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三つ首塔
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【この小説が収録されている参考書籍】
三つ首塔の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.03pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全28件 1~20 1/2ページ
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レトロな大人の夏休みの物語、スリルとドキドキを味わいたい方はどうぞ。^_^ | ||||
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年末年始の暇つぶしに読もうと買った。全364ページをパラパラとめくり、冒頭のみ少し読み始めたのがいけなかった。ついつい引き込まれて数時間で読了してしまった。金田一耕助シリーズは随分持っているのだが、この【三つ首塔】が一番楽しめた。登場人物が多かったが、この作者にしては珍しく把握しやすかった。年末年始は別の本を用意して読む事になりそうだ。 | ||||
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「三つ首塔」は昭和30年「小説倶楽部」に連載された横溝正史の長編推理小説。名探偵・金田一耕助シリーズの一作だが、ヒロイン音禰による回想手記の形をとっており、金田一の出番は極めて少ない。全体を通して女性視点で描かれている異色作であり、推理要素が少ないかわりに、事件の荒波に翻弄される主人公の女性をサスペンス要素たっぷりに描いている。 昭和30年9月17日。幼いころ両親を亡くし、伯父の上杉誠也にひきとられ幸せな日々を送っていた宮本音禰の身に、予想もしない出来事が起きた。曽祖父の弟で、アメリカで成功し大富豪となった佐竹玄蔵という老人の、百億円近い財産が譲られることになっていると告げられたのだ。ただし、遺産を相続するためには、高頭俊作という行方不明の青年と結婚することが条件として定められていた。 かつて佐竹玄蔵は武内大弐という山師に騙されたことがあった。怒った玄蔵は大弐の首を刎ね、そのまま行方をくらましたが、共同出資者の高遠省三は大弐殺しの罪を着せられ打ち首になってしまう。玄蔵はこの罪滅ぼしとして、高頭の曾孫である俊作と音禰を結婚させ、莫大な財産を譲ろうと考えたのであった。 それから半月の後、上杉誠也の還暦祝いが日比谷の国際ホテルで開かれたが、そのパーティーで最初の事件が起きる。舞台でアクロバットダンスを踊っていた笠原姉妹の妹・操、上杉誠也の依頼で高頭俊作を探していた秘密探偵・岩下三五郎、そして腕に相合傘の刺青が彫られていることから高頭俊作と思われる青年が続けざまに毒殺されてしまったのだ。 三重殺人事件のショックで意識を失った音禰は、ホテルの空室に担ぎ込まれ寝かされていたのだが、高頭五郎と名乗る男が侵入してきて貞操を汚されてしまう。男の卑劣さに怒りと憎しみを抱きながら、同時にその男に惹かれてしまう己の浅ましさに煩悶していた音禰の前に、高頭五郎は弁護士事務所の調査員・堀井敬三として現れたのであった。 高頭俊作が死んだことで、遺産は佐竹玄蔵の血縁で山分けされることになる。玄蔵老人には善吉・彦太という2人の兄がいた。善吉の系統では宮本姓となった音禰と、音禰の叔父にあたる佐竹建彦の2人。一方、彦太の系統では殺された笠原操を除き、笠原薫、島原明美、佐竹由香利、根岸蝶子・花子姉妹の5人が現存していた。 1人でも減れば取り分が億単位で増えることから、相続権を持つ者たちが次々と殺されていく。その嫌疑をかけられ、警察に追われた音禰は否応なしに堀井の元に身を寄せることになる。正体不明の男を恐れ憎しみながらも、しだいに惹かれていく音禰。いつしか二人は力を合わせ、玄蔵老人が建てたという蓮華供養塔「三つ首塔」へと向かうのだった……。 本作ではたくさん人が死ぬのだが、特別なトリックが使われるわけでもないのであまり印象に残らない。その反面、浅草のストリップ劇場「紅薔薇座」で披露された双生児の蝶子・花子姉妹による金粉・銀粉ショーや、池袋の「オリオン座」で巨人・鬼頭庄七と可憐な少女・佐竹由香利が演じるSMショーなど、戦後の性風俗の描写はかなり濃密で異彩を放っている。 清純な箱入り娘だった宮本音禰が、謎の青年に無理やり純潔を奪われ、命じられれば何でもする汚れた女になるわけだが、そこから爽やかな結末に至る展開は実に見事だった。合理的解決を厳守する横溝正史としては珍しい終わり方をする「三つ首塔」だが、冒険小説・恋愛小説的な観点で見るとなかなか面白い作品といえる。「女王蜂」が好きな方などは特に楽しめるだろう。 <登場人物> 宮本音禰 … 突然、百億近い遺産の相続人に選ばれたお嬢様。 宮本省三 … 音禰の父。国文学者。故人。 宮本節子 … 音禰の母。善吉の孫。故人。 上杉和子 … 節子の姉。善吉の孫で音禰の養母。故人。 上杉誠也 … 和子の夫。音禰の養父。某私立大学の文学部長。 上杉品子 … 自ら芸者になって誠也を育て上げた親代わりの姉。 お茂 … 上杉家の女中。 佐竹善吉 … 音禰の曽祖父。故人。 佐竹彦太 … 善吉の兄。故人。 佐竹玄蔵 … 善吉の弟。大弐を殺しアメリカへ逃げた大富豪。 佐竹建彦 … 善吉の孫。節子、和子の弟で音禰の叔父。 佐竹由香利 … 彦太の曾孫。オリオン座の芸者。 笠原薫 … 彦太の曾孫。操の姉で二人はアクロバットダンサー。 笠原操 … 彦太の曾孫。パーティーの最中に毒殺される。 島原明美 … 彦太の曾孫。バー「BON・BON」のマダム。 根岸蝶子 … 彦太の曾孫。紅薔薇座の芸者。 根岸花子 … 彦太の曾孫。蝶子の双子の妹で同じく芸者。 武内大弐 … 山師。騙されたことを知った玄蔵に殺される。 武内潤伍 … 大弐の孫。玄蔵が最初に遺産を譲ろうとした人物。 高頭省三 … 玄蔵の親友。大弐殺しの罪を着せられ斬首された。 高頭俊作 … 省三の曾孫。玄蔵が希望した音禰の結婚相手。 高頭五郎 … 省三の曾孫。俊作のいとこ。音禰に接近する。 鬼頭庄七 … 佐竹由香利の養父。二人で怪しいショーを行う。 古坂史郎 … 島原明美の愛人である美少年。 志賀雷蔵 … 紅薔薇座の支配人。蝶子と花子のパトロン。 岩下三五郎 … 上杉誠也が高頭俊作の捜索を依頼した秘密探偵。 黒川弁護士 … 丸の内にある黒川法律事務所の所長。 堀井敬三 … 高頭五郎の仮の姿。黒川法律事務所で働く。 法然和尚 … 三つ首塔こと蓮華供養塔にひとりで住んでいる。 等々力警部 … 警視庁捜査一課所属の警部。金田一耕助の相棒。 金田一耕助 … 雀の巣の頭にくたびれた着物袴。ご存知名探偵。 | ||||
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犬神家の一族のような金田一耕助が事件をばっさばっさ解決していく冒険活劇とは異なり、活躍の場はほとんどありません。 金田一耕助と敵対している(?)主人公の回想文として描かれているので、金田一耕助の活躍を期待している方には不向きな作品だと思います。 変わって駆け落ち同然のラブロマンスや18禁の場面があったりと金田一耕助でない主人公の立場から作品が描かれています。 もう少し金田一耕助の活躍が見たい自分としては不満が残る作品でしたが、読み終わった時の爽快感はさすがでした。 これもありかと割り切って読むと楽しめる作品です。 | ||||
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ヒロインの視点で描かれるのが新鮮なミステリー。彼女が、男に連れられて、三つ首塔にやって来る場面から始まる構成が巧みで、謎の男の正体や、ヒロインとの関係が不明のまま、血みどろの惨劇が展開する。この男が悪者なのかどうか不明で、それでも彼に惹かれて離れられなくなるヒロインの心理が、よく描かれていた。 そして、男と2人で絶体絶命の危機に陥る、劇的な展開に、ハラハラしながら読まされた。金田一耕助は、少ししか出て来ないが、最後に美味しい役割を持っていった感じ。ほとんど推理小説と言うより、ロマンティックな冒険活劇だったが、面白かった。当時の風俗も興味深く、エログロさは、江戸川乱歩ばりであった。個人的には好みだが、本格推理ではないですね。 | ||||
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横溝ブームの時に読んで以来の再読。 金田一耕助は登場するが、本格推理ものではなく、あくまで伝奇風メロドラマ。 ミステリとして読むと、ご都合主義や矛盾点などが目に付くかもしれないが、そのような部分をあげつらってはいけない。美しい一人称ヒロインに感情移入してストーリーにどっぷり浸り、昭和30年頃の横溝風東京アンダーワールドを満喫するのが本書の正しい楽しみ方だ。しかもクライマックスの舞台はおなじみ中国地方の山の中(今回は播州)。 本格ものの傑作を何作も書いている横溝正史にしてはミステリとしていかがなものか作品なのに、なぜか不思議な魅力があるようで、Amazonでのレビュー数も多い。意外と読み継がれているようだ。 一晩で読めるので、横溝ワールドを堪能したい人はぜひ。 ただし、くどいようだが本格推理ものではない。 | ||||
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最後に正体を現わす犯人は、次々に極悪な殺人を行った人間には違いないが、おどろおどろした展開を読み終えた後に、今回も金田一が、切ない結末を運んでくる。 | ||||
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角川文庫の横溝正史シリーズにすっかりハマってしまい,本作品を手にしました. 相変わらず次々と登場人物が殺されてゆくのですが,犯人が誰なのか,私には最後まで分かりませんでした.つまり推理小説として十分楽しめるのですが,しかししかし.本書の面白さは「謎解きのみにあらず」です.この手の本でのネタばらしはご法度ですので詳しいことは書きませんが,予想もしていなかったような意外な結末から受ける感動は,本シリーズの『八つ墓村』に似た読後感があります. 横溝作品としてはさほど有名ではないと思うのですが,とても楽しめる小説です.お奨めの一冊です. | ||||
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テレビでこのドラマを観ました。TBS.系で、真野響子、黒沢年男主演の分です。とても面白かったので、直ぐにAmazonで探して、読みました。横溝正史にしてはちょっと異色な、読みごたえのある本でした。 | ||||
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ファンの間ではあまり評判の良くない作品でしたし、最初読んだとき横溝先生にこのころ何かあったのではと心配にすらなりました。これが人気が出たのは、あの毎日放送の「横溝正史シリーズ」で取り上げたからでしょうね。あそこまで忠実に、原作の世界観を再現してくれたスタッフ脱帽しました。 原作は、ほぼ官能小説。推理の要素はほとんどありません。ヒロインを「一途」と解釈するか、「淫乱」と解釈するかで、評価は違ってくると思います。その点ではレディースコミック向きの題材なんですが、不思議なことにあのJETさんはコミック化していないんですよね。何故なんでしょう? | ||||
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金田一耕助はあまり出てきません。 最後、美味しいところは持って行きます。w 主人公は宮本音禰という横溝作品の中でも、一二を争う美女です。 詳しい内容については、他の方が書いていますので割愛しますが、 これはハッキリ言って推理小説じゃなくて、官能小説です。 オマケで金田一がちょこっと付いてくるみたいな。 | ||||
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女性好みだと思います。 スリルがあって一気に読めました。 アダルトな作品なので、苦手な人は苦手かも。 八つ墓村、犬神家の一族並みに評価されてもおかしくない作品だと思います。 私の中の傑作ベストテンに入りました。 | ||||
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金田一の扱った事件の中で、物語のヒロインであり、とびきりの美女を三人上げろというアンケートがもしあったなら…。 「犬神家の一族」の野々宮珠代、「女王蜂」の大道寺智子、そして本作の宮本音禰があげられるのではないかと思います。 彼女たちを妻とすれば莫大な遺産が手に入るというまさに色と金も絡んで、登場男性諸氏はみな彼女たちにメロメロになります。 この三人の美女はいずれも甲乙つけがたいといいたいところですが、前者二人と音禰はまるで違います。 貞操の危機に会いながらもナイトが現れ純潔を守る珠代と智子。それに反して音禰は開巻早々にある男に強姦され、その後も音禰はその男と会うたびに体の関係を深めながら、物語が進んでいくのです。なんとなく不謹慎な展開なのですが、心より先に体の関係ができてしまい、次第に男にのめり込んでいくのです。ヒロインに処女性を求めるタイプの方には不向きな小説です。とはいえ、前半は金田一の都会物でよくあるエログロ、アングラな世界が満喫できます。後半戦、いよいよ「三つ首塔」の現地に飛ぶとそこは播州黄昏村。岡山物を彷彿とさせる片田舎が舞台となります。金田一の得意とする二つの世界が味わえるお得な長編と言えるでしょう。二時間ドラマにするには肌色が多くなりすぎるので、規制ばやりの昨今では映像化はとても期待できません。 主人公が殺人犯の容疑をかけられ、逃亡しながら一方で真犯人を探すという話は非金田一ものである「女が見ていた」がありますが、音禰自身が懸命に真犯人を探し求めていたわけでもないので、星三つかと思いましたが、一週間以上も全身タイツ一枚のあられもない姿を披露し続けたヒロインに免じて星四つでお願いします。 | ||||
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古風な村での惨劇というのとは違います。書かれた当時が相当昔なので「現代」というのとは違いますが、現代風な作品です。 金田一は要所要所で出てきますが、基本的には主人公の女性が自信の観点、経験から進んでいく作品。 大作品とは少し風合いが異なりますが、謎解き、スリルどれも楽しめました。 | ||||
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展開が早くて、面白い。 主人公の立場に感情移入出来て、ハラハラする。 映画化して欲しいなぁ。 | ||||
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極めてテンポが良いストーリーであることを今回読んで再認識しました。 女子大を卒業していわば花嫁修行中の宮本音禰(おとね)がこの物語のヒロイン。 いきなり百億円という莫大な遺産を相続するかもしれないことになり、人生は劇的に変わり始めます。 (しかし、昭和30年の100億円だから、現在の貨幣価値に換算するとものすごいことになりそうです。) 箱入り娘(死語?)が堕とされていくスリルを横溝正史はあまりに巧みに描いております。 登場人物が多いのですが、次々に殺害されていくので、容疑者と遺産の相続対象者はみるみるうちに減っていきます。 冒頭、宮本音禰の伯父の還暦祝いのパーティーでは、いきなり三重殺人事件として三人が血祭りに上げられます。 そのあとも、音禰の行く先々で血の雨が降るかんじです。 ジェットコースターに乗っているように、読者はあっというまにクライマックスの地、三つ首塔へ連れていかされます。 真犯人はもちろん意外でありますが、犯行過程に合理性がなく(ある人物の殺害に用いられた凶器に音禰のハンカチが巻かれていた理由がどう考えても思い当たらない)、ミステリとしてはB級の通俗長編です。 しかし、『幽霊男』や『吸血蛾』とは異なり、ヒロイン視点の巻き込まれ型サスペンスとして正史の作品では輝きを放っています。 | ||||
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さまざまな性描写や風俗関係など、 普通に生活していてはあまりお目にかかれない世界を描かれていて それが逃避行のめまぐるしさや、日常から裏側へ入り込んでしまった主人公の 視点と相まって、中だるみすることなく最初から最後まで一気に読み進めることが出来ました 金田一耕介の出番はあまりないのですが、 前半の主人公との対立(一方的なライバル心を持っている主人公)なども なんだか年若い娘さんに対して「仕方ないなあ」とでも思っているような節があり ラスト近辺でもそんな感じで、出番こそ少ないですが ある意味、出番が少ないからこそ金田一耕介の人柄が見える話だと思います 推理というよりは、横文字のミステリーやドラマという言葉の方がなぜかしっくりくる今作品。 性描写などは物語の性質と展開上、避けて通る方が変なので 私はこういう必然な流れの中での描写はむしろ歓迎です それに主人公の言い回しが古風で逆に新鮮で素敵に感じました まあ、それもこれも最後が「結果よし」で終わるから言えたことなのですが 作者もそれをわかっているからこそ、いろんな非日常を詰め込んだのだと思います 楽しかったです 一点あげるとすれば、表紙に違和感…。 せめて「夜歩く風」にしていたらければと。 | ||||
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こちらの作品、金田一耕助さんは殆ど登場しないので、金田一好みの方はちょっと物足りないかもしれません。 トリックは薄く、推理小説よりもむしろ冒険譚で、才色兼備のお嬢様が愛する男性の為に強くなっていく印象を受けました。 最後のほうで犯人が分かるのですが、それも主人公ヒロインの一言で、決定。 とにかく可憐な乙女も愛する男性の為なら虎になるというヒロインの変化が楽しめます。 ヒーロー君は肝心なところで怪我をするというドジな場面もあり、二人のメロドラマでしたね。 等々力警部さん、活躍全くなしです。。 横溝作品では珍しい作品だと思います。 | ||||
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これを本格的な推理小説と思って読むのなら、やめたほうがいいと思う。そうじゃなくて、テレビの2時間ドラマのつもりで楽しみたいと思う方にオススメ。 実際、どう考えても、著者がマジメに推理小説として書いているとは思えない。むしろ、ジェットコースター・ノベルをオレもいっちょう書いてやっか、ってな感じがひしひしと伝わったのは、けっして私だけではないはず。 ただ、そこはヨコミゾ・セイシ。「三つ首塔」なるオドロオドロしい謎かけは、やっぱり著者ならではだと思うし、私自身、そこに何があるのだろうと気になりながら、ひたすらページをめくっていた。 逆に、本格的な推理小説だと思って読むと、たとえば、真犯人のあまりにあまりな意外さにムカつかされると思う。いくら推理小説に意外性が求められているとはいえね。 | ||||
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名家の婚礼初夜、離れで寝ていた新郎新婦が殺害された。 離れの建物にはしっかりと戸締りがなされ、しかも、 周囲は雪で覆われており、いわば二重の密室状態だった。 にもかかわらず、犯人が立ち去った足跡は見当たらず、 凶器の日本刀のみが離れの外に残されていた…… 大掛かりで複雑な機械トリックが特徴の本作。 普段ミステリを読まない人が、本作を読めば、犯人のあまりに旧弊な犯行動機も含め、 「なんでわざわざ、そんなことすんの?」と思うんじゃないでしょうか(w しかし、ミステリ的にみれば、純日本家屋の中で、あくまで「和」の道具立て(琴、 日本刀、鎌など)によって密室を構成してみせた本作の歴史的意義は大きいです。 そして、そうした日本的なモノがそれぞれに帯びる象徴性が捨象され、単純な機能に 解体されることによってトリックとして再構成されるメカニズムこそ、ミステリの勘所です。 我々は、横溝作品といえばつい、おどろおどろしさや猟奇性ばかりをイメージしますが、 あくまでそれは演出の一面にすぎず、伝統的な和の意匠が、ことごとく抽象的なロジック へと還元されていく、ギャップや異化効果にこそ、その真骨頂があるといえます。 | ||||
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