■スポンサードリンク


七十五羽の烏



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!

七十五羽の烏の評価: 4.14/5点 レビュー 7件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.14pt


■スポンサードリンク


Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(3pt)

「退職刑事」の2つの短編が光る

「都筑道夫」コレクション中の一作で、タイトル作の他6つの短編、5つのエッセーを含む作品。コレクションという事でこのような変則的な形式になったと思われる。

タイトル作は、平将門の娘瀧夜叉姫伝説が残る村で、旧家の一族3人が次々と謎の死を遂げるという横溝作品ばりの設定だが、作者はこれを論理性と軽妙味を持って処理する試みをしたようだ。探偵役は"ものぐさ太郎"をもじった物部太郎。金に不自由のない身分で働く意志は全くないが、父の眼を気にして心霊探偵の看板を挙げている。この太郎が助手の直次郎と共に心ならずも上述の事件に巻き込まれて行く姿を描いたもの。ミスディレクションという言葉が本文中にこれ程出て来る作品にはお目に掛かった事はない。その他、各章の冒頭に当該章の要約が付いていたり、タイトルの意味が最後まで分からない等の作者らしい遊び心はあるものの、肝心のトリックが作者にしては凡庸で惜しい気がする。

「キリオン」物2編は共に密室を扱ったものだが隙が多い。トリックより人間模様に比重を置いた感じ。「退職刑事」2編は、退職した元刑事の語り聞きに依る安楽椅子探偵物だが、共に謎の案出・処理の仕方が巧妙で、本作のカテゴリー<本格推理編>に相応しい出来。特に後者はH.ペンティコースト「子供たちが消えた日」を思わせる発想の拡がりに感心した。「なめくじ長屋」シリーズ2編は共に妖異譚風の物を選んだようだが並の出来。最後のエッセーは自作解題となっている。

都筑作品の様々な魅力が楽しめる構成だが、特に「退職刑事」の2つの短編が光って見えた。
七十五羽の烏 ―都筑道夫コレクション<本格推理篇> (光文社文庫)Amazon書評・レビュー:七十五羽の烏 ―都筑道夫コレクション<本格推理篇> (光文社文庫)より
4334734553

スポンサードリンク

  



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!