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ボトルネック



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【この小説が収録されている参考書籍】
ボトルネック

ボトルネックの評価: 3.59/5点 レビュー 185件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.59pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全185件 161~180 9/10ページ
No.25:
(2pt)

ノゾミとフミカの性格設定があまりに不自然、文章も冗長

SFではよくあるパラレルワールドもの。
たまたま会った人の性格を真似するノゾミの不自然な設定に唖然とする。そんな人間はいないでしょう。
フミカの歪んだ性格も、この小説の鍵となる事件を起こすために設定されたような非常に不自然な設定。
会話と会話の間の一人称の文章も冗長で不要。村上春樹の下手なコピーのよう。
「このミステリーがすごい2010年度」の第1位と帯に書いてあるが、ぜんぜん凄くなかった。
この程度で1位になるなんて、大丈夫なのか、と心配になる。
ボトルネックAmazon書評・レビュー:ボトルネックより
4103014717
No.24:
(4pt)

鮮明な印象(ネタバレ)

非常に読後感が悪いというのが第一印象。なんて救いのない、しんどい話なんだろうと思い、暗い気分になりました。しかし考えさせられる話です。自分がいない、自分の変わりに優秀な姉のいる世界。自分がいるときよりもはるかにいい状況になっている世界。「ボトルネック」という非常に暗示的なキーワードに主人公もそして読者も主人公が取り巻く環境の障害になっているのは自分だと思い込むけれど、ほんとうにそうなのでしょうか?そもそも自分が障害になったかは自分がいない、優秀な姉もいない世界と自分がいる世界を比較したときにしかわからないのではないか?そして最後の母のメール。この一文を読んだ主人公はどのような気持ちになりどんな行動をおこしたか。救いのない結果になったのか。私は否だと思いました。本当に必要のない人間にメールを送るでしょうか。姉のいる世界で「想像力」を身につけた主人公がその事実に気づいたと思いたいです。死ねば自分のしたことはそこで幕を閉じ物語は終わるが、生きていればいつか一発逆転だって可能。そこで姉がいる世界以上の世界をつくることだってできるかもしれないと彼が気づいてくれれば…。そんな蛇足を想像してしまうほど、余白を楽しむことのできるある意味秀逸な小説ではないかと思います。このミスに選ばれた小説は向日葵の咲かない夏といい、禁断のパンダといい最後の後味が異様に悪いと思いましたが、これはよい小説でした。
ボトルネックAmazon書評・レビュー:ボトルネックより
4103014717
No.23:
(4pt)

「意外な結末」

米沢穂信さんの本は、「春季限定いちごタルト事件」を初めて読み、何も考えずに楽しめるタイプの作家さんなのかな、と考えていました。
しかし、この作品を読んでみて、結構考えてしまいました。
あの人が好き、あの人が嫌い。そんな誰もが抱く当然の感情に、些細な疑問がわいてきます。
それは、「好きな人と嫌いな人は正反対だ」ということへの疑問です。もちろん、僕たちが好意を抱く相手と、軽蔑する相手は全く正反対の特徴を持っています。
でも、実際にはその人達の中に、自己愛や、自己否定や自己欺瞞を見ている。
人間関係は「コンプレックスの投影」とか「自分の鏡像を愛していただけ」とか、それだけで表せるものではないでしょうが、なんとなく普段なんの違和感も無く抱いていた感情に「え?」と疑問を抱かされてしまう。
何より、この作家さんの凄い所は、そんな重いテーマをライトノベルかと見間違うような文章の中に落としこんでいる部分だと思いました。
まわりクドイ説明的な文章ではなく、登場人物の「似てるから」という一言で、主人公や周りの人たちに対する認識や、愛のカタチまで変わっていく。
こんな「意外な結末」もあるんだなと思いました。
流行作家で、スラスラ読めるのに、心に何か残してくれる。他の作品も読んでみたく思います。
ボトルネックAmazon書評・レビュー:ボトルネックより
4103014717
No.22:
(4pt)

別の世界で「姉」に出会うというアイデアが秀逸

今生きている世界と少しだけ違うパラレル・ワールドに迷い込む、というストーリーはめずらしくありませんが、この小説ではそこで自分の世界で存在していなかった「姉」に出会ってしまうというところがとても新鮮でした。
この「姉」サキが、とても魅力的に描かれていて、主人公リョウとのかけあいには甘酸っぱいものを感じました。
ただ、終盤になっていろいろなことがわかってくるにつれて、リョウの劣等意識がだんだん前面にでてきてつらい感じになってきます。
最後は‥‥うーん。
なんとなく映画『バック・トゥー・ザ・フューチャー』を思い出しました。であれば、今度はサキがやってきて、こっちの世界まで変えちゃうとか、そんな能天気な続編を読みたいですね。
ボトルネックAmazon書評・レビュー:ボトルネックより
4103014717
No.21:
(5pt)

思春期の男の子が痛ましい思いをする話

パラレルワールドもの!?
思春期の男の子が痛ましい思いをする話
程度の差はあるが米澤氏の作品にはこの手のものが多い!?
未熟であること罪なのか
悪意をもって人を傷つけることに比べたら、仮に罪だとしても非常に軽い罪ではないのか
それに対して、この罰はひどいくないか
失望の末の死か、絶望しながらの生かの選択
主人公は弱い立場の人間だ
弱者にムチ打つラストだった
主人公は何もしなかったことで、危機(ノゾミの死)に気付かなかった
これって罪か
しかも、積極的に行動したサキというキャラは主人公に絶望をもたらした
じゃあ、どうしたらいいの???
過程より結果が全てということか
現在の日本の閉塞感がよく現れている作品
元の世界で、ノゾミは主人公を恨んでないと思う
ノゾミが死なない可能性(世界)はあった
しかし、元の世界のノゾミはそれを知らない
ノゾミの怨念が主人公を別の世界に送り込み、罰をあたえたとは思えない
では、誰が、なぜ、主人公を別の世界へ送り込んだのか???
ボトルネックAmazon書評・レビュー:ボトルネックより
4103014717
No.20:
(3pt)

ミステリというより…

新進気鋭のミステリ作家さんの作品ですが、ミステリというより米澤版「人間失格」という感じ。もともとこの方の描く主人公は、情動の薄い若者が多いのですが、この物語の主人公リョウ君は、それがすこぶる顕著。悲観的、厭世的というほどの主張すらなく、あえていえば諦観主義者。ポジティブな読者には受け入れにくいかもしれません。作品のカテゴリは、一応ミステリのようですが、謎解きを求めて読むと肩透かしを食うでしょう。大人に翻弄されて自分の居場所を見失った少年の心の内を垣間見る……そんな作品です。不景気だなんだで大人達がピリピリしている昨今。こんな若者は少なくない気がします。
ボトルネックAmazon書評・レビュー:ボトルネックより
4103014717
No.19:
(1pt)

子供向けか?

うーん、これは・・・飛行機の中で読むための本として買ったんだが、あっという間に読み終わってしまった。一度も、この世界に入ることなく…
字の大きさも大きく、あまり推理らしいところはなく、ちょっと甘酸っぱい恋の話があったり・・・推理小説を読みたいと思って購入を検討している方には向かないと思う。たしか帯に、このミステリーがすごいだか何かの1位を受賞したとあった気がするんだけどなあ、どこが凄いのか全く分からなかった。私にとっての一番のボトルネックは私自身だったようだ。
ボトルネックAmazon書評・レビュー:ボトルネックより
4103014717
No.18:
(5pt)

軽快なのに重厚

文章や設定などはとても軽快でライトノベルのようにサクサク読めます。
多少SFチックだったり、登場人物が都合良く動きすぎているところはご愛嬌だと思いますが、
本作の要点はそんなところではなく、残酷なまでに突きつけられた「もしも」の話が核です。
この「if」をアクロバティックな方法で描ききっています。
バタフライエフェクトに関する考察も特殊ながらとても興味深い。
想像力を広げていくとここまで出来るのかという深い作品です。
救いがなく、救いの残るラストはとても好きです。
ボトルネックAmazon書評・レビュー:ボトルネックより
4103014717
No.17:
(5pt)

とんちんかんなレヴュー

 この小説から強いてメッセージ性を引き出すとすれば、それは、逃げるな! ということだろうか。
 主人公リョウによって、物語は語られる。このリョウ、という男、あまりに私に似ている。
……足元を見て首を引っ込めていれば大抵の嵐はやり過ごせるというのに、想像力がなんだというのか。
 リョウは、想像力を働かせるのが苦手だ。私もまた。
この三日間で、ぼくは考えを放棄することを学んだ。ぼくが何を考えても、結局はどこにも行きつかない。なら、教えてもらうのがいい。導いてもらうのが楽だ。
 この二十何年間、私は「考えを放棄」し続けてきた。私が「何を考えても、結局はどこにも行きつかない。なら、教えてもらうのがいい。導いてもらうのが楽だ」。黙っていれば、誰かが助け舟を出してくれる。何もしなくても、誰かが横から助けてくれる。
ぼくも、ぼくなりに生きていた。別にいい加減に生きてるつもりはなかった。しかし、何もしなかったことが、こうも何もかもを取り返しがつかなくするなんて。
 私も、私「なりに生きていた。別にいい加減に生きてるつもりはなかった。しかし、何もしなかったこと」で、自分ひとりでは何も考えられない、決められない、行動できない、どうしようもない男になってしまった。私はいつもそれを、環境のせいにしていた。逃げていた。逃げずに生きること。現在と未来とを侵食してくる過去と、現在のなかで、目をそらさずに闘うこと。それが私に必要なことなのかもしれない。
 ミステリ小説らしい、不気味なかしょを紹介する。まずは、黒猫。
猫を見つけた。毛並みの美しい、黒い猫。ぼくと目が合うと、なぜか少し近寄ってくる。その猫の、美しい緑色の目に、ぼくは一瞬惹きつけられた。が、黒猫は退屈そうな鳴き声を上げると、ぷいとそっぽを向いた。まあ、好かれるとは思っていなかった。
 〈美しい緑色の目〉は、別のかたちで繰り返される。どう繰り返されるのか、それは、本書を手にとってご確認のほどを。
 つぎは、子供。
子供がふと顔を上げた。ぼくと目が合う。/にこりと子供が笑った。……途端、ぼくはものすごい違和感を感じた。その子の表情が妙に分別くさく、年不相応な、似つかわしくないものに感じられたからだ。
 さらに、この子は女性に、「川守! もう、汽車が来るよ!」と呼びかけられている。「川守」は苗字であって、名前ではなかろう。大人が子供を呼ぶとき、こんな呼び方をするものだろうか? この子はいったい、なんなのか。黒猫が化けたのか。あるいは、黒猫さえ、なにかが化けた、かりそめの姿なのだろうか。「川守」とは、川における渡し守か? とすれば、どんな川の渡し守か? 三途の川か? いずれにせよ、ただならぬ雰囲気を醸し出している。
伏線という視点では、序章の密度が特筆に価する。(村上貴史氏による「解説――次の一歩を」より)
 私が見事だと思った伏線を紹介する。
白い花を投げ込む。/しかしびょうと吹いた海風に、小さな花は押し戻され、投げたぼくの足元にはらりと落ちた。本当に風が強い。
 これは、私のカンであるが、この小説が訴えかけてくるものは、私たちが潜在的に感じていること、考えていることなどと、目をそらさずに向き合え、想像しろ、答えは自分のうちにあるぞ、という叱咤激励であるような気がする。
ボトルネックAmazon書評・レビュー:ボトルネックより
4103014717
No.16:
(4pt)

残酷な形で生きる意味を問う

東尋坊でパラレルワールドに迷い込んでしまうという設定。
そのパラレルワールドでは、自宅には、自身であるリョウの代わりにサキという姉が居る。
ここまでは、ファンタジックな内容だが、もう一つの世界でリョウが見聞したものの現実の数々は、、、。
この作品、リョウという一人の人間の存在意義を嫌という程突きつけてくる。
そして、その存在意義は、あまり芳しくないのだ。
これには誰しも深く悩むだろう。
自分なんて、居ない方がマシだ、なんて考えるかも知れない。
それは、自分の分身である姉のサキの思考や行動が、自分に比べて、あまりにも適切だからだ。
最終的にリョウが感じるのは、強烈な劣等感だ。
こんなのは残酷過ぎる。
当初は、内容が面白いので、すらすらと読み進むが、終盤になると、読み進むのが辛くなってくる。
邪魔者は排除すべきという意味の「ボトルネック」というタイトルも辛い。
生きるべきかどうかが問題だという、ハムレットの様な難題に突き当たるが、本書は結論は何ら示さない。
結論を示さないのは、その答えを読者に委ねるという意味だ。
それなら、私がリョウに結論を提示したい。
過酷な体験お疲れ様。これからも自分らしく生きて下さい。
何故なら、人間の最大の仕事は、生きる事なのだから。
ボトルネックAmazon書評・レビュー:ボトルネックより
4103014717
No.15:
(1pt)

救いがない

 軽快に読めました。でも読み終わって嫌な気持ちが残るだけでした。
世の中、思うようにならないことも多いです。でも主人公の高校生に対し、ここまで絶望させる小説を私は好きになれません。
救いがなく、感想は「読むんじゃなかった」
ボトルネックAmazon書評・レビュー:ボトルネックより
4103014717
No.14:
(3pt)

読んで損はないが、結末を求めるならやめた方がいい

良くも悪くも米澤作品の特徴である読みやすさ、不思議だけどなぜか読み進めてしまう文体が特徴の青春小説です。
まず、結論としてはハッキリとした結末を出してほしいミステリー好きは読まない方がいいと思います。
自分が生きてる世界と、別世界があるかも?そこではどんな違いが起きているのか?といった、ささいな疑問を文章にする
のは非常に難しく、読みづらい作品となってしまう所を、本書では読み進めることができる・・・、しかし結末に救いがあ
るかというとちょっと難しい。
何とも勧める言葉に悩む傑作作品です。
ボトルネックAmazon書評・レビュー:ボトルネックより
4103014717
No.13:
(2pt)

プロットはいいのに、リアリティが……。

「気がついたら、違う世界に飛ばされていて、
そこは、「自分がいないこと」以外は全く変わらない世界……」
という、プロットは非常に面白い。
「もしこの世界に自分がいなかったらどうなるか」
「自分が仕方ない、と受け入れていることは本当に仕方ないのだろうか」
という問題提起はとてもドラマチックだ。
だけど、そういう設定ならば、
仕掛け以外の部分では徹底したリアリティが欲しいところだ。
「もし本当にそうなったらどうなるか」を想像するのが醍醐味だと思うから。
しかしこの作品では、キャラクターの造形があまりに雑で記号的。
質の低いライトノベルのようだ。
キャラクターたちは到底、実在の人間のようになり得ていない。
そして地の文(一人称なので、主人公の語りだ)やセリフの中に、
設定や伏線についての言い訳っぽい記述が多くてうんざりしてしまう。
「こうなったのは、こうだからだ」といちいち伏線の種明かしをするから、
とても押しつけがましい上にわざとらしい。
この本の解説には、「作者はアイディアを形に出来る力量がつくまで八年暖めた」
というようなことが書かれていたが、それでも時期尚早だったのではないだろうか。
ボトルネックAmazon書評・レビュー:ボトルネックより
4103014717
No.12:
(5pt)

爽やかに苦い・・・・だろうか。説明が難しいです。

高校生の主人公がもう一つの現実世界、パラレルワールドに迷い込んでしまう話です。
そこには主人公の代わりに生まれなかったはずの姉が存在します。二つの世界の差はそれだけ。しかし、積極的に問題を解決しようと努力を続けた姉の世界は元の世界と比べるべくもなく素晴らしい世界になっています。自分の存在意義に苦悩しつつ、姉と共に協力し、主人公は元の世界に帰る術を探ります。
二つの世界の差異を紐解く過程がミステリーになっており、この点においては謎解きも楽しく軽快に読み進めることが出来ます。姉のサキの明るくおせっかいな性格が作品に華を添えていますね。
しかし、主人公に感情移入すると途中から読むのが辛くなっていきます。姉がいるもう一つの世界を知れば知るほど、元の世界と比べて何もかもがうまくいっていることに気づかされ、主人公は圧倒的な無力感に打ちのめされます。
けれど、まったく救いのない作品ではありません。
ラストシーンを終えて本を閉じた後、私は主人公の選択を想像しました。そこには読み手が想像力を羽ばたかせる余地があります。ぜひ、この感覚を味わっていただきたい。
読んでいてもやもやする部分が多々ありますが、読んで損なし、と私は思います。
ボトルネックAmazon書評・レビュー:ボトルネックより
4103014717
No.11:
(4pt)

かなり苦めの青春ファンタジー

青春推理の旗手として注目を集める著者の、
なかでも特に苦い内容の作品。
推理小説というよりも人間ドラマとしての性格が強い。
ファンタジーやホラーといった、一風変わったモチーフを用いているが、
あくまでシリアスである。
金沢から東尋坊といったトラベルミステリの要素を含んでおり、
地元民には感慨深いものがある。
また、昔のアメリカ映画「素晴らしき哉!人生」のネガティブバージョンともいえる。
ボトルネックAmazon書評・レビュー:ボトルネックより
4103014717
No.10:
(5pt)

苦すぎるんだけれど絶妙な味わい

 悩みます。
 というのも、この本、紹介がとても難しいのです。
 普通の意味で「面白い」という本でもないし、「感動的」でも「エキサイティング」でもないし、「胸が暖かくなる」というのとも違うからです。
 どちらかといえば、「衝撃的」で、「印象深く」て、「考えさせられるところが多々ある」作品ですが、なにより印象に強く残るのは「異常なまでの後味の悪さ」だという作品です。負のオーラがばりばりに出ている作品です。青春小説のていは取っていますが、中身はなまじの厭世小説よりも心に苦みを植え付けます。
 けれど、ある意味傑作なのは間違いがないのです。心に残るのです。
 どのようにしてそのあたりのことを伝えたらいいかわからず、実に紹介を書くまでに悶々とした作品です。
 彼の他の作品、たとえば「春期限定いちごタルト事件」のような甘酸っぱさはなく、結果的に衝撃が待ち受ける「さよなら妖精」とも違い、後味の悪さや悪意の度合いは、ユーモラスな中にも毒が強かった「犬はどこだ」を遥かに上回るというこの作品。米澤さんの才能を強く感じさせるとともに、読んでてしんどくなる一冊でもありました。
 しんどいのに辞められない、どこか惹かれてしまうところがこの作品にはあります。主人公の弱さ、至らなさ、運命の理不尽さに翻弄されざるを得ない状況、悪意の強さ。どれもが味わい深いんです。例えていえば、ちょっとニュアンスは違うんですが太宰治の「人減失格」のような感じでしょうか。
 主人公はまだ高校生ですし、パラレルワールドにも行くし、小さなネタをしっかりと回収していく日常の謎系の要素もふんだんにあって、全体の構成物はポップなんですが、できあがった作品はひ軽みの中に苦さが強くがつんと効いています。
 なんだかわかったようなわからないようなレビューですが、是非読んでみて欲しい一冊です。
ボトルネックAmazon書評・レビュー:ボトルネックより
4103014717
No.9:
(5pt)

怖かった…

 レビューは難しいので感想を。
 夢もなく希望もなく救いもない話なのに、強烈に印象に残る。
 北村薫さんの凛々しい主人公の小説を読んでそんなに強くなれないよとイラっとくることがある。重松清さんの病気ものを読んでしょせん作り話だとしらけることがある。なのになぜか「ボトルネック」には癒される気がする。サイコホラーのように怖いのに、どこか切実で引き込まれる。
 ラストとキイワードのつながりがいまいち理解しきれないこともあり、何度か読み直した。そういう意味でのミステリ(?)としてはわかりづらい。でも、米澤作品の中ではいちばん好き。
 この救いのなさがいいのかな。すごく気分に合う。雰囲気としてはB.E.エリスの「レス・ザン・ゼロ」を思い出した。
ボトルネックAmazon書評・レビュー:ボトルネックより
4103014717
No.8:
(5pt)

最後まで読んだとき、悲しさがあふれる、自分探しのSF青春小説。

 恋人を失った少年が、自分が生まれなかった世界に迷い込む。そこではじまる間違い探し。自分の生まれた世界との違い、また、その違いの根本的な原因である「ボトルネック」は何なのか。最後まで読んだとき、悲しさがあふれる、自分探しのSF青春小説。
 主人公が生まれなかった世界と、主人公の生まれた世界との間違い探し、というアイデアがとてもおもしろい。主人公「リョウ」には、生まれる前に死んでしまった姉「露」がいた(水子)。その「露」という姉が、もう一方の世界では「サキ」として無事に生まれている。その世界には、「リョウ」は存在しない。SF的にいえばいわゆるひとつのパラレルワールドというヤツである。そこで主人公はサキと共に、二つの世界の間違い探しをしながら、冷徹なまでに客観的に自分の生き方を見つめてしまう。そして、自分の生まれた世界で排除しなければならない「ボトルネック」が何か、という疑問の答えを出すのだが。。主人公が出す答えは、とても悲しく、痛ましい。
 この主人公、とてもネクラであり、自分に対しての出来事を遠くからみている、という性格。とてつもなく、考え方に共感でき、感情移入しやすいキャラクターであったことも、高評価につながった要因のひとつであるが、さらに大きな要因として、サキというキャラクターの存在がある。天真爛漫でありながら頭の回転が速く、そして、他人を思いやる。あだち充のヒロインキャラ全開のサキに乾杯。
 ただ、腑に落ちない点もある。とくに最後の章のサキの言葉。なぜイチョウの木?それの何を思い出すと、彼の決断をよい方向へ導くエピソードってあったっけ??ここに大きなミステリが隠されているような気もする。ボトルネックを排除するってのは、思い出も排除してしまうことに他ならないってことか??わからん。。
 ラストの一行。この一行は、(たぶん)叙述トリックなどが隠されているわけではないけれど、かなり衝撃的で、悲しくて、さびしくて。もうこれは笑うしかないよ。鳥肌立ちつつ、笑ったよ、おいらは。結局、彼にとっての「ボトルネック」は周りの環境だったのかもしれない。あと、中盤読みつつ、「元の世界に戻ると、そこにはサキがいて、恋人がいて、自分もいる」という、超幸せエンディングも夢見ていたのだが、見事に裏切られて、なんとなく「エヴァンゲリオン」を思い出したりもしたよ(時事ネタ)。
ボトルネックAmazon書評・レビュー:ボトルネックより
4103014717
No.7:
(4pt)

つらいストーリー。

主人公が高校生であって、この結末は可哀相だなと言うのが、
一番の感想です。
未来のある若者が、人生に希望を持てないのは、
大人世代としては罪悪感すら覚えました。
なぜか自分を除いた以外は、
いままで自分がいた時と同じ設定の世界に飛び込んでしまったリョウ。
生まれるはずのなかった姉・サキと共に、
謎を解明していくのですが。
軽いテンポの会話でストーリーは進んでいくのに、
その内容のなんて重いこと。
どこにも救いがなく、悲しい気持ちで読み終えました。
ただ、生きていくというのはつらいことの連続ですからね。
リョウよりはましだと思えば、生きて行く事ができるのかも。
そう思わないと救われないお話です。
ボトルネックAmazon書評・レビュー:ボトルネックより
4103014717
No.6:
(5pt)

最後にぞくりとくる作品

「私なんていてもいなくても同じだ」
 自分や他人の存在意義や価値、そんな感じのことを考えたこと誰もが一回はあるんじゃないかと思う。もし心当たりがあるなら是非これを読んで欲しい。
 主人公は恋人を弔いにやってきた場所から、別世界へ。
 知っている町並みだけど違和感がある。
 そこは主人公が産まれなかった世界。
 代わりに「産まれてこなかった姉」が生きている世界。
 違うのはそれだけ。
 そして主人公がいた世界と主人公が生まれなかった世界の「間違い探し」をしていくうちにあることに気付く……というストーリー。
 恋愛や青春、謎が絡まっている物語ですが、
 ボトルネックは速やかに排除しなければならない
 ただ、その言葉が残酷に残ります。
ボトルネックAmazon書評・レビュー:ボトルネックより
4103014717

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