 そりゃあホラーなので余韻を残す、すっきりしない終わり方なのは分かるけど 最後の1ピースまできっちり嵌る本格推理独特のあの 「やられたー」って感じが全く無かった。 著者、50にして方向転換? たまにはこういうのもあっていい、……のか。 | ||||
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書店で手に取って、その分厚さに購入を躊躇した方、迷わず買いです。(責任はとれませんが) 早く続きが読みたくて、気が付けば読破していること間違いなしです。 夜見山北中学に伝わる呪い。3年3組の関係者に次々に降りかかる災厄。 はたして災厄は止まるのか、どきどきしながら読めます。 最後には「もうひとり」が誰なのか、しっかり謎が解けます。 人形の表紙カバーも印象的ですが、カバーの下のデザインもちょっと雰囲気があるのでご確認を。 最後に、登場人物の眼帯をした美少女メイがなんとなくエヴァのレイとダブってしまったのは、 私だけか? | ||||
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「面白かった!」と思える作品でした。最初はページ数の厚さに「時間がかかりそう」と思ったのですが……いざ読み進めると先へ先へと、気づけば1日もかからず読み終えてしまいました。(早い人でしたら3〜4時間くらい)決して読み飛ばすような内容では無くむしろ、とても読みやすい作品でした。情景が鮮明に思い浮かぶくらい内容がスッと頭の中に入るような文章。全体的にホラーとサスペンスに所謂ジュヴナイルっぽい感じが各少々といった雰囲気がありました。(あくまで私的意見ですが)三年三組に降りかかる《呪い》と噂される謎の現象。居ない筈なのに居る《もう一人の誰か》一体誰が?何故?次はどうなる?という不安感や疑心感は少し背筋が涼しくなるような、ちょっと不気味な感覚すらしました。 読み終わって気になった点は、真相が途中で(中盤近く)大体予想がついてしまった事。 あくまで、「やっぱり…?」とか「もしかして…?」みたいな感じで、ですが無理矢理過ぎるような感じでは無いです。 もう一つは《呪い》の原因解決について。一難去って。な状態なので思わず「え?そのまま!?」と思ってしまいました。もしかしたら続編があったりして、そちらで根本的に解決するのか、それとも読者の想像に任せるのか…むしろ解らないままの方が目に見えない緩やかな恐怖感もある…などなど。少々気になりました。 | ||||
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読み終わった瞬間に綾辻行人先生の凝った世界観とトリックに にやりと笑ってしまい、同時にどこか切ない青春映画を観たような余韻に浸りました。 ホラーと本格ミステリーの融合という評論通り、 読んでいて怖さ、淋しさ、不思議さ、犯人は誰だ?という疑問が湧き起こってきました。 物語では、夜見山北中学に転校してきた少年が 様々な怪現象に巻き込まれていきます。 その怪現象は26年前に、提案された些細な善意が発端になっています。 物語冒頭で噂される、ミサキという事故死した人物。 主人公が転校した先で会う、ミサキという人物。 主人公榊原は、ミサキに幾度も話しかけるも ミサキは話を曖昧にするばかり。 だが、それよりも榊原が気になるのは、 クラスの誰もがミサキなどいないと言ってしまうこと。 担任の先生までもが ミサキの存在を認識していません。 榊原が登校前に怜子さんから聞いた忠告、 「もう始まっている」というミサキ、 毎朝「ゲンキ、出してね」としゃべる九官鳥、 記憶や記録が自然に改ざんされ、 次々に死人が出る中、 主人公榊原は、この謎の現象から脱出することはできるのか? 小説を読み進めていくうちに「another」の意味がわかります。 そしてホラー小説なのに、 読んだ後は切なく、それでいて淋しい。 だけど、どこか温かい要素も含んでいる、 そんな錯覚に襲われます。 | ||||
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読み始めた途端の違和感。主人公が、母親の実家の夜見山に来た時に、作者からの「WHAT?」と問いかけている疑問をを「WHY?」と置き換えると突っ込みたい面が幾分か出てきます。 一人称でストーリーを進めたい理由に気づけれます。主人公の「母親の実家なのに…姓は?」とか、途中で、生徒の一人が全く、描かれなくなる矛盾点がチラホラ。 ホラーとの混合の領域ですが、ミステリー好きには、200頁も読まないうちに「もうひとり」が誰なのかは解けますが、スラスラと楽しく読めました。 | ||||
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ホラーとミステリの融合、と帯に書いてありましたが個人的にはこれはホラーだなと思いました。 もともとジャンルで読むタイプではないので、正直どっちでもいいですが(笑)。 原稿用紙1000枚の大作ですが、それを感じさせないくらいさらりと一気読みできました。 正直さらりと読めすぎた感が強いくらい…。 途中小野不由美著【魔性の子】を彷彿とさせる部分や、主人公の一人称に【悪霊シリーズ】を思い起こさせるテクニックなど、妙に小野不由美色を感じたのは私だけでしょうか。 ただ【魔性の子】に比べると死が軽い。 さらりと流れていってしまう死が何とも…。 もう少し重々しく取り上げていってほしかったかな。 そして最後の主人公の決断もまた軽く流れていってしまった気がしてなりません。 いくら『そうしなくちゃならない』場面だったとしても、そこはやっぱりもっと躊躇するのが普通ではないでしょうか。また小野氏の作品を引き合いに出して申し訳ありませんが、【屍鬼】のような…。 綾辻氏の読みやすく【次へ次へ!】と読者を引っ張っていく文体が逆に仇になったような気がしました。 個人的な好みかもしれませんが、もっとしつこいくらいに葛藤や回想的なものを組み込んで重々しく進めていってくれたらもっとよかった。 と、批判的なことばかり書いてしまいましたが、面白かったか否かと言われれば面白かったです。 深く考えないで軽く読むには楽しめると思います。 | ||||
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半分と少し読んだくらいで、“もう一人”が誰なのか予想がついてしまいました。私の予想を軽々と超える結末があるのかもしれない、と思い最後まで読みましたが、やはり予想通りでその点については少しがっかり。でもストーリーは面白く、一気に読める作品です。私は好きです。 | ||||
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名手・綾辻行人氏のホラー小説です。 綾辻行人氏は私の中では新本格の旗手であり、優れたミステリー作家です。その先入観が頭から離れず、どうしてもミステリーだとしか読めませんでした。残念ながら本作はミステリーではなくホラーであって、理屈で片付けられない現象が謎のまま終わってしまうのですが、そう思っていても何らかの論理的解決なり帰結なりがあるんじゃないかという期待のまま読了してしまい、自分の思いこみは棚に上げて不満に感じてしまいました。 ホラーであるという前提であれば(というよりも綾辻行人ではない人物、例えば鈴木光司の手による作品だと思って読めば)、エンターテインメントとして優れた作品と言えるかもしれません。原稿用紙千枚という長編大作でありながら、だれることなく、一気に最後まで読ませるリーダビリティは圧巻です。 疑問点(ホラーである現象は除いて)として唯一残るのが、舞台がなぜ1998年だったのかということ。現在であっても全く構わない内容にも関わらず、あえて1998という年を選んだ以上はそこから現在(執筆当時2006年)までの何らかの話があるのではないかと期待したのですが、残念ながらその答えはありませんでした。唯一可能性としてあるのは主人公の名字の件だけ。それだけのための1998だとするとちょっと構成が甘い気がします。 本作はホラーであって現象に理屈的説明はないという気構えで読めればそれなりに面白いと思います。 | ||||
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登場人物に自明の事柄が読者に知らされずに話が展開していきます。私の基準ではアンフェアです。 たくさん仕込まれた伏線が丁寧に解き明かされていきます。その限りでは破綻はないのですが、何か機械的な説明という印象を拭えませんでした。 | ||||
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98年当時中学生だった自分としては、文章の随所からあの頃の淡い記憶を呼び起こされるような作品でした。そのせいか恒一の一人称も親しみやすく、中学生だったらこうだよなーと納得してしまうほどです。 個人的には「呪いそのもの」が解決することはないだろう、と予想していたので恒一と鳴の関係に重点を置きながら彼らが「呪い」とどのように向き合っていくのかを書いた点は個人的には大変好ましいものでした。 ラストの引用フレーズも余韻に残り、非常に満足しています。 | ||||
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主人公、榊原恒一は夜見山北中学の三年三組に転校してきた。そこで、一人の少女ミサキに惹かれる。しかし、彼が彼女に話しかけるたびにクラスメイト達は怯え、「いないものに話しかけるのはやめろよ」と意味不明の言葉を放つ。 だんだんとわかってくるのは、この三組が「呪われた三組」と呼ばれていること、クラスメイトやその関係者達が不慮の事故や自殺でたくさん亡くなっているということ。 そして、恒一の目の前でその「呪い」が始まった。 綾辻といえば新本格というイメージから抜け出せないため(「囁きシリーズ」などがあるにも関わらず)、この「呪い」の要素がどのように回収されていくのだろうということにばかり集中して読んでしまった。 最後まで読んだ印象としては、「ある少年の奇妙なひと夏と不思議な少女との淡い恋」といったところか。「呪い」を巡る言い伝えである26年前のミサキの死、クラスの中でひときわ不思議なオーラを放つ少女ミサキ、そしてさまざまな理不尽な死。 この中学と、中学のある村の名前のせいか、しんしんと冷えた夜のような雰囲気の小説だ。ホラー小説としては非常に面白いが、その「呪い」が解明・解決されなかったという点は、何らかの解決を与えてほしかった私からすれば少し中途半端なものに感じた。 | ||||
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片田舎の町、夜見山市。中学校のクラスに25年にわたって降りかかる謎の連続死。主人公にだけ見える謎の少女、ミサキ・メイ。 読む前からこれ以前のキーワードに惹きつけられ、読んでいる間も謎めいたストーリーにグイグイと引き込まれ、三日ほどで読み終わりました。 おもしろかった。じつにおもしろかったのですが… 以下微妙なネタバレ 読んでいる間中、奥さんでもある小野不由美の「屍鬼」を思い出せずにはいられなかった。 作品の最終的なテーマも同じところにあり、小野氏が得意とする「他人を殺しながら生きる人間」がそれである。 「屍鬼」において小野氏は、「他人を殺すからと言って、人殺しを殺してもいいのか」という疑問を投げかけました。 本作でも同じようなことが言えます。本作ではさらに特殊な状況下でその疑問が露呈するのですが… ページ数で言えばこの疑問に対する葛藤は数ページしかありません。 しかも屍鬼とは違い、主人公が下した決断が正しいことであったかのように、物語は結末を迎えます。 この点から、「Another」はテーマが弱いのです。考える部分がありません。答えを示されているのですが、その答えは決して正解ではないのです。 などとグダグダ書きましたが、物語自体は非常におもしろく、綾辻作品独特のどんでん返しもしっかりあります。 この本の紹介文に興味を持った方、また、「屍鬼」のファンだと言う方は、書店で見つけたらぜひ手にとって見てください。 | ||||
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皆さんもおしゃっていますが、久しぶりのヒット作だと思います。推理要素、ホラー要素、グロ要素、綾辻さんが得意とする要素がすべて活かされています。また今回は登場人物も大変魅力的で記憶に残る作品になりました。綾辻ファンはぜひ読んで感動を共有したいです!! | ||||
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この作品は一言、とても面白いです。 手にとってみて本の分厚さに驚かされましたが、読み始めると 綾辻ワールドに一気に引き込まれます。 文体自体も理解しやすいので、スラスラと読める ミステリーとサスペンスの二つの要素を持った作品です。 ただいささかミステリーの要素の部分で、 話の核心を引っ張りすぎるところがあるかな〜 とも感じます。事件の謎の解決作はあるものの、 それを完全に止める方法などは明かされては居らず、 少し消化不慮の部分もあると思います。 ホラーの面では、申し分なく最後までワクワク、ドキドキさせられ、 「へ〜〜そうだったの!!そう来たか!!」 と思わされる作品です。 とにかく1度読んでみるべし!! | ||||
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綾辻ファンの方、やっと!近年の欲求不満を解消、どころか、ファンでいてよかった!と涙させてくれる作品の降臨です。デビュー作から全作をリアルタイムで読んできましたが、最近の『暗黒館〜』その他は周知の通り空振りばかりでした。小説以外の活動や、デビュー作の改訂版を出すのもいいけど、長年の読者を満足させてくれる一作を書いてよなどと思いつつ、次作に期待…な日々を過ごしてきました。そしてこの『Another』。圧倒的な厚さの分だけ綾辻ワールドにいられるんだ^^(なんだかんだ言ってもそこはファンですから)とページを繰り始めたが最後、ノンストップの一気読みとなってしまいました。たった今読了したこの気持ちを同胞の皆様にお伝えしたく、お目汚しのレビュー等を書かせていただいております。一言で言うとこの作品は、『十角館〜』のインパクトと同等、もしくはそれ以上の衝撃を与えてくれます。帯にある「『十角館の殺人』から22年。」というフレーズ。この作家と出会い、それだけの年月を読み続けていられてよかった。感動です。そしてまた、この作品をきっかけに新たな綾辻ファンが生まれることを願ってやみません。内容的なことは皆様が書かれていますので触れませんが、綾辻ファンのかたはもちろん、良質なミステリやホラーを欲している本読みの方は絶対にお読みください!神か悪魔か、綾辻行人か! | ||||
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ホラー、ミステリー、ファンタジー。 この作品に当てはまる言葉をひとつ選ぶならホラーですが、本作は上記のどの側面も持っており、特に主人公と謎の少女メイとの交流はボーイミーツガールものの匂いを強く感じさせます。 そんなホラーなボーイミー(以下略)、前半はスローテンポでなかなか読み進められなかったものの、後半は怒涛の展開に引き込まれ一気に読みきり、満足感を得ることが出来ました。 設定の一部には非科学的なものというか、存在する必要があるが故の設定というか………言ってしまえばファンタジー的なものも一部にはあり、作中の全ての事柄に科学的かつ論理的な説明を求める人には向きません。 しかしそうでない人―――設定を「それはそういうもの」だと思って読める人ならきっと楽しめるはずです。 | ||||
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ミステリとホラーの二つの系譜を持つ綾辻の、前者の筆頭格が「時計館」なら、後者のそれは「Another」だ。早くもそう断言できるほど、この「超自然的ホラー」のできばえは素晴らしい。「深泥丘」には消沈してしまっていたぶん、本作のもたらした薄明は期待以上に輝かしいものだった。 「時計館」との相似性を随所に認められる世界観に溺れさせられる。まずは閉鎖的な極限状況(心理的クローズドサークルと言い替えてもいい)。これは物理的なそれとは異なるため、そのぶん著者も人々の恐怖を芯まで徹底的にえぐりだそうと奔走している。次に鮮やかな叙述。ミステリの叙述物とは違う読後の「ショック」がまた、二重の意味で見事である。 しかし、何よりも魅惑されたのは、歴代の綾辻作品でも稀にみる個性派揃いのキャラクターである。某超有名ロボットSFアニメのヒロインを否応なしに連想してしまう鳴はとりわけ出色だが、勅使河原などの脇役も存在感がみなぎっている。 著者曰く「新たな代表作」だそうだが、これには異論はない。これだけでも充分大収穫といえるが、欲をいえばシリーズ化して欲しいくらいだ。恒一&鳴は鹿谷&江南にも比肩する名コンビに化けられると私は感じている。おそらく困難だろうが、この二人をメインキャラとした、著者の畑の本格ミステリの新シリーズを書いてみたら、これはさぞかし面白くなるに違いない。 | ||||
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今までにない不思議な作品で、展開が読めず一気に最後まで読みました。 ある中学校のクラスを舞台に起こる《厄災》。起こる年は次々とクラスの人間や家族が死んでいくという今までにない設定で、現実的ではないからリアリティーがどうなんだろうと思って読み始めたが、どんどん引き込まれていって、誰がもう一人なのか、どうしたら止められるのか、気になり一気に読みました。サスペンスや推理小説というよりは、起こってしまう事件に対しての人間の心理状況の変化や、集団といての心理などが面白かったです。 | ||||
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1,000枚という大部の長編ですが、あっという間に読めてしまいました。このリーダビリティの高さは、さすが綾辻氏です。隅々まで計算された構成、張り巡らされた伏線の緻密さも、氏の本領発揮といえるでしょう。 力作であるということに異論はありませんが、不満も少なからずありました。最大の不満は「呪い」のルールが、どれもあまりにゲーム的過ぎること。これはSFミステリと同じように「謎解きゲームを成立させるためのルール」であり、ホラーの道具立てとしてはむしろ興ざめでしかありませんでした。 また、このルールのせいもあるでしょうが、登場人物の言動に不自然さが目立ちすぎます。何より不自然なのは、主人公の一人称。主人公は一体、誰に対してこの話を書いて(もしくは語って)いるのでしょうか? なぜ、ある部分をあやふやに語る必要があるのでしょうか? これは「日記」なのでしょうか? それとも「手記」? 「手紙」? 「内面の声」? そのいずれだとしても、なぜ主人公がわざわざこういう語り方(書き方)をしたのか、その理由がどうしても分かりませんでした。これもまた、小説世界のリアリティよりも、仕掛けを優先したがゆえに生じた不自然さでしょう。 ホラー・ミステリという触れ込みですが、「ホラー」というには小説部分への心配りが少々欠けているように思えます。「耳ざわりがいい」等の日本語の誤用も感心できません。 『時計館の殺人』はホラーではありませんが、読んでいるうちにそくそくと迫ってくる怖さがありました。『殺人鬼』は不自然さが目立たず、ホラー的な要素と本格ミステリとしての要素が無理なく融合した傑作でした。綾辻氏には、これらの傑作に匹敵する新作を期待したいものです。 | ||||
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著者のデビュー作、「十角館の殺人」(1987年)は、 日本に新本格ムーブメントをもたらした画期的な作品であり、 以後「館シリーズ」となった一連の作品群は、 常に「意表を衝く結末」で読者を魅了し続けてきていると言えよう。 この著者には、「館シリーズ」の本格ミステリの作者としての顔のほかに、 もう一つの顔があった。 それが、「殺人鬼」や「緋色の囁き」のような、 ホラー小説の中に、ミステリ的な試みを投じた作品群であり、 本書「Another」は、この系譜に属する作品であると言える。 中学3年生の主人公、榊原恒一が転校してきた3年3組は、 何かいわくありげな雰囲気を纏っていた。 そこで、彼は見崎鳴という女子生徒と出会うのだが、 彼女にはどこか妖しい気配が漂っている。 やがてクラスの関係者が不可解な死を遂げ始め・・・という、 物語の主たる筋は、ホラーである。 だが、そこは、本格ミステリの作者だけあって、 ミステリの味付けも忘れてはいない−−というより、 ホラー×ミステリ−−というコラボを実現しようとしているのである。 物語はPart1(What?............Why?)と Part2(How?............Who?)の2部構成だが、 それぞれのパートに付けられた疑問符に答える形で物語は進行する。 殊に、最後のWho?は、著者自ら「あとがき」の中で、 「おおかたの読者の意表を衝くであろう」と述べているとおり、 素直に騙される快感を味わいたいところだ。 本書の書名を初めて目にした時、 私は、ニコール・キッドマン主演の映画「アザーズ」(2001年)を 思い浮かべてしまったが、それもそのはず、 「あとがき」によると本書はこの作品に インスパイアされているのだそうである。 「アザーズ」もミステリ的な試みが楽しめるホラー作品だが、 その作品を観ていたとしても、というより、 観ていていればさらに楽しめる作品に、本書は仕上がっていると思う。 | ||||
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