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三つ首塔
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【この小説が収録されている参考書籍】
三つ首塔の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.03pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全37件 21~37 2/2ページ
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極めてテンポが良いストーリーであることを今回読んで再認識しました。 女子大を卒業していわば花嫁修行中の宮本音禰(おとね)がこの物語のヒロイン。 いきなり百億円という莫大な遺産を相続するかもしれないことになり、人生は劇的に変わり始めます。 (しかし、昭和30年の100億円だから、現在の貨幣価値に換算するとものすごいことになりそうです。) 箱入り娘(死語?)が堕とされていくスリルを横溝正史はあまりに巧みに描いております。 登場人物が多いのですが、次々に殺害されていくので、容疑者と遺産の相続対象者はみるみるうちに減っていきます。 冒頭、宮本音禰の伯父の還暦祝いのパーティーでは、いきなり三重殺人事件として三人が血祭りに上げられます。 そのあとも、音禰の行く先々で血の雨が降るかんじです。 ジェットコースターに乗っているように、読者はあっというまにクライマックスの地、三つ首塔へ連れていかされます。 真犯人はもちろん意外でありますが、犯行過程に合理性がなく(ある人物の殺害に用いられた凶器に音禰のハンカチが巻かれていた理由がどう考えても思い当たらない)、ミステリとしてはB級の通俗長編です。 しかし、『幽霊男』や『吸血蛾』とは異なり、ヒロイン視点の巻き込まれ型サスペンスとして正史の作品では輝きを放っています。 | ||||
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さまざまな性描写や風俗関係など、 普通に生活していてはあまりお目にかかれない世界を描かれていて それが逃避行のめまぐるしさや、日常から裏側へ入り込んでしまった主人公の 視点と相まって、中だるみすることなく最初から最後まで一気に読み進めることが出来ました 金田一耕介の出番はあまりないのですが、 前半の主人公との対立(一方的なライバル心を持っている主人公)なども なんだか年若い娘さんに対して「仕方ないなあ」とでも思っているような節があり ラスト近辺でもそんな感じで、出番こそ少ないですが ある意味、出番が少ないからこそ金田一耕介の人柄が見える話だと思います 推理というよりは、横文字のミステリーやドラマという言葉の方がなぜかしっくりくる今作品。 性描写などは物語の性質と展開上、避けて通る方が変なので 私はこういう必然な流れの中での描写はむしろ歓迎です それに主人公の言い回しが古風で逆に新鮮で素敵に感じました まあ、それもこれも最後が「結果よし」で終わるから言えたことなのですが 作者もそれをわかっているからこそ、いろんな非日常を詰め込んだのだと思います 楽しかったです 一点あげるとすれば、表紙に違和感…。 せめて「夜歩く風」にしていたらければと。 | ||||
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こちらの作品、金田一耕助さんは殆ど登場しないので、金田一好みの方はちょっと物足りないかもしれません。 トリックは薄く、推理小説よりもむしろ冒険譚で、才色兼備のお嬢様が愛する男性の為に強くなっていく印象を受けました。 最後のほうで犯人が分かるのですが、それも主人公ヒロインの一言で、決定。 とにかく可憐な乙女も愛する男性の為なら虎になるというヒロインの変化が楽しめます。 ヒーロー君は肝心なところで怪我をするというドジな場面もあり、二人のメロドラマでしたね。 等々力警部さん、活躍全くなしです。。 横溝作品では珍しい作品だと思います。 | ||||
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これを本格的な推理小説と思って読むのなら、やめたほうがいいと思う。そうじゃなくて、テレビの2時間ドラマのつもりで楽しみたいと思う方にオススメ。 実際、どう考えても、著者がマジメに推理小説として書いているとは思えない。むしろ、ジェットコースター・ノベルをオレもいっちょう書いてやっか、ってな感じがひしひしと伝わったのは、けっして私だけではないはず。 ただ、そこはヨコミゾ・セイシ。「三つ首塔」なるオドロオドロしい謎かけは、やっぱり著者ならではだと思うし、私自身、そこに何があるのだろうと気になりながら、ひたすらページをめくっていた。 逆に、本格的な推理小説だと思って読むと、たとえば、真犯人のあまりにあまりな意外さにムカつかされると思う。いくら推理小説に意外性が求められているとはいえね。 | ||||
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この作品は主人公の女性の一人称で語られています。そのため他の横溝ミステリーのような本格的な謎解き小説とは一風変わったつくりになっています。 ストーリーは最初から息もつかせぬ展開で次々と事件が起こります。主人公の女性はその事件の荒波に翻弄されるような形であちらこちらへ行ったり来たりします。この小説は推理小説というよりも活劇・風俗小説とでも言えるものと思います。 ただこれらの事件を女性の視点から見て、女性の考え方で描写されているので他の横溝作品にはない新鮮な感動を与えてくれます。横溝氏はこのような女性の視点から物事を描写するという技量に長けていると思います。 ただ当時の性風俗の描写が詳細に書かれていて、慣れない人にはやや刺激が強いかもしれません。また犯人の設定にも無理がある印象で推理小説としては消化不良の感があります。 横溝ミステリーの中でも活劇に焦点を当てた異色作と言えるのではないでしょうか。 | ||||
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本作品は、「○○サスペンス劇場」みたいな、安での2時間ドラマのような作品である。 2時間ドラマには、ヒロインの行く先々になぜか犯人が都合よく先回りして死体を転がし、そのためヒロインが窮地に陥っていくという安直なものが多いが、本作品がまさしくそれで、犯人の立ち回りが良すぎて実に不自然極まりなく、その安直さは、とくに島原明美殺しに顕著に現れている。 犯人はヒロインの音禰がハンカチを落とした場所に偶然居合わせてこれを入手し、志賀が明美の部屋を出て行った後たまたま音禰たちが明美の隣室に入る直前、たまたま掛け金が外れていた裏木戸から侵入し、音禰のハンカチを短刀の柄に巻いて明美を刺し殺すという、偶然の積み重ねだらけという作者のご都合主義のもとに行動している。 しかもこの中には、既に読み終えた読者なら誰にでもわかる大矛盾(犯人が音禰に罪をなすりつけるために、ハンカチを凶器に巻きつけていること)が含まれている。これが矛盾でも何でもないというなら、誰かキチンと説明して欲しい。 他にも、犯人はどうやって根岸姉妹のカギのかかった部屋に侵入してチョコレートに毒を仕込むことができたのかとか、犯人の行動に納得できないところが多々ある。本格推理派の読者なら、きっと同じように感じられることだろう。 ちなみに本作品は、1977年に横溝正史シリーズで放映される以前に「火曜日の女シリーズ」の『いとこ同士』というタイトルで放映されていたのを覚えている。本作品を現代風に翻案したもので、主演は佐々木剛と島田陽子という「仮面ライダー」コンビ(笑)、金田一耕助は登場しない。今にして思えば、この番組が私の横溝初体験である。 | ||||
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名家の婚礼初夜、離れで寝ていた新郎新婦が殺害された。 離れの建物にはしっかりと戸締りがなされ、しかも、 周囲は雪で覆われており、いわば二重の密室状態だった。 にもかかわらず、犯人が立ち去った足跡は見当たらず、 凶器の日本刀のみが離れの外に残されていた…… 大掛かりで複雑な機械トリックが特徴の本作。 普段ミステリを読まない人が、本作を読めば、犯人のあまりに旧弊な犯行動機も含め、 「なんでわざわざ、そんなことすんの?」と思うんじゃないでしょうか(w しかし、ミステリ的にみれば、純日本家屋の中で、あくまで「和」の道具立て(琴、 日本刀、鎌など)によって密室を構成してみせた本作の歴史的意義は大きいです。 そして、そうした日本的なモノがそれぞれに帯びる象徴性が捨象され、単純な機能に 解体されることによってトリックとして再構成されるメカニズムこそ、ミステリの勘所です。 我々は、横溝作品といえばつい、おどろおどろしさや猟奇性ばかりをイメージしますが、 あくまでそれは演出の一面にすぎず、伝統的な和の意匠が、ことごとく抽象的なロジック へと還元されていく、ギャップや異化効果にこそ、その真骨頂があるといえます。 | ||||
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横溝正史さんの三つ首塔は、先月くらいに関西でテレビドラマ三つ首塔を深夜で放送していました。思わず見てしまって、それ以来すごくハマりました。横溝正史さんの推理小説三つ首塔を早速、購入しました。 | ||||
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主人公である音禰の手記の形式を取っている。 この音禰は女子大を出たばかりの才色兼備の女性だが、100億円の遺産の話しが舞い込んでくる。その遺産を巡って、次々と縁者が殺されていくのであるが、話しはまず殺人から始まる。それから音禰への強姦。その強姦した男との逃避行。そしてまた殺人、とまああまりトリック的なものはない。 強いて言えば謎解きである。確かに探偵小説とは謎解きであるのだが。 読み終わって見れば時代背景が多少異なるがハッピーエンドも含め赤川作品と似た要素が多分に感じられる。 目次に「大団円」と書いてあるからハッピーエンドだと言うことはネタばれでもないであろう。 | ||||
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作品の知名度の割りに最後まで放置されっ放しの謎が多すぎて欲求不満が残ります。奥歯に挟まった野菜の繊維がどうしても取れないような不快感です。それでも人がサクサク殺されればいい!と言う方にはお薦めします。ただ、この時代の退廃的なムードや、笑える程の濃厚キャラ、『この当時はこんな作品が人気だったんだ』と言う感慨は、それだけでも一読の価値はあるかも知れません。 | ||||
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性と残虐味を前面に押し出した作品。 金田一耕助ものとしては、ちょっと変わったつくりになっており、被害者(?)の一人称でずっと語られていく。そのぶん、プロットに面白さが加わり、また、真犯人の意外さがきわだつという効果が上がっている。 ストーリーとしては面白いが、ミステリとしてはどうだろう。トリックといえるようなものもないし。 容疑者が次々と殺されていく展開は楽しめた。 | ||||
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一応、金田一耕助登場作品です。 しかし、出てくるのは序盤と本当にラストの本の少ししか出てきません。 その他のほとんどは快楽と愛憎劇に巻き込まれた 悲劇の主人公、宮本音禰がメインを占めています。 この作品ほど、人が血にまみれていく作品はないと思われます。 最初から血なまぐささが炸裂しますし、 百億の遺産を巡って壮絶な「戦い」が繰り広げられていくのです。 そして宮本音禰の体を貪った時によって名前の変わる不思議な男… 数々の物語の意図が最後まで読むものをあきさせません。 ただし、金田一耕助ファンの人は読まないほうがいいかもしれません。 何せ今回は「悪役」に近い形で出ているので。 物語は文句なしに素晴らしかったです。 | ||||
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莫大な遺産を巡って一族間で起こる連続殺人事件、というのは「犬神家の一族」、 そしてヒロインと謎の男の関係は「女王蜂」の智子と多門連太郎を彷彿とさせます。 ヒロインに次から次へとノンストップで降りかかる災難。あの金田一も今回は悪役的な存在です。 他の作品よりもエログロで、人も大勢死にます。第一の殺人の時点でいきなり3人も死ぬし。 そしてなんと言ってもキャラが濃すぎる登場人物たち。金粉銀粉ダンサーや、名前だけですでにおかしい「カロリン関根」など、個人的には史郎が一番強烈でした。 とにかく、スリル満点のジェットコースターノベルです。 | ||||
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オドロオドロしい始まり方をするし、性的に不快な場面が出てきたりするので、女性にはちょっと読みづらいかも。でも辛抱強く読みすすめていくと、展開の面白さに惹かれていきます。最後は少々あっけない気もしますが、全体的に見れば、ストーリーの起伏も、犯人が意外な人物であることも、十分期待通りです。 | ||||
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「夜歩く」と同様に全編を通して渦中の1人が語るという形で物語が進みます。 ただ異なるのは、「夜歩く」が第三者的で物事が坦々と進行するのに対し、語るのが女性だからでしょうか?、こちらは感情の起伏に富んで躍動感があります。 捜査の初期から金田一は登場しますが、渦中の女性を通して語られるのみで(しかも中盤、渦中の女性が社会から行方をくらましてしまうので金田一はほとんど登場しません)、他の作品と違って犯人を追い詰めていくといったスリルはありません。逆に得体の知れない犯人に?金田一に?社会に?追い詰められていくというスリルは満点です。 相続を軸とする金銭欲と人間関係を軸とする愛欲が相まって、オドロオドロしい殺人にさらに華を添ています。 また場の設定についても、同時期にかかれたものが「首」「幽霊男」というところで推し量られるべきでしょう。 全体としては、これほど人間の感情が強く書かれている作品は、横溝のものとして珍しいのではないでしょうか? 「女王蜂」を好きな人は、この作品もきっと好きだと思います。ちなみに私はかなり好みでした。 | ||||
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ミステリーではタブーとされている一人称で書かれているものが多い横溝作品。本作もその一つで女性の目を通した物語になっている。サスペンスを軸とした展開で人がよく死ぬ。 | ||||
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横溝ミステリーお得意の、遺産相続を巡って次々に殺人事件が起こってゆくという展開です。書き方の手法には、現代ミステリー作家が大きく影響を受けていると思いました。横溝ワールドにどっぷり浸かり過ぎると、日常のあらゆる所で事件が起きそうな気になって来ると思うので、その辺には十分注意して下さい。例えばチョコレートを食べる時に、「これは毒入りかも」と疑ってかかるようになってしまうかも知れませんよ(笑) | ||||
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