QED 式の密室
※以下のグループに登録されています。
【この小説が収録されている参考書籍】 |
■報告関係 ※気になる点がありましたらお知らせください。 |
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点0.00pt |
QED 式の密室 の総合評価:
■スポンサードリンク
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
現在レビューがありません
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
密室殺人事件が、陰陽道の式神に関わっているというものだが、実質は歴史の真相を明かすという歴史小説だ。 タタラなど豊かな資源があると問答無用で奪い取った大和朝廷。貴族たちにとって五位以上でない者は人でなく、その下に庶民がいて、貴族たちの横暴に立ち向かい敗れ去り、鬼、土蜘蛛、河童、狐、河原者がいて、そしてかれらとの境界線上に陰陽師がいた。貴族には見えず、安倍晴明たちが使役していた人々が式神だった。安倍晴明の母親が狐だったので、かれら裏の人々とのネットワークを得ることができたのだ。狐と関係がある稲荷神社は「丹(い)なり」なので、タタラと関係がある。鬼(隠)、狐、河原者などの漂泊の民ら被差別民への差別を助長したのは、朝廷に唯々諾々と従った庶民の咎なのであるというの指摘は痛いものではないだろうか。戦時中やコロナ禍での同調圧力は、まさしくこれなのだ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
なんと言うか、あまりにも偏っている。 まず菅原道真と通りゃんせについてはひどい ・三芳野神社はそもそも菅原道真を祭る「お城の天神さま」であり地元でそう呼ばれている。隠れてお参りするもなにもない。お札をおさめにだろうが何だろうが、そもそも天神さまなのである。 ・菅原氏の祖である土師氏は「連(むらじ)」であり、藤原氏の祖である中臣氏も同じく「連」である。連はヤマト政権時代から続く中央豪族であって神々の子孫であり、決して出自が卑しいわけではない。 ・土師氏の「土」について「いい意味ではなかったようだ」と言っているが、「土」には蔑む意味合いはない。名前の由来は土を使う古墳造営担当職である「土師職(はじつかさ)」という職に就いていたためであり、「土」を扱う「師」であってその読み方以外になんの不思議もない。また古墳造営担当であるから埴輪に関わることも不自然ではない。 ・野見宿祢の「野見」も、古墳造営の場所探しのために「野を見る」と言うのが通説である。また当然この字にも蔑む意味合いはない。 ・菅原氏は決して卑しい出自ではないが、道真の時代では藤原氏(特に北家)が他の氏族を排斥する過程にあり、藤原氏専横に抵抗している立場である。藤原氏は866年の応天門の変を経て人臣初の摂政、887年関白となる。道真が配流されたのはただ藤原氏独占に邪魔だったため。 ・「27年もたってから」道真の祟りとするのはなぜかと言っているが、903年に道真が死んだあと、908年藤原菅根病死、909年藤原時平病死、913年源光溺死、923年保明親王(東宮。時平の甥)21歳で即位前に死去。925年慶頼王(保明親王の第1皇子。時平の孫)が5歳で死去。そして930年が清涼殿落雷である。27年間何もなかったわけではなく、数年ごとに昌泰の変で道真を陥れたとされる関係者が没している。当時の人間が「祟り」と恐れるのも無理はない。 虐げられた人がいることを強調するために、菅原氏を「出自が卑しい」としているが前述のように明らかに違う。 また「天神さま」となって以降はそのお参りを欠かさないことこそが祟りを収める正しい手段である。日本人なら無意識に納得できると思うが、ほったらかすのが一番悪い。また天災が起きる原因となる。ご先祖様でさえ「お墓参りがない」と言って怒るのだから、神様にお参りできないようにしてどうするのか。隠れないとお参りできないなど本末転倒でしかない。 「歴史の事実を知れば」など、奈々ちゃんに説教しているが、この作者こそ歴史の事実を隠し、自分の都合のいいように解釈している。 今までこのシリーズは何作か読んでいて、その都度突っ込みを入れているが、今回のは笑えない。笑えない一番の理由は自分の主義主張のために事実を覆い隠しているからである。事実を列挙したうえで「こう考えることもできる」ならいい。しかし事実を覆い隠し捻じ曲げたうえで「真実はこれだ」はあまりにも読者に対して不誠実でありばかにしている。 また式神の正体についてだが、三位以上の人達は家でだれに着替や食事や巻き割りや牛車ひきをやらせていたのだろうか。五位以上の人にでもやらせていた?そんなばかな。かならず位階のない人間を使っており、その点で安倍晴明と同じである。 貴族以外の人間を人間とみなさないことはあっても、そこに「いない」とはならない。 全てを否定するつもりはないが、殿上人もその生活において位階のない人々と接しており、言葉を交わしたりすることはなくとも働くことがいる人間がいることは知っていた。それがなぜ安倍晴明に限って「見えない式神」となるのか。 今まで読んだQEDシリーズで一番の低評価である。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
20周年記念刊行物のため、いつもよりもページ数が薄いの気が付くはずです。 なので内容もあっさり目となっておりますし、 事件の解決編に関してもあっさりです。 事件は陰陽師の末裔の家で怒った不可解な殺人事件です。 自殺の線も出てきてはいたものの だんだん調べていくうちに… 陰陽師が華々しい時代にあった凄惨な歴史が印象的でした。 人の扱いの何という恐ろしいこと。 そして真の魔物は私たち自身にあるということなのかも知れません。 本当にあっさりなので読むときはそれを念頭において。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
安倍晴明のお話。現実に起こっていた殺人事件のほうは、正直読み終えてすぐに忘れてしまうほどのものだったのですが、安倍晴明についての蘊蓄は面白かったです。ページ数のかなり少ない作品なので、一気読みしました。 個人的には戦国時代よりも前のことはあまり興味がなかったのですが、逆にこのころの歴史を考えるほうが結構興味深いのかもしれないと認識を改まりました。まあ…書いてあることが真実かどうかは知りませんが、なかなか面白い解釈の仕方だなあ…と興味を持ちました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
殺人事件の謎解きに絡めて 日本の歴史の蘊蓄を熱く語るシリーズ第五弾。 前の東照宮と次の竹取物語のつなぎとして扱われたか、 本としてかなり薄く、そのぶん内容がコンパクトになっています。 事件の謎が最も無理のない作品でもあり、 歴史で語られる”人とみなされなかった存在”についての蘊蓄も 無理がなく感じました。 | ||||
| ||||
|
その他、Amazon書評・レビューが 19件あります。
Amazon書評・レビューを見る
■スポンサードリンク
|
|