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不夜城
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不夜城の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.19pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全93件 61~80 4/5ページ
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血、半々、過去、夢、愛、裏切り この小説は二人の男女の内外に存在するこれら全てのものが複雑に絡み合い、変化していく様子をリアルに描いた物語だといえる。 心が真っ黒に染まってしまった男と黒曜石のような目を持つ女が出会い、お互いに自分達が似たもの同士だということを認識する。信頼と嘘を繰り返すうちに互いに信じようという気持ちは生まれるのだが、そんなふうに生きてきていないためか、なかなかお互いを信じきれないでいる。 そして最後に・・・。 なにかと言ってきたがこの小説の最大の魅力は、やはりその全てが「リアル」だということに尽きると思う。物語の出来事自体は私達一般市民には縁のないことかもしれないが、その中で生まれる感情を私達に縁がないものだとは思わせない著者の心情描写は本当に素晴らしい。 | ||||
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今から思い返せば、随分前、この本が出版されてすぐのころ、この映画の宣伝が出回っていたころの98年当時に読んだこの本は初めての馳作品。いまとなっては、映画を先に観たのか(トニーレオンのドクターマックの監督でもあることはあとから知った)小説を先に読んだのかぼんやりしそうなほど映画もよかった、が、私の場合(確か)小説から先に(ま、どっちからでもぜんぜん違うよさがあると)。さて、馳作品の何がいいのかということに対しては、人間に対する暖かなまなざしがあるところだと思う。どのような状況であれ、生というものが、程よい距離感でどの生もあたたかなまなざしで描かれているところだと思う。程よいというのは、つまり、それぞれにしっかりと添いつつ、しかし、その状況に対する怜悧な描写も忘れず、どのような状況の中でも存在する(すくなくとも馳ワールドでは)状況に左右されない、誰にも邪魔されないきわめて個な存在としての(広がりはいろいろな意味でもちつつ)ほんのちょっとの気がつかない人には気がつかないような言葉にならないような暖かさ・温かさが(あるいは傷が)、描かれているからだと思う。そうい状況がいいとか悪いとかいうことについて敢えて踏み込まずに(おそらくはいいとはもちろん思ってはいないわけだけれども)、しかし、それでも、そういうこともあるのだということを、そういう状況におかれているどのような人々にも(たとえば、ダークムーンを読むと捜査側も捜査される側の心理もいろいろにみえてくる)しかし、心が啼く瞬間というのはある場合もあるのだと、状況を越えて、あるのだと、このように描ける人はいそうでいない、と思う。そういう一瞬をしみじみ感じさせるのが、この“不夜城”だ。一晩で、一気に読んだ。 | ||||
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主人公の劉健一かっこ良すぎ! 主人公から心の叫びを感じることができる一冊。 ヒリヒリと緊張し続ける世界感が、読み手をゾクゾクさせます。 ちなみに映画の方なんですが、佐藤夏美を演じた山本未来が 凄くエロかっこいいのに対して、 呉富春を演じた椎名詰平が単なる変質者にしか見えません。 主役を演じた金城武をさしおいて、 この作品をきっかけに結婚したと言われる2人ですが、 現場で何があったのか気になってしかたありません。 『泣き言を言っていいのは、堅気だけだ。おれは泣き言を言わない代わりに堅気から金をかすめとる。』本文引用 物語の大筋には関わらない文なんですが、 同じ根無し草として心に響いた一文です。 | ||||
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馳氏には負けた。 読んでいる途中、そんな心境になる。とてもかなわない。 舞台は新宿歌舞伎町で、特段興味を惹きつける場所でもなかろうが、主人公を台湾人と日本人から生まれた半々としたことで、この作品が綺羅星のように輝やいている。何故か?「血」という人間が克服できぬ事実をチンピラの悲劇という形で素直に記しているから。 ストーリー展開も個性的な利害関係者が入り組んでいて素晴らしい。 | ||||
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この作品のレビューを書こうとして、何日も悩んでいたが、どうしても 上手く書けない。 下手な文書を並べても、この作品を言い表す事は出来ない気がする。 それほど衝撃的な作品です。 とにかく読め!としか言えない。 繰り返される嘘と裏切り。 仲間も女も、誰も信じない。 信じられるのは自分だけ。 まともな人間なんて、一人も登場しません。 人によっては嫌悪感を催すかも知れません。 だけど、引き込まれる。 久しぶりに、ゾクゾクするような小説にめぐり合えました。 大藪春彦以来です。 | ||||
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映画は見たが、実は原作は読んでいなかった。 結論から言うと、これはグレイトな小説だということだ。 馳が、いかに21世紀の小説界に影響を与えたか、この1作を読むだけでわかる。 劉健一のひりひりする内面世界が、研ぎ澄まされた文体で描かれている。ラストについては知っていたので、驚きはなかったが、たのむからまだ小説世界にいさせてくれという気分にさせられた。 未読の人はとにかく読んでほしい。 私が言ったことを同じように感じるだろう。 おすすめする。 | ||||
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馳星周の原点であり到達点であり、越えられない壁であると思う。 何作読んでも彼の作品で本作より面白いと感じるものはなかった。 このページにアクセスした方、他の本は別として、馳の本で買うべきは本作です。 | ||||
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主人公が黒い。 ヒロインも黒い。 黒くない人物がいない!!! すえた匂いが行間から漂ってきそう。 どこまでも硬質。 普通、一般のハードボイルド作品は主人公が事態を好転させようと動く。でもここでの「好転」はあくまで世間のモラル、 一般常識に合わせた「好転」だ。麻薬組織の壊滅とか凶悪犯の逮捕とか。 ところが本書の主人公の「好転」はあくまで自分にとってのものだ。 自分が生き残るためにどうするか。生き残るためなら、友を売る、嘘をつく、人を傷つける。なんでもする。 主人公はラストまで自分のスタンスを変えない。 悪党のまま物語はおわる。 またヒロインも同じだ。他人には理解できない枠枠組みを引きずって、 悪女として物語を一層黒くしている。 最高におもしろかった。 エンターテイメントってこうじゃなくちゃいけないと思う。 最近読んだおもしろい小説は?と聞かれたら、向こう1年くらいは「不夜城」と答えます。 | ||||
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筆舌しがたい馳さんのすばらしく高いスキルが滲み出た作品。 常人が搾り出してやっと出てくるような表現がいたるところに網羅されている。 表現力のレベルの高さに恐れすら感じる作品。 | ||||
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映画を観て、是非原作を読もうと思っていたのですが、それから大分経って、本書を読みました。 やっぱり、「劉健一」カッコいいですね! 映画でもそうでしたが、やっぱり原作がいいです。 It's cool! | ||||
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必死に生きる、ということはこういったことだ、と思わされます。会社と家の往復でなんとなく生かされていると生きることにそんなに執着しなくなりますが、いざ自分の周りで、自分の以外の力で、自分が望んでいない流れに巻き込まれて死が迫っているとなったら劉健一のような行動に走るんでしょう。 生き残るために圧倒的な流れの前に何とか対抗しようとする劉健一と、その流れを利用して自己の利益に結び付けようとする登場人物たち。さまざまな思惑・利害・感情が交錯しその一部だけしか見えない健一を見ていると、個人の無力さを痛烈感じます。 これぞハードボイルドです。 | ||||
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映画化になったらしいということで、表紙を見て「フーン」と思いつつ軽いエンターテイメントを期待して読んだらいい意味で裏切られた。「おれはアウトロゥだ。ひとりで生き、ひとりでくたばる。孤独を感じることもない。おれは一個の完結した存在なのだ」多分登場人物たちのような状況に実際に置かれたらそれは嫌だ、でも劉健一をはじめとするギリギリで刹那的な、突き放したような生き方がすごくカッコよく思えた高校時代。それと同時に、こんな作品を書ける人がいるんだと驚いた記憶がある。「ハッピーエンドなんてクソくらえだ」作者がどこかで語っていた。その凶暴性と鬱屈した感情を紙の上に吐き出すパワーはものすごいと感じた。フィクションであるのに、登場人物のそれぞれの生々しい描写や心情がリアルさを補強していて読んでるこっちも動悸が早くなる。騙しあい裏切りあいと、重い内容なのに読み手を飽きさせず一気に読ませる力がある。続編と完結編がそれぞれ出ているがそちらはさておき、一冊の完結した物語として一度は読んでおいても損はない秀作。 | ||||
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歌舞伎町で生き抜くためには、自分以外の人間を全て敵に回し、決して信用してはいけない。信じられるのは己のみ。いや、己すら信じてはいけないのかもしれない。しかしながら、騙し、騙され、多くの犠牲を払って生き抜いた末に、どれほどの思い出が残るだろうか。主人公の心情を想像すると、悲しくてたまらない。 | ||||
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「生き残る」―そのためにはプライドもなにも関係ない、嘘をつくことも仲間を裏切る事も厭わない。最終的に自分一人が「 勝て 」ばいいのだ。そんな、自分勝手ではあるが、この世の一面を鋭く突いているであろう価値観が、著者特有の軽快でありながら重厚な筆致によって眼前に提示されます。登場人物は皆、生き残るための嘘と謀略にまみれ、完全に感情移入できるような人物はほとんど居ませんが、そんな自分の内面にも確かに彼らと重なる部分があるということを突きつけられました。お互いを信じたくても信じる事ができない健一と夏美の最後のシーンは何とも言えず悲しく、胸に迫るものがありました。 | ||||
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この小説は恋愛小説ではないが、私は恋愛小説としても非常に価値の高い小説ではないかと思う。詳しくはいえないのが残念だが、主人公とヒロインはお互いを「愛している」という気持ちを持ちながらも裏腹の行動をとり続ける。お互いを「背徳的行為」に駆り立ててしまうのは、かれらがそれまでの人生の中で享受し得なかった愛情への疑念であり、したがってかれらの行動原理あるいは規範の中では「愛情」は最上位に価値づけられる概念ではない。しかしその中で、かれらは最大限に「愛しあう」。そして「一般的」価値観からすると、悲劇的な結末が待っている。しかしその愛は偽りだった、とは絶対に言うことはできないと思う。かれらは最大限の愛情をもってお互いを「愛した」のだ。「愛がすべて」という恋愛至上主義に対し一石を投じる作品である。 | ||||
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著者は、デビュー作の本書でいきなり「第18回吉川英治文学新人賞」「第15回日本冒険小説協会大賞日本軍大賞」を受賞。翌年、『鎮魂歌-不夜城』で「第51回日本推理作家協会賞長編部門」を受賞と花々しいデビューを飾った。 「この国じゃ、滑らかな日本語を話さない東洋人はすべてを捨てたはずの浮浪者にすら差別される」という一節がある。そんな日本人の血が混じっている少年時代の健一を同胞たちは「半々(バンバン)」と呼び、受け入れなかった。 歌舞伎町には二通りの人間しかいない。カモる奴とカモられる奴。健一は誰も信じずに前者として独りで生き延びてきた。いまでは同胞たちとも同等に渡りあえるまでにのなっていた。しかし、そんな平穏な日々が続くほど歌舞伎町は安全な街ではない。かつての仕事の相棒で、トラブルメーカーの富春が再び歌舞伎町に舞い戻っているという噂を耳にする。そこから健一の運命は下り坂を転がり始める…。 歌舞伎町を華々しさの裏にある恐怖や暴力という視点から見ている。日本有数の繁華街でありながら、歌舞伎町を支配しているのは中国系マフィアたち。彼らの抗争と、日本人にも台湾人にもなれない人間の生きざまを描いた作品である。 | ||||
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歌舞伎町を舞台にアジアンマフィアの中で生きる主人公を描いた物語。 裏切りと金と女と自分。その狭間で悲しいダンスのような生き方をする主人公がどこまでも悲しさを誘いました。息をつかせない展開と、ゴツゴツした描写が退屈させない作品だと思います。 映画も見たのですが、小説になるとまた別の感じ方ができて楽しめました。ボリュームとしてはそこそこだと思いますが、一気に読むことができるいい内容ではないでしょうか。 | ||||
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ずるがしこい悪人で歌舞伎町という荒波の中でうまく世渡りできる主人公。 話の途中で、実は根は善人なのではとか、ハッピーエンドが待っているのではといった私の期待はことごとく裏切られてしまった。(良い意味で) プチダーティーといった感じ。 | ||||
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自分が生き残るために、嘘と裏切りを重ね、時には親友や恋人ですら平気で殺す。殺らなければ殺られる。それが中国マフィアのルール。非情な物語である。感情移入できるような登場人物は一人もいない。どいつもこいつもエゴと欲望丸出しのクズばっかりだ。普通の小説なら一人くらい正義感あふれる人物がいるのだが、「不夜城」にはいない。ドロドロした醜悪な人間関係が描かれているだけだ。最初、読み始めた頃、嫌な奴等ばかりだと読むのを中断しようかと思った。しかし、自分が彼等のようなエゴイストでないとどうして言えよう? 平穏な日常を送っている人間が彼等の生き方を否定するのはたやすい。だが、自分が彼等、中国マフィアのように、常に命の危険にさらされ、魑魅魍魎が跋扈する暗黒社会に身を置いていたとしたら、どういう行動がとれるだろうか?俺は聖人君子でいられる自信はない。結局人間は追い込まれた時に、一番可愛いのは自分なのだ。欲望とエゴをむき出しの主人公、劉健一を否定する人間を俺は信用しない。この生き方を否定できるのは本当の聖人君子か偽善者以外あり得ない。 | ||||
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馳星周の作品はどれも人間の哀しさ、欲望を描いていると思うが、この作品はまた格別!「人間には騙す方と騙される方しかない」この健一の言葉、悲しいけれどそれは事実でもある。そしてこの不夜城は騙す側の二人が歌舞伎町の黒社会、中国人・台湾人社会によって翻弄される話。ただ、細かいエピソードが多いのでくどいし、最後の方になってくると辟易してくるのも事実。もうちょっとなんとかならなかったものか?と疑問も感じる。歌舞伎町を中心とする中国人黒社会が本当にこうだなんて驚くばかりだった。金(ギャンブル等)・女・覚醒剤・権力・・・人間の欲望なんてこのくらいにしぼられるのではないだろうか?作品全体としてはページ数は多いが先が気になり一気に読めてしまう面白さだと思う。ただ登場人物の名前が日本語・台湾語・北京語・広東語読みがごっちゃになっているので最初は読みづらいかも?映画を見る前に読んでおくとわかりやすいし楽しめると思う。日本人として同じアジア人として日本でのある種の中国人の姿を知っておくにはいいのかも・・・?と思った。もちろんこれはフィクションなのだけど。 | ||||
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