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(短編集)

盲獣



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盲獣の評価: 3.85/5点 レビュー 20件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.85pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全20件 1~20 1/1ページ
No.20:
(3pt)

残虐を飲み込む唯一の方法…?

表題作『盲獣』のほか、小品『妻に失恋した男』『指』を収録。

小品2作に関しては、どちらも鋭い味わいで、まどろっこしいドラマ性を廃し、事実だけを淡々と並べたような作品で、とても読みやすいし、なおかつちゃんと怖い。『指』などは、TVドラマ『世にも奇妙な物語』の、本篇の合間にやる小ネタ集みたいな、ああいった雰囲気があり、わかりやすく、面白く、やはり怖い。地味だけど素晴らしい作品たちです。

そして、『盲獣』です。

盲目の男が、幾名もの美女を次々に殺害し、その死体を損壊までするという、そしてそれらの行為がどことなくふざけている、猟奇的とか快楽的というよりも、児戯めいたおふざけ感がある。子供が周囲の大人たちの関心をひこうと、わざとらしく、滑稽に、暴れたり何かを壊したりするみたいに、生身の人間を殺害し、切り刻んでゆくのです。

乱歩さん自身も嫌悪感をおぼえた作品と聞きますし、現にこれを読んでみれば一目瞭然、その読後感はある種独特なもので、なんと言ってその感想を記したものか、いささか判断を躊躇してしまいます。

今作は何件も殺人がおこなわれていながら、その事件を解決する探偵役が存在しません。犯人は、最終的にある芸術論へ到達し、作品を拵えるわけですが、ではその人が最初から、そういった芸術的視点、芸術家としての目標なり志なりを胸に、数々の殺人を実行していったのかというと、わたしの目にはそうは映りませんでした。

唯一の救いと言うと哀しい話ですけれど、被害に遭った女性たちに、犯人の盲獣に魅入られる要素があらかじめ存在していたと、見ようと思えば見られないこともない、そう言って差し支えないのではないでしょうか。

そのような異常者、ふつうは恐怖や嫌悪を感じて距離を取る、非難する、関わり合いにならない人が大多数であるはずのところ、この物語の被害女性たちは、はじめ拒絶感をもちつつも、いつしか惹かれ、ついには恋人のような間柄となり、数々の行為や遊戯にまみれ、あるいは盲獣を陥れようと罠を仕掛けたりした挙句、殺されてしまうのですね。被害に遭うべくして遭った、と言うとなんとも気持ち悪い表現ですが、そうとでも思わないと、この作品の味わいはなかなか嚥下することができません。
盲獣 (江戸川乱歩文庫)Amazon書評・レビュー:盲獣 (江戸川乱歩文庫)より
4394301661
No.19:
(3pt)

乱歩らしい作品

触覚の芸術を堪能する・・・というよりも、オドロオドロしい乱歩ワールドを存分に楽しんで
読まれるのがいいと思います。
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No.18:
(2pt)

盲獣について

江戸川乱歩のなかではエログロと呼ばれるジャンルだと思います。エログロは私の好みではありませんが、最後までエログロで徹していればそれなりに評価できます。でもこの作品は後半からエログロの熱量が減ってきて最後は全くエログロらしからぬ結末で終わってしまいます。盲獣がいつの間にか盲人芸術家となってしまいました。一体この盲獣は何を目指していたのでしょう、わけが分かりません。おそらく乱歩先生も自覚していたと思います、これは失敗作です。
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No.17:
(5pt)

乱歩は凄い!

作者自身、この作品を嫌ったようですが、実際、背すじがぞわぞわします。犯人になりきらないと、このようなものは書けないと思います。現実的には、あり得ないだろうと思われる場面は多々ありますが、それを凌駕するほどの執念、欲望、迫力で、人間の業の深さを思わずにおれません。乱歩という人の凄さを再認識します。
また、視覚に頼らない芸術の在り方についても注意を喚起するあたり、盲人を障碍者とみるよりも、一つの才能とみなしているのは、現代においてもなお、先見的だと思います。
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No.16:
(4pt)

なかなか深い

なかなか奥の深い作品でした。かなりメッセージ性の強いものでしたし、とても面白かったです。そして長すぎないというか、結構短編なのでそれもよかったです。
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No.15:
(4pt)

暇な時に

暇なときに楽しんでいます。良い時間つぶしになればいいなと思ったのですが、思って以上に面白くはまってしまいました。何が1番好きかと言うとこの世界観ですかね、この独特な世界観がかなり魅力的です。
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No.14:
(4pt)

難しい…

面白かったのですが、難しい漢字や表現が多くて一気に読めなかったです。
自分自身の勉強が足りないなと痛感しました。
昔ならではの言い回しなどに慣れている方はすらすら読めて面白いと思います。
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4394301661
No.13:
(4pt)

乱歩の真髄

まさに変態殺人狂の世界。気分が悪くなりつつも最後まで読めたのはなんでだろう。でものめり込んだのは事実です。
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No.12:
(3pt)

久しぶりに読んだ乱歩は異常だった。

子供の頃、図書室にあった分厚い乱歩シリーズ。まだ言葉もよく分からないけれど、面白くて面白くて何冊か読んだ記憶があります。
大人になった今、久しぶりに読みましたが犯人の異常者っぷりが際立っています。
エログロ大嫌いですが、異常な性癖の内側も読んでいるうちに妙に納得してしまう?理解してしまう?ためかあまり抵抗もなく読み終えました。
犯行が少し荒いように感じるのは、時代が違うからか用意周到にしなくとも良いのかな。それ故に犯人の行動にも異常さが際立ちます。
地獄風景は、なんだかびっくりおもしろおもちゃ箱をバーンと広げてワアーっとなったような、なんだか訳も分からず終わってしまった感がありました。少し後半が残念でした。
だけど不思議と、栞を挟んで空いた時間の楽しみにスラスラと読める作品でした。他の作品もまた読みます。
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No.11:
(3pt)

探偵ものではなかった。

「盲獣」、「地獄風景」の二編。
「盲獣」:連続美女バラバラ殺人事件の犯人の行く末。
まあ、乱歩エログロの1作だよね、自註自解で乱歩本人も全集に入れたくないと言っているし、
全集では自分でも気持ちの悪い部分を削除したと言っているが、本書は復活しているよ。。
「地獄風景」:懸賞犯人探し連載小説。
どことなく破綻しているような気がしたら、連載も破綻していたらしく、
自註自解で犯人当てにはまことに不適当と言っている。
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No.10:
(4pt)

エロ!グロ!てんこ盛りで、相当キモイ!

1932年リリースの猟奇小説。面白くないことはけど、相当えぐい内容で、一度さらっと読んで、まあ、こんなものか!って感じいればいい程度。乱歩にしては、凡作でした。
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No.9:
(5pt)

お買い得

乱歩没後50年の記念出版的な意味あいかもしれないが、この三作品で1000円は安い。乱歩コレクシヨンとしても必須。
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4394301661
No.8:
(5pt)

推理文庫のコンプリートにもう一歩

この作品を含めてあと3作品で乱歩推理文庫がそろうので 帯付美品で嬉しく思います。
盲獣 (江戸川乱歩推理文庫)Amazon書評・レビュー:盲獣 (江戸川乱歩推理文庫)より
4061952137
No.7:
(4pt)

らしくない作品/らしい作品

「十字路」と「盲獣」の2篇が収められている。
「十字路」は、 渡辺剣次が筋書きやトリックを考え、それをもとに乱歩が執筆するという形式を取ったという。そのため、乱歩作品としては異色の味わい。
 倒叙形式で書かれているが、いまいち効果は薄いように感じられた。ストーリーは偶然をモチーフに進んでいくのだが、なんだか乱歩の語り口とは違和感がある。最後に登場する名探偵は魅力的だった。
 「盲獣」は、乱歩のグロテスク趣味のきわみともいうべき作品。いつものように美女が怪人に誘拐されるのだが、ヒーローや名探偵はあらわれず、陰惨で残酷な展開となる。怪人がひたすらおぞましい「美」を追求していくばかりなのだ。こういうのは、中途半端さがなくて、なかなか興味深い。

十字路;盲獣 (江戸川乱歩文庫)Amazon書評・レビュー:十字路;盲獣 (江戸川乱歩文庫)より
4394301300
No.6:
(5pt)

読んだら飯が喰えなくなるかも

少年時代に読んだ角川文庫版では、最低最悪な「鎌倉ハム大安売」の章はカットされていました。
同時期に「闇に蠢く」を読んで1週間ほど肉が食べられなくなりました。
もし当時本書(創元推理文庫版)が存在し、それを読んでいたらと思うとゾッとします。

本書で完全版を読み、改めて「最低な変態小説」との感を再認識しました。
でもこの作品を嫌いになれません。水木蘭子、真珠夫人、麗子未亡人、みんな何と魅力的なのでしょう。
特に印象的なのは、器量良しの海女(新妻)が恥じらいながらもやって来る場面で、疑いを知らぬ女性が恐るべき性的殺人鬼の餌食になる様に、得たいの知れないエロティシズムを感じます。(蟹はいったい何を見たのでしょうか?)

「触覚芸術」などという強引な落ちをつける乱歩先生。子供だましもいいとこで、全編リアリティのかけらもない作品です。
あまりのばかばかしさに、こんなのついていけないと思っても、いつの間にか憑いている不思議な物語です。
盲獣 (江戸川乱歩文庫)Amazon書評・レビュー:盲獣 (江戸川乱歩文庫)より
4394301661
No.5:
(5pt)

触覚愛

グロテスクで残酷な描写が目立つが、主人公の「芋虫ごーろごろ」に笑ってしまったのは私だけでしょうか?。
なんだか無邪気過ぎて不気味な感じがしなかった気もしない・・・。
まぁ乱歩が言いたかったのは、「自分の快楽の為だけに、人を殺す事に何の躊躇いもない異常な殺人鬼」と事でしょう。
常軌を逸した変態ぶりはさすが江戸川乱歩。本人ですら「嫌気がさした」と言っています。
盲獣 (江戸川乱歩文庫)Amazon書評・レビュー:盲獣 (江戸川乱歩文庫)より
4394301661
No.4:
(2pt)

いったい何を書きたかったのか・・・

犯行からその崩壊までを犯人の側から描く「十字路」は、良品のミステリ。登場する探偵が優秀すぎる気がしないでもないけど。しかし「盲獣」は単に残虐さのみが際立ち、後味が悪いだけの作品になってしまっている。乱歩自身が自身の全集に入れたくない作品として言っていたというのも分かる。イヤーな気分になりたい人は読んでみるといいかも。
十字路;盲獣 (江戸川乱歩文庫)Amazon書評・レビュー:十字路;盲獣 (江戸川乱歩文庫)より
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No.3:
(2pt)

触覚

この本は乱歩の作品の中でもっとも粗悪品といってもいいでしょうか。なぜなら現に乱歩は作者自註自解でもこの作品は全集に入れたくなかったと言っているほどです。犯罪者の異常心理という点が何といっても乱歩の魅力ですが、この作品ではグロテスクが妙に強調されすぎていて、見る人によっては吐き気をもよおす人もいるかも知れません。怖いもの見たさのある人は読む価値があると思います。それと触覚芸術論という点は唯一の救いでその着想はほめるべき点があるでしょう。
盲獣 (江戸川乱歩文庫)Amazon書評・レビュー:盲獣 (江戸川乱歩文庫)より
4394301661
No.2:
(5pt)

素敵

乱歩の中でも病気度”高”に位置する作品。
衝撃のラストに度肝を抜かれました。
挿絵も素敵♪
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4394301661
No.1:
(5pt)

『盲獣』…触覚の世界

二編収録されているうち、『十字路』も正当派探偵小説という感じでよかったですが、個人的には、『盲獣』のほうが変わっていて好きでした。乱歩の描く世界には、地獄絵のような視覚美の幻想が満載であることが多い。しかし『盲獣』においては、その筆先が、「目開きには分からぬ触覚の世界の美」を描くことに向けられています。主人公の盲人は、自分の触覚の理想美を徹底的に追究するために次々と残酷極まる変質犯罪をおかしていきます。彼がつくりあげた触覚の理想郷である地底の彫刻部屋は、視覚的には「不協和音」の世界。しかし、盲人にさらわれてそこに連れ込まれた「目開き」の女性たちまでが闇の中で暮らすうちにその世界の虜になって「このすばらしさを知らない目開きの人たちがかわいそう」と憐れ!むほどになります。増村保造監督んの映画『盲獣』(緑魔子、船越英二ら出演)も原作からは随分かえてありますが、なかなか面白かったです。
十字路;盲獣 (江戸川乱歩文庫)Amazon書評・レビュー:十字路;盲獣 (江戸川乱歩文庫)より
4394301300

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