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(短編集)

ガール



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【この小説が収録されている参考書籍】
ガール
ガール (講談社文庫)

ガールの評価: 3.96/5点 レビュー 159件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.96pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全122件 61~80 4/7ページ
No.62:
(5pt)

どこか軽快

働く三十代女性を描いた短編集。
若さを武器にしてきた女性がその武器を失い、自信を失い、紆余曲折を経て、自信を取り戻す。
そんなお話。
三十代のちょっと痛くて陰湿な想いの描写はすごい。
私はとても笑いましたが、この毒のある文章は好き嫌いが分かれそうです。
解説にもあったが、ファッションの描写が他に類を見ないほど丁寧。
何を思って、何を着ているのか。
何を考えて、どう行動するのか。
悪意や計算を描いているが、ドロドロしていない。
どこか軽快だ。
登場する女性がイケメン。
さっぱりしているというか、男前な一面を持っている。
武器を失った女性がどこか男らしくなって終わる。
このあたりは男性作家らしい結末かな。
男の私からすると、ああこんなこと考えているんだろうなーすごいなーという感じ。
女の人が読むとどうなのだろうか。
ガールAmazon書評・レビュー:ガールより
4062132893
No.61:
(4pt)

奥田氏の心理描写

奥田氏の心理描写は素晴らしい。
サウスバウンド 上 (角川文庫 お 56-1)では小学6年生の少年、
東京物語 (集英社文庫)では20代の若者、
そしてこの「ガール」では30代の働く女性。
多くの小説が筆者本人に似た性格、心理、主義を持った人物を主人公に設定している。
それは物語をすすめる上で自分の経験や考え方を反映させれるので、やりやすいのだと思う。
奥田氏は毎回、自分とは全く違う人物を主人公に置き、その心理描写を生き生きと描く。
まさに観てきたような、体験してきたような描き方だ。
もちろん私は女性ではないので、30代の女性がどんな気持ちで働いているのか正確に知ることはできないが。
一話目の「ヒトくん」を読んで気づいたのだが、女性は基本的に「今いい仕事をしたい」思っているということである。
それに対し男性は今を犠牲にしても出世するなどして「将来いい仕事がしたい」と思っている。
もちろんそれぞれ逆にも望んでいるのだが、優先順位からすると上記のように思える。
この価値観のズレが仕事における男女の違いを生むのかもしれないと考えさせられた。
また最後の「ひとまわり」はイケメン新入社員に女性たちが極端な反応をしすぎかなあと思った。
この話が最後だったので、女性読者にとってはちょっと印象が悪くなるかもしれない。
(短編集は最後の一話が全体のイメージにかなり影響を与えるので)
ガールAmazon書評・レビュー:ガールより
4062132893
No.60:
(4pt)

面白かったです!

奥田 英朗さんの5つのお話から成る短編集
何故これほどまでに女性心理がわかるのか不思議なくらい繊細で丁寧に描写されています。
ともすれば、女性作家が描くより女性の根底に根付いている心理が描かれていて、びっくりします。
5つ共、面白かったですし、ドラマにしても面白そうな作品ばかりでした。
読後感も良かったです!
ガール (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:ガール (講談社文庫)より
4062762439
No.59:
(4pt)

面白かったデスよぉ☆

ワタシはここに出てくるどのタイプの女性とも違いますが、
だけど、同じ女性として、ふんふん、なるほど!と思う
事も多かったです。
三十路を越えて、尚ガール!素敵だなぁと思います。
元気を出したく、この本を読んだのですが、お陰様で
少しは元気になれました◎
『人生半分はブルー』
でも、残りの半分は『HAPPY』で過ごしたいですよね♪
おススメ致します♪
ガール (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:ガール (講談社文庫)より
4062762439
No.58:
(4pt)

キャリア・ウーマンの心を中を覗いた様〜岡村孝子の曲が頭をよぎる

「伊良部シリーズ」の天真爛漫さとは真逆の冷徹な筆致で、30才台の独身キャリア・ウーマンが抱く鬱憤とその解消の過程を描いた短編集。女性心理と企業の内部事情をここまで精緻に描ける奥田氏の芸域は幅広い。女性の方が読めば、スカッとした気分になれると思う。女性同士のライバル意識も多く描かれ、リアルな話題故に微苦笑を誘う。
男社会の壁に苦闘する新任課長の姿、マンション購入の是非を中心に自身の夢と現実への妥協との狭間に揺れ動く姿、何時まで「ガール」を続けられるのか懊悩する姿、子供を大切にしながらも家庭を会社に持ち込まない「シングル・マザー」の気丈な姿、イケメン新入社員の指導役になった事をキッカケにモラトリアムから脱皮する姿、これらが活写される。「無敵のキャリア・ガール」を初めとする岡村孝子の曲の数々が頭の中を駆け巡った。
「ヒロ君」のような聖人君子は実在するのか ? 企業の中で自分の主張を押し通して、生き残れるのか ? こう言った詰らぬ疑問を抱かず、作者の巧みなストーリー展開力に身を任せていれば、上述の通りスカッとした読後感を味わえる。キャリア・ウーマンの悩みが深く掘り下げられていると共に、それを跳ね返す強さと心意気を感じさせる爽快な短編集。
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4062762439
No.57:
(4pt)

キャリアウーマンのお悩み

奥田さんの作品を初めて読みました。
とても文章が読みやすくユーモアが感じられます。
おもわず笑っちゃうところや感心するところがありました。
30代の働く女性ってこんな感じなのかなぁと考えながら楽しんで読めます。
途中ハラハラしたりするのですが、最後はどれも前向きな感じなので、
読んでいて元気になれる気がします。
男性でここまで女性の心理を表現できるのはすごい!
でも、☆4つにしましたが、ほんとは細かく言えば☆3.5くらい。
どの主人公もキャリアウーマンでちょっと気が強い、というような
個性が似たり寄ったりな感じがあります。
せっかく短編集なので、いろんな個性や境遇の主人公がいると
もっと「ガール」な本になったんじゃないかなぁと思いました。
(よく言えば本全体に統一感があります)
あとはところどころ、やっぱり女性目線とは違うかも、
と思うところがあったりします。
この辺は、男性って女性をこんな風に思ってるのかしらねぇ、
と考えたりも出来ておもしろい点でもあります。
読み終わった後
私もがんばるぞ、という気分になれました。
ガール (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:ガール (講談社文庫)より
4062762439
No.56:
(5pt)

奥田英朗すごいじゃないか!

いや〜、「空中ブランコ」「イン・ザ・プール」も面白かったけど、この「ガール」ヤバい!ド・ストライク!正直自分は、この本の彼女達程の大企業に勤務したこともなければ、在京OLでもない。だが、いちいち頷けるのだ!「女は男の目なんか気にしていない。自分が楽しいからおしゃれをするのだ。」「女同士はわかり合える。枝葉の趣味がちがうだけで、好きなものが一緒だからだ。」これらの文に激しく共感し、 「この男は、女房とホステスと部下しか女を知らない。」この一文に、何年分かのうっぷんが一気に晴れる思いを味わい、「自分が彼女だったかもしれないし、彼女が自分だったかもしれない。そう思えば、やさしくなれる。」には大きく頷き、読み終えた頃には今日一日のイザコザも、「アレ、今日何かあったっけ?」位に意識の彼方に(笑)。もちろんお話なので、甘いっちゃあ甘い。ホントは自分を曲げさせられるのは、いつも「ガール」側だ。そんなことは30越えてOLやってりゃ、みんな知ってる。だから会話でリアルを楽しみ、結末で「自分もこんなにタンカ切れたらいいのに〜。」と満たされない夢を見れる、作り話なのだ。
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4062762439
No.55:
(4pt)

もろに実感できます。

男性の作家が書いたとは思えないです。
しかし、現代の働く女性は本当に生き方が多様になったなぁ、
・・と、もろに実感できる作品だと思います。
5人の女性が登場しますが、結婚しているのは一人だけ。
この割合が示すように、未婚率はやはり上がってるんでしょうね。
職場でも実感しますし。笑
この本を読む女性が、職場でどんな立場に置かれているかによって
どの登場人物のどこに共感できるか、っていうポイントが異なってくる
とは思うんですけど、私はやはり『ガール』ですかね。
●「三十二で結婚の予定もないのは、きっと理想が高過ぎるせいだ。
もっとも社内には独身がやたらと多いので、気にもならないのだが。」(140)
●「もうガールじゃない、か。由紀子は小さくため息をついた。
わかっている。三十二といえば、若さが売り物にできる歳ではない。
男はともかく、女はそうだ。」(154)
●「女は生きにくいと思った。
どんな道を選んでも、ちがう道があったのではと思えてくる。」(177)
・・これをもろに実感する日が、自分には必ず訪れる気がしてます。
まぁ、だからといって憂鬱になってても仕方ないけど。
とにかく、今を精一杯楽しむこと!!
そして、三十二になっても人生を楽しんでる自分がいることを望みます。
ガール (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:ガール (講談社文庫)より
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No.54:
(4pt)

読後感が良い作品

ここに描かれている女性心理というものが、男の視点から書かれたものに過ぎないのか、それともこれが「30代。OL。」の姿なのか、はっきり言って私にはわかりません。それでも、深く頷いてしまうのです。「あぁ、こういうことってあるかもなぁ。」って。
短編集と言うこともあり、読みやすいです。最後は、みんな前向きに自分を確立しているのがとても良い後味を残しています。
読み終わった時には、少しだけ元気になっています、きっと・・・。
ガール (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:ガール (講談社文庫)より
4062762439
No.53:
(5pt)

女性の複雑な心理を爽やかに表現

30台の働く女性を主人公にした5つの短編集。
奥田さんは男性なのに、どうしてこんなにも女性のことが分かるのか?と思わず唸ってしまうほど、
様々な場面においての女心の複雑な機微を決して深刻にではなく、さらりと書いてのけている。
登場する女性たちは皆明るくて、前向きで、カッコよく、それでいて嫌味がない。
女性作家が書くとこうはならないよなぁ、とつくづく思う。
専業主婦だったり、独身のキャリアウーマンだったり、シングルマザーだったり、
女性の生き方は様々だが、それぞれに良さがあり、そして不便さがある。
どんな道を選んでも結局ブルーで、他人がうらやましくて、
あの時ああすれば・・・と、どうにもならないことを悔やんでる。
年齢とともに「しあわせ」の形は変化してゆくものだろうが、いつの時でも自分の生き方には胸を張っていたい。
そういう気持ちにさせてくれる爽やかな1冊。
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4062762439
No.52:
(4pt)

今一番はずれのない作家

この手の小説を書かせると今一番うまいのは、奥田英朗に違いない。
とにかく安心して読めるし、何しろはずれがないから。
このガールも、男の視点で読んだけれど、
思わずうまいなぁと思うところがある。
女性は本当に主人公達に共感できるみたいで、
年下の部下にいじめられるところでは思わず泣いちゃいましたと
この本を貸してあげた同僚の女性が感想を述べていた。
奥田作品はどんどん文庫化してほしい。
図書館で借りるという手もあるが、
読み捨てるのではなく、出来うる限り所有していたいので。
ガール (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:ガール (講談社文庫)より
4062762439
No.51:
(4pt)

面白い。

それは、
「笑える」という意味ではなく
「興味深い」という意味で。
そして、それ以上に
怖くて、恐ろしくて。
まるで、盗み見されているかと思うくらいに
隣にある日常がそのまま描かれていて、
読み進めるうちに思い当たる節が多すぎて。
自分より年上の部下をもつ、30代で管理職についた女
マンションを購入するか否かで揺れる女
いつまでも「ガール」な女38歳の近くにいる女32歳
20代の頃、「30歳だなんておじさん!」と思っていた30代の女
シングルマザーと営業職を両立する女と同い年の独身女
ひとまわり年下に恋した女
「あぁこれはあの人だ!」
「わーそっくり!」
それの対象が他者であるのは時間の問題で、
いつの間にか自分自身にリンクする可能性が
無限に含まれている。
読む人によって感情移入するポイントは違うであろうし、
同じ人でもタイミングによって
ひっかかるポイントが違ってくると思われた。
今まで読んだ本には無い、リアルさがここにある。
日常生活にうんざりして、
現実逃避したいときには、全く不向きだけれど
ほんの少し自分の未来を見据えたくなった時には
タイムマシーン的役割に化けてくれる1冊。
女であること、年をとること、働くことの
楽しさと怖さと自由さと、
今を見据えないと浦島太郎になちゃうんだよってことを
知らしめられた。
これを読んでからの今の自分は、
ちょっと性格が悪くなった気がする。
寝る間も惜しんで続きを読みたくなる★★★★★
リアリティ★★★★★
キャラクターの個性★☆☆☆☆
泣ける!☆☆☆☆☆
ストーリー展開の意外性★☆☆☆☆
文体・表現の読みやすさ★★★★★
感情移入★★★★☆
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4062762439
No.50:
(4pt)

ガール・リタイア組はご用心!?

どんな年齢のどんな立場の人物をも、おそろしいほどのリアリティで描き出す奥田英朗、本領発揮の一冊。
「生涯一ガール」〜三十代の働く女性を描く五篇が収められている。帯コピーによれば、「すべての女性に『これって、私のこと!』と言わしめた爽快ベストセラー」だそうだ。
確かによく書けている。だが帯コピーには敢えて反論してみたい。すでにガールをリタイア、かつ働いていない30代にとってはいささか苦い作品だったと(働いていない=ガールをリタイア、という意味ではない。誤解なきように)。なぜって、本書に出てくるガールたちが眩しすぎるのだ。職場でのトラブルや年齢ゆえの悩みに心を痛めながらも健気で前向きで、柔軟性があって、これだけは譲れないという信念があって、揺れながらも最後には腹を括れる強さがあって。読むにつれ疎外感が膨らみ、うらさびしい思いがしてきてしまったのである。「人生の半分はブルーだよ。既婚でも、独身でも、子供がいてもいなくても」(名言だ)には少し救われたけど・・・
ところで素朴な疑問。読者の皆さんはガールたちに感情移入できたのだろうか。勤務先はいずれも大手企業、厳しさはあるがどこか牧歌的な雰囲気の職場。ガールたちは仕事ができたり、美人だったり(少し前までは、そのおかげでずっと「おいしい」思いをしてきたのだそうだ)と恵まれている・・・とどのつまり、こうした設定に違和感を持たない人が読者だったということか。ターゲットと読者のマッチングがうまくいったのだろう。そう、自分も単行本刊行時は、「わたしには縁遠い本」と察して避けたのだった(今回は文庫の気安さで読んでみた次第)。・・・なんて書いていると自分の狭量さとひがみっぽさを披露しているようで情けないが、働くガールに畏怖の念を抱く主婦の現実見本と思って、笑って許していただけるとありがたい。
ガール (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:ガール (講談社文庫)より
4062762439
No.49:
(5pt)

いつまでたっても女の子でいたい

ボクが気に入ったのは「ガール」と「一回り」である。ガールでは、30代で未婚というOLたちが仕事に精を出しながらも、心では常に女の子でいたいという願望を表現した話。主人公の由紀子はずっと「女の子」でいたいと思いながらも自分の年齢を意識し服装や言動に気をつかい始めるのだが、同じ職場のお光は30代後半にも関わらず、服装や言動など女の子っぷりをストレートに表現した生き方をしている。一方、取引先の安西は由紀子と同じ年齢ながらも堅物で女の子はとっくに卒業しているように思われるのだが、最後のファッションショーではやはり女の子であることを意識しており、その微妙な感情の描き方がとてもよかったと思う。また、一回りでは、OL容子が自分と一回り以上年齢が離れている新人の男性社員に対して恋をしてしまう話。一回りも年齢が離れているのにという理性と、抑えることができない恋心に揺れながら容子の成長していく姿を描くのだが、ガールと同じように、年齢が一回り以上離れていようが女の子だという気持ちが前面に出てきておもしろかった。
ガールAmazon書評・レビュー:ガールより
4062132893
No.48:
(4pt)

清涼飲料水

 この人の書くものなので『サラリーマンNEO』的バカ話を期待してました。しかし、実体はギャグなし、下ネタなしの真面目な話です。ターゲットもOLというか、キャリアウーマンに絞られています。
 彼女たちは基本的に仕事はできます。充実した会社生活を送っていると言っていいでしょう。もちろんコップの中の争い的なものはあって、決して能天気でもありません。しかし、争っても最終的には分かり合えるという明るい話になっています。考えてみたらそうです。誰も働くことの嫌な現実と向き合いたいとは思わないでしょう。働く女性たちが明るい気持ちで明日も会社に行くための本です。そのへんを分かって書かれた本だと思います。
 もしこれが男性の視点で描かれていたとしたら、やはりどちらかが倒れるまで戦う話になるのでしょうね。そういう本は今はちょっと遠慮したいです。奥田さんならそれすら笑いでごまかすことは朝飯前でしょうが。
ガールAmazon書評・レビュー:ガールより
4062132893
No.47:
(5pt)

ガールの深層心理を読み解いた納得エッセイ。奥田氏の眼力に敬服!

 まことにシンプルなタイトル。本書には表題作「ガール」を含む計5作品が所収されている。いずれも女性にとって主要な関心事を扱っている。女性が読めば、「そうそう、思わず納得!」という感想が出るだろうし、男性が読めば、「そうか、女性はこんなことを考えてるんだ!」とこれまた納得させられる。「共感度」こそ違えども、どちらが読んでも納得できる内容だと思う。女性の心理や価値観、生き方、行動様式などがよく分かり、「面白かった」というよりは「有益であった」というのが率直な読後感だ。奥田氏がここまで女性の深層心理を理解していることに驚嘆する。女性であってもここまで巧みに描けないのではないか。
 出世欲がなく妻のほうが給料の高い夫婦の関係を主題とした「ヒロくん」、女性なら誰でも憧れる都心での一人暮らしを取り上げた「マンション」なども興味深いが、表題作「ガール」における、若さという「特典」を失った年齢に達した女性が「いつまでガールでいられるんだ」という切実な問いかけは痛々しいくらい胸に響いた。本書に登場する女性はすべて30代であり、本来であれば「レディ」という表現のほうが相応しいのかもしれない。しかし女性はいつまでも「ガール」でいたい、いやその気持ちを失うまいと必死で生きている。すべてのエッセイはそうした女性の(永遠の)願望を赤裸々に伝えているのである。
 「ワーキング・マザー」という作品は、女性の社会進出の飛躍的上昇という時代風潮を反映したものだが、制度的条件を含め、これからの日本がもっと真剣に考えてゆくべき重要な問題を主題にしている。男性だからという理由は全く通じない。「本当の望みは、時間が止まってくれることなのだ」(244頁)という最後の「ひと回り」という作品にある文章は、すべての女性が「ガール」でいるための(無理な)前提条件なのだろう。「ガール」の定義は実に難しい。むしろ男性に読んでほしい一書だ。
ガールAmazon書評・レビュー:ガールより
4062132893
No.46:
(5pt)

30代の女性は必読な1冊。

課長になったり
マンション購入を決意したり
若い子と同じ服着るの、ぼちぼち卒業しなくちゃと思ったり
子持ちで、フルタイムの仕事復帰したり
超年下の新人君にときめいたり
なんか身に覚えがありすぎで怖いです。
特に、洋服のくだりはヤバいです。
明らかに20代、あるいは10代のコがターゲットのお店で服買ってるん自分。
本当に、ボチボチ、これ辞めたほうが良いんじゃないかと
相当、揺れ動いてるのです。
年相応に落ち着かなくては・・・と思っても
落ち着けない。
描写は、毎度ながらリアルで、ぎょっとするんだけど
30代の女性は必読な1冊に思えます。
ガールAmazon書評・レビュー:ガールより
4062132893
No.45:
(5pt)

これこそが、奥田英朗の一番の傑作ではないか。女性の描写力の凄さにも、脱帽!

この「ガール」は、本当に面白かった。私は、これこそが、奥田英朗の一番の傑作ではないかとまで思っているくらいなのである。この短編集では、社会の第一線で働くさまざまな女性たちの心の内が、実に生々しく描写されているだけでなく、「ヒロくん」、「ガール」、「ひと回り」を始めとした一話一話が、物語としても非常によくできているので、女性はもちろん、我々男性が読んでも、面白過ぎるくらい面白いのだ。 
この「ガール」には、それぞれの立場で、仕事で、あるいは、女として、人生の岐路に立たされた5人の30代の女性の物語が綴られている。 
「ヒロくん」では、課長に抜擢された女子総合職が、男のメンツをかけて反抗的な態度で歯向かってくる年上の係長と壮絶なバトルを演じ、「ワーキングマザー」では、子育ても山を越え、仕事にやりがいがほしくなり、閑職から古巣に復帰したシングルマザーが、周囲の過剰な気遣いにため息をつく。 
未婚の3女性は、「マンション」購入の決意をすることによって、色々な現実と向き合うことになって思い悩み、あるショックな出来事を契機に、「ガール」でいることの潮時を感じてブルーになり、ある日突然、自分の目の前に現れた「ひと回り」も歳の離れたハンサムな新人に、心が千々に乱れるのだ。 
それにしても、特筆すべきは、奥田英朗の女性の描写力の凄さだ。特に、登場人物の女性たちの心の奥底までもを覗いてきたかのような、微に入り、細にわたった心理描写は、たとえ、綿密な取材を行っていたとしても、取材に応じた女性たちが、ここまで素のままの自分の姿を男性にさらけ出すだろうかと思えるほどのレベルにまで達しているのだ。同じ男性として、作者の女性に対する観察力の並外れた鋭さと細かさには、素直に脱帽するしかない。ここまで描写されたら、女性たちも、自分たちの心の内まで見透かされているようで、こわいのではないだろうか。 
ガールAmazon書評・レビュー:ガールより
4062132893
No.44:
(5pt)

面白い!

伊良部シリーズもばかばかしくて面白かったけど、この本は別の意味で面白い!
男の私から見ると、30代OLの目線で見事書かれていると思います。(女性の目からはどう思われるのかわかりませんが・・・)
都会で一人で生き抜くOLさんは大変ですね。
仕事、結婚、人生、住宅・・・様々なことについて一人で対処していかなければ行けませんからね。
しかし、如何せん私のような田舎住まいには、このようなOLさんは少なく思われます。
私の周りにも、こんなOLさんがいれば、職場の雰囲気も変わるでしょう。
ガールAmazon書評・レビュー:ガールより
4062132893
No.43:
(4pt)

たいへん読みやすいガールズ小説。

「そうか、慎太郎は、わたしの現実逃避なのか。静かな気持ちで思った。現実と向き合うのがいやだから、
一回りも年下の男に恋心を抱き、時間を忘れたかったのだ。要するに、モラトリアムだ。」
なるほどなあ〜と思った作中の文章です。
ガールAmazon書評・レビュー:ガールより
4062132893

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