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ブラザー・サン シスター・ムーン



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【この小説が収録されている参考書籍】
ブラザー・サン シスター・ムーン

ブラザー・サン シスター・ムーンの評価: 3.54/5点 レビュー 24件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.54pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全24件 21~24 2/2ページ
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No.4:
(4pt)

You’d be so nice to come home to.

§1 「卒論は谷崎潤一郎だった。」
 §2 綾音の好きなアラン・シリトーの短編集、しおりの挟まっていた部分の一行:「二人とも、愛のために何もしなかった。だから、いけなかったんです。」
 §3 映画『陽のあたる場所』のエイリザベス・テーラーの科白:「私たちは、別れるために出会ったのね。」
 本のタイトルと同名の映画のワン・シーンにインスパイアーされ、上記の3つを絡めて、この中編をうまくまとめている。というか、私はエッセイ感覚で読めた。
 §1では、イギリス文学至上主義の友人が、アメリカSF好きの男の子を泣かせてしまう話。卒論の締切が迫り、夢に谷崎が出てくる話などユーモアたっぷり。
(今ネットで調べて、びっくり!恩田陸は、ゼミが谷崎で、卒論が永井荷風だったんですね。いずれは彼女が必ず書くであろう耽美小説が楽しみ)
 §2 芸大生のハスキーヴォイスという一行で、それ以降、この小説を読み終えるまで、Helen Merrill の歌う”You’d be so nice to come home to.”のメロディが頭から離れなかった。
 §3 「人間って、結局無償の愛を与えることでしか満足できないって説、それ、そのまま映画のことだもの。」という言葉は、おそらく映画から得たものだと思われるが、残念ながら、よく覚えていない。
 アメリカの友人から聞いたが、村上春樹がバークレーでの講演でこう語ったそうだ。
「いつもいつも『村上春樹』でいるのは疲れるんですよ。だから、創作に疲れると翻訳します。」
 恩田さんも、ミステリーに疲れたら、こんな軽いエッセイっぽい小説を書けばいいんです。また、紀行文でもいいですよ。アイルランドのエッセイ、小説のように面白かったから。
ブラザー・サン シスター・ムーンAmazon書評・レビュー:ブラザー・サン シスター・ムーンより
4309019005
No.3:
(4pt)

恩田陸テイストの不思議な香り

 楡崎綾音(にれざき あやね)、戸崎衛(とざき まもる)、箱崎一(はこざき はじめ)。現在は社会人として活躍している三人の時間を、まるでアルバムをめくるような具合に巻き戻し、三人三様の青春時代を三つのパートに分けて並べて見せる構成の小説。
 三人の思い出の心象風景が、話に出てくる三叉路(さんさろ)のように、そこではクロスして繋がっているんだけれど、そこからは別々の道に分かれて伸びているところ。三つの話それぞれに、ある共通の出来事、エピソードが登場し、おぼろにゆらめいている感じで話のピース(断片)としてはめ込まれ、全体の絵柄の一部になっているところ。三人の証言から再現された「青春の一コマ」の映像を見ている気がして、そのミステリアスな味わい、恩田陸テイストの不思議な香りが印象に残りました。
 あと、第一部「あいつと私」のなかで楡崎綾音が語る本の出会い、本の思い出に、著者の姿がダブりました。<スティーヴン・キングの『ファイアスターター』が面白くてやめられず>とか、<(バイトしていた飲み屋のお客が)忘れもしない、半村良の『妖星伝』六冊組を貸してくれた>てところ。恩田陸と山田正紀の対談本『読書会』(徳間書店)でそのとおりのことが語られているんですね。だからかな。「綾音って、この登場人物の記憶は著者のそれでもあるなあ」と、そんな重なりも面白かったです。
ブラザー・サン シスター・ムーンAmazon書評・レビュー:ブラザー・サン シスター・ムーンより
4309019005
No.2:
(3pt)

いい材料なのに・・

出だしはいい。
登場人物も、語ることも悪くない。
3人の男女がそれぞれに
学生時代を振り返る。
合間合間に時代背景や当時の学生のことを書いているので
懐かしい世代の方もたくさんいると思う。
そして、世代でない私でも
学生時代の自意識と気恥ずかしさととりとめのなさを
よく書いていると思う。
それなのに・・・
相変わらず物語をきちんと書ききる意志に乏しい。
「ユージニア」のような、
はっきり書かないからこその美しさや恐ろしさも、これにはない。
だから、ただ思いつくまま、意味深に書いただけの印象がぬぐえない。
書ける人なのだからそろそろ集中して、
黒と茶の幻想のような
六番目の小夜子のような
「書ききった」作品が読みたい。
ブラザー・サン シスター・ムーンAmazon書評・レビュー:ブラザー・サン シスター・ムーンより
4309019005
No.1:
(4pt)

何かが始まる予感

高校から大学、社会人へ緩やかに流れる全3編の連作短編集。
かつて「文藝」に予告編と称して載せられた「糾える縄のごとく」の本編。
ちなみに「糾える縄のごとく」は本作には収録されていない。
帯には「夜のピクニックから4年。青春小説の新たなスタンダードナンバー」
とあるが、全く夜のピクニックと似て非なるもの、読者の混乱を招くため、
これは信用しない方がいい。
オシャレな装丁(さすが鈴木成一!)、肌触りの良い紙面、
サラリと読める内容と相まって、上質な大人の青春小説といった印象だった。
高校時代に出会った3人が、本、音楽、映画とそれぞれの道に進み、過去をふりかえる、
3人それぞれが主人公となり、全3章での構成となる。
ちなみに「ブラザー・サン シスター・ムーン 」は映画のタイトルだが、
各章も小説や映画のタイトルから取られている。
第2章のタイトルは知らなかったのだが、帯にある「BlanketJetCity」の楽曲とのこと。
帯にもあるそれぞれの胸に残る高校時代のあの夏の出来事、
そこから別々の道に進む3人、
過去を振り返る中で思い出される思い…
何かが始まる予感を残して終わった。
そんな印象の一冊だった。
「僕には物語なんてなかったな。(中略)どういう体験をすれば、物語があったってことになるんだろう。忘れ難い恋をするとか、友達が自殺するとか、バイト先で人生の真実を目撃するとか?」本文144ページより
ブラザー・サン シスター・ムーンAmazon書評・レビュー:ブラザー・サン シスター・ムーンより
4309019005

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