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QED 式の密室 



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【この小説が収録されている参考書籍】
QED 式の密室 (講談社ノベルス)
QED 式の密室 (講談社文庫)

QED 式の密室 の評価: 3.84/5点 レビュー 19件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.84pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(1pt)

作者こそ事実を隠している

なんと言うか、あまりにも偏っている。
まず菅原道真と通りゃんせについてはひどい

・三芳野神社はそもそも菅原道真を祭る「お城の天神さま」であり地元でそう呼ばれている。隠れてお参りするもなにもない。お札をおさめにだろうが何だろうが、そもそも天神さまなのである。

・菅原氏の祖である土師氏は「連(むらじ)」であり、藤原氏の祖である中臣氏も同じく「連」である。連はヤマト政権時代から続く中央豪族であって神々の子孫であり、決して出自が卑しいわけではない。

・土師氏の「土」について「いい意味ではなかったようだ」と言っているが、「土」には蔑む意味合いはない。名前の由来は土を使う古墳造営担当職である「土師職(はじつかさ)」という職に就いていたためであり、「土」を扱う「師」であってその読み方以外になんの不思議もない。また古墳造営担当であるから埴輪に関わることも不自然ではない。

・野見宿祢の「野見」も、古墳造営の場所探しのために「野を見る」と言うのが通説である。また当然この字にも蔑む意味合いはない。

・菅原氏は決して卑しい出自ではないが、道真の時代では藤原氏(特に北家)が他の氏族を排斥する過程にあり、藤原氏専横に抵抗している立場である。藤原氏は866年の応天門の変を経て人臣初の摂政、887年関白となる。道真が配流されたのはただ藤原氏独占に邪魔だったため。

・「27年もたってから」道真の祟りとするのはなぜかと言っているが、903年に道真が死んだあと、908年藤原菅根病死、909年藤原時平病死、913年源光溺死、923年保明親王(東宮。時平の甥)21歳で即位前に死去。925年慶頼王(保明親王の第1皇子。時平の孫)が5歳で死去。そして930年が清涼殿落雷である。27年間何もなかったわけではなく、数年ごとに昌泰の変で道真を陥れたとされる関係者が没している。当時の人間が「祟り」と恐れるのも無理はない。

虐げられた人がいることを強調するために、菅原氏を「出自が卑しい」としているが前述のように明らかに違う。
また「天神さま」となって以降はそのお参りを欠かさないことこそが祟りを収める正しい手段である。日本人なら無意識に納得できると思うが、ほったらかすのが一番悪い。また天災が起きる原因となる。ご先祖様でさえ「お墓参りがない」と言って怒るのだから、神様にお参りできないようにしてどうするのか。隠れないとお参りできないなど本末転倒でしかない。

「歴史の事実を知れば」など、奈々ちゃんに説教しているが、この作者こそ歴史の事実を隠し、自分の都合のいいように解釈している。

今までこのシリーズは何作か読んでいて、その都度突っ込みを入れているが、今回のは笑えない。笑えない一番の理由は自分の主義主張のために事実を覆い隠しているからである。事実を列挙したうえで「こう考えることもできる」ならいい。しかし事実を覆い隠し捻じ曲げたうえで「真実はこれだ」はあまりにも読者に対して不誠実でありばかにしている。

また式神の正体についてだが、三位以上の人達は家でだれに着替や食事や巻き割りや牛車ひきをやらせていたのだろうか。五位以上の人にでもやらせていた?そんなばかな。かならず位階のない人間を使っており、その点で安倍晴明と同じである。
貴族以外の人間を人間とみなさないことはあっても、そこに「いない」とはならない。

全てを否定するつもりはないが、殿上人もその生活において位階のない人々と接しており、言葉を交わしたりすることはなくとも働くことがいる人間がいることは知っていた。それがなぜ安倍晴明に限って「見えない式神」となるのか。

今まで読んだQEDシリーズで一番の低評価である。
QED 式の密室 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:QED 式の密室 (講談社ノベルス)より
4061822292

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