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ハマースミスのうじ虫
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ハマースミスのうじ虫の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.80pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全10件 1~10 1/1ページ
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とても良い状態です。 最高! ありがとう!! | ||||
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人間の内に複雑に潜む邪悪と高貴を描いて再読に耐えうる深みを持つ、余りに英国的なサスペンスの傑作。 狡猾な常習的恐喝者と猟犬の様に彼を追う探偵役。辛辣で皮肉、人間性の皮を剥ぐような冷徹な筆致で描かれる心理的闘争劇の興趣。 ミステリにプロットやトリックの面白さだけを求める向きには物足りないかもしれないが、余りに余韻深き結末は何度読んでも感動を呼ぶ。 フェアプレイ精神と独善的な野蛮さ、相反する英国人の気質を象徴的に描いた小説として希有。 (続編『さよならの値打ちもない』も是非復刊して欲しいのだが...) | ||||
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本書『ハマースミスのうじ虫』は、著者のウィリアム・モールが1955年に、ミステリ作家としてデビューした作品である。 巻末の川出正樹氏の著者紹介では、「世に幻の傑作は数あれど、これほど復刊が待たれていた作品もないだろう」と絶賛したコメントを書いていたが、残念ながら評者にとって期待外れな作品だった。 読み始めて違和感を感じたのが、まるでスパイ小説を読んでいるような雰囲気なのが、巻末の著者紹介でウィリアム・モースが、MI5(英国情報局保安部)の諜報部員だった経歴を知って納得した。 恐喝犯人を突き止め、監視をはじめてからの長々としたスパイ活動を繰り返し、登場人物たちの会話にも諧謔性も感じなく、少々退屈してきてしまった。(原書の英文には、“humour”を、感じ取ることができるとしたら訳者の力不足) 犯人と対決しながら心理的に追い込むというプロットにも少々無理があり、ロールスロイスに乗るワイン商の青年実業家の主人公が犯人狩りというのも奇をてらいすぎ。 裏表紙で本書の紹介文の末尾に「全編に漲る緊迫感と深い余韻で名を馳せた、伝説の逸品。」と書かれていたが、同時代の作家D・M・ディヴァインや一世代前のパーシヴァル・ワイルドなどと比べて、ウィリアム・モールの他作品を読んでみようなどとは思わず、緊迫感も深い余韻も感じることなく伝説の逸品を読み終えた。 | ||||
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本書『ハマースミスのうじ虫』は、著者のウィリアム・モールが1955年に、ミステリ作家としてデビューした作品である。 巻末の川出正樹氏の著者紹介では、「世に幻の傑作は数あれど、これほど復刊が待たれていた作品もないだろう」と絶賛したコメントを書いていたが、残念ながら評者にとって期待外れな作品だった。 読み始めて違和感を感じたのが、まるでスパイ小説を読んでいるような雰囲気なのが、巻末の著者紹介でウィリアム・モースが、MI5(英国情報局保安部)の諜報部員だった経歴を知って納得した。 恐喝犯人を突き止め、監視をはじめてからの長々としたスパイ活動を繰り返し、登場人物たちの会話にも諧謔性も感じなく、少々退屈してきてしまった。 犯人と対決しながら心理的に追い込むというプロットにも少々無理があり、ロールスロイスに乗るワイン商の青年実業家の主人公が犯人狩りというのも奇をてらいすぎ。 裏表紙で本書の紹介文の末尾に「全編に漲る緊迫感と深い余韻で名を馳せた、伝説の逸品。」と書かれていたが、同時代の作家D・M・ディヴァインや一世代前のパーシヴァル・ワイルドなどと比べて、ウィリアム・モールの他作品を読んでみようなどとは思わず、緊迫感も深い余韻も感じることなく伝説の逸品を読み終えた。 | ||||
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普段はそれほど酔ったりしない堅物の銀行家が、いつもと違って飲みすぎているのをクラブで見かけたワイン商のキャソン・デューカー。気になって声をかけてみると、渋々ながらその理由を語り始める。銀行家が強請られていることを知ったキャソン、興味を持った彼は、わずかな手がかりから、バゴットと名乗る脅迫者を探し出そうとするが・・・。 名作だ、傑作だ、おもしろいと噂は聞けてもなかなか読めることのなかった、いわゆる幻の名作だったサスペンスミステリ。 ほんの少しの手がかりを使い犯人の正体を探っていくまでは、ちょっと都合よく進みすぎな感じもしますが、犯人を特定してからのキャソンとバゴット、片や犯罪の証拠を見つけ出そうとし、片やキャソンを使ってある目的を達成しようとする二人の腹の探り合いは迫力にあふれ読み応え十分。なるほど、幻の名作の名に恥じない一作です。 新訳、文庫で復刊、なんとも喜ばしいことですね。願わくは、すぐに品切れ、また幻の名作になったりしませんように。 | ||||
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'55年にクライム・クラブの一冊として刊行され、好評を得ていたにもかかわらず何故か再刊されなかった幻の名作がとうとう復刻。 個人的には20年以上前にボロボロのクライムクラブを借りて本作を読み、その意外なプロットによる犯人探索に感銘を受けた。その後再読したくなり探しまくったがどこでも見つからず、とうとうイギリスから原書(これもボロボロ)を取り寄せた。 正直言って稀代の名作かと問われると肯定は出来ない。時代を感じさせる面もある。ただ復刻しただけで星三つ。さらには解説で謎の作者だったウィリアム・モールの正体が分かり星一つ追加の星四つを捧げたい。 コアなマニアには是非読んで欲しいと願う。 | ||||
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強請られた人に出会った主人公が素人探偵として、犯人を見つけ、追いつめていく物語です。 この作品を奇妙な味にしているのは、主人公が探偵役を務める動機です。正義感というには、歪んでいて、特に被害者に同情した訳でもないようです。かといって犯人との知恵比べをスポーツのように楽しむ名探偵の役どころかといえば、犯人を追い込んでいく過程は陰湿で、ある登場人物に「私は穢された」と言わせるほどです。 この奇妙な味わいは、他のミステリーではなかなか類が無く、読んでみる価値はあると思います。 ただ残念なことに、偶然やなぜか主人公の都合に合わせて動く犯人の行動に頼っているような展開が散見されたので、少し減点です。 | ||||
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クラシカルなミステリーでヒッチコックの映画を観ている気分になれる。街の風景描写など巧みで引き込まれる箇所も多々あるが、所詮道楽者の素人探偵が結構歪な正義感で犯人を追い詰める、という骨格は赤玉ポートワイン級の「甘さ」。時の流れを「芳醇」と取るか「陳腐」と取るかは読者のミステリー観による。読み手を選ぶ一冊。 | ||||
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元の本は1955年に出版され、今回、再翻訳がなされたのです。 テンポが早く、関係が複雑に入り組んだ現代の推理小説とは、およそ両極をなすかのような、ゆっくりとしたテンポ。最初の30ページはぶん殴りたくなるくらい、ゆっくり全然面白くないです。しかし、市井の詮索好きが犯人への手がかりはたったひとつ。古美術が好き ということだけから、ゆったりゆったりと世界に入り込む頃、それは100ページあたりからは、ディテール、特に当時のロンドンシティのインテリでワイン輸入商の主人公の普通の生活ぶりを体験しつつ、話を進めるのに、けっこうはまってしまいます。 我慢から、開放されると後は一気に進みます。 | ||||
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かれこれ55年前に翻訳されたきり「幻の逸品」とされていた作品が、新訳で再刊。多少、時代のギャップを感じないではないが、それとてもビンテージ物の味わいとなる風格を持った、大人向けの名作であった。 主人公キャソンは、探偵まがいの人間観察を趣味とするワイン販売業者。とはいえ、ハイソサエティとも通じるアッパーミドルクラスの青年実業家で、女性の受けも宜しい容貌の持ち主。彼がクラブで知人の「らしくない」醜態を目撃したことから、「完全犯罪」とも言うべき手法を確立した恐喝者の存在を知ることになる。趣味の人間観察と義憤と、それぞれの理由を持って、この恐喝者に対し正義を行うべく決意するキャソンだったが、バゴットと名乗る恐喝者のプロフィールは何一つ判らない。たった一つ、ギリシャ彫刻に関しての深い造詣ということだけを手がかりに、キャソンはバゴットを狩りだすべく、英知の限りを尽くすのであった。 派手な事件もギミックも無い。だが、淡々と仮説と検証を繰り返しつつ、調査から狩りへと進んでいくプロセスは、実に読み応えがある。次第に明かされていくのはバゴットの素性だけではない。キャソンの人となりも平行して、徐々に深く描かれていく。がゆえに、次第に高まる緊迫感とラストの得も言われぬカタルシスは、実に大人な味わいを持っているのだ。この作品の大人味は、純粋性とも言えるかも知れない。後書きの解説の言葉をかりれば、「誰もが持つ子供らしさ」というもの。。。。これが、キャソン/バゴット双方のそれが、キッチリ描けているのである。 作者のプロフィールも興味深い。007の上司Mのモデルになった人物の片腕を務めた、元MI5要員なのである。なるほど、人間観察の説得力や洞察の深さはこのキャリアに起因するんだなぁ。 | ||||
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