■スポンサードリンク
ひとり日和
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
ひとり日和の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.36pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全77件 21~40 2/4ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ありふれたストーリーだと思う。すこし偏屈ですこし問題を抱えた主人公が大人になっていくはなし。 居候先のおばあさんとの交流がさりげなく絡む。とてもありふれているし、つまらないといえば言えなくもない。 でも、なんだか不思議と魅力的だった。居候先のばあさんは、がばいばあさんのような名言や金言は一切云わない。 ただそこに居るというだけ、そしてごくさりげなく心配して、たまに言葉を交わす。普通のやりとりがこんなに魅力的な小説は結構珍しい。 いい言葉があふれている世の中にあっては、こういう言葉にならない優しさみたいなのが、実は一番心にしみるのではないかと思える小説だった。心の動きを丹念に描いた秀作だと思う。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
『ひとり日和』 本作を一読するには、イメージ喚起がよくて、とても読みやすいものです。 平穏な日常を精緻な描写に仕立て上げた秀作なのかとは思うのですが、 どうもそれだけではない、何かがそこに潜み込んでいるようです。 恋愛、就職、同居するばあさん。そして主人公の盗癖を含めた或る種の性格。 小説に描かれるエピソードは、どれも淡々と突き放された(ざるを得ない)もの で、それは私鉄沿線のムーブメントに隠喩されるように、長閑さに幾許の思 いを残しながらも、ほぼ自動的に行き過ぎていってしまう、、切ないモノです。 主人公の別れに対する、また社会に対する不安までも、そんな日常に律せられ ながら進んでゆきます。ねえ、いなくなったら、わたしの写真も飾る?” そうたずねる彼女の居候する部屋をぐるり取り囲む猫たちの遺影には、 たった一つ、ばあさんの思い出せる最初の猫の名前しか付けられていません。 出会いも別れも、バイトも、就職も、恋愛も何もかも、、つまりはそんな風です。 それこそが著者には不安なのでしょうか。しかし何ごともそう突き放されて しまえば、それこそが日常、そして人生に他なりません。 どうにもこうにも、彼女の人生を彩るトピックは、それ以上に生じようがない。 そうしてまた彼女も、行き過ぎる他はない。一読の印象はそうしたものです。 しかしそうしたものに芥川賞の選考では石原、村上両氏の高評価が伺えます。 そこで些か極端な読み方をせざるを得なくなります。つまりこの作品には、 潜在的な暴力性が潜み込められているのではないか? そう読むならば、 作中にはそれを伺わせる描写が随所に見出されます。匂うのは不穏な空気。 漠とした不安。そして何もない日常の殻を打開する暴力性は、両氏の表現の 中核でもあることでしょう(選評には両氏とも触れていませんが)。それが、 二十そこそこの女性作家の感性を支える、今時の(悲)才なのかも知れません。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
賛否両論の作品だとは思いますが、 私は著者の文章に魅かれました。 内容だけではなく、 文章の美しさ、日本語の美しさが好きです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
母子家庭で暮らす埼玉県に住む若い女性が、母が中国に単身赴任するのを気に、東京で暮らす遠い親戚のお婆さんの家に間借りして暮らした1年間の物語・・・ 確かに人間の内面を切り裂いていくような作品ではなく、権威ある芥川賞の受賞作として相応しいか議論はあるだろうね でもやっぱり物語って読者にページを進めさせる力がもっとも必要だと思うし、そういった意味でこの作品は飽きさせないし なんとなく読後もすがすがしい気分になって主人公の今後を応援したくなる・・・ | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
淡々とした毎日にあるような襞をすくい上げて編み込まれた、どこにでもいそうな少女が日々に揺られる物語。 人が人に重なり、ズレ、離れ、そしてまた重なり、有機的に形を変えながら、人間関係という名の「ひとり」の地図は今日も開かれる。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
主人公の知寿(ちず)は、反抗期なのか、自暴自棄になのか、何に対しても棘を含んだ物言いをする。 本当に20歳なの?いや、20歳ってまだ反発する年頃だよな。 そんなことすら忘れている自分が恐ろしくなってしまう。 母親が仕事で中国に行くことになるが、知寿は日本に残り、71歳の吟子の家に居候することになる。 奇妙な始まりは、奇妙な関係のまま、不自然な均衡を保ちながらも、結局は吟子の手のひらの中で動いていた。 真相はわからないが、そう捉えることもできるのではないだろうか。 正直理解できなかったですね。 同調することもできず、感動することもなく、結末に喜びを見いだすこともできない。 そういったことも必要ないのが芥川賞なのかとすら思ってしまいました。 芥川賞作品は元々読んでいなかったのですが、これでまた受賞作を読むのを敬遠してしまうことになりそうです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
確かに文章はうまいし、センスも良い。ほとんど感情表現しない若い女の一人称風景に映しだされる、元気なおばあちゃんに二匹の猫、そして優しい彼氏。特に何が起こるわけでもない、淡々と流れていく日常風景。よしもとばななや川上弘美の系譜に連なる少女漫画風の作品だが、やっぱり新しさに欠けるのではないか。デビュー作の『窓の灯』も読んだが、個人的には合わない作家だった。それでもリズムのいい文体は読んでいて心地よかったが。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
主人公の20歳の女性と、彼女が居候することになった家の71歳のおばあさんとの間で起こる、日常の些末な出来事。はっきりいってドキドキワクワクするような展開はほとんどありません。 そんな平凡な世界を扱いながら、じゃあ何が小説を支えているかというと、人物や場面の描写力なのだと思います。とくにいいと思ったのは、登場人物の性格が悪いこと(笑) 主人公は、怠惰で手癖が悪く、おばあさんに対しても「年寄りはずるいね」などと平気で悪態をつくし、一方のおばあさんもおばあさんで、勝手に主人公の化粧水を使い込んだりして、必ずしも若者の範たるような存在としては描かれません。 ただ、何ていうか、その不完全さがかえって瑞々しい、と思いました。描き方がうまいからなのでしょうか、二人のこれといって面白みもない共同生活や言葉のやり取りが、何だかとても味わい深いのです。 ただ、代わり映えのしない二人の共同生活も、お互いの心にそれなりの変化をもたらしてはいて、物語の最後、少しだけ成長した主人公が、自らの足で一歩を踏み出す姿は、何だかとても輝いて見えます。 エキサイティングな事件などなくても、日々の単調な繰り返しを通じて人は変わっていくし、変われるのだという、そんなことを描いた作品だと思いました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
半分も読まないうちに、この調子でまだ続くのかな、とくたびれてきた。愛されない女の内面が坦々と提示される。愛されないのも当然だ。内面がつまらないから。かと言って体を愛されたのでもなさそうだが、求められたのが心でないとしたら残るはそれしかない。それは代替可能なもので、別の女の登場と共に、愛であったようなものは終る。それで? と著者に聞きたくなってしまう。主人公は最後不倫の恋に赴く。つまらないからやめろ、と言ってやりたくなる。その男への恋など彼女のどうでもいいことの一つに過ぎないからだ。しかし読者たる私の声はもちろん彼女には届かない。それは彼女の声が私に届かないのと同じことだ。しかし、これほど静かに筆を進められるのも一種の才能だろうか。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
20歳の主人公「知寿」が71歳の吟子さんとのふたり生活を通して自立していく姿を描いた物語です。 知寿の母親も物語の中に度々登場しますが、キャラクターがいまいちハッキリせず現実味に乏しく感じました。また主人公の性格にも親近感が持てず、「知寿」の癖である「手癖の悪さ」というのにも、なぜ知寿はそうするのかまったく理解できず読んでいて不快でした。 最終的に「知寿」は自立することになるのですが、自立後の知寿に自立前の知寿との繋がりがまったく見えず、まるで別人になったかのような性格や思考の変わり方で、成長することで変わったとは思い難いし、同一人物ではないような変わり方をしてしまうような何かが物語にあったわけでもありません。変わるに至る心境の変化の描写にも乏しく変わるに至ったきっかけも判然としない。 唯一良かったのは吟子さんの「世の中に内も外もない。世界はひとつなのだから」という言葉でしたが、ゆったりとしていたそれまでの吟子さんの言葉だとは思い難く、とってつけた感じが否めませんでした。 他の方々のレビューにもありますが、芥川賞作品にはもっと相応しい作品があると思うし、芥川賞は真の文学賞であってほしいとつくづく思います。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
受賞した「ひとり日和」より「出発」のほうが良かった ひとり日和は読んでて不快な場面もあって読後感が あまり良くないのに対して出発のほうは 異文化交流?の中で自分の立ち位置を見直す日常が なんとなく誰にでもあるでしょ?と思わせてくれる 佳作だと思います。もう少し知りたいと思わせるところが いいですね☆ | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
「20歳の知寿と71歳の吟子さんが暮らした春夏秋冬」 帯のシンプルな言葉に惹かれて。 本屋で偶然手に取った一冊は。 最初から最後まで、さまざまな予感に満ちた一冊だったように思う。 第一に、発表当時24歳という同世代の作家が書く言葉は。 余計な飾りをできるだけ省いたような。 期待していた以上にずっと、素直に伝わってくる文章だった。 受賞から早数年が経ったことを考えてみると。 今はどんな言葉をつないでいるのだろうと。 ただただ率直に気になった。 第二に、今を生きる主人公たちの行き場のない不安が。 ありふれた日常の描写の中から、ありありと伝わってきた。 新たな変化に向けた、ささやかな予感とでもいうのだろうか。 ただしそれは、あくまでも“予感めいたもの”ものでしかなくて。 本の終盤では、少しばかりの消化不良も感じた。 とはいえ、作者の青山さんはまだ20代。 同世代の作家のこれからの活躍に、予感めいたものを感じるとともに。 他の作品もぜひ読んでみたいと、読み終わってみてあらためて感じた。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
会社の女性が言っていた。朝、満員電車の埼京線で新宿駅に到着したら、新宿西口ロータリーの喫煙所でタバコを1本吸ってから出勤するんです...と。私は、それを聞いたときこの小説にある「出発」という短編と会社の女性が重なった。あの場所は、新宿の始まりであるとともに、日本の中心を思わせる場所である。高層ビルに囲まれた都会のエアポケットなのだ。ある種の喪失感、閉塞感は「ノルウェイの森」の最後と重ならないか?pour voir le monde differemment.日常の視点を変えてみてみよう。千葉や埼玉、八王子から新宿まで出てきたのに、伊勢丹の敷居が高く感じられ、ついついユニクロで買い物してしまうようなあなた!はたまた、地方から東京に出てきて5月病(死語か...)になっている社会人1年生、2年生のあなた!何気ない日常の積み重ねが人生なのだと、あたりまえのことをあたりまえに教えてくれるだろう。この小説は。過激な場面や奇想天外なドラマだけが小説ではないと信じたい。味のなくなったガムをいつ吐き出そうか、小さいことの葛藤も小説にしようとすればできるのである。ここは作者の腕の見せ所といえるだろう。彼女は充分にその才能を発揮した。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
受賞が数年前なので、まだリーマンショックが起こっていない時期だ。 非正規社員やフリーターの生活が今ほど脅かされていないので、 こうしたぬるい主人公の考えを多くの若者が体現していたのだろうか。 風景描写は絶妙に上手い。 鈍行列車から眺める淡々とした風景を、 時には同じように見えるであろう風景を、 とても美しい言葉で表現してくれている。 頭にもすんなりイメージが湧くので、読み心地も悪くない。 だからこそ、登場人物に魅力がないのが残念だ。 せめて母親の再婚を軸に、もっと親子の人間関係を描いて欲しかったと思う。 ひとりでも良いから、主人公が成長するきっかけとなった エピソードを掘り下げてくれるともっと良くなったのになぁと思う。 ラスト、一見成長したように見えた主人公が なぜまた既婚者を選ぶのか不思議だった。 私には、結局何も変わっていないように感じる。 それを伝えたかったのだろうか。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
芥川賞をとった作品なので、どんな物かと思い、読んでみたのだが、初めは少々退屈な出だしかと思ったが、読み進めるうちに、どんどんストーリーに引き込まれていった。主人公と老婆のゆっくりとした生活が描かれており、主人公が人と触れ合いながら、人間的に成長していく様子が書かれていた。途中、主人公の老婆に対する微妙な心理が描かれていて、何となくだが、共感出来た。サラリと読めるので、まだ読んでいない人にはおススメである。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
無気力とも言える淡白さとのんびりさと共存する慎ましさといい意味での地味さ。まさに草食系女子が主人公。草食系男子・女子さんは読めば意外と共感できるのでは?書いてる青山七恵さんも草食系女子っぽい。堅実で丁寧であっさりした文章を淡々と書いてる。 職人っぽい人な気がする。 私はいいと思うけど、淡白で地味なのでつまらないと思う人が多そう。芥川賞もらわなきゃ読まれてないかも。でも、この堅実さと丁寧さは、雑な文章の目立つ昨今では少ないながら固定ファンを集めそう。 いかにも肉食男子な石原&村上龍がプッシュしたのは、「若い作家を誉めて、知事選で若者の票をゲットだぜ」という魂胆から、とある本に書いてましたが、そうでしょうね。彼らが素直に誉めるわけがない。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
2007年に第136回芥川賞を受賞した作品(らしい)。 カバーのデザイン・イラストから、著者の“瑞々しい透明感”を伝えようとしているのがわかる。 20歳の知寿は、自分を表現するのが苦手な、 今の時代にいかにもいそうな、そして今の時代の作家がいかにも書きそうな女の子。 一言で言えば、その視点は冷めているし、 それが著者の実体験してきた視点でもあるのだろう。 その知寿が一緒に暮らすことになった吟子は、 つつましやかで落ち着いた女性だが、同年代の男性と恋愛(のようなもの)をしたりもしている。 よくあるパターンでは、この吟子が知寿に対して人生の羅針盤のような役割を果たしたり、 何か標のようなものを与えたりするのだが、 本書ではそんな能動的なアクションは起こさない。 二人はただ一緒に住み、 その暮らしの中で知寿は少しずつ変わり、外に向かい始める。 (70歳の吟子には、ほぼ変化は起きない) 正直、どこが面白いのか、どこを感じ取ってあげればよかったのか、 分からなかった。 著者の“感性”で勝負する類の作品だと思うのだが、 本書においてはものすごい才能は(残念ながら)感じなかったし、 どうも「普通よりもちょっと文章の上手い、普通の子」という印象を超えない。 まあ、確かに(近年の)“芥川賞っぽい”作品では、ある。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
芥川賞受賞ということで買っておいたものを、やっと読みました。「知寿」という女の子を視点に物語は展開しますが、これはまぁそのなんだ、あれに似ているなという気持ちにいきなりなって、しかしその肝心の「あれ」が思い出せないことと、しっかり書けていることで、芥川賞が得心できたように思います。いや、皮肉ではなく。「そうやって、知っている人を入れ替えていく。知らない人の中に自分を突っ込んでみる。楽観的でも悲観的でもなかった。ただ、目が覚めるとやってきているその日その日を、一人でなんとかこなしていく。」という「知寿」の自分の守り方も含めて、いい意味にも悪い意味にも「なにか」と「だれか」を思い出す、そんな作品でした。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
書き方が乱暴な文章。言葉づかいが悪い。 たいして卑屈になる環境にもいない魅力的でない主人公が、軽く屈折している意味が分からない。こういう屈折感はいらない。淡々とした抑揚のない文章。 これが芥川賞というのなら、芥川賞は、若者発掘のために作られた賞なのか?と、思ってしまう。とにかく文章の書き方が汚い。若い。青い。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
第136回(2006年下半期)芥川賞受賞作品。 芥川賞っていうと、純文学というイメージを勝手に持ってて とっつきにくく感じていたんだけど、 そんなこともないんだなと読んでみて思った作品。 この主人公の21歳千寿の心の動きが上手く書かれてた。 千寿は親の愛情というものを感じられずに大人になり、 そのことを自身で認められない葛藤があるよう。 他者に愛を安易に求めるところから‥そう感じたかな。 なんだか著者の内面から出てきた感情を盗み読みしてるみたいで 後味の悪い気持ちになったりしました。 さらっと読める文体には好印象♪ | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!