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(短編集)
症例A
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症例Aの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.24pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全71件 21~40 2/4ページ
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とても描写がリアルでどんどん作品の世界に 吸い込まれていく感じでした。 精神医学の知識が全くなくても、 本文中で分かりやすく解説されているので問題なく読めます。 これから精神医学についで勉強しようと思ってる方は、 入門書とまではいかないにしても、 入り口的な意味合いで読んでみるといいと思います。 本文中で引用されている参考文献(巻末に一覧あり)にも 大変興味を持ちました。 | ||||
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多重人格。この病気は、解離性障害という名称を得た今も、本当に病気なのか、ある種の詐病ではないかという疑惑を抱えたまま患者数が増大している。 日本には長らく存在しなかったが、小説等で紹介されるようになってから、発生するようになった。 これを欧米と日本との生活習慣の違いによると説明する方法もあるのだが、しかし詐病だと考えるともっとすっきり説明できるという点も、事実である。 多島斗志之は、この病気、あるいは現象を、無理に説明しようとせず、わからないものはわからないままに小説に描いた。 わからないことをわからないまま描くことは、とても勇気が必要であり、多くの作家は、こじつけでも安易な結論を提示する傾向がある。そこをぐっと踏みとどまった地点が読みどころである。 同時に贋作問題も描かれており、これがどの程度本題とリンクするのか、同時に描く意味があるのか、意見も多々あるように見える。 が、本物と見分けのつかない物なら、それは本物と呼んで良いのではないかという発想と、あくまでオリジナルはオリジナルであるという解釈とが、病気を「事実か事実でないか」にこだわらず曖昧なまま「患者が苦しくなくなればそれで良い」と治療していく精神医学への強烈な疑問提示になっていることも確かなのである。 | ||||
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興味深く、最後まで一気に読みきりました。 よくあるサイコホラーでもなく、単なる推理小説でもなく、ほどよく 織り交ぜられた佳作と思います。 初めに出てくる「精神分析」の評価が面白く、小説に引き込まれました。 登場人物の過去が次第に明らかにされる手法は見事と思います。 また、サイコな人間だから…というようなありきたりの小説でもありません。 こういう着想があっても、なかなか他の人には書ききれない内容でした。 この手の小説では、アメリカのシリアルキラーものしか興味が 続きませんでしたが、この小説はリアルな現実を感じさせます。 一言で言えば、「買い」です。 ただ、最後が知りきれトンボで物足りなく、☆は4つにしました。 | ||||
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「境界性人格障害」「解離性同一性障害(多重人格)」この類の本を探すと医学見地に立った書籍になるか、サイコサスペンスになるか、患者の日記本になってしまうのがおちだが、本書籍はエキセントリックな要素はないのに一気に読破できる「ノンフィクション」として成立している。著者プロフィールを見る限りでは精神医療に携わった経験はないようだが、現場にいる者の苦悩や葛藤描写も非常に的確で驚く。 「小説」として純粋にストーリーが楽しめ、読後は病状に対する知識もついていたという一石二鳥な書籍だ。 | ||||
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読み終えて、しばし脱力。今まで、サイコ系のものを色々と読んできたがこの本は、リアルであり 自分がそういう類のものを色眼鏡で見ていた感を感じた。先入観を持って読むと、手痛い目にあう。医師自身の精神が壊れて行くこともありえるという。自分用に薬を処方するということも。現実の精神科医の世界とは、こういうものなのだろうと想像した。ストーリーは、精神医療と古美術の贋作疑惑とが交差してこの全く相通ずるもののなさそうな2つが一体何処で繋がるのかが気になりながら読み進む。精神医学にも、色々な分類があり精神科医である主人公の榊の、精神分析に対しての反感は読んでいて、難しいことはわからずとも”成る程”と思わせる部分もある。そして、多重人格。この部分は、精神医学でもかなりの捏造疑惑がありそれを受け入れる主人公のくだりは読み応えがある。その話を冷静に、分かり易く語る岐戸医師の話は、特筆すべきシーン。正直、最初は難解な専門用語が続き小難しい感が否めないがこの岐戸医師が登場する辺りからは、ぐいぐいと引き込まれて行き読むスピードに拍車がかかってくる。最後の展開が、賛否両論あれど精神科医として10年のキャリアを持つ主人公の榊が多重人格というある意味キワモノを、受け入れて行く過程が面白い。この本で、精神医療という世界の大変さを少しだけでも読者に伝えることが出来たなら、作者の意図は成功していると思う。たくさんの精神病の病名。言葉は難しくとも、漢字で大抵の意味は想像がつく。こんなにたくさんあるのに、驚きを感じた。しかし、後書きにもあるように巻末に列挙された膨大な資料文献。これに全部目を通して書き終えたのだと想像すると作者に、脱帽する。サイコ系のミステリーをたくさん読んでいる人に薦めたい1冊だ。 | ||||
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多重人格を絡めた精神疾患の少女にまつわるストーリーと古美術品の贋作にからんだミステリーをテーマとした作品.2つのストーリーが平行して進み,最後に統合して結末を迎えるが・・・実際のところ,贋作の話は蛇足気味で,多重人格のストーリーの方が圧倒的に読み応えがある.多重人格を扱ったノンフィクションは多いが,本作品では多重人格に対する精神科医の懐疑的な見方から始まる.サイコでミステリアスな病気という興味本位な取り上げ方ではなくイーブンな目線からこの病気にテーマとした姿勢に好感が持てる.何より,言葉や仕草からいろいろな情報を読み取っていく精神科医の姿が非常にリアルで関心した.こういうシーンをわざとらしくなく表現するのはなかなか難しいものである.作者は精神科医ではないようだが,精神科医の書いたノンフィクションと比べても遜色ない出来と言える. | ||||
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精神科医の榊は、病院の問題児である少女・亜左美を担当するが、前任者の下した診断に疑問を抱きはじめる。 彼は臨床心理士の由起と力を合わせ、亜左美の病根をつきとめようとする。 医療サスペンスでは、外科医が主人公になることが多いが、この作品では精神科医が主人公だ。 精神科医、その患者の心情、苦悩があまりに克明に描かれている。 読んでいると、思わず顔をしかめてしまう。 こんなこと書かないでくれよ。 それでも読むのをやめられない。 博物館がどうとか、解離性同一性障害がどうとかに、かなりページを割いている。 全体としては、ミステリー小説仕立てになっている。 ミステリーとしても面白いとは思う。 だが、それを一切なくして、医療モノとして読んでみたかった。 それでも充分に、むしろその方が引きつけられると思う。 読みながら、いろいろと考えてこんでしまった。 もう一回じっくり読もうと思います。 | ||||
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一気に読めました。 人間には,本当にいろんな病と言うか,症状があるんだな、、、、と思いました。これは小説だけれども、実際にもこのような症例の人間が居るという事が解りました。解決策はどこにでもあるわけではないけれど。 | ||||
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無駄に長い。筆力がないため説明臭くて読んでいて嫌になる。 これだけのページ数が必要だったのか疑問。 作品として起承転結のバランスの悪さが気になる。博物館の進行もうまくサイドストーリーとして入ってこない。 医者ですら引っ張られるとか、解離性と境界性の見極めとか、知識としては面白く読めたけど 作品として言えば及第点には程遠い。 | ||||
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精神医学のことはよくわからないが、こういった事例はたくさんあるのだろうか。 それにしても患者亜左美の人を振り回す悪質さ。不覚にも読んでいるだけで腹が立ってきた(苦笑)。榊が亜左美の診断にとまどう姿はリアルに感じた。亜左美のあの行動の数々は、簡単に病名の診断を下すことができない支離滅裂さだ。 そして臨床心理士の広瀬由起。初めは主人公の精神科医榊と協力して患者の治療に当たる役割なのだと思っていたが、まさか広瀬自身も精神医学的問題を抱えていたとは・・・。 こんなにリアルで読み応えのある作品だが、途中から「おやおや」という展開になってくる。亜左美と広瀬に共通する症状。そんなにこの症例には頻繁にお目にかかるものなのか?と。ただ、精神分析医の岐戸と榊の、多重人格についての真剣なやりとりはかなりページが割かれていて読み応えがある。 最後の方の榊の亜左美と広瀬に対する対応は、精神科医としてはどうかと思う。精神科医が患者に対して保つべき距離を越えて相手に踏み込んでしまっているように感じる。実際の治療場面ではどうなのだろうか。この作品には患者の治癒という結末はないが、今後の治療にはマイナスではないかと感じた。続きがあるとするならば、これは主治医交代か、治療失敗、榊の精神的破滅といった悲劇に向かうような、そんな気がしてならない。 博物館の方のエピソードと2本立てで話は進むが、精神科病棟の話だけで読んでみたかった作品。 | ||||
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診療内科の世界はまだまだ未知である。 医者ですら、時々その判断を誤り、すべての人が、精神病と判断されうる、そういった見解は面白くもあり、又、自分自身もそういう要素がある事を考えさせられた。 そして精神科医そのものが、患者によって正常と異常の境界線を越えてしまうこともあり、成否がつかないことで患者を自殺においやってしまうことがある、また自分自身を正常の外側においやることもありうる、そういった事に精神医療の難しさを感じた。 精神病棟の患者の話と外部の博物館のストーリーが別個に進みながら最後に融合しているが、提示された謎に関する終末にすっきり感がない。 ラストにどんでん返しを期待していたが、ある症状をもつ患者を登場させることで物語を終わらせた事には消化不良。 | ||||
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精神病棟を舞台にした「症例A」を丁寧に描いた作品。 一般的に医師や看護師といった医療職でなければ、仕事としてそういった症状と接することはないが、ケースワーカーの仕事をしていた際に接した人々を思い起こすと、仕事として接することの難しさを思い出してしまった。 多重人格を核に、統合失調症(かつての精神分裂病)、人格障害、躁鬱といった心の病を、丁寧な距離感で物語に溶け込ませている。「病気」「異常」として突き放すこともなく、「普通」とだますこともなく絶妙な距離感で描いており、しっかりとした取材をされているんやなぁと感心。 ラストについて賛否があるようだが、小説として描くのであれば、個人的にはあのラストしかないんじゃないかと思います。安易な「治療」や「治癒」を描くのは違う気がしますので。 それよりも、首都国立博物館の遙子の視点でのストーリーが中盤で一気に失速してしまう方が気になるんですよねぇ。 | ||||
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作品全体を通して、緻密に取材されている作品である。しかし、後半に入って、急いでる様な感じで、謎解きが始まり、なんとなく、尻切れトンボで、終わってしまう様な感じは、否めない・・・。欲を言えば、登場人物のその後も、知りたい。 | ||||
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書きます。 DIDを取り上げたものすごい小説がある。 しかもその参考文献に、私の尊敬する、ある精神科医師の著書が挙げられている。 というのはずいぶん前から知っていたが 職業柄多忙で後回しになり、やっとこの2日間で購入・読破することができた。 荒廃した精神病院の現実の有様、その中で葛藤しS病院にたどり着いた榊医師と S病院で待ち受ける亜左美の判別困難な行動や言動。 統合失調症・ボーダー・DIDの判別の困難さひとつをとってもリアリティーにあふれ、 シビアな現実の中で、 誠実に精神科医療や亜左美をはじめとする患者に向き合おうとする榊医師には 勇気付けられ 目頭が熱くなった。 確かに結末に腑に落ちなさも感じるが、 このあとの榊医師に予想される苦難の数々を思うと、 半端ゆえに残る不安感に妙に納得したりもした。 榊医師の鬱症状が悪化しないことを切に祈る。 | ||||
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まず主人公の精神科医の目を通して、精神病医療の抱える様々な暗部を知る事ができた。 専門家ですら、精神病の患者の言葉や態度に翻弄されて、自分を失ってしまう、まだまだ心の中は理論では解決できない部分がかなりある、誰もが精神病といわゆる正常の境界線を超え得るという事は興味深かった。 小説としては、様々な精神病棟の患者と外部の博物館のストーリーが別個に進みながら最後に融合しているが、提示された謎に関する終末にすっきり感がない。 そして重要な人物にある症状を持ってきてしまった事もいささか安易な展開である事は否めないものの、心の病気について様々考えてみる事、そして精神科医が万能ではなく、精神病患者が決して異常といった枠ではくくれない、という事は大きく感じた。 | ||||
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みなさんおっしゃる通り、実に現実の精神医療に忠実に描かれている作品だとは思います。 ほんと、途中までは良かった。 だけど最後は正直拍子抜けです。 「え、それで!?」みたいな・・・ まあ、今後は読者の想像にお任せします、ということかもしれないけど。 アサミの真実があかされていくところなんかも実にあっけからんとしていて、物凄く欲求不満な感じでした(実際このストーリーの主人公は途中からアサミじゃなくなっているし)。 でもユキの真実が明かされていく所なんかはそうきたか!って感じで意外性のあるストーリーではありますが。 とにかくラストが不満、ということで★3つです。 | ||||
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心の病に関わる医師や、患者の苦悩等の描写がものすごくリアルなので、 小説に書かれた出来事から、距離を保ちつつ読まないと、ちょっとまずいかも。 特に、精神疾患に心当たりがあって、知見を得るために、この手の小説を読む癖のある人、 物語を用いて自己分析をする癖のある人は、読まない方が良いと思った。 リアルすぎるが故に、フラッシュバックの恐れがあるかもしれない。 精神病について知りたい人は、スリリングなストーリーと 膨大な情報量がとても魅力的に映るだろうけれど、 とにかくリアルすぎる。 フィクションとしてはとても読み応えがあるし、 薄っぺらい眉唾小説とは違う事がわかるので、オススメですが、 警告はした方がいいかなぁと思ったので、書かせていただきました。 | ||||
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この作品はそのリアルさもさることながら、二つの点において一際優れている。 まず一つ目は、登場人物が全員「上品」であることだ。 精神病院というある種の「異質な空間」が舞台となっている中において、「悪」や「偽」はなく、誰もが懸命に「生きようと」あるいは「職務を全うしようと」している。 読んでいて非常に「品」を感じるのである。 そして二つ目に、精神病院と博物館をパラレルに描いたことである。 この対比は主人公・榊医師の心理描写と一致する。 つまり、初めは「科学的心理学」の立場をとり、精神分析に対して懐疑的な主人公が、次第に「美術」という「非科学的」な分野と接触を持つようになるのである。 このような「解釈」を榊医師は嫌うかも知れないが、このような解釈がかすんでしまうほど 名著である。 | ||||
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精神医療に真摯に取り組む一人の精神科医を主人公にして、その精神科医が総合失調症や境界性人格障害と闘う姿と、東京都博物館における真贋騒動をカットバックで描きながら、両者を見事な線で結び付けると言う構想力豊かな作品。真贋の謎が、主人公の前任者の不慮の死の謎と密接に関係する辺り巧みだと思う。 また、冒頭から披露される精神医学に関する作者の勉強量・知識の豊富さには感心させられる。本書に対する作者の力の入れ方が分かる。ある意味、"虚しい闘い"である精神医療の現実が良く表現されている。しかし、「多重人格」が出て来る時点で幻滅させられた。本書で「多重人格」を登場させる必然性があったのだろうか ? 本書が刊行されたのは2003年だと思うが、現在の精神医学では「多重人格」なる概念は完全に否定されている。 「多重人格」なるものは「患者と精神科医とが共謀してデッチ挙げたもの」というのが定説だ。主に精神科医の功名心による所が大きいと言う。本書中でも、その危険性は指摘されているのに...。「多重人格」を敢えて取り上げなくても、例えば登場人物を境界性人格障害としても、話の大筋は変らなかった事を考えると、作者が何故「多重人格」に拘ったのか理解できない。これを除けば、精神医療を真っ向から見据えた重厚な作品でありながら、真贋騒動とアクロバティックな融合を図った傑作。 | ||||
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病院内での問題児である、ある少女を受け持った女性医師がその少女に正面から対峙し、「心の病」に取り組む姿をリアルに描いた作品。 精神分裂症や多重人格など精神病に関する知識がふんだんに盛り込まれながらも、うまくストーリーに組み込まれている。またこの手にありがちなホラー小説ともなることなく、精神病に関わる医師たちの苦悩をリアルに描いている。 私自身はもともとこういったテーマの作品はあまり読まないのだが、この作品は十分に楽しめた。 | ||||
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