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龍神池の小さな死体
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龍神池の小さな死体の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.45pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全10件 1~10 1/1ページ
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「リア王」方から読んだが、どちらもよかった。戦後の一時期ならではの状況を、巧みに織り込んだ傑作だ。龍神は、少ない登場人物をうまく配した構成と伏線が効いている。この作家は、青春の甘酸っぱさをからめると、持ち味がさらに倍化するようだが、そうした他の傑作が現時点では読めないのが残念だ。しかし、トクマの特選シリーズが、これから掘り起こしてくれるとのことなので、楽しみにしている。 | ||||
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40年以上前に読んだ本で、探していた物が見つかって感動さえしました。 | ||||
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戦争中の疎開先での弟の変死という過去の事件を、数十年後の現在の主人公が再調査する物語。過去と現在を行きつ戻りつするなかで浮かびあがる、人間模様、戦時中という特殊な時代背景、独自の因習に縛られた村社会、いずれも丹念にリアリティを持って描き込まれ、しっかりとした小説づくりがなされている。そこに大小様々なトリックを散りばめ、巧みな伏線を縦横に張りめぐらせ、ミステリとしても堅牢緻密な出来映えを示しており、読みごたえのある秀作に仕上がっている。ただ人間ドラマとしての終幕が、あまりに救われない後味の悪さを残したため、☆5つを付けるのをためらわせた。 | ||||
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梶龍雄は新本格以前、昔から青春ミステリーを中心にかなり読み込んではいたけど(20冊弱だけどね)この作品は未読でした。今、ネットで簡単に欲しい本が入手できる時代ではなく、あくまで店頭で見かけなければ購入できなかったわけで。 この度、トクマ復刊を知り嬉しくてすぐにポチりましたが、内容も期待以上でありました。昔、講談社ノベルズの新刊が出る度に 買ってた頃を思い出しながら。まあ多少、やりすぎの感は否めませんでしたが、意外性は氏の作品の中でもトップクラス。ネタバレになるかもしれないけど、犯人になぜか乱歩の大曽根竜次のイメージがだぶりました。 | ||||
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【概要】 200ページを過ぎたあたりから、これは何かあるなという雰囲気が出てきて、その後は最後まで読める。40年以上前の本だが読みづらさはなく、散りばめられた伏線が収束するラストも見事と言える。三津田信三氏が後書きを担当していたので刀城言耶シリーズのようなおどろおどろしさを想定していたが、サスペンス要素こそあれ、怪奇性はあまり感じられなかった。昔の作品であるが故かもしれないが犯罪者の生来説のような考え方が採られている点には個人的には苦言を呈したい。 【評価】 総合 4 読みやすさ4 意外性 4.5 読後感 3 | ||||
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一、本書が届くまで ☆本書の出版に気づいた時、一瞬時間が止まった。俺は梶龍雄を一体何冊読んだのか? ☆1957年の仁木悦子氏から1976年の伴野朗氏まで、1978年の栗本薫氏から1988年の石井敏弘氏まで、及び1977年同時受賞の藤本泉氏の計31人の乱歩賞受賞作家については、受賞作以外の長編を2冊以上読んでいる。 ☆しかし、1977年受賞の梶龍雄だけは、受賞作『透明な季節』以外は読んだ記憶がない。そもそも、買っていないのではないか。 ☆とりあえず、本書の注文を出してから、書庫の文庫本棚を探すと、ケイブンシャ文庫の『龍神池の小さな死体』(原本1979年)と『殺人リハーサル』(原本1981年)が出てきた。前者は200円の古本、後者はたぶん新本。どちらも読んでいない。 ☆次に、ノベルス棚を探すと、1980年代後半のノベルスがたくさん出てきたが、梶龍雄はない、ない・・・ない。 ☆つまり、『透明な季節』以外は読んでおらず、上記の2冊の文庫本以外は買ってもいないようだった。 ☆理由は・・よく思い出せないが、受賞作にあまり感動しなかったのかもしれない。その頃は、『透明な季節』の世界に対して、「戦前世代の郷愁にすぎない」と、否定的に感じたのかもしれない。 二、本書が届いてから ☆早速、ケイブンシャ文庫本(以下ケイ文庫)と比べてみた。 ☆本書は483頁、ケイ文庫は406頁。行間がゆったりして、ケイ文庫よりずっと読みやすい。 ☆本書の表紙はちょっと怖かった。ケイ文庫のおだやかな表紙のほうが安心だが、作品世界の表現ということなら、本書のほうがマッチしているのかもしれない。 ☆本書の解説は三津田信三氏、ケイ文庫の解説は集団疎開体験の持主の権田萬治氏。権田氏は「お呼ばれ」の体験もあり、回りには、飢えと望郷の念から、夜に宿を抜け出し、川に落ちて死んだ子供もいたという。二人とも本作品を賞賛しているが、三津田氏は「梶龍雄の本格ミステリの最高傑作」、権田氏は「本格推理の力作」。 三、予習 ☆『透明な季節』を再読した。なかなか面白かった。 四、本書の読書感想 ☆読みやすい、きれいな新刊本で『龍神池の小さな死体』を読めてうれしかった。 ☆たいへん面白くて、夢中になって読んでしまった。 ☆ミステリーとしては、「傑作」「力作」であるともに、「力業」「強引」「人工的」と感じられる所もあるが、伏線は充分敷かれており、特段問題ないと思う。梶氏のテクニックと情熱の詰まった本なのだろう。 ☆三津田氏も権田氏も「現代」と書いているが、本書のリアルタイムは11年前という近過去である。しかも、運命の年1968年である。本書は1968年ミステリーなのである。 五、復習 ☆アンリミテッドで読める『海を見ないで陸を見よう』(原書1978年)、『ぼくの好色天使たち』(原書1979年)を読んだ。どちらも、手品文学とノスタルジアと激しい情念の絡み合う作品で、なかなか面白かった。 六、今後の梶龍雄勉強計画 ☆まず『殺人リハーサル』を読んでみる。後は、コレクションの続刊を待ちたい。 七、蛇足 ☆ケイ文庫の『殺人リハーサル』の解説(松村嘉雄)によると、梶龍雄は「独自のトリック表を作成しているから、トリックには困らない」と言っていたらしい。その「独自のトリック表」は残存しているのだろうか? | ||||
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「お前の弟は殺されたのだよ」 死期迫る母の告白。疎開先で事故死したと聞いていた弟・秀二。大学教授である智一は真相を突き止めるため、秀二の疎開先だった山蔵という寒村を訪ねた。23年前の真実を突き止めようとする中、かつて弟が溺死したという龍神池に真っ赤な杭で突かれた死体が浮かんで──。 名作と呼ばれながらも入手困難で、古書価格も高騰していた梶龍雄先生の復刊シリーズ。読み終わってみると、その評価通りの面白さ!弟は殺されたという導入から引き込まれ、迷い込んだのは閉鎖的な村社会。現在は滅んだ旧家・妙見家、その蔵に居たらしき謎の少年、龍神池にまつわる伝説、そして現在進行形で巻き起こる事件の数々。戦争前後の社会情勢を交えながら濃密に進んでいく。 圧倒的な情報密度に隠された伏線の数々に、後半は「ああー!」「ええー?!」「そんなん考慮しとらんよ…」と声を上げるばかり。第二章までは情報量に比べて物語がゆったりで焦れるけれど、第三章からの怒涛の事件と推理劇から一気に心を鷲掴みにされた。ダムに貯められた水が亀裂から飛び出すかのような破壊的な真実の濁流。まさにこれは亀裂の物語なのだ。人間同士の、その心の亀裂。埋められない溝と欠落を覗き込む。その池に見えるのは龍神か、それとも生贄たちの死体か。 ぼんやりした智一とキレがいい美緒の推理劇やかけ合いが面白い。トリック考察、アリバイ崩し、過去と現在の事件などなど、トラベルミステリ的な物まで取り入れられていてすごい。ここまで詰め込まれていたら何も言えねえってほど。ただ、解説の三津田信三先生が触れられていた瑕疵は言われてみると確かに!となって、そこだけは作品の亀裂となってしまっているのは残念。それでも充分すぎるほどの内容なので、復刊を機にぜひ手に取ってもらいたい作品。 | ||||
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本書の帯には煽りに煽った文が、しかし本当のことが、書かれている。 私は約5年前、『清里高原殺人別荘』へのレビューで「2008年に『本格ミステリ・フラッシュバック』が刊行されて以降、あらためて梶龍雄の作品を読もうと思う人が増えたのか、年々古書価が高まってきた」と書いたが、今でも古書価は高い。 状態の良いものなら、文庫版で5,000円、ハードカバーなら5桁の価格になる。 入手が困難な、名のみ高い作品も多い。それらが、ようやく文庫版で復刊されることになった。 しかも、梶龍雄の作品系統には、乱歩賞受賞作『透明な季節』、その続編に当たる『海を見ないで陸を見よう』をはじめ、戦前の旧制高校などを舞台とする「青春ミステリ」と、本書をはじめ大胆なトリックを用いた「驚愕ミステリ」の2系統あるとし、両方を順次復刊するという。 誠にありがたい話である。 解説にも書かれているが、本書の解決編には穴があり、あることが説明されていない。 だが本格ミステリファンなら、その欠点も含めて「愛すべき傑作」だと思うことだろう。 続刊に大いに期待する。 | ||||
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【ネタバレあり!?】 (1件の連絡あり)[?] ネタバレを表示する | ||||
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母が死の間際に語った。「おまえの弟は殺されたのだよ」 大学教授の仲城は幼少の頃、 大戦時の疎開先で弟を亡くしていた。事故死だと聞いていたのだが…。 気になった彼は大学を休み、弟の死の真相を調べるため、 かつての疎開先に赴いた。 その現場「龍神池」で、仲城はさらなる事件に巻き込まれる…。 田舎を舞台にしたミステリーが好きで、 タイトルに惹かれてのんびり読んだのですが、 何気ない描写と思われたあちらこちらに伏線が張り巡らせてあって、 後半の謎解きに向かう怒濤の伏線回収ラッシュには 息をするのを忘れるほど興奮しました。 2013年4月現在、こんな傑作が入手困難なのは、何か間違ってる気がします。 初めてこの作家さんの作品に触れましたが、もっともっと読みたくなりました。 | ||||
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