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瑠璃の契り
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瑠璃の契りの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.93pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全15件 1~15 1/1ページ
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迅速な対応、きれいな本。 | ||||
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楽しめます。 | ||||
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魑魅魍魎が住まう骨董業界を生き抜く孤高の美人旗師・冬狐堂こと宇佐見陶子。目利きの命である眼を患った彼女を食い物にしようと、同業者がわけありの品を持ち込む。それは、不思議と何度も返品されてくる和人形だった―「倣雛心中」。他、表題作を含め全四篇を収録した古美術ミステリーの人気シリーズ第二弾。 | ||||
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星1つ減なのは、ワインぶっかけのフォローが無い事についてw 他の方が書かれている後味のスッキリしなさは、 狐さんが各々の物語に当事者として真摯に向き合っている故と思われます。 どこか浮世離れした感もある雅蘭堂さんや「香奈里屋」のマスターの心地よい温かさに対し、 狐さんは日々の切り盛りの切実さも含め喜怒哀楽がストレートに伝わってくるので、 主人公の決着の付け方が読了感に影響しているかと。 特に仕事や生き方に関して、理想と現実のギャップに悩んでいる方に読んでもらいたい一冊です。 社会の荒波の中で生き抜く大人達の為の、癒しと応援の物語ではないでしょうか? | ||||
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人が見たら蛙になれ。今は名もなき銘物よ、お前の価値を見いだすものは私一人で、他にはいらない。 「人が見たら蛙になれ」は青山二郎の言葉である。 その意味が、今はっきりと解った。 主人公宇佐見陶子は元夫プロフェッッサーDから「公平な眼」を手に入れることが出来た。経験や各種制約から眼を切り離しあるいは作者名や技法といった尺度から解放された完全に公平な眼である。それこそが最高の武器であり道具である。 古美術・骨董の世界において「箱書き」や所有者の履歴を重視することがどうもしっくりこなかった。 だが、この世界は閉鎖性の強い狭い社会である。そして、真贋は数値で表すことが出来ない。それは、目利きたちの保証なのだ。信憑性と言ってもいい。 その価値(美意識、希少性)は長いスパンでは変遷があり、寿命があると言ったのは英国からの帰化したプロフェッサーDであった。このことは、美つまり美意識は社会(集合的無意識)の反映でもあると言い換えることができる。二つの世界を生きた人によって始めて言えることかも知れない。 北森鴻の物語はいい。ミステリーにもほど好い品があって。 | ||||
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骨董業界を舞台にした短編ミステリーです。 作者の骨董業界への造詣の深さ、良く作りこまれ世界観、洗練された都会的な文章、伏線はあまり張られておらず「あーやっぱりこの人が犯人か…」って思って読み進めたら待っている思いもしない展開。 どれをとっても一級品なんですが、なんというか、作品の所々にそこはかとない違和感・無理した感を感じるんです。 他の方も書かれていましたが、まず台詞がそう。 なんか小芝居がかっていて、これネタで戯言言い合ってるんだよね?と思う事しきり。子供が考えた大人の小洒落た会話という感じ。 あと文中に散りばめられている微妙に「中二病」っぽい表現にも辟易しました。全てカタカナで表記した文章「ナンデワタシハキヅカナカッタノカ」とか、主人公の前夫が外国人という設定なんですが普通に「ジェームス」や「スミス教授」とかそういう呼び名で良いだろうに「プロフェッサーなんたら」とか書いてみたり。 それさえなければ素晴らしい作品かと思います。 | ||||
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キャラを記号的に捉えることに慣れてしまっていた私は、 彼女たちの、いや、彼女の唇から発せられる言葉が いかに非日常的であるかを完全に見過ごしていました。 「(略)ブツは何点ぐらいあるの」 「やるねぇ、いつの間にか最新兵器を購入しているなんて、さすがは冬の狐さんだ」 「おかしいんですよ、最近の陶子は。妙に肌の艶がいいし、 どこかに若い男でも囲っているのか、とも思ったんですけど、 どうやら、そうでもないらしい」 「アタシは御免だよ。納得のできない仕事を、 何も知らずにただこなすなんてのは。 そんな仕事師じゃない、それが誇りなんだ(略) バカだね(略)どうして、はっきりと言わないんだい。 銀座の狸にいっぱい食わせるから、協力してほしいって(略) そんな面白い遊びを独り占めしようなんて、根性が気に入らない(略) あたしは、あんたが仕掛ける品物を撮影すればいいんだね(略) だったらカメラはいつでも空けておく」 彼女の名は横尾硝子。カメラマン、三十台後半、独身。 こんな人いませんよ。が、こんなヒトになりたかった。半分本気で。 この「瑠璃の契り」では硝子さんの意外な一面が見られます。 意外な硝子さんの意外な一面です。 | ||||
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旗師というと志ん生の十八番、「猫の皿」にも出てきます。これは、女一匹で骨董界を生き抜く美貌の冬狐堂こと宇佐見陶子の物語です。他の作品中の冬狐堂はそれはもうぼろぼろ、満身創痍な姿はほとんどファイヤーマン的「やられの美学」に到達しているのですが、この作品集では、むしろやられちゃった人たちの声を引き出す媒体のような役目を担っています。 では何に「やられちゃった」人たちか。それは美しいもの、美しいものを生み出す人間の意志、美しいものを生み出そうとする才能、そういった美にまつわる属人的な要素です。そのようなものが身近に存在してしまったためにおこる周囲の屈折、そこから生まれる煩悩や悲劇。骨董というものの価値はそれを扱う人/市場/社会によってきまるのだそうで、従って、旗師という職業は美と人間のどろどろした関わりを解き明かすのにうってつけなのですね。しかも、宇佐見陶子自身が元美術専攻だったというところに最大の屈託があり、シリーズ全体の魅力となっています。 | ||||
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2005年に出た単行本の文庫化。 旗師・冬狐堂を主人公とした短編集。 「倣雛心中」「苦い狐」「瑠璃の契り」「黒髪のクピド」の4篇が収められている。 張りつめたような雰囲気は相変わらず。読んでいて、つい緊張してしまうほどだ。展開はキツいし、結末も苦い。他人への不信感が芽生えてしまうような本だ。 それでも魅力的なのは不思議。 ミステリとしては、いまひとつ。骨董に、どうやって人間の憎しみとか悲しみを埋め込んでいくかというところに主眼がある。 | ||||
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狸と狐の化かし合いのような世界。それが骨董の世界なのかもしれない。 人の弱みにつけ込むことで成り立つ商売も数多いのだろう。でも、その中でまっすぐに生きようと努力することも大切なのだ。 自分の目と自分の誇りを持子とが大切だと言うことが伝わってくる。 | ||||
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店舗を持たない骨董商・旗師として厳しくも魅力的な世界を渡り歩く陶子のシリーズ短編集。商品の質は良いのに、幾度も返品される人形を同業者から預かりその謎解きをする「倣雛心中」陶子が美大生時代の同級生の画集が送られてくることに端をなした「苦い狐」博多で手に入れた瑠璃の杯を、陶子の友人のカメラマン・硝子が珍しい執着をみせたところから広がる「瑠璃の契り」元夫に頼まれ手に入れた、瞳孔がひらいた人間そっくりに造られた人形とその後行方不明になった彼をおう「黒髪のクピド」の四作が収録されています。今回、陶子は冒頭から旗師の商売道具である目に、病を得てしまいます。そのことは隠しきれず、陶子を試すような同業者の罠もあり…。友人の硝子や知り合いの骨董商、元夫などとの関係や会話も自立した厳しさと暖かさがない交ぜになって魅力的です。他のシリーズの登場人物が登場することも多いこのシリーズ、今回は「親不孝通りディテクティブ」から一人、登場しています。 | ||||
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冬の狐こと、骨董旗師の冬狐堂の女主人、宇佐見陶子のシリーズ文庫最新作です(シリーズの長編は講談社から「狐罠」「狐闇」と文庫でも出ています。こちらの文春文庫の方は短編連作集ですが、主人公などは同じなので同一シリーズとして取り扱うほうがいいでしょう)。 骨董の世界において、自らの店舗を持たず、競り市や地方の倉等から己れの「目利き」を頼りに骨董品を仕入れまた別の業者や客に転売することで成り立つ旗師は、常に商品をまわし続けること、またおかしな商品を仕入れたり売らないことで信用を勝ち得続けなければならない過酷な職業。ましてや普通の業界と違って、お互いがお互いを騙そうとしたり、出自自体がわからない品が行き来する暗い世界。 そんな中で生きる陶子も、いつしか目利きとして名が売れていきます。 それだけに時には腕を試され、はめられそうになる時もあります。この作品でも、彼女は目利きであるが故に逆にそうした罠にはまり危地に陥るのですが、、、果たして彼女はその危地を脱することができるのか。 本作には「倣雛心中」「苦い狐」「瑠璃の誓い」「黒髪のクピド」と四つの短編が収められていますがどれも秀逸です。なかなかに厳しく張りつめた展開の作品が多く、息をつめて読んでしまいますが、それも心地よい疲れです。本作では友人の横尾硝子が、事件の中であるときはワトスンとして、あるときはパートナーとして、あるときは事件の当事者の一人として大きく絡んできますが、そのときどきの二人の会話やお互いへの気遣いや連帯が非常に強く描かれていてそのあたりも読みどころの一つでしょう。 おすすめできる一冊です。5の4です。 | ||||
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冬狐堂シリーズの第一短編集「緋友禅 」より、私はこちらの方が性に合った。 前作の方が、暗く粘度が高かったような気がする。骨董の世界で”魑魅魍魎”が襲いかかってくるのを必死で戦い抜くのは面白い話ではあるが、こちらの気分まで毒される時がある... 対して、こちらは、陶子の周囲の人間が絡む話が多かったせいか、この女性の、そのヒトへの情の厚さが表に出て、なにやらほぅっとできた。 心持ちの悪くない主人公というのは、読んでいて良いものだなと思った。 | ||||
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我が家ではちょっと人気の北森鴻。今回は副題が「旗師・冬狐堂」とあります。旗師とは、店舗を持たない骨董業者のこと。主人公の宇佐美陶子は、骨董目利きの要である目を患いながら、骨董にまつわる様々な謎に引き込まれていきます。ここに収められた4編は、一編一編独立した物語でありながら、プロフェッサーD・人形・カメラマン横尾硝子などのキイワードに引きずられるように、人の心に秘められた思いをさらけ出していく点が共通しています。それは、笑顔に隠された悪意であったり、夢を断念させられた思い出であったり、隠されていた思慕であったり、旧家の悪行であったり。 ここで北森鴻の筆が描くものは、謎解きというより、それに絡まる人の心です。どろどろした人の性(さが)が表に出ていて、読後感はウェットですね。同じ作者の「蛍坂」のしっとり感に比べて、やや後味が良くないかな。でも、骨董品に関する薀蓄や取りあげられた品物の描写が詳しくて、物知りになった気分です。冬狐堂シリーズは他にもありますが、どうしようかな。 | ||||
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古美術・骨董業界で旗師を生業としている冬狐堂こと宇佐見陶子。生き馬の目を抜くような世界で、プロの目利きとして行動する彼女を主人公にした話が四つ収められた作品集。「倣雛(ならいびな)心中」「苦い狐」「瑠璃の契り」「黒髪のクピド」の順に収録されている。前作の『緋友禅』以来、二年ぶりとなる冬狐堂シリーズの作品集である。 仕掛けられた罠に傷つきながらも、歯を食いしばるようにして行動していく一匹狼の“冬の狐”、彼女が行動していく姿がいい。彼女が身にまとっている凛とした清々しさ、そこにまず惹かれる。彼女の親友として登場するカメラマンの横尾硝子も素敵だ。ともすれば気持ちが萎えそうになる陶子の前に絶妙のタイミングで現れ、彼女の気力を奮い立たせる、いわばカンフル剤の役割を担うのが硝子である。陶子に対して、歯に衣着せない物言いで叱咤激励する硝子が、話の中でキラリと光っているように思う。 話の味わいとしては、競り市などで冬狐堂が手に入れる人形や切り子碗といった骨董品にまとわりついている“闇”の雰囲気、古い器物に宿る生命の気のようなものが立ち上がってくるところが印象に残る。古くからある道具や玩具、絵や器物などには魂が宿ることがあるという。そうした年代物の骨董品にスポットライトを当てて、そこに込められた職人の思いを浮かび上がらせて見せてくれるところに、冬狐堂シリーズのもうひとつの旨味があるように思う。 | ||||
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