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(短編集)

富士山



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【この小説が収録されている参考書籍】
富士山

富士山の評価: 4.17/5点 レビュー 6件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.17pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全6件 1~6 1/1ページ
No.6:
(3pt)

習作の寄せ集め

日蝕以来のファンで、本作も発売日に購入。全篇アイデアは面白く感じましたが、いずれも長編にするには難のあるモチーフを捨てるには勿体無いので無理やり作品にしたような印象で、単行本で読むほどではなかった。

表題作で一つ目のの富士山は特に面白く読めました。二つ目の息吹は、アイデアは面白かったものの、マックやかき氷のやけに詳細な描写が、読み終わってみると読者を混乱させるための単なる装置でしかなかったなとややがっかり。読者に投げかけるラストも鼻白んだ。三つ目は精神疾病者の独白、四作目は平凡なエッセイ、最後のストレスリレーは凡庸なコントといった感じ。文章は上手いので最後まで読ませるが、あまり心に残らない作品が多かった。
富士山Amazon書評・レビュー:富士山より
4104260118
No.5:
(4pt)

「らしい」短編集

平野啓一郎氏らしさが詰まった短編集。ファンにはたまらない1冊であり、ファンならずとも楽しめる1冊であることはまちがいない。ただ、「期待以上でも、期待以下でもなかったな」というのが正直な感想。
富士山Amazon書評・レビュー:富士山より
4104260118
No.4:
(5pt)

さすが!としか

『息吹き』だけは去年Audibleで聞いていて、衝撃を受けたのを覚えている。
荒唐無稽な設定なのにリアリティーがあって、自分に起こっていることとしか思えない。

ラストはなんとユーモア小説!
どうエンディングをもってくるかと思って読んだけど、見事に外されてしまった(笑)
富士山Amazon書評・レビュー:富士山より
4104260118
No.3:
(3pt)

文体が香らない

もしかしたらこれは令和の小説家の文体なのかもしれませんが…
文章を読む喜びが、かつての平野さんのものと比べるとずいぶん少なくなったように思います。
説明調すぎる気がする。
また伝わってくるものも、Twitterで見聞きするようなものだという気がします。
…おそらく読者ターゲット層を変えたということなのでしょう。
もしくは、私が今の時代に合わせて小説観を変化させられていないということかもしれません。
第3期(前期分人主義)まで、いや『透明な迷宮』までは純文寄りだと感じていますが、
『マチネの終わりに』以降は軽く読める、そして今回の作品は本当にその軽さが
残念にも感じるほどになったなと、正直思いました。
富士山Amazon書評・レビュー:富士山より
4104260118
No.2:
(5pt)

相異なる5つの読後感

◇平野啓一郎氏の最新短編集。短編それぞれに長さのバリエーションがあり、とはいえ2番目の「息吹」はなかなかの長さ。2つのバージョンの短編を一つに縒り上げ、心地よく時空を歪めて着地させると必然この長さになるのだろうと想像し、深く納得する。このタイプの読後感はあまり類を見ない。しなやかに躍動する平野氏のオリジナリティ。
◇個人的には、あの時期ををユーモアとともに刻印し、鮮やかに昇華させてくれた最後の「ストレス・リレー」が「富士山」中の富士山=最秀逸作品でした。「タイのタイ」的に。
富士山Amazon書評・レビュー:富士山より
4104260118
No.1:
(5pt)

人生に影響を与えるほんのささやかな出来事

収録作品は『富士山』『息吹』『鏡と自画像』『手先が器用』『ストレス・リレー』の5短編
 平野啓一郎の生み出す文体からは、文学の何たるかについて自分なりの考えを持つ知的な印象ながら、誠実な人柄がにじみ出るような温かさも感じられ、読んでいてなんだかとても気持ち良くなってきます。
 『マチネの終わりに』しかり、『ある男』しかり、『本心』しかり、『決壊』しかり。
 本作では、ほんのささやかな出来事やちょっとした言葉を取り上げ、そのちょっとしたことが、その人の人生を変えてしまうこともある、という共通するテーマで書かれているように受け止めました。
 特に、本作ラストに収録された短編小説『ストレス・リレー』の読後感のなんてさわやかなこと!
 思わず「巧い!」と声をあげたラストの1行。
 文学の何たるかにユーモア感覚で踏み込んだ、短編小説としてのクオリティの高さを感じます。
 ストレスは伝染する。イライラしている人を見るとこちらもイライラしてきます。
 『ストレス・リレー』では、そんな一人のストレスが、まるで新型コロナウイルスのように、人から人へ伝染していく物語。
 本書ラストを飾るに相応しい読後感の良さを持つ短編小説です。
 
 『ストレス・リレー』の一つ前に収録されているのが『手先が器用』
 この作品は、ほんの5ページしかないショートショート的作品ですが、子どもにかける声かけ一つがその子の成長や人生に大きく影響を与えるという、短いながらもインパクトある作品で考えされられます。

 表題作の『富士山』は、マッチングアプリで知り合った男女が、窓から富士山が見える東海道新幹線に乗っているときに遭遇したあることにより、二人の運命が大きく変わってしまう、という作品。
 一瞬の出来事や行動で、後戻りできない結果になってしまう
 他人の本質は簡単にはわからないのに「自分は何を間違えてしまったのか」と自問自答してしまう。
 読み応えのある作品でした。

 『息吹』『鏡と自画像』は、いずれもちょっと怖いお話でした。
 『息吹』では、あのときこうしておけば、まったく違った未来になったかもしれない、そのありえたかもしれない人生と現実の人生のはざまで揺れ動く主人公斎藤息吹とその妻絵美夫婦の物語。
 人生は偶然の積み重なりなのか、それともレールにしかれたとおり進む運命なのか。
 『鏡と自画像』では、犯行をなぜ踏みとどまることができたのか、その心理の動きを描く作品です。

 というわけで、本書収録の短編5編、いずれもほんのささやかな出来事ではあるものの、しっかり個性があり、本書読み終えた後には、「ああ、読んで良かった」と人に素直にお勧めできる、そんな短編集で、これまで発表されている平野啓一郎の短編集の中では一番のお気に入りになりました。
富士山Amazon書評・レビュー:富士山より
4104260118

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