赤い右手
- 本格ミステリ (563)
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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絶妙な構成。狙って作っているのか、勢いで書き上げたらこうなったのか。 | ||||
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未読の方はご注意ください
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レビューが少し遅くなってしまいましたが、2018年に購入した本書は、私にとってはその年(2018年)の推理小説のベストでした。 もちろん、瑕疵が多いなど犯行の実現性に問題もあり、正統派からすれば逸脱した作品となってしまうのかもしれませんが、私としては犯人や犯行手法にそれほど違和感はなく(まあフィクションの世界だし)、最後の謎解きもパズルのピースが自然に埋まっていく感じで納得できました。とにかく熱気(熱量?)がすごい、そしてそれが最後まで続く。一小説として非常に面白かったです。 B級映画を思わせるどこか非現実的な世界、怪しげでカリカチュアな人物像、犯人を「コークスクリュー」などと呼ぶ言葉のセンス(若干差別用語的?)、そして狂気と隣り合わせの緊張感。私にとってのドストライク。 1人称の手記という形が効果的だと思います。「あいつ(犯人=コークスクリュー)はすぐそばにいる気がする、すぐにでもあいつの正体を突き止めなければ」というリドル医師の手記は、本心からの焦りなのかそれとも・・・。 「何かに騙されているんだろうな、、、」と疑いつつもその先の着地点が見えず、引きずり込まれるように読み進んで行きました。なんだか非日常、良い意味で小説の歪んだ世界に酔わされた感じです。しかし、雰囲気で盛り上げるだけ盛り上げて肩透かしを食らわせるのではなく、最後にはそれなりのトリックや伏線回収など、現実的回答が用意されている点が、私としては高評価でした。 | ||||
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主人公がずっと一人称で話を進める叙述ミステリーのような書き方です。ただストーリーの時系列が滅茶苦茶で、話が前に入ったり後ろに入ったり目まぐるしい上、翻訳のせいかかなり曖昧ににごして書かれている部分が多いので事件全体の概要が極めて把握しづらいです。淡々とした主人公の語り口も眠気をそそられます。 全てを煙に巻いてしまうようなやり方が奇跡のラストへの布石であるとすれば、作者の意図は充分成功しているとは思いますが、読者がどこまで付き合う気になるのかは未知数でしょうか。自分は3分の1位のところで読むのを諦めました。 | ||||
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1997年に国書刊行会から出た単行本の文庫化。 Joel Townsley Rogersの『The Red Right Hand』(1945年)の翻訳だ。 翻訳当初は怪作・傑作として話題になったものだが、文庫化されたので久しぶりに読み返してみた。 思わせぶりなレッド・ヘリングがわんさと詰め込まれており、異常心理ものなのかと思わせつつも、きっちり合理的な結末を用意している。 まさに快作だ。 フラストレーションが激しく溜まるだけに、カタルシスもすごい。 読むべき一冊。 | ||||
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ある医師が田舎で奇怪な事件に遭遇し・・・というお話。 この作品は伝説の傑作として賞賛されてきたというのは何となく聞いたことがありますが、今回読んでみて本格推理小説というよりは不条理サスペンス、ホラーのように思えました。一部の本格ミステリ好きな方には探偵小説のコペルニクス的転回といわれているそうですが、私の読後感としてはあまりそういう風には思えませんでした。これは私が人生の30年近くを推理小説を読んできて、読みすぎで昔だったら驚いた所でも驚かなくなったり、病気の薬で脳が変な風になっているせいかもしれませんが、それでもあまり本格ミステリの大傑作に推すには躊躇いを感じました。つまらなくはないですが。 似たような傾向の作家を探すとヘレン・マクロイあたりが近しい気がしますがどうでしょうか。個人的にはマクロイも本格ミステリよりホラーの方が資質があるように感じるので。 かつて、ウェストレイクが生涯のベスト・ミステリに本書を挙げておりましたが、やはりこういう物を好きな人には訴求する熱気は感じました。 ミステリ史に残るらしい怪作。機会があったらどうぞ。 | ||||
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訳者あとがきに拠れば何故か一部でやたらと評判が高い様だが、パルプ・フィクションの分野で活躍した作者の作品で他に名が残っているのは無い様だから、奇跡的に一発当たったのだろう。実業家の謎の失踪とそれに絡む謎の怪人の暗躍の謎を、偶然巻き込まれた外科医が探って行くと云う体の一人称ミステリなのだが、あちこち関係無い所に話が飛んだり、話の途中で、これこれの登場人物は実は後で殺されるんだとネタバレしてしまったり、妙に思わせ振りな書き方で大事な説明を放置して寸止め状態の儘長々と読者をじらしたり、作者の技量が下手なのか巧妙なミスディレクションなのか区別が付かない儘読み進めなければならないので、傑作なのか駄作なのか、最後まで読まないと判断出来ないと云う難しい代物だ。あとがきでは熱に浮かされた様な文体抜きにしてこの作品は考えられないと云うコメントが紹介されているが、確かに、推理を後回しにして取り敢えず語り手の言うが儘に先へ先へと進んで行かなければならないこの作品の最大の魅力は、その強引な文体であることは否定出来ない。読後に思い返してみると、混乱した語り口が醸し出す悪夢的雰囲気こそがこの作品の高評価の要である気もする。 諸々の手掛かりが犯人の正体をこの人だと声高に告げていると読者が思い込んでいると、終盤の謎解きでそれが見事に引っ繰り返される、と云うのはお決まりの展開の筈なのだが、綺麗に謎が解明されたにも関わらず、ここまでその謎解きが容易に信じられない、読後感がスッキリしない作品も珍しい。だがこれを傑作と呼ぶ人が居るのも或る意味頷ける。クリスティなどとはまた別の意味で、作品全体が非常にトリッキィな作りになっているのだが、これが偶然の産物なのか作者の技量なのか判別出来ない。評価に悩む怪作である。 | ||||
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